2010年9月4日

また雨の日にカクレガで 03

その小さな影は、小学校低学年くらいの子供のようです。
右手で黄色い傘をさして、私と同じようにしゃがんで、私のほうをじーっと見ています。
男の子かな?
私は、ホっとしました。
見たところ小学校2、3年生くらい?
そのくらいの子供なら、男性でも怖くはありません。
それに私は、たとえば親戚で集まったときとか、小さな子供たちになぜだか慕われるほうなんです。

しゃがんだまま、
「こんにちはー」 
と声をかけてみました。
その男の子は、ちょっと驚いたみたいで、瞬間、固まっていましたが、かわいらしいソプラノ声で、
「こんにちわー」 
と返してくれました。
「まだ雨降ってるの?」 
と私。
見ればわかります。
「うん」 
と男の子。

これからこっそり野外思い出しオナニー、と意気込んでいたのをジャマされて、ちょっと脱力気味な私ですが、猫さんで癒された後だから、ちょうどいい暇つぶし相手かもしれません。
「じゃあ、こっちに来て雨宿りすれば?」 
私は、ゆっくりと立ち上がりながら誘ってみました。
男の子は、ちょっと迷ったみたいですが、すぐに、たったったっ、と小走りで軒下に入ってきました。

「こんにちは」 
「こんにちわー」
男の子は傘をたたんでから、私を見上げました。
「ボクは何年生?」
中腰になってそう聞くと、 
「3年生ですっ」 
と元気良く答えます。
「ボクひとりなの?」 
「うん」
「お母さんは?」 
「ママは6時まで帰ってきませんっ。パートに行ってますっ」
無理にハキハキ答えようとしているところが、ほほえましくてかわいいなー。
俗に言う『カギっ子』 くんなのかな?

「じゃあ、おうちには誰もいないのかあ。おにいちゃんとか、いもうとさんとかは、いないの?」 
男の子は、少しもじもじしてから、
「さっき、オネーチャンとケンカしたの。ボクは悪くないのに・・・それで一緒にいたくないから雨だけどお外に出てきたの」 
しょげた感じで打ち明けてくれます。
「ふーん。そうなんだあ」 
「ボク、オネーチャンきらいっ。いっつもボクのせいにするし、えばってるし・・・」
男の子は、しばし自分の世界にこもっちゃったようです。

私は、そんな男の子をなるべく怯えさせないように、えくぼを作りながら黙って見ていました。
しばらく私の顔をじっと見ていた男の子は、沈黙が耐え切れなかったみたいで、私に聞いてきます。
「お姉さんはここで、なにしてるの?」 
「うん?雨宿り、かな?」 
「なんで?」 
「うん?雨が降ってるから、かな?」 
「ふーん」
またしばし沈黙。

もじもじしたままの男の子がなんだかかわいそうになったので、私から話題を振ってみます。
「ボクのおうちは、この近くなの?」 
「うん。あっちの踏み切りを渡って、ちょっと行ったところ」
このへんの地理をぜんぜん知らないので、そこがどこなのか私には、ぜんぜんわかりません。
「お姉さんのおうちは?」 
男の子の口調が心持ちやわらかくなってきました。
だんだんと慣れてきてくれてるみたいです。
「私はねえ、ちょっと遠いの。ここの駅から電車に乗って、7つめかな」 
「じゃあ、なんでここにいるの?」 
「うん?なんでかなあ?ここが好きだから、かなあ?」
「ふーん。ヘンなの」 
「ヘンかな?」 
「ヘンじゃない?」 
「ヘンじゃないよ」 
「・・・そうだね。じゃあヘンじゃないっ!」 

私と男の子は、お友達になれたみたいです。
経験上わかります。
たぶんこの子はこの後、お友達口調になります。
私は、メガネをはずしてバッグにしまいました。

男の子の顔をじーっと観察してみます。
目が大きくてキラキラ、赤みを帯びたほっぺがプクっな坊ちゃん刈り。
なんだかとっても素直に育った子みたいです。
と言っても私、子供を顔で判断できるほどの経験は持っていないのですが、なんとなーくね、いい子じゃないかと・・・
私は、完全にリラックスしていました。

「なんでオネーチャンとけんかしちゃったの?」 
「あのね、ボクがひとりで、お父さんが買ってくれた○○戦隊○○レンジャーのDVD見てたの。そしたらオネーチャンが入ってきて、勝手にテレビに変えちゃったんだ。この時間は、あたしがテレビを見るの。そう決まっているの。って・・・そんな法律ないのに・・・」
ぷっ、と思わず吹き出してしまいます。
なにそれ?ほほえましいなー。

「それはオネーチャンが悪いよねえ」 
私は、男の子の目線までしゃがんで頭を軽く撫でながら言いました。
「そうだよねっ?ボク悪くないよねっ?」
「ボク、オンナって大きらいだ。うるさいし、勝手だし・・・」 
男の子は、本気で憤慨しています。
ちょっとイジワルしたくなっちゃいました。
「そうなんだ、残念だなあ。お姉さんのことも?」 
男の子は一瞬、あっ、いけね、みたいな顔をしてから、あわてて言いました。
「ううん。お姉さんは、ボク好きだよ。キレイだし、やさしそうだし・・・」 

うわー、なんか嬉しいー。
考えてみると私、面と向かって男性から、キレイ、と言われたの生まれて初めて?
でも、子供の頃はいくらカワイラシクても、男の子は大人になったら、アレがアレになっちゃうんですよね・・・

「お姉さんもボクのこと好きだよ。とってもカワイイから」
私は、心の中で騒ぎ始めた複雑な気持ちを抑えつけながら、安っぽいドラマの誘拐犯みたいなことを言ってしまいました。
男の子は、照れくさそうに私の顔を見上げてから、視線を下に落としました。
やっぱり、カワイイなあ。

また、しばし沈黙。

「・・・ねえ・・・」
しばらく二人、降る雨を眺めるとも無く眺めてたら、男の子は、これ聞いていいのかな?みたいな感じで、おずおずと口を開きました。
「なあに?」 
「お姉さんに聞きたいことがあるの・・・」 
「なあに?」 
「・・・怒らない?」 
「なにを?」 
「絶対、怒らない?」 

私は、ふいに気がつきました。
そっちだったの?
私に近づいてきたのは、それだったのか・・・
すっかり忘れてました。
ノーパンのこと。

私は、かなり動揺していたと思います。
こんな小さな子に、何をどう説明したらいいのでしょう?
でも、ここであんまり恥ずかしがるのもヘンですし、怒って帰るのも大人気ない上にかわいそうだし・・・
私は、自分の心が落ち着くのを待つために、顔を上に向けて少し考えるフリをしてから、つとめて明るい声で、
「うん。絶対怒らない」 
と答えました。
「絶対の絶対?」 
男の子はしつこいです。
「うん。絶対の絶対。もしお姉さんが嘘ついたら、ボクの言うこと、なんでもきいてあげる」
うわっ。
なんかマゾっぽいこと、言ってしまいました。

私は、男の子から何を聞かれるか100パーセントわかっていました。
そして、その状況にからだ全体がゾクゾクしていました。
今日ここに来たのは、こういう状況な妄想を求めてのことなんですが、なにしろ相手が相手です。
私は、まだ決めかねてました。

覚悟を決めたように、男の子が口を開きました。
「お姉さん、パンツ、はいてないの?」 
内緒話みたいに、私の耳に口を寄せて、ひそめた声で聞いてきました。
ゾクゾクゾクーっ!!!
私の被虐スイッチがバチッと音をたてて、入ってしまいました。
小学生男子からの言葉責め・・・
アソコの奥が派手にヌルっときました。


また雨の日にカクレガで 04

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