2011年7月31日

氷の雫で濡らされて 03

カツ、カツ、カツ、カツ・・・
ヒールらしき足音が私のいる個室のほうへ、ゆっくりと近づいてきました。
コンコン!
ノックの音。
「は、はい」
私は、小さな声で答えました。
「ちゃんと目、つぶってる?」
電話で聞いたのと同じ女性の声が聞こえました。
同時に個室のドアのスライドバーがカチャリと滑り、ドアが内側にゆっくり開き始めました。

「あ、は、はいっ!」
実はノックの音がしたときに、思わず目を開いてしまっていました。
ドアが開き始めたのも見ていたのですが、内開きなので、その人の姿はまだ見えませんでした。
そのときに念を押されたので、答えてから私は観念して、再びギュッと目をつぶって下を向きました。

ローズ系のパフュームのいい香りがしてきます。
パタン・・・カチャリ!
内鍵を閉めた音でしょう。
自分の近くに、明らかな人の気配を感じていました。

「絶対、目を開けちゃだめよ!」
「は、はい!」
その人が近づいてくる気配とともに、かぶっていた帽子がフワリとはずされました。
私はドキドキ最高潮で、ギューッと目をつぶっています。
「もう少し顎を上に上げて、カワイイお顔をよーく見せてくれない?」
目をつぶったまま、うつむいていた顔を恐る恐る上げていくと、背後から私の目のところに何か布のようなものがかぶせられました。
「あっ!?」

「ふーっ。目を開けていいわよ。見えないでしょうけど」
その人が可笑しそうな声で、私の耳に息を吹きかけながら言いました。
目を開けても真っ暗。
アイマスクをされちゃったみたいです。

「さてと。おひさしぶりね?直子さん?」
「あ、は、はい・・・」
「ずいぶんキレイになったわねえ。わたしが会った頃は、まだコドモコドモしてたけど、もうすっかりオトナの女性」
その人は、私の左耳に息を吹きかけるみたいに密着して、ささやいてきます。
「ここも、こんなに大きくなって・・・」
言いながら、ブラウス越しに私の右おっぱいがギュッと掴まれました。
斜め背後から掴まれている感じ。
「あーんっ!」
からだがビクンッと盛大に震えて、大きな声が出てしまいました。
「大きな声は出さないのっ!」
右おっぱいを掴まれたまま、耳元の声に叱られました。

「いつ人が入ってくるか、わからないでしょ?個室の中からコソコソ話し声がしていたら、警備員さん呼ばれちゃうわよ?」
「このフロアだと、北側にある女子化粧室が最近改装されて、とってもキレイになったらしいのよ。ピッカピカのパウダールームや着替えスペースまであるんだって」
「そのことを知ってる人はみんなそっちに行くから、そっちのトイレは大人気。だからこっちのトイレを選んだの、人来なそうだから」
「でも、だからってこっちに誰も来ないって保証は無いじゃない?とても切羽詰っちゃった人が飛び込んでくるかもしれないでしょ?」
その人がクスッと笑った気がしました。
私もつられてクスッと笑ってしまいます。
「だから、出来るだけ静かにしていて、ね?」
最後は、すっごくやさしい感じで語りかけられました。
「は、はい」

「直子さんて、意外にお堅いのね?てっきりノーブラで来ると思ったら、ブラしてきてるし」
私の右おっぱいが解放されたのもつかの間、すかさず今度は左おっぱいを揉みしだかれています。
「えっ?で、でも・・・」
「このワンピなら布地しっかりしてるし、細かいピンタックも入っているから、乳首浮いちゃうこともないでしょうに」
「で、でも、わ、私・・・ち、乳首、大きい・・・から・・・」
「へー。そうなんだ?」
左のおっぱいを揉みながら、もう一方の手で私のブラウスの胸元のボタンを上からはずしているみたい。
「それはぜひとも、見せてもらわなきゃー、ね?子猫ちゃん?」

「あっ!」
その言葉を聞いた刹那、一瞬にして理解しました。
ジグソーパズルの最後の1ピースをはめたときみたいな達成感。
「シーナさん、ですね?」
「ピンポーン!やっと当ててくれたわね?ご褒美にアイマスクを取ってあげましょう!」

シーナさんは、私が高二のとき、やよい先生とお泊りデートの2日め、ファミレスで露出遊びをしたときにそのファミレスでウェイトレスさんをしていらした女性で、やよい先生のお仲間でした。
身長が私の肩の少し上くらい、小柄でロリータ全開の可愛らしい容姿のかたなのですが、やよい先生のご説明によると、百合属性のSな人なんだそうです。
やよい先生が東京に行かれてから一度だけ、地元でお会いしたことがあって、今回は、そのとき以来の再会でした。

アイマスクがはずされて、私の視界に入ってきたのは、紛れも無くシーナさんでした。
当時はショートカットでしたが、今目の前にいるシーナさんは、肩までのゆるくウエーブした髪をサイドに流してシルバーの凝った模様のヘアピンで留め、黒のタイトスーツに真っ白いフリル付きブラウスを着ていました。
初々しいOL一年生さんみたい。
可愛らしさにますます磨きがかかっています。

「さっきまで仕事してて直行してきたから、今日はこんな格好なの。本当におひさしぶりね、直子さん」
「はいっ!私、シーナさんも東京に出てこられているなんて、知りませんでした。いつ・・・」
「そういう話は後でゆっくりしましょ?今は直子さんの身だしなみを・・・」
すっかりコーフンして声高になってしまった私の問いかけを遮って、私をたしなめようとするシーナさんの言葉は、バタン!っていう派手に化粧室の扉が開かれる音で遮られました。

シーナさんがご自身のちっちゃくて形の良い唇の前に人差し指を垂直に立て、シーッというジェスチャーをします。
私も真似してシーッ!
見つめ合ってコッソリ笑います。

カンカンカンッ!
乱暴な靴音が聞こえたと思ったらギーッバタン!と大きな音がしました。
どうやら私たちのいる個室の隣の隣に入ったみたい。
カタン、ガチャン、バサバサッ!フーーッ・・・
衣擦れの音の後は安堵のため息?

突然のおトイレ闖入者の動向に耳をそばたてていた私は、そのため息を聞いて緊張が解け、ふっと自分の胸元に目をやりました。
いつの間にか胸元のボタンが全部はずされて、ピンクのブラが丸見えになっていました。
あわてて胸元をかき合わせます。
シーナさんが身振りでダーメってした後、背中を向けろ、っていうジェスチャー。
私が思わず何か言いそうになると、シーッ!

私は、音をたてないようにコソコソと便座の上で腰を回転させ、シーナさんに背中を向けました。
シーナさんは、ソロリソロリと私のワンピースを肩脱ぎにした後、ブラの後ろのホックをそーっと、なるべく音が出ないようにパチッとはずしました。
それから、私の両腕を器用にあやつって、ワンピの両袖とブラの肩紐を両腕からスルスルっと抜いてしまいました。

シーナさんが上半身裸になってしまった私の肩をチョンチョンとつついて、指で指示して私とシーナさんが向かい合うように座り直させました。
私の露になったおっぱいを品定めするようにじーっと見つめるシーナさん。
私は、両手をだらんと下におろして、シーナさんの視線に恥じらいながら耐えています。
両乳首はすでに充分過ぎるほど尖って、ツンと上に背伸びしていました。
シーナさんの右手がそーっと左おっぱいに伸びてきます。
私は思わず両手で胸をかばおうとします。
動き始めた私の右手がすぐにシーナさんの左手に捕まり、右手の甲をシーナさんの右手で軽くつねられました。
シーナさんはわざと作った怖いお顔をしています。

シーナさんが自ら両腕を頭の後ろで組み、私にもやるように、って顎で促してきました。
私は、胸の前でゆっくりと両手を組んでから、組んだ両手のひらを自分の後頭部に当てるように上に上げました。
マゾの服従ポーズ。
おっぱいと両腋の下が無防備全開になってしまいました。

シーナさんが再び右手を伸ばしてきて、私の無防備な左乳首をコソッとつまみました。
「んっ!」
一生懸命口をつぐんで、悦びの声が漏れないようにがまんします。
シーナさんは、親指と人差し指、中指の3本でソフトにつまんだ私の乳首を、捏ね回すようにやんわり弄んできます。
「んぐぅーー」
そのあまりの気持ち良さ。
口をつぐんで一生懸命声が出るのをがまんしているのに、喉の奥から歓喜の唸り声が鳴ってしまいました。

ジャッジャジャーーーッ!
そのとき、闖入者の任務が終わったらしく、水を流す音が聞こえてきました。
シーナさんが右手を引っ込め、私たちはまた、耳をすませばモードに突入。
しばらくガサゴソ聞こえた後、突然!

プゥーーーーーーーッ!

シーナさんと私は一瞬顔を見合わせてから、光の速さでお互い自分の口を押さえ、盛大にうつむきました。
バタンッ!
個室のドアが開く音がして、カンカンカンッって遠ざかる足音を聞いてから、思い切って顔を上げました。
シーナさんも同時だったみたい。
シーナさんの肩が小刻みに震えています。
もちろん私の肩も。
笑いをこらえすぎて、腹筋が痛いほど。
目尻に涙まで溜まっちゃいました。


氷の雫で濡らされて 04

2011年7月30日

氷の雫で濡らされて 02

夏の東京の街を歩いていてびっくりしたのは、お肌の露出度高めなセクシーな服装をしている若い女性の姿を頻繁に見かけること。
胸元が大きく割れていたり、背中が大胆に開いていたり、袖ぐりから横おっぱいが覗きそうなユルユルのタンクトップとか、からだの線がバッチリのピチピチボディコンとか。

春先にやよい先生と会ってお話したとき、私が、大学は制服じゃないから、毎日何を着て行けばいいか迷ってしまいます、みたいなことをしゃべっていたら、お話の流れで、やよい先生が笑って教えてくれました。
「もしも大胆な服装して街を歩くときは、ヘタに恥らってモジモジしたりしちゃダメよ。かえって悪目立ちして注目集めちゃうから。こんなのはファッションだから何でもない、って感じで、どう?私キレイでしょ、って堂々と胸張って歩きなさい」
「そりゃあ、チラチラと見てくる男は何人もいるでしょうけど、それだけのこと。すれ違っちゃえばみんなすぐ、忘れちゃうわ。欲情して追いかけられちゃうみたいなメには、よっぽど運が悪くない限り合わないから。ここはそういう街なの」

やよい先生に言われたことが、夏になってよくわかりました。
胸の谷間を見せびらかすのなんて、何でもないことみたい。
まだ高校生くらいの子も、OLさんも、ちっちゃな子供の手を引いた若奥様風の人だって、盛大にキワドイ部分の素肌を真夏の熱気に露出して、普通に平気で歩いていました。

私は、まだ慣れていないので、そういう人たちとすれ違うたびに、すごいなあ、って感心しちゃっていますが、よく考えてみると、今現在の私のほうが、彼女たちよりも数倍、大胆なことをしているんです。
ワンピースで隠れてはいますが、その下のアソコには、えっちな突起のホタテ貝がハマっているのですから。
キューンって、はしたない恥ずかしさが全身を駆け巡ります。
でも、やよい先生のアドバイスを思い出し、不自然な雰囲気が出ないように無理に澄ました顔して胸を張って、足早に繁華街の人ごみを歩いていきました。

目的のデパートに入ると、ひんやりと冷たい空気が気持ち良く私を迎えてくれました。
お約束の時間より20分も早く着いちゃった。
汗びっしょり。
デパート1階独特の、むせ返るようなお化粧品の香りの中で化粧室を探しましたがみつからず、案内板を見ると2階にあるようです。
エスカレーターで2階に上がり、洗面台の鏡の前で入念にお化粧を直していたら、お約束の時間まであと8分になっていました。
そろそろ行こうか・・・
私の胸がワクワクドキドキ高鳴ってきました。

3階の一番南側のフロアーで、適当にうろうろしていなさい、っていうのが、やよい先生のご指示でした。
このデパートの3階に来るのは初めてだったので、天井に吊られたフロアガイドを頼りに南側へ移動しました。
いったん南端まで行ってから、今度はそのあたりのブロックの綺麗にディスプレイされたお洋服をゆっくり眺めつつ、うろうろし始めました。
右手には、やよい先生からいつご連絡が来てもいいように、携帯電話を握っていました。

下着の売り場で、通路に出ているワゴンのショーツを眺めていたとき、突然、アソコに震動を感じました。
「んっ!」
思わず小さく声がこぼれて、うつむいていたからだがビクンとのけぞります。
来た!
やよい先生に会える嬉しさと、デパートの売場でこっそりアソコに刺激を受けている自分のヘンタイな状況とに、みるみるからだが火照ってきてしまいます。

アソコの中を震わす力は、愛用のリモコンローターで言うと弱と中の間くらいの弱いもので、強みたいな、立っていられないほど、ではありませんでした。
それに、デパートに入ったときから、たぶん突然震動のスイッチが入るだろう、って予想と言うか期待していたので、一瞬の驚きが過ぎると余裕が出来て、通路のほうを振り返ってみました。
その瞬間、今度は手のひらで携帯電話が震え始めました。
「きゃっ!」
またもや小さく声をあげてしまいました。

携帯電話を開こうと、顔をワゴンのほうに戻して視線を上げたとき、奥にいた下着売場のキレイな女性店員さんが、怪訝そうな目で私をじーっと見つめているのに気がつきました。
やだっ!いつから見られていたんだろう・・・
さっきから一人で、んっ!とかきゃっ!とか声をあげているんですから、傍から見れば、どう見たって不審者です。
私は、白い帽子のひさしをつまんで目深にかぶり直し、あわてて売場を離れ、売場と売場の間の壁のところに移動してから、通路に背を向けて携帯電話を開きました。
股間のホタテ貝は、震えっぱなしです。

着信はメールでした。
やよい先生ではない、知らないアドレスから。
「そのまま北方向へ少し歩き、右側にある女子トイレに入りなさい」
メールには、そう書いてありました。
通路を振り返り、それらしき人、ホタテ貝に電波を送っている人、の姿を探します。
平日の午後、お昼休みもとっくに終わった頃ですから、ウインドウショッピングのお客さんも少ないようで、このフロアをうろうろし始めてからも、中年のおばさまや、若い女性の一人客とチラホラすれ違う程度でした。
今も、見える範囲にいるのは、各売場の店員さん以外では、中年おばさまの二人連れだけ。

今日来てくれるのは、やよい先生じゃないのかしら?
メアドが違っていたのが気がかりで、しばらくキョロキョロあたりを見回してみたのですが、それらしき人の姿は発見できず、あきらめてメールの指示通り女子トイレへ向かうことにしました。

アソコを刺激しているホタテ貝の震動は、歩くのにまったく支障がないくらい緩やかなものでしたが、そんなことをされながら白昼のデパートを歩いている、という背徳的な感情と相俟って、誰かとすれ違うたびに緊張してしまい、何て言うか、弱火でトロトロと官能を炙られているような、甘美な後ろめたさを感じていました。

10メートルくらい歩くと、その10メートルくらい先に、矢印とともに女子化粧室の存在を示すプレートが吊ってあるのが見えました。
あそこだ。
そう思いながら一歩踏み出した途端、アソコの震動がピタッと止まりました。
あれ?
思わず立ち止まり、まわりを見回します。
相変わらず閑散とした婦人服売場。
きっと、リモコンの電波が遠すぎて途切れちゃったんだな。
少しがっかりしながらも、そのまま女子トイレを目指しました。

女子化粧室への扉を開け、中へ入ります。
誰もいません。
三台並んでいる洗面台を抜けて、もっと奥へ進むと個室が4つ。
デパートにしては、あまりキレイなおトイレではなくて、なんとなく床とか古そうな感じ。
個室のドアは4つとも閉まっています。
どうすればいいのかな?と思っていたら、右手の携帯電話がまた震え始めました。

今度は電話。
知らない番号からです。
「もしもし?」
恐る恐る、出てみました。

「おひさしぶり。直子さん。トイレの中に誰か人いる?」
知らない声でした。
やよい先生ではなく、それよりもう少し低い、落ち着いたオトナっぽい女性の声。
「あ、えっと・・・あなたは、えっと誰・・・どちらさまですか?」
困惑してなぜだかヒソヒソ声になってしまう私。
「そんなことはどうでもいいの。質問に答えなさい」
電話の女性に、冷たい口調でピシャッと言われてしまい、背中がゾクゾクッとなりました。
「あ、はい。えっと、誰もいません」
「個室は?」
「あ、はい。ちょっと待っててください」
あわてて個室のノブのところの使用中サインを、それぞれ確認してみます。
全部青色でした。
「あの、えっと、誰も入っていないみたいです」
「そう。だったら、入り口から一番遠い、一番奥の個室に入りなさい。入っても鍵は閉めないで」
そこでプツンと電話が切れました。

誰なんだろう?
やよい先生でないことは間違いありませんが、なんとなく聞いたことがあるような声な気もしてきました。
おひさしぶり、って言ってたし。
ミイコさん・・・ミーチャンさんは、もう少し声がハスキーだし、大学のお友達の声に似ていた気もするけど、そのお友達とやよい先生に接点があるわけないし・・・
指定された個室に入った後も、頭の中がモヤモヤ混乱していました。

「入った?」
個室に入って1分くらいした後に再び電話がかかってきました。
「はい。言われた通りに・・・」
「そう。これからわたしもそこに入るから、あなたは便器のふたに座ってギューッと目をつぶっていなさい」
「あ、あの、あなたは?」
「わたし?わたしは今日、百合草先生から全権を委任されて来ているの。あなたと遊ぶために。わたしの声は百合草先生の声。わたしの命令は百合草先生の命令」
その声を聞いている間に、女子化粧室の入口の扉が開いて閉じたような音がかすかに聞こえました。
その人が化粧室に入って来たみたい。
その途端にホタテ貝が震え始めました。
「んっ!」
しんと静まり返った個室の中では、ホタテ貝のンーーッていう震動音が、かすかに私の股間から聞こえてきます。

「わかった?ギューッと目をつぶっているのよ?もし逆らったら、ひどいお仕置きになるわよ・・・」
「は、はい・・・」
「よろしい」
また、プチッと電話が切れました。
ひどいお仕置になるわよ、ってささやいたその人の低い声がすっごくセクシーで、ゾクゾク感じてしまった私は、言われた通りにふたを閉じた便器に浅く腰掛け、ギュッと両目を閉じました。


氷の雫で濡らされて 03

2011年7月24日

氷の雫で濡らされて 01

東京での一人暮らしにもようやく慣れてきた7月中旬、やよい先生から携帯電話にメールが届きました。
やよい先生とは、私が東京へ越してきた当初は、ちょくちょくお会いして、やよい先生が私のお部屋に来たり、やよい先生のお宅へ遊びに行ったりしていたのですが、梅雨が始まった頃からずっとご無沙汰していました。
久しぶりにやよい先生と遊べるのかな?
ワクワクしながらメールを読みました。

メールの内容は、今日私への荷物を送ったことと、今週、来週の平日で午後一時から空けられる日を教えなさい、ということが、いつものように事務的かつ簡潔に書かれていました。
私の大学での前期授業はほとんど終わっていて、幸い補講も試験も無くヒマな身でしたから、その週の金曜日を指定して、すぐ返信しました。
すると、荷物を受け取って中身を確認したらまた返信しなさい、と再びメールが届きました。

翌日の夕方、学校から帰ると、管理人さんがやよい先生からの荷物を渡してくれました。
荷物は、箱が大きいわりには軽いものでした。

お部屋に入り、着替えもしないうちにすぐ、その箱を開けてみました。
中から出てきたのは、お洋服のようです。
広げてみると、可愛い感じのリネンの半袖シャツワンピースでした。
生成りな麻色で、ウエストまでピンタックが入っていて、スカート部分は若干ふんわり広がった膝丈。
ボタンはウエストまでに6個、スタンドカラーがなんとなくエスニックな感じ。

当日は、これを着て来い、っていうことなのかな?
今まで持っていないタイプのワンピだったので、嬉しくなっちゃいました。

そのワンピースを取り出して、ふと箱を覗くともう一つ、黒いビニール袋に入った何かが箱の底にあるのに気がつきました。
袋を取り出して封をしているテープを剥がし、中を覗き込みます。
奇妙なものが入っていました。

幅10センチくらいのホタテ貝みたいな形をした真っ白いプラスティック製らしきオブジェ。
その貝の内側から楕円形の突起が、なんだかえっちな形に飛び出しています。
貝の左右と下部分からは、ゴム製の黒い紐が結ばれていて、その紐とホタテ貝で、まるでTバックのパンツみたいな形状になっていました。
そして、貝の上部分から見えるのは電池ボックス?

私は、すぐにピーンと来ちゃいました。
たぶん、このホタテ貝みたいのをパンツのように穿くと、内側の突起が私のアソコにスッポリとハマっちゃうのでしょう。
で、たぶんこれはリモコン式。
私がこれを穿いていて、リモコンを持っている人がスイッチを入れると、この突起が私の中でブルブル震え始めるのでしょう。
胸がドキドキし始めます。

早速その場で立ち上がり、ジーンズとショーツを脱ぎ捨てました。
私の中は、すでにジンワり湿り始めていました。
念のため貝全体を水で濡らしたタオルで拭いてから、黒いゴムに両脚を通していきます。
ホタテ貝が私のアソコを隠したとき、内側の突起がヌプッと、私のアソコの中に侵入していました。
「ああんっ」
リモコンローターを入れたときよりは浅い感じで、私のアソコに異物が挟まれています。
姿見に映してみます。
私の薄い陰毛だけを隠すような真っ白いホタテ貝。
うわっ、いやらしい。

その格好でお部屋を歩き回ってみました。
内腿に突起の側面が少し擦れる感じですが、突起の曲線のおかげなのか、中ではフィットしていて痛くは無く、歩きづらいこともありません。
パンツ状のゴムもきつくも無くゆるくも無く。
問題ないようです。
ただ、こんなものを股間に着けて歩いている、っていう行為自体が十分ヘンタイさんです。
今度のやよい先生とのデートは、これを着けたまま街を歩くことになるのでしょうか?

リモコンのスイッチが入ったら、どうなるんだろう?
ふと思いついて、高二のときにやよい先生からいただいて、今でも愛用しているリモコンローターのリモコンスイッチを入れてみました。
反応なし。
振動の具合は、当日までのお楽しみ、ということのようです。
もう、ワクワクが止まりません。

その格好のまま、やよい先生に荷物到着メールを入れました。
早速ホタテ貝を穿いてみたことも書き添えました。
それからブラウスも脱いで、送ってもらったワンピースを着てみます。
似合ってるー!
姿見に映った自分の姿は、ちょっとエスニックな可愛いワンピースを着た普通の女性。
でも、スカートをめくると、信じられないくらい卑猥なおもちゃを下半身にくっつけてるんです。
背中がゾクゾクっとしてきちゃいます。
今夜は、これを着けてオナニーしちゃおうかなー。
そう言えばネットで、綺麗なモデルさんが白いホタテ貝3枚で両乳首とアソコだけを隠してるセミヌード写真を見たことがあったなあ。
あれはえっちだったなー。
なんて、とりとめのないことを考えていたら、30分くらいして、やよい先生からの返信メールが届きました。

当日は、送ったワンピースを着てホタテ貝を着けてくること。
下の毛はキレイに剃っておくこと。
このメールを読んだら当日までオナニー禁止。
そして、待ち合わせの時間と場所が書いてありました。

私は、しまった!って後悔します。
先手を打たれてしまいました。
ホタテ貝を着けたムラムラ解消オナニーは、おあずけにされてしまいました。
それに、アソコの毛も剃らなくちゃいけないことに。
毛を剃った後って、絶対いろいろ弄くりたくなっちゃうんです。

でも、やよい先生のご命令は絶対です。
たとえバレなくても、逆らうことは出来ないし、私が逆らいたくないんです。
これ以上ホタテ貝を着けていると、やよい先生のご命令に背いてしまいそうだったので、渋々はずして部屋着に着替えました。

やよい先生に久しぶりに会えるワクワク感とムラムラなのにオナニーが出来ない悶々感を夜毎抱きながら、お約束の日を指折り数えて3日後。
朝からそわそわの私は、おトイレを済ませてシャワーを浴びるとすぐ、ホタテ貝を装着しました。
入念にお化粧をして、お外が暑そうだったので髪はサイドに流して編みこんで、リボンピンで留めました。

お約束の時間は、午後の1時半。
場所は、池袋の私鉄駅に直結した有名デパートの3階、婦人服売り場。

私の住んでいるマンションからは、5分くらい歩くと池袋へ一駅の地下鉄の駅があります。
でも、まっすぐ歩けば15分くらいで池袋駅には着けるので、池袋に用事があるときは、歩いていくことにしていました。
今日もお家を早めに出て、徒歩で行くことにしました。

お外は真夏日でした。
真っ青なお空にお日様がギラギラ輝いて、地上にあるものすべてを暑く熱していました。
湿度が高くないのと、時折ゆるく風が吹いてくれるのが救いです。
そんな中を私は、白い日除け帽子を頭に乗せて、肩にタオルとかを詰め込んだ小さなトートバッグを提げ、ハンカチ片手に歩き始めました。


氷の雫で濡らされて 02

2011年7月23日

しーちゃんのこと 23

母と昼食を一緒に食べてから母を送り出し、自分のお部屋に戻りました。
お外はよく晴れていたのですが、暖房無しではまだ少し肌寒い感じだったのでエアコンをつけ、お部屋が暖まるのをしばらく待ってから、お洋服を脱ぎ始めました。

今日は、すでに書き上げていた、榊ゆかりシリーズお浣腸編を、そのお話のとおり実際にやってみるつもりでした。
小笠原亜弓さまが榊ゆかりを苛めるお仕置きの一つとして、途中にお浣腸プレイが組み込まれていました。

たぶん大丈夫とは思っていましたが、万が一、お部屋の床を汚してしまうのは絶対イヤだったので、大きめのレジャーシートを床に敷きました。
念のためバスルームからプラスティックの洗面器も一個持ってきていました。

全裸になった私は、姿見の鏡の前にお尻を突き出して、プラスティックの定規でお尻を叩いたり、洗濯バサミで苛められたりして気分を盛り上げていきました。
あーんっ、アユミさまー、お願いですぅ、許してくださいーっ!
そんなこと言ったって、下のお口からよだれが溢れちゃってるじゃない?いやらしい子!
指で股間にふれてみると、半開きになったアソコに指が吸い込まれるようにヌルンと入ってしまいます。
このまま中を思いっきりかきまわしたい・・・
そんな欲求がムクムク湧き上がりますが、なんとかふみとどまります。
だめだめ、今日のお楽しみはこれからなんだから。

今日は、ゆかりさんにもっと恥ずかしいことをしてもらうからねっ!そこに四つん這いにおなりなさい!
先にお部屋のドアを開け放してから、レジャーシートのビニールの上に四つん這いになりました。
お尻が姿見にバッチリ映るようにして、お浣腸のお薬の箱を開けます。
前回のより一回りくらい大きな容器で、スポイト状の先端も2センチくらい長いみたい。
うふふ、これを入れて、出来る限りがまんしてもらうからね!せいぜい悶え苦しむがいいワ!

鏡に映った自分のお尻の穴に、お浣腸容器の先端をそっとあてがいます。
「あっ、いやっ!それだけは許してくださいっ!」
実際に声に出して言いながらも、お浣腸器の先端をソロリソロリとお尻の穴に埋め込んでいきます。
「ああんっ!」
すっかり埋め込まれたら、お浣腸器の側面をゆっくり押し潰します。
「あああーーっ!」
冷たい液が体内に送り込まれるのがわかって、淫らな声が出てしまいます。
ずいぶん喜んでくれるのねー?だったらもう1本サービスしちゃうワ!
2本めも注入してヨロヨロと立ち上がりました。

それじゃあここで立ったまま、私の前でオナニーなさいっ!
私の計画では、ここで、バネの力を弱めてやっとつけられるようになった特製洗濯バサミを両方の乳首につけた後、お腹の具合を見ながら、四つん這いになってお部屋を出て、2階のおトイレまで廊下を這って行く予定でした。
お腹はすでにグルグル鳴っていて、便意が強まったり弱まったりしていましたが、がまんできないほどではありません。

姿見の前で自分の全裸を見ながら、右の乳首を特製洗濯バサミに噛ませます。
「あ、あぅっつー!」
すでにおっぱい脇から内腿まで左右に3つずつ洗濯バサミをぶら下げたからだに、さらに一つ加わります。
「ああんっ!」
お尻の穴を必死にすぼめながら、みじめな姿の自分を見つめて顔を歪めます。
次は左の乳首よ!
もう一つの特製洗濯バサミを右手に持ち、まだ何もつけていない左の乳首を左手の指でギューッとつまんだ瞬間、あまりの気持ち良さがからだをジーンとつらぬき、盛大にビクンと震えました。

それと同時にお腹がキュルキュルンと鳴ってモーレツな痛みが襲いました。
「あっ!だめっ!」
腰に力を入れてお尻の穴をギューッとすぼめたのですが、一瞬遅かったみたい。
お尻から左内腿を伝ってかかとのほうへ、一筋の液体がスルスルッと滑り落ちていきました。
鏡に映ったそれは、無色透明ではなく、茶褐色を帯びた液体でした。
「あーっ!いやーーっ!」
大きな声で叫びそうになり、慌てて口を押さえる間も無く、どうにも耐え難い強烈な便意が襲ってきました。
考える暇もないほど素早く無意識に、プラスティックの洗面器にまたがってしゃがみ込み、しゃがむと同時にジャジャーッと排泄していました。

しばらくそのままの姿勢で呆然としていた私は、ふっと我に帰り、裸のまま一目散に2階のおトイレに駆け出しました。
便器に座って、便意が収まるのを待ちながら、からだにつけた洗濯バサミを全部はずし、トイレットペーパーを濡らして、汚してしまった左脚を丁寧に拭きました。
なんだかすっごく悲しい気持ちになっていました。

どうやら私は、お浣腸を甘く見ていたみたいでした。
40グラムを2つっていう量も、多すぎたのかもしれません。

お尻もウォッシュレットでよく洗い、お部屋に戻った私は、なおいっそう悲しい気持ちになってしまいました。
レジャーシートのビニールに点々と散らばる茶褐色の飛沫・・・
プラスティックの洗面器に溜まっている茶褐色の液体・・・
そして、お部屋全体に充満している、何とも言えないイヤな匂い・・・

私、いったい、一人で何をやっているんだろう?
高校生にもなって、自分のお部屋で、大きいほう、お漏らししちゃって・・・
心が完全に打ちひしがれて、目尻に涙が滲んできてしまうほどでした。

それから先のことは、あまり書きたくありません。
洗面器の中身をおトイレに捨てに行って、ビニールシートと洗面器をバスルームでキレイに洗って、お部屋の窓という窓を全開にして空気を入れ替えて・・・
それらのことは全部、全裸でしたのですが、えっちな気分は戻ってきませんでした。
つい数十分前までは、はちきれそうだった私の性的コーフンは、すっかり萎えていました。

この失敗は、かなり長く尾を引き、しばらくはオナニーをする気にもなれませんでした。
そうこうしているうちに、終業式、春休みとなり、月が変わって二年生に進級すると、もう一つ、良くないことが待っていました。
しーちゃんと、別のクラスになってしまったのです。
中川さんと山科さんとは、同じクラスになれたのだけれど、友田さんとしーちゃんとは、別々のクラス。

しーちゃんとは、春休み中にも何度か会って、クリスさんともうまくいっているようで、いろいろお話を聞かせてもらいました。
相変わらず二人でえっちな遊びをしているみたいで、いつ会ってもすっごく楽しそうでした。
そんなしーちゃんとクリスさんがうらやましい気持ちは、もちろんずっとあって、そういう意味で言うと二年生になって別のクラスになったことは、私にとって、しーちゃんを一度忘れて、新しい出会いをみつけるチャンスとも言えるのですが、中学生の頃から毎日のように顔を会わせていたしーちゃんがクラスにいない、っていうのは、やっぱり寂しいことでした。

お浣腸失敗お漏らし事件以来落ち込んでいた性欲は、月日が経ってその記憶が薄れるとともに、私はいやらしいマゾ女なんだから、そういうみじめな体験をするのもあたりまえなんだ、という論理にすり変えて自分の中で納得させ、その記憶で妄想オナニー出来るほど復活していました。
榊ゆかりシリーズお浣腸編も、がまんしきれずにその場でお漏らしして床を汚してしまったゆかりは、激怒した小笠原亜弓さまによってお外に連れ出され、もっともっとひどいお仕置きをたくさん受ける、というストーリーに変えていました。
ただし、私はこの先、お部屋でのお浣腸遊びは絶対しないと心に決めていました。

私の性欲が戻って安定するのを待っていたかのように、もう一つの悲しいニュースが飛び込んできたのは、5月下旬のことでした。
バレエ教室でレッスンが終わった後、やよい先生から、6月いっぱいでお教室の講師をやめる、と告げられたのです。

すごいショックでした。
私は、愛ちゃんと一緒に、なんで?なんで?とやよい先生に詰め寄りました。

やよい先生が説明してくれたところによると、お仲間たちと共同で東京でお酒を飲ませるお店をいつか出そう、という夢と言うか計画が前々からあって、この数ヶ月の間にどうやらその目星がつきそうになったので、まだはっきり決まったわけではないけれどご迷惑をかけないためにも、まずバレエ教室の運営会社にお話をした、ということでした。
「あたしのツレが今年になっていろいろ動いていて、いい物件を最近複数みつけたらしくて、条件とかの具体的な話になってきてるらしいのよね」
「東京に行くのがいつになるかはまだわからないけど、この町から出て行くことは本決まり。私が今住んでるマンション、分譲なんだけど、貸す相手も決まっちゃったし」
「安心して。代わりの講師は、すごくやさしくてキレイな人、紹介しといたから」
やよい先生がすまなそうに笑いました。

翌日から、私はずっとやよい先生のことばかり考えていました。
やよい先生とは、中学二年の夏休みに受けたトラウマのことでご相談したとき、私が高校二年くらいになって、まだそういう気持ちがあったら、えっちなことのお相手をしてくれる、っていうお約束をしていました。
17歳になったら、って言ったんだっけかな?
お誕生日がまだなので、私はまだ16歳ですが、やよい先生がいなくなってしまう、という緊急事態の前では、そんな細かいことは関係ありません。
私は、最後のレッスンの日に、やよい先生にあの日のお約束のことを言って、デートしてくれるように頼むことに決めました。

中学生の頃、やよい先生を想って自分の指を股間にすべらせていた甘酸っぱい日々。
そんな日々を思い出しながら、私の気持ちも、やよい先生に恋焦がれる中学生の頃にすっかり戻っていました。

やよい先生、あのお約束、憶えていてくれるよね?


グノシエンヌなトルコ石 01

2011年7月18日

しーちゃんのこと 22

次のチャンスは、一週間後にやって来ました。
その日も母は午前中から、篠原さん親娘は昼前にお出かけして、共に夕方帰宅予定でした。
私は、篠原さん親娘を送り出してから、早速実行することにしました。

お昼ごはんのグラタンをダイニングでゆっくり食べた後、後片付けしてから自分のお部屋に戻る前に、バスルームの脱衣所と一階のおトイレの暖房を入れました。
今日は時間もたっぷりあるし、階下のおトイレでしてみよう、って思っていたんです。

お浣腸のお薬は、あと三つ残っていました。
それらの入った黒い袋とバスタオルを一枚持って、まずは階下のバスルームの脱衣所に入りました。
バスルームとおトイレは隣り合わせになっているので、脱衣所で全裸になってから、おトイレに入ってお浣腸、という計画でした。

着脱がラクなように、今日は起きたときからスウェットの上下を着ていました。
それらをちゃっちゃと脱いで、下着も取って全裸になり、いったん廊下に出ておトイレに入りました。

一階のおトイレは床部分が広いので、四つん這いになってやってみようと思っていました。
前回は、立ったままの挿入だったので、注入した後、容器に液がだいぶ残っていました。
実は、一回抜いてから、もう一回挿してもみたんです。
そうすると、今度は最初に空気が送り込まれてしまって、空気のお浣腸状態になってしまうんですね。
小学生の頃のお医者さんごっこで幼馴染が、空気が入るとおならがいっぱい出ちゃうんだよ、って言ってたのを思い出して、すぐやめました。
液体は上から下へ流れるわけですから、お尻を高く突き出して、お浣腸容器をなるべく垂直に立てて挿入したほうが、液がムダなく効率よく入るはず、って考えたんです。

おトイレの床に両膝を開き気味について、左腕で上半身を支えながら右手に持ったお浣腸容器を、右手の中指でお尻の穴を探しながらあてがいます。
なんてぶざまな格好。
お浣腸器の先端がすんなりお尻の穴に挿入されたので、容器を立て気味にしつつ側面を押すと、液がスーッと中へ流れ込みました。
「あああんっ!」
お浣腸器を抜いた後、よろよろと立ち上がり、すかさず腕時計を見ました。
午後1時33分。

1時40分になるまで、絶対出しちゃダメだからね!
頭の中で小笠原亜弓さまに命令されて、便器の前に立ち尽くしました。

前回と同じように、お腹がグルグルと騒ぎ始めました。
まだ全然時間経ってないわよ、がまんしなさい!
お腹を上から下へ、下から上へ、駆け巡るような鈍い痛みが襲ってきます。
お尻の穴に力を入れてすぼませて、なんとかがまんします。
まだ2分しか経ってないわよ、ここで出したらまたお仕置よ!
下半身全体に力が入っているので、両脚がプルプル震え始め、からだ全体が熱くなってきました。
もうダメ、もうダメ・・・
お腹の奥が時折、グルグルとかキューンとか鳴いています。
私が必死にお尻の穴をすぼめていると、両膝が目に見えるくらいガクガク震え始めました。
4分経過、あと3分・・・
睨みつけるように左手の腕時計を凝視しながら、右手はいつの間にか、裸の上半身を激しくまさぐっていました。
おっぱいをギューッと掴んで、硬くなった乳首を捻って、お腹をスリスリさすって・・・
「あん、あーんっ!」
ガクガク震える下半身、クネクネ悶える上半身。
髪の毛の生え際とかから汗もにじんでいるみたい。
「んーーーっ」
私はぎゅっと目をつぶって、お浣腸液の責めに耐えていました。
「むぅーーーんっ」

「あれっ?」
なんだかからだがラクになったな?と思い、目を開けました。
時計は1時43分になっていました。
目をつぶって身悶えしているうちに、どんどん便意が遠ざかっていき、今はなんだか普通の状態に戻っていました。
もちろん、お漏らしなんかしていません。
「あれーっ?」
もう一度、大きめな声でつぶやきます。
からだは、まだ欲情していますが、お浣腸の苦しみは去っていってしまいました。
「こ、こんなものなの?」
私は、また拍子抜けしてしまいました。

しばらく呆然とした後、ふと思い出しました。
私のお尻には、まだお薬が入ったままなんだ。
便座に腰掛けてお尻に少し力を入れてみると、ジャーッと液体が便器に放たれました。
今回も無色透明でした。

釈然としないまま、バスルームに戻り、熱いシャワーで下半身だけ洗い、バスタオルをからだに巻いて、ひとまず自分のお部屋に撤収しました。

確かにがまんしているときの身悶えするほどの被虐感は心地良かったけれど、そんなにあっさり収まっちゃうものなのかしらん?
もっとこう、なんて言うか、キタナイモノを出したくないのに出ちゃうのー、見ないでー、みたいな禁断系というか背徳系というか、そういうのを期待していた私は、肩透かしを食らった状態でした。

ちなみに私の通常のお通じは、朝起きてすぐミネラルウォーターをコップ一杯飲み、身支度して歯を磨いたりお顔を洗っている頃に催してきておトイレへ、という一日一回ペースの健康的なものでした。
あんまりたくさんは食べないし。
私のからだが健康的すぎるのかな?

それから真剣にもう一度、お浣腸薬の説明書を読み返し、一つだけ気づいたことがありました。
どうしても自分で入れると、容器の中のお薬が全部は入らないこと。
抜いた後の容器を見ると、今回も五分の一くらいは、残っていました。
お薬が足りないのかもしれない。
そう考えた私は、一時間後に今度は2本いっぺんに注入してみよう、と決めました。

お部屋の中で全裸のまま、榊ゆかりシリーズお浣腸編を執筆しながら、時間が経つのを待ちました。
決行は3時ジャスト。
それまでオナニーも禁止です。

3時になると同時に、全裸のまま階段を降り、バスルームに直行しました。
今度はバスルームの鏡の前で、お浣腸液を注入するつもりです。
四つん這いになって、出来るだけ鏡の前にお尻を突き上げ、顔をひねって自分のお尻を見ます。

菊座って、うまいたとえだなー、なんて思いながら1本注入。
「うふふ、いやらしいゆかりには1本じゃ、物足りないわよねー?ほら、ご褒美よ、もう1本」
小さい声で言いながら、2本目をお尻の穴に挿入しました。
「あ~あんっんっ!」
2本目のお浣腸容器はお尻に挿したまま立ち上がって、脱衣所を通り廊下に出て、おトイレに入りました。

今度は10分よ!10分がまんなさい!
頭の中で小笠原亜弓さまの声が聞こえます。
ただ突っ立ってるだけじゃ面白くないわよね?ほら、ゆかりの大好きなアクセサリーよっ!
お部屋から持ってきた洗濯バサミが、私のからだに噛みついてきます。
左右内腿に一つずつ、左右脇腹に一つずつ、左右おっぱい脇に一つずつ。
「あぁぁっ、んんんーっ!」

お腹はすでに激しくグルグルしていました。
脚もガクガクしてきて、全身がカーッと熱くなっています。
まだまだ3分しか経ってないわよ、ほら、おっぱい揉みなさいっ!
私は、両手で激しく自分の胸を揉みしだきます。
洗濯バサミがブランブラン揺れます。
快感に溺れると下半身がユルミそうになります。
そのたびに、お浣腸容器が挿されたままのお尻の穴にキュッと力を入れてすぼめます。
すると内腿の洗濯バサミに噛まれているところもズキンと疼いて・・・

6分経過、あと4分よっ!
今回のお浣腸液の攻撃は、さっきと違って手を緩めてくれません。
便意がひっきりなしに寄せては返し、そのインターバルもだんだん短かくなっています。
「ああんっ、あっ、あんっ、あぁー」
私は、左右の乳首をギュっとつまんでひっぱり、痛さで便意をごまかそうとしていました。
「ああん、ああんっ、も、もう・・・」
脚はガクガク、からだはクネクネ。
がまんしなきゃ、がまんしなきゃ、がまんしなきゃ・・・

時計を見ると10分はとっくに過ぎて、13分になろうとしていました。
「も、もう、もうっ、もうダメーーーっ!」
私は、右手でお尻に挿さったお浣腸容器を抜くなり、便座にへたり込みました。
同時にジャジャーッという激しい水音。
同時に右手が自分の股間に滑り落ち、飛び出ているクリトリスを親指と人差し指でクネクネこねくり回していました。
左手は左右のおっぱいをせわしなく、乱暴に揉みしだいていました。
「ああんっ、ああんっ、いいっ、いいっ、いいーーーーっ!!!」

しばらく便座に腰掛けたままガックリうなだれていました。
「はぁ、はぁ、はぁーっ・・・」
すっごく良かったぁぁぁ・・・

閉じていた目を開けると、私はまだ洗濯バサミを6つ、ぶら下げたままでした。
「つっ!」
血流が戻る痛みを6回くりかえして洗濯バサミをはずし、よろよろと立ち上がります。
便器に溜まっている私のお尻から出た液体は、今度は、薄っすら茶褐色を帯びていました。
「いやんっ!」
すかさず水洗ボタンを押して、恥ずかしい液体を私の視界から消しました。

お浣腸プレイがすっかり気に入ってしまった私は、すぐさま次回の計画を練りました。

ネットで調べると、私が使った30グラムのよりお薬液が多い、40グラムのやつも売っていることがわかりました。
前回、30グラム一つだと今一で、二つだと良かったということは、お薬の量も関係しているはずです。
それなら40グラムのを買ったほうが楽しめそう。
それに、40グラムのやつはスポイトの挿入管が長くて、より奥までお薬が届く、って書いてありました。
より奥までって、なんだかえっち。

早速次の土曜日に、この前のお店で2箱買ってきました。
箱が前のよりちょこっと大きかった。
そのとき、使用済みの容器や外箱は、黒い袋に入れてしっかり封をして、その駅のゴミ箱にコッソリ捨ててきました。

今度は、自分のお部屋でやってみるつもりでした。
今までの経験から、お薬を入れた後でもいくらかの猶予はあるみたいだし、誰もいなければ自分のお部屋から2階のおトイレまで裸で駆けて行っても大丈夫そうだし。

用意は万端でしたが、なかなか決行のチャンスは訪れませんでした。
生理が来たり、試験があったり、篠原さんたちがいたり。
お薬の説明書に、常用はしないこと、ともあったので、そんなにすぐやるつもりもなかったのですが、ずいぶん待たされました。

決行のチャンスが来たのは、陽気も良くなった3月中旬の日曜日。
母とのお買物デートのお誘いを、しーちゃんたちとお約束があるから、と嘘をついて断わって作った貴重な時間でした。


しーちゃんのこと 23

2011年7月17日

しーちゃんのこと 21

そのプレイを体験するためには、あるものを手に入れなければなりなせん。
そして、それを買いに行く行為自体が、私にとってはドキドキな羞恥プレイでした。

それは、薬屋さんに売っているはずです。
でも、小さな薬屋さんだと、その商品名を店員さんに告げなければ買えなそうです。
まして、私の町にある薬屋さんは、しーちゃんのご両親のお店でした。
しーちゃんちの薬屋さんは大きなお店でしたが、そこでそれを買うことは、私には恥ずかしくて絶対出来ないことでした。

バレエ教室のある駅には、大きなドラッグストア形式のチェーン店がありましたが、そこだと買っているのを誰かに見られちゃうかもしれません。
学校の最寄駅の薬屋さんも同様ですし、何よりも制服のまま買うのは憚られます。
結局、悩んだ挙句、学校よりも遠い、このあたりでは一番大きな繁華街がある駅まで足を伸ばすことにしました。

二月にしてはよく晴れて、比較的寒くない土曜日のお昼過ぎ、私は電車に乗ってその街を目指しました。
髪型を変えて、素通しのメガネをかけて、私にしては精一杯の変装をして、地味な服装で出かけました。
空いている電車のドア際に立って流れていく景色をボンヤリ眺めていました。
学校のある駅を3つぐらい過ぎた、とある駅に停まっているとき、駅前に、バレエ教室のある駅にあるのと同じドラッグストア形式のチェーン店があるのが見えました。
私が目指している駅は、まだまだこの後20分くらい、電車に揺られなければ辿りつけません。
今日は夕方までお家には誰もいないので、早く入手できれば今日中にそれを試すことが出来ます。
早くお家に帰れるなら、それに越したことはありません。
そう考えた私は、素早くその見知らぬ駅に降り立っていました。

改札を出ると、ロータリーの向こう側にドラッグストアの大きな看板が見えました。
早足気味にそっちへ向かいました。

それがどんなデザインのパッケージで売られているのかは、昨夜ネットで確認していました。
カゴを片手に端のほうからゆっくりと商品棚を見ていきます。
広い店内に、中年のおばさま買い物客が4、5人、私と同じようにまったりと商品棚を物色していました。

まさかそれだけを買うのはあまりに恥ずかしいと思ったので、あらかじめ考えておいたハミガキ粉とのど飴を、見つかった順にカゴに入れました。
目的のものは、まだみつかりません。

えーっと、ああいうのはどの棚なんだろう?
内臓系だから胃腸薬とか、そういうとこかな?

レジに近い壁際に、胃腸薬などが並んでいる棚がありました。
そこを端から見ていくと、棚の一番下の段に、昨夜ネットで見たのと同じデザインのパッケージがありました。
あった!
みつけた途端に胸がいっそうドキドキしてきました。

容器が、とある果実に形状が似ているので、その名前を冠された液体状のお薬。
私が探していたのは、お浣腸のお薬でした。

そーっと手を伸ばして小さい箱を2箱掴み、カゴに入れました。
ドキドキが高鳴ります。
私、便秘でもないのに、ただ恥ずかしい遊びがしたくて、これを買おうとしているはしたない女・・・
自分で思いながら、キュンって感じてしまいます。

レジには3人、清算待ちのお客さんがいました。
これをカゴに入れたままレジの行列に並ぶのは恥ずかしい。
もう一度店内を一周しながらレジが空くのを待ちました。

レジの係りの人は、中年のおばさまでした。
淡々と機械的に商品を取り上げてはピッってやって、黒いビニールの袋に入れて渡してくれました。
黒い袋を受け取った途端に、フッと緊張が緩んで、代わりにワクワクした気持ちが湧いてきました。

急いでお家へ帰りました。
午後の2時半過ぎ。
母や篠原さんたちが帰って来るまで、少なくともまだ2時間はあるはずです。
早速、やってみよう。

どこでやるかが問題です。
いきなり自分のお部屋、というのは危険な感じがします。
どのくらいの刺激で、どのくらいがまん出来ないものなのか、全然わからないから。
最初ですから、ここは無難におトイレでかな?
階下のおトイレのほうが広いのですが、万が一早めに母たちが帰ってきた場合、ややこしいことになりそうなので、自分のお部屋に近い2階のおトイレですることにしました。
二月ですから、まだ廊下に出ると肌寒い感じです。
いったん荷物を自分のお部屋に置いた私は、2階のおトイレの暖房をあらかじめ点けておくことにしました。

お浣腸のお薬を入れた黒い袋だけ持って、おトイレに入りました。
中はほどよく暖まっています。
黒い袋からお浣腸のお薬の紙箱を取り出し、ふたを破って中身を取り出しました。
ビニールの袋に包まれた果実型スポイト状のお浣腸器が二つ、現われました。
へー、こういうふうになってるんだ・・・
薄いピンク色のスポイト容器の中には透明な液体が詰まっていて、スポイトの先端はちっちゃなキャップで栓がしてあります。
このキャップをはずして、スポイトの先端をお尻の穴に挿し込むのね・・・

お尻の穴に何かを挿れてみるのは、小学校のときにしたお医者さんごっこ以来だと思います。
あのときは、お浣腸がどういう行為なのかも知らないまま、幼馴染の女の子にオモチャの注射器を突き立てられたんだっけなー。
幼い頃の行為なら、少々ヘンタイっぽいことでも可愛げ気があって微笑ましくも思えますが、高校生になって、それがどんな快楽をもたらしてくれるのか知りたくて、自分の手で行おうとしている今の私は、紛れもないヘンタイさんですよね。
まだ何もしていないのに、ブラの下で乳首が固まってくるのがわかりました。

さて、どんな格好でやろうか?
行為が行為ですから、万が一漏れたソレで衣服や下着を汚してしまうのは絶対イヤでした。
やっぱり全裸かな・・・
そう、これはゆかりへのお仕置なのですから、服を着ていることなんて許されません。
私は、着ていたニットの胸ボタンをはずし始めました。

ジーンズも脱いで、ソックスも脱いで裸足になります。
ブラをはずすと、乳首がツンと上を向いていました。
ショーツを取ると、早くも薄っすらと湿っていました。

脱いだ衣服一式はキレイにたたんで、ちょっと迷ってからおトイレのドアをそっと開け、廊下に置きました。
おトイレ内に衣服一式を安全に置いておけそうな場所がなかったから。
おトイレのドアをあけたとき、廊下の冷たい空気がスーッと忍び込んできて背中がブルッて震えました。
お家のおトイレの中で全裸になっているというのも、考えてみるとありえない状況です。
私のワクワクがどんどん高鳴ってきます。

どんな格好で挿れればいいのかな?
ネットの読み物だとたいがい四つん這いにされていました。
でもそれは、挿れてくれる人が居る場合のこと。
お浣腸の容器を一つ、右手に持ったままちょっと考えてから、休め、の状態で上半身を前に屈め、お尻を後ろに突き出すような格好になりました。
おっぱいがプルンと震え、固くなった乳首が下を向きます。

右手をお尻のほうに回して、お浣腸容器の尖った先端を手探りで、お尻の穴にあてがいます。
このへんかな?
おトイレには鏡が付いていないので確かめようがありません。
左手も後ろに回して、指先で自分のお尻の穴を確かめます。
左手の指先で自分のお尻の穴を押し広げるように、お尻のお肉をひっぱります。
今、自分がやっていることの恥ずかしさ、いやらしさ、ヘンタイさにふいに気がついて、アソコの奥がキュンって疼きました。

お浣腸容器の先端が私のお尻の穴を捉えました。
「ああんっ!」
背筋がゾクゾクッとして、思わずえっちな声が洩れてしまいます。
そのままゆっくり、先っぽをお尻の穴の奥へと挿入していきます。
ネットのお話では必ず、ほら、お尻の力を抜いて!って、やるほうの人に言われていたのを憶えていたので、私も力を抜いています。
「ああああーっ」
お尻の穴に何かが侵入してくる感覚がわかります。
思いのほかスムースに、先端がお尻の穴に埋め込まれたみたいです。

それからゆっくりと容器の側面を押して、お薬を中に入れていきます。
「ううーーんっ」
冷たい液体がお尻の奥へと注ぎ込まれていくのがわかります。
なんだかヘンな感覚・・・
容器がペッチャンコになるまで押してから、そーっと引き抜きました。

「ふーっ」
上体を起こして、今引き抜いたばかりのお浣腸容器の先端部分をしげしげと見てみます。
これが今、私のお尻の穴に入っていたんだ・・・
容器には、四分の一くらい、まだ液体が残っていました。
さあ、これから私に何が起こるのでしょう?

念のために便器のふたを開けていつでも座れる状態にして、休め、の姿勢で立っていました。
ほどなくお腹がムズムズし始めて、キューッと痛くなってきました。
えっ!?こんなに早いの?
お腹がグルッて鳴りました。
この痛さは、お腹をこわしておトイレが近くなっているときのせっぱ詰まった状態と同じ感じです。
えーっ!?こんなのがまんできないよーっ!
お尻から何かが出よう出ようとしているのを、お尻の穴をキュッとすぼめてがまんしようとします。
でもお薬の攻撃は容赦ありません。
お腹が耐えられないくらいグルグル痛みます。
もうだめーーっ!

サッと便座に座ると同時にお尻の穴から、ジャーッと水状のものが流れ出ました。
「はあ、はあ、はあ・・・」
便座に座り込んだまま荒い息を吐いて、ふと腕時計を見ました。
お薬注入から2分も経っていませんでした。

こんなに呆気ないものなの?
なんだか拍子抜けしてしまって便座に座ったまま、お薬の箱に入っていた使用上の注意を読んでみました。
そこには、便意が強まるまで3分から10分くらい待つこと、使用後、すぐに排便を試みると薬剤のみ排出され、効果がみられないことがある、って書いてありました。

便器の底に残っている、私がさっき出した液体を覗き込んでみると、確かに無色透明の液体しか出ていませんでした。
そっか、私、お薬入れて、お薬出しただけだったんだ。
最低でも3分はがまんしなくちゃいけないんだ、よーし、もう一回!
と思ったら、2本目をご使用の際は、一 時間あけた方が効果的です、と書いてありました。
これから一時間待つと、母たちが帰ってきてしまう恐れがありました。

どうしようか?
もう一回チャレンジしてみたいのはやまやまでしたが、さっきからの一連の行為にからだが疼いていて、お部屋でオナニーをしたい気持ちが勝ちました。

結局、ウォシュレットでお尻を洗ってから裸のまま自分のお部屋に戻り、ちゃんとお浣腸を出来なかった罰としてお尻をぶたれたり洗濯バサミを挟まれるお仕置オナニーでその日はがまんしました。
次は絶対、5分はがまんするぞ、って心に誓って。


しーちゃんのこと 22

2011年7月16日

しーちゃんのこと 20

しーちゃんと恋人関係になれる望みが完全に潰えてしまったショックは、約2週間後に迫った学期末試験のお勉強に没頭することで紛らわせていました。
しーちゃんのことを考えそうになるたびに頭をブンブン振り、教科書に書かれた文字をひたすら暗記しました。
学校では、以前とまったく変わらない感じで、しーちゃんとおしゃべりしたり遊んだりするように心がけていたので、まわりのお友達からは、文化祭が終わってますます仲良しになったみたい、なんて言われました。

期末試験が終わった日、しーちゃんが私の家に来て、文化祭のときに展示されていた私の肖像画を、お誕生日プレゼントとしてお約束どおり私にくれました。
抱いて眠れるくらい大きい、フワフワのウサギさんのぬいぐるみと一緒に。
「しーちゃん、スゴイわねー。実物よりもちょっとキレイ過ぎるけど」
母がその絵を見て、すっごく感動していました。

もらってからしばらくは、自分のお部屋にその絵を飾っていました。
試験も終わってしまい、さしあたってやるべきことが無くなってしまった私は、一人でお部屋に居るとやっぱりどうしてもしーちゃんとのことを考え始めてしまいます。

私がもっと早くアプローチしていれば・・・
私の性癖をさっさとお話しておけば・・・
キスだけでも先にしていたら・・・
絵を見つめながら、たら、れば、ばかりをうじうじと考えてしまいます。
こんなに真剣に私の肖像画をステキに描いてくれたしーちゃんは、間違いなく私のこと好きだったはずなのに、私がぐずぐずしているから・・・

「ねえママ?私、しーちゃんのあの絵、すっごく好きなんだけど、なんだか自分のお部屋に飾ってるのは、少しヘンかな、って思ったのね・・・」
「あら?なんで?」
二学期の終業式の日、帰宅した私は母におずおずと告げました。
「なんだか、自分がキレイに描かれた絵を自分のお部屋に飾ってるのって、ナルシストみたいって言うか・・・」
本心は、あの絵を見ると反射的にしーちゃんを思い浮かべてしまうことに、耐えられなくなっていたからでした。
「あはは。それはなおちゃん考えすぎよ?」
「そうかなあ?」
私がうつむいてしまうと、母が私の肩をポンと軽く叩きました。
「でもまあ、なんとなく照れ臭いのはわかる気がするわ。だったらママの部屋にあの絵を飾らせて。あの絵をどこかにしまっちゃうなんて、もったいないもの。ママも毎日キレイななおちゃんのお顔を見れて嬉しいし」

そういうことで、しーちゃんの絵は母のお部屋に飾られることになりました。
そして私は、しーちゃんからもらったウサギさんのぬいぐるみを、毎晩胸に抱いて眠っていました。

しーちゃんがお泊りした次の日からずっと、私にえっちなムラムラ感が訪れなくなっていました。
生理がやって来て去っていっても、私のからだが疼き始めることはなく、心の中では空虚な喪失感が日に日に大きくなっていきました。
もちろんしーちゃんやまわりのみんなには気づかれないように、努めて明るく振舞っていましたが・・・

冬休みに入って、お部屋に一人で居ることが増え、私はインターネットでえっちな読み物を読み耽ることに嵌っていました。
野外露出や恥ずかしいオナニーの体験談とか、創作されたえっちな小説とか。
たぶん、しーちゃんから聞かされたクリスさんとのえっちな体験談、そして今も実体験しているであろうえっちな遊びのあれこれを、私もそういうのを読むことで追体験できるかも、と思ったのでしょう。
しーちゃんとクリスさんに感じているうらやましさを、ごまかしたかったんだと思います。
ムラムラな気持ちはおこらないまま、何て言うか、普段している読書と同じように、知識欲に衝き動かされる感覚で、そういうお話が載っているサイトをいろいろ検索しては、淡々と熱心に読んでいました。

中にはいくつか、私の性癖をくすぐる刺激的なお話もありました。
でもどんどん探して読んでいくうちに大半のお話は、私には合わないことがわかりました。
男性視点の、女性をヤル、っていうお話ばかりだったからです。
でも考えてみれば、こういうお話を読むのは、ほとんどが男性ですから、それはしごくあたりまえのこと。
女性向け、とわざわざ断わったサイトでも、書かれているのはだいたい男女のロマンス。
それがノーマル。
ヘンなのは私。
男性のモノが具体的に描写されるお話は、それがどんなに被虐的で私が気に入るシチュエーションだったとしても、読み進めることができませんでした。

インターネットも私を慰めてくれないんだ。
サイト巡りを始めて一週間で、そんな結論に達し、モヤモヤした気持ちのまま新年を迎えました。

お正月休み中も、お友達とたまにお出かけしたとき以外は、お部屋でゴロゴロしていました。
オナニーをしたい、っていう欲求も相変わらず湧かず、自分でも、このままで大丈夫なのかな?と思いつつも、他にしたいことも無く、しーちゃんから借りていたライトノベルを読み始めました。

「どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのかしら!」
「ないんだったら自分で作ればいいのよ!」
そのライトノベルの中で、少しエキセントリックな女の子が、自分に合う部活動が無くて憤っていたとき、主人公の男の子に言われた何気ない言葉によって活路を見出して、発せられたセリフです。

それを読んだとき、私もその女の子と同じように目からウロコでした。
そうか、ネット上に無いなら、自分で書けばいいんだ!

せっかく文芸部に入って、文章の作法も教えてもらっているのだから。
妄想のネタなら、今までもずいぶん考えてきたし、それなりの体験もしたし。
私が読みたいと思うようなお話を、自分で書いてみよう。
その日の夜から早速パソコンに向かい、自分のえっち妄想を物語風に書き始めました。

最初に選んだのは、中三の修学旅行の後、しーちゃんにお友達以上の感情を抱き始めた頃に見た夢をもとに、盛んにオナニーのオカズにしていた、あの妄想。
しーちゃんが相原さんにさらわれて、私が助けに行って返り討ちにあい、相原さんに散々いたぶられる・・・
あの妄想をちゃんと文字にしてみよう。

さすがに自分やお友達の本名で書くのは気恥ずかしいので、それぞれ名前を考えることにしました。
私が好きなマンガや小説の登場人物を参考に、私が榊ゆかり、しーちゃんは日向ちよ、相原さんは小笠原亜弓と名づけました。
最初は小説風に、三人称で書き始めてみたのですが、客観的に書かなければならず、登場人物にもなりきれないのでなんとも書き辛くて、一人称に変更したら、ずいぶん書きやすくなりました。
物語の辻褄とかはぜんぜん気にしないで、とにかく私、いえ、榊ゆかりが苛められる場面から書き始めてみました。

頭の中では、ゆかりがいたぶられているシーンがどんどん浮かんでくるのですが、いざそれを文章にしてみようとすると、けっこう難しいことでした。
両手を後ろ手に縛られ、ベッドに仰向けに転がされ、大きく両膝を広げられた、と書いてから、実際、どんな格好になるんだろう?って思い、パジャマと下着を脱いで、ベッドの前に姿見を置いて、両腕を後ろに組んだままベッドに寝転んでみます。
ああ、こういう風に見えるんだ、いやらしい・・・
その姿をしっかり目に焼き付けてパソコンのある机に戻り、今見た自分のアソコの描写を書き込みます。
右膝は縛っちゃったほうがいいかな?
またベッドに戻り、今度は右膝だけ折り曲げて両脚を開いてみます。
左脚は吊るしちゃおうか・・・

そんなことをくりかえしているうちに、私はすっかり発情していました。
何度目かにベッドに戻ったとき、ついにがまんできなくなってしまい、自分の裸のからだをすごい勢いで撫ぜ回し始めていました。
どんどん気持ち良くなっていく自分のからだの感覚を、どう文章に表現しようかって思いながらも、盛大にイってしまいました。

妄想した行為を描写するために自分でやってみて、それを見て文章にしつつ、ついにがまんできなくなって・・・という一連の作業、妄想執筆オナニーがすっかり気に入ってしまい、それから毎晩、お休みが終わって学校が始まっても、私は夜な夜な、榊ゆかりシリーズを書き続けていました。
ゆかりをどうやって苛めるかを考えるのが楽しくて、その苛め方を実際自分のからだでやってみるのも楽しくて、後で読み返すのも恥ずかしいけれど楽しくて・・・

もちろん、そんな文章を書いていることは、絶対誰にも知られたくないので、書いた文章は外付けのUSBメモリにそのつど移し、パスワードをかけて絶対見られないようして持ち歩いていました。

文章の中でなら、ゆかりにいくつでも洗濯バサミを噛ませることができます。
そういう描写を書いていると、私も実際にたくさんの洗濯バサミを肌にぶら下げたくなってきます。
とくに乳首を噛ませてみたくて、仕方ありませんでした。
でも実際には、本当にすっごく痛くって無理でした。
そこで一生懸命考えて、二つの洗濯バサミだけバネの力が弱まるように細工しました。
一般的なプラスティックの洗濯バサミは、円状の細い針金のたわみで締め付けて挟む仕組みなので、この針金を後ろにずらしてあげると締める力が少し弱まるようです。
こうして弱まった洗濯バサミなら、なんとか乳首に付けられるようになりました。
最初に、乳首を噛ませた自分の姿を鏡に映したときは、痛かったけれど、すっごく嬉しかった。

露出行為をしている心境を生々しく書いてみたくって、あることを試みたのは、一月の中頃でした。
と言っても、臆病な私に大胆な露出行為が出来るはずもなくて、たいしたことではありません。
バレエのレッスンにタイツもインナーショーツも着けずに出てみたんです。

高校生になってからのバレエレッスンは、私の場合、基礎はすでに終えていたので、個人練習みたいなものになっていました。
中学生がグループレッスンをしている一角についたてをして、自分の課題曲を音楽プレイヤーのイヤホンで聞きつつの個人練習。
それをたまにやよい先生が見に来てアドバイスをくれる、という形でした。

タイツをわざと忘れてきた私は、インナーも穿かず、じかにグリーンのレオタードに両脚を通しました。
パッと見ただけではわからないでしょうが、踊り始めて脚を上げたり、ジャンプしたりすれば、どんどん食い込んでしまうはずです。
ドキドキしながらレッスンルームに出ました。

私の2メートルくらい隣で愛ちゃんが夢中で踊っています。
そのまた向こうにももう一人。
私を含めて三人が、鏡に全身を映して、それぞれ個人練習をしていました。
私の下半身は案の定、激しい動きでスジの形通りに食い込んできていました。
濃いめのグリーンなのであまり目立ちませんが。

ああ、恥ずかしい・・・
どうか誰も気がつかないで、私のこんないやらしい姿・・・
鏡に映った自分の姿を見ながら、それでもスジの食い込みを直そうともせず踊りつづける私のアソコは、すでにヌルヌルになって少し表布に染み出してもいました。
タイツを忘れてきた私への罰、それはスジを食い込ませた恥ずかしい私の姿をみんなに晒すこと・・・
見ないで・・・でも見て・・・

頭の中でそんなえっち妄想を昂ぶらせつつ、課題曲の練習をしていると、
「森下さん、ちょっと動きにキレがないわよっ!」
ふいに背後からやよい先生に声をかけられました。
「きゃっ!」
私は大げさに驚いて、思わず股間を両手で隠してしまいました。
「あ、驚かせちゃった?ごめんごめん。でもその部分はもっと大胆に、歯切れ良く演じたほうがいいわよ」
そう言いながらやよい先生が、そのキレイな肢体をのけぞらせて、私が今やっていた箇所を踊ってくれました。
「あ、はいっ。がんばります」
私は、不自然にならないように股間からサッと両手をはずし、すぐにやよい先生がしたように踊ってみせます。
「そうそう、そんな感じ。その調子ね」
やよい先生は、私にニッと笑いかけ、愛ちゃんのほうに移動していきました。
よかった、バレずに済んだみたい。
最高潮に達していた私のドキドキが緩んでいき、同時に下半身でジワッと何かが溢れ出たのがわかりました。
ああんっ!

今から思えばあの頃、私はしーちゃんにもフられて、かなり自虐的な心境になっていたんだと思います。
とにかく自分を苛めたくて、みじめな姿にしたくて、仕方ありませんでした。

そしてもう一つ、私がゆかりにぜひとも体験させてみたいプレイがありました。
ネットで読んだお話の中の誰もが、とても苦しそうで、恥ずかしそうで、そのくせなんだかとても気持ち良さそうに見えた、すっごく被虐的な責められかた。
ゆかりに体験させるためには、私も実際に体験してみなければなりません。
そのプレイとは・・・


しーちゃんのこと 21

2011年7月10日

しーちゃんのこと 19

まっ先に一階の洗面所に寄り、冷たいお水で顔を洗って、トイレをして、しーちゃんのお家にお電話した後、母にしーちゃんが泊まることを告げました。
やっと気持ちが落ち着いてきました。
再び自分のお部屋に戻ってからは、いつもお話しているアニメやマンガなどの話題を、普段どおりにいろいろおしゃべりして、やっぱり、しーちゃんとお話するのは楽しいな、って感じていました。

お夕食を、母と篠原さん親娘としーちゃんとでワイワイ食べた後、また二人で私のお部屋に戻りました。

「胸につっかえていたことをなおちゃんにちゃんと話せて、なおちゃんもワタシたちを理解してくれて、これからもお友達でいてくれるってわかったら、なんだか一気にスッキリしちゃったヨ。だから、もっとエッチなヒミツも全部、この際教えてあげるネ」

そう言って、明るいお顔に戻ったしーちゃんがその後聞かせてくれたお話は、つまりは二宮先輩としーちゃんとのラブラブなお惚気話だったのですが、しーちゃんは知らないはずの私の性癖をピンポイントで刺激しまくる、二人をすっごくうらやましく感じてしまうお話でした。

鳥越先輩のお家で初エッチをした後、しーちゃんのお部屋や二宮先輩のお家、たまには鳥越先輩のお家で、夏から秋にかけて、二人は何度も何度もえっちなことをしたんだそうです。

「クリスの家はネー、すんごい豪邸なんだヨー。なおちゃんちにも負けないくらい」
しーちゃんの二宮先輩に対する呼び方が、いつの間にかクリスって愛称に変わっていました。
先輩なのに、いいのかな?

「お父さんがどっかの大きな会社の社長さんらしくて、お手伝いさんとか執事さんまでいるんだヨ」
「クリスは三人姉妹の真ん中。クリスの部屋もすんごく広くて、当然、お姫さまベッドだった」
「でも、クリスの家に初めて行ったのは、二学期始まってからで、その前に行った夏の合宿がまた、スゴかったんだヨ」

「合宿のときは、顧問の井上先生のお友達っていう、プロのモデルの人が来て、その人のヌードデッサンもやったのネ」
「その人がすんごく美人さんでキレイなからだでネー。20代半ばくらいなのかナ?おっぱい大きくて、乳首がツンとしてて、アソコの毛もキレイにカットしてお手入れしてあって」
「落合先輩によると、毎年来てくれてるんだって。今年で3年目だけど全然からだの線が崩れてなくって、それどころか見るたびに一層キレイなプロポーションになってる、って」
「アダルトビデオの人なんじゃないか?なんて憶測もあったんだけど、井上先生は笑って否定してた。去年、落合先輩がネットのそういうサイトで顔を頼りに検索しまっくったときも、みつからなかったんだって」
「それで、そのデッサンをやった日の夜は、みんなコーフン気味だったんだ。えーっと、性的なイミでネ」

「で、ワタシたち6人は同じお部屋だったんだけど、負けたらカード交換と同時に服も脱がなきゃいけない、ストリップ大貧民が始まったんだヨ」
「大貧民は二枚、貧民は一枚、負けたら何か着ているものを脱がなきゃいけないのネ。富豪と大富豪は、その脱いだ服ももらえるの。脱ぐものが失くなったらエッチな指令になるのネ」
「夏だからみんなTシャツにジーンズと下着くらいじゃない?身に着けてるの。だから3回くらい大貧民がつづくともうハダカンボ」
「富豪とかに返り咲ければ、貧民がまだ服を持っていれば返してもらえて着れるんだけど、返ってくるのが自分の服とは限らないのネ」
「マッパなのにTシャツだけ返ってきたりすると、それだけ着たりして。下半身ヌードでチビTだけって、すんごくいやらしい感じなんだヨ。それ披露したのは村上先輩で、あの人おっぱいバイーンだから、すんごくエッチかった」

「クリスは最初の3回ずっと大貧民で、たぶんワザと負けてたんだと思う。早々と脱ぐものが失くなっちゃってて」
「ワタシはだいたい貧民から平民の間をウロウロしていて、辛うじてショーツ一枚はキープしてたんだけど、クリスへの誰かの指令は全部、ワタシがクリスにやらなきゃいけないことになってたのネ、まだつきあい始めたばっかだったから」
「最初のうちは、キスしなさい、とか、おっぱいを3回揉みなさい、とかソフトな指令だったんだけど、鳥越先輩が強くてネー。自分の周りにみんなの服や下着ほとんど集めて、イジワルな指令をしてくるんだヨ」
「乳首を勃たせなさい、とか、アソコの毛を一本抜きなさい、とか、ワタシとクリスは、さんざんいじられちゃったヨ」

「結局、鳥越先輩以外はほとんどハダカンボになっちゃってて、そのうちお互いのパートナーとイチャイチャしだして」
「そのペンションは、うちのOBの経営で合宿の日は貸切状態なんだって。だから少しくらいエッチな声出しても大丈夫、って言われたから、もうみんな大胆だったヨー」
「井上先生も、あのモデルの人と楽しんでいるはずよ、なんて落合先輩が言ってた。嘘か本当かわからないけど」

「二学期始まってからも、部活の後にお互いのお家を行き来して、いろいろ遊んでたのネ」
「それで、クリスといろいろそういうことしているうちに気がついたんだけど・・・」
「クリスはネ、そういうことをしてるとき、お尻をパチンて叩かれたり、乳首を強くつままれたりすると、すんごく反応して、何て言うか、喜ぶのネ」
「これはよくエッチぽいマンガに出てくる、アレだな、って思ったヨ」
「わたしマゾっぽいよね?ってクリス自身も言ってた。それで、ワタシもそうやってクリスのお尻叩いたり、乱暴におっぱい掴んだりすると、異様にコーフンしちゃうことに気がついちゃったのネ」
「ワタシ、Sッ気、強かったみたい・・・自分でも知らなかったヨ」

「被虐願望、っていうのかナ?自分を可哀想でみじめな状況に追い込んでコーフンするタイプ。クリスはそういうのがとっても好きみたいなのネ」
「でも、面白がってただイジメているワケじゃないんだヨ。ワタシはクリスが大好きだから、クリスがやって欲しいと思ってることを、やってあげたいだけなんだから」
「だから最近はネ、みんなといるときは普通に先輩と後輩みたいに振舞っているんだけど、二人きりになったら、ううん、鳥越先輩たちと一緒のときもそうかな?」
「そういうときには完全にSとMの関係になっちゃってるのネ」

しーちゃんが本当に楽しそうなお顔でお話してくれます。
私は、しーちゃんのお話にグイグイ引き込まれて、相槌をうつのも忘れてしーちゃんのよく動く唇を見つめていました。

「ワタシの目が届かないところでは、無防備な格好をしちゃダメ、って約束だから、ワタシの許可がないと、今は人前で裸でモデルとかしちゃイケナイことになってるのネ」
「だけどワタシが、やって、って言ったら、そのときがどんな状況でも、他の人にみつからないように、ちょこっと恥ずかしいこととか、しなくちゃイケナイの、クリスは」

「たとえばワタシが、次の休み時間、ってクリスにメールするでしょ?そうするとクリスは、次の休み時間にワタシがクリスの教室に顔を出すまでにパンツを脱いでおいて、ワタシが教室に来たら、そのパンツをワタシにこっそり手渡さなくちゃイケナイのネ」
「ワタシが次にメールを入れるまで、クリスはノーパンのまま授業を受けなければイケナクなるワケ」
「始めた頃は、クリスもどこでいつ、パンツを脱げばいいのかわからなくて、ワタシが教室に着いてもまだ脱いでなかったのネ。廊下の隅の人目につかないところでコソコソ脱いでもらったヨ」
「クリスが廊下の隅っこで恥ずかしそうにパンツ脱いでいる、その姿がカワイクって。クリス、身長が高いから、普通に立ってると目立っちゃうでしょ?だから両膝屈めて小さくなって、よろけたりして」
「パンツを膝の下くらいまで下げたときが、一番恥ずかしい、って、顔真っ赤にして言ってたヨ」

「それからしばらく、クリスは授業が終わったらすぐトイレに駆け込んで、個室で脱いで、ワタシに渡してたようなのだけど、ワタシも意地になるから、クリスにトイレに行く時間を与えないように、急いでクリスの教室に行くようにしたのネ」
「ワタシが教室に顔を出して、そのときクリスが教室にいないと、その日の放課後デートは中止になっちゃうから、クリスも真剣に考えたみたいでネ」
「両サイドをヒモで結ぶ式のパンツを穿いてくるようになったの。それなら、ワタシからメールが来たらすぐ、授業中でもなんとかこっそり脱げるじゃない?」
「でも、それじゃあちょっとツマラナイから、ワタシはすぐ、ヒモパン禁止令を出したのネ。そしたら最近はクリス、普通のパンツでも、なんとか先生やみんなの目を盗んで、授業中に脱いでいるみたい」

そう言われてみれば、二学期になってからしーちゃんが、授業中にコソコソとメール打っていたり、休み時間になった途端に廊下へ飛び出していくところを何回か目撃していました。
そんなにえっちで楽しそうな遊びをやってたのか・・・

「うちの学校の制服にはベストがあるから、ブラでやらせたこともあるヨ。ベストしてればノーブラばれないから」
「ブラのときは、さすがにみんなのいる教室ではずすのは無理だから、二人でトイレの個室入って、ワタシがはずしてあげるのネ」
「ノーパンやノーブラのとき、先生に指されて教科書読まされたり、前に出て問題解かされたりすると、すんごくドキドキして感じちゃうんだって」
「そういう遊びをした後の放課後デートはスゴイんだヨ。クリスが感じまくっちゃってネ」

「一度、ノーパン指令が体育の時間にかかっちゃってネ」
「クリスは仕方ないからジャージを直穿きして臨んだんだって」
「クリスのジャージ、ちょっとウエストゴムが緩くなってて、間の悪いことにその日は鉄棒の授業」
「クリスは運動神経、すんごくいいの。スポーツは何でも得意みたい」
「先生に指名されて、みんなへの模範演技として足掛け回りやってみせている間中、今ここでジャージのゴムが切れちゃったらどうしよう、ジャージがずり下がっちゃったらどうしよう、ってずーっとドキドキしっ放しですんごいコーフンしちゃったんだって。ジャージの内側がベトベトになるくらい」
「だけど頭の片隅では、ゴムが切れちゃうことを願ってたかもしれない、みんなにジャージがずり下がったノーパンのお尻を見られちゃうことを望んでたのかもしれない、なんて、すっごく恥ずかしそうに真っ赤になってワタシに言うのネ。それがまたカワイクってネー」

「クリスを恥ずかしがらせるアイデアは、鳥越先輩たちと考えたり、クリスが自分でアイデア出すこともあるんだヨ。それも、すっごく嬉しそうに」
「面白そうでクリスも乗り気なアイデアでも、あんまり過激すぎるのは却下。先生とか頭が固くて融通の利かない一般の生徒にヤバイ現場を見られちゃうのはマズイからネ、そのへんは気をつけてるヨ」
「小川先輩がクリスと同じクラスだから、いろいろフォローしてくれてるみたい。クリスが教室でヘンなことをしてるの、他のみんなにみつからないように」
「その代わり、クリスがノーパン状態のときにワザとスカートつまんでみたり、ノーブラのときにタッチしたり、まわりには悪フザケっぽく見える範囲でちょっかい出して、クリスを教室でも辱めてあげてるみたい。それを後でワタシに教えてくれるの」
「小川先輩も鳥越先輩と二人だと、完全に、受け、状態らしいんだけどネ」

しーちゃんは、本当に楽しくてしょうがない、という様子で、クリスさんのお家の美人姉妹さんのこととか、しーちゃんちに来たときのご両親の反応とか、その他いろいろ、いっぱいお話してくれました。
私は、しーちゃんとクリスさんの関係が、うらやましくてうらやましくて、仕方ありませんでした。

二人でベッドに横になって電気を消して、もう寝よう、ってなったとき、私のほうを向いた気配がして、こんなことを言いました。

「ワタシ、今こんなふうにクリスと遊んでること、マンガに描いてみようって思ってるんだ。こんな経験を実際にしてる人って、きっとめったにいないだろうから。出来上がったらまっ先に、なおちゃんに見せてあげるネ」

しーちゃんの言葉が途切れて、やがて規則正しい寝息が聞こえてきました。
私は暗闇の中で目を開いたまま、だんだんと闇に目が慣れて薄っすらと見えてきた、天井の白い幾何学模様をボンヤリ眺めていました。

後輩である可愛らしいしーちゃんからえっちな指令を出されて、それを羞恥に震えながらもけなげに実行する美しい上級生のクリスさん。
そんな遊びで燃え上がったお互いのからだを、最後は二人きりで思う存分貪り合う・・・
それは、まさしく私が理想とする百合カップルの姿でした。

お話疲れしちゃったのか、私の隣でしーちゃんが無邪気なお顔でグッスリ眠っています。
私もぐったり、心身ともに疲れきっていました。
この数ヶ月の間にしーちゃんは、私よりも遥かに高く、オトナの階段をのぼっていました。
今、しーちゃんに抱きついたら、しーちゃんは私のお相手をしてくれるだろうか?
そんな不埒な考えが一瞬頭をよぎります。

いえいえ、私の身勝手な衝動で、しーちゃんとクリスさんのステキな関係を乱すわけにはいきません。
しーちゃんは、私の大事な大事な親友なんだから。
私は、しーちゃんのお顔に自分の顔を近づけ、その柔らかいほっぺに唇を一度だけ触れさせてもらってから、仰向けに戻って両目を瞑りました。


しーちゃんのこと 20

2011年7月9日

しーちゃんのこと 18

「お風呂で二宮先輩にからだを洗ってもらったときの感触が気持ち良かったから、忘れられなくて、ある日の夜に自分の部屋で、自分で同じようにからだをさわってみたら、だんだんヘンな気持ちになってきちゃってネ」
「ここなんて・・・」
しーちゃんが自分の股間を指さします。
「ヌルヌルになっちゃってて、それでもいろいろ弄っていたら、今までに感じたことないような気持ち良さの波がやってきて・・・」
しーちゃんは、すっごく恥ずかしそうにうつむいて、しばらく言葉が途切れました。
私も何も言わず、しーちゃんが再び語り始めるのを静かに待ちました。

「それで、二宮先輩にもう一度ワタシのからだ、さわって欲しいナー、なんて考えていたら、8月の中旬、夏休みの合宿の前に、打ち合わせでまた、鳥越先輩のお家に集まることになったのネ」
「その日は、デッサンとかはしないで、合宿に持っていく荷物の分担とか、向こうでやる遊びの企画とかを話してたのネ。二宮先輩は、清楚な感じの白いノースリワンピ、着てたナ」
「鳥越先輩たちは、ワタシたちがつきあい始めたことに興味シンシンでネ、いろいろ冷やかしたり、質問してきたりするの」
「それで、その日の先輩たちは、なんだかみんなエッチでサ。その手の話ばっかりで盛り上がってたの」
そこで、しーちゃんはじっと私を見つめてきました。

「なおちゃんも薄々勘付いてると思うけど、鳥越先輩と小川先輩、落合先輩と村上先輩は、カップルなのネ。おつきあいしてる恋人同士なの」
「美術部には、他にも二組、あ、ワタシたち入れると三組か、百合なカップルがいるんだ」
「前に、お姉ちゃんにそれとなく聞いてみたことがあるのネ。あの人、学校内のそういう事情に詳しいから。そしたら美術部って、伝統的に代々、百合カップル率が高いことで、生徒会では有名なんだって」
「美術部のビは、ビアンのビ、なんて格言があるくらい。そういうのは、格言って言わないけど」
「絵画とか美術に興味のある人には、そういう嗜好の人が多い、なんて説は聞いたこと無いんだけど、なぜだか美術部では、カップル成立率が高いんだよねー、って笑ってた」
「ワタシに向かって、あんたは絶対にその手の人には受けいいから、その気が無いんだったら充分気をつけなさい。でももしその気があるんだったら、きっと天国よ。なんて、からかわれちゃった」
しーちゃんがクスッと笑いました。

「それで、鳥越先輩のお家で、先輩たちがエッチな話で盛り上がってたとき、小川先輩がワタシに、ひとりエッチしてるの?って聞いてきたのネ」
「ワタシは、さっき言ったみたいに、その気持ち良さを知ったばっかりで、正直に言っちゃうと、毎晩、っていうくらいしてた・・・」
しーちゃんが上目遣いに私をチラッと盗み見て、すぐにつづけます。
「でも、絶対そんなこと言えないから、黙ってうつむいてたのネ」
「そしたら鳥越先輩が、ひょっとしてやりかた、知らないんじゃないの?とか囃し立ててきて、みんなでワイワイ言い出して、それじゃクリス、やって見せてあげなよ、って話になって・・・」

「ワタシ、先輩たち、まさか二宮先輩に、みんなが見ている前でそういうことをやらせようとしてるのかな、って思っちゃって。みんなエッチな感じでニヤニヤしてたし・・・」
「でも、二宮先輩は今はワタシの恋人なんだから、そんなのヒドイと思って、ワタシは二宮先輩のそんな姿を他の人には見せたくないと思って、何か言わなきゃって思ったのだけど、言葉が出てこなくて・・・」
「でもさすがに先輩たちはみんなオトナで、その後すぐ、いつかみたいに4人で夕食の買出しに出かけてくれて、ワタシたち二人きりにしてくれたのネ」
「また先輩たちに乗せられてるナー、ってちょこっと思ったけど・・・」

「で、二宮先輩が、見たい?って聞くから、ワタシ黙ってうなずいて、二宮先輩がソファーに浅く腰掛けて、恥ずかしそうにワンピースの肩紐ずらして、スカートの裾まくって・・・」
「二宮先輩のせつなげな声が聞こえてきて、しのぶちゃん、こっちに来て、さわって、って言われて」
「ワタシもがまんできなくなって、二宮先輩に抱きついて、キスして、お互いのからだをまさぐりあって・・・」
「二宮先輩の指で、何回もイっちゃった・・・」
しーちゃんは、私の顔を見ずに、うつむいたまま言いました。

「それで、二人ともほとんど裸のままソファーで抱き合ってグッタリしてたら、先輩たちが帰ってきちゃって、お二人さん、結ばれたのねー、なんて冷やかされて」
「わたしもムラムラしてきちゃったー、って小川先輩が言って、鳥越先輩にキスし始めて、落合先輩と村上先輩も服を脱ぎ始めて」
「結局その後は6人とも、ほとんど裸の状態でごはん食べたりゲームしたりして、ずっとイチャイチャしちゃった。裸でツイスターゲームやると、すんごくエッチなんだヨー、ありえないポーズになっちゃったりして」
楽しそうにしーちゃんが言った後、しまった、っていうお顔になって私を見ました。

「なおちゃん?やっぱりヘンだと思ってるでしょ?女同士でそんなことして・・・」
「ううん・・・」
即座に否定したものの、その後につづける言葉がみつかりません。

私は、すっごくうらやましい気持ちでした。
そして、悔しい気持ちと寂しい気持ちもありました。
その気持ちの正体はわかりきっているのですが、認めたくなくて、私は、唐突に中三のときに経験した相原さんとのことを、しーちゃんに話し始めていました。

相原さんが図書室で裸になっていたことや、二宮先輩みたいな裸になりたがり、だったことは伏せて、図書室で知り合って、相原さんのお家に呼ばれて、そこで抱き合った、ということだけをお話しました。
相原さんにさわられて、相原さんにさわって、すっごく気持ち良くって、相原さんをどんどん好きになっていった、っていうことは、包み隠さず正直に告白しました。

私の告白を聞き終えたしーちゃんのお顔には、なんだかホッとした、みたいな安堵の表情と、聞きたくなかった、みたいな寂しげな表情が入り混じった、複雑な表情が浮かんでいました。

しばらく二人とも黙ったままでした。
しーちゃんが自分の腕時計にチラッと目をやって、ンーーッって大きく伸びをしてから居住まいを正し、あらためて私の顔を見つめて語りかけてきました。

「それで、昨日文化祭で、なおちゃんが部室に来てくれたでしょ?あの後、二宮先輩に言われちゃったの。わたしたちのこと、森下さんには言ってあるの?って」
「きっと森下さんはしのぶちゃんのこと大好きだし、しのぶちゃんも彼女のこと好きなんでしょ?って。二人が親友だったら、わたしたちのこと、つまりワタシと二宮先輩がつきあっていることを、たとえば他の人から聞かされたり、風のウワサで知ったとしたら、森下さんは、あんまりいい感じがしないだろう、って」
「親友だからこそ、ちゃんとしのぶちゃんの口から、言っておくべきじゃない?って」

「ワタシも別に隠すつもりはなかったのだけれど、夏休み中はあんまりなおちゃんと会えなかったし、二宮先輩と実際に深い関係になっちゃったら、なんだか恥ずかしくって、言い出せなくて・・・」
「だから今日、なおちゃんに全部言って、謝ろうと思って、来たのネ・・・」

「謝るなんて・・・」
私は、自分の胸の中で騒いでいる落胆の気持ちを一生懸命抑えつけながら、つとめて普通の感じを心がけて、言いました。
「しーちゃんが私に謝る必要なんて、全然ないよ。しーちゃんが可愛くて魅力的な女の子だからこそ、ステキなパートナーさんと巡り会えたんだから」
「しーちゃんが誰とおつきあいしていても、私はしーちゃんのこと大好きだし、しーちゃんが二宮先輩とシアワセになるなら、私いくらでも応援するよ」
「ほんと?ありがとーっ!そう言ってくれるとワタシも嬉しいヨー」
しーちゃんが私の両手をとって、ギューッと握りしめてきました。

「ワタシ、昨夜、なおちゃんのお家に明日行こうって決めて、ベッドに横になったとき考えたんだ・・・」
「ワタシ、本当はなおちゃんと、二宮先輩とのおつきあいみたいな関係になりたかったんじゃないのかナー、って」
「なおちゃんをそういう関係に誘いたかったんだけど、どうすればいいのかわからなくって・・・」

それは私も同じことでした。
少なくとも夏前までは、私のほうがえっちなことに関しては、リードすべき立場でした。
でも私がグズグズしているうちに、しーちゃんには二宮先輩というステキなパートナーが現われて、私の恋心はまた一人ぼっちで、取り残されてしまいました。

「私もしーちゃんと、そういう関係にもなってみたかった気持ちはあったんだけど、タイミングが合わなかったみたいだね」
「ステキな人をみつけたんだから、今はその人を大切にしなきゃ」
「私としーちゃんは、これからもずっと親友だし、何があってもずーっと、私はしーちゃんの味方だから」
なるべくしんみりしないように、明るめな声を出して、私はしーちゃんへの恋心をあきらめようとしていました。
「そうだ、今日はうちでお夕食も食べて、泊まっていきなよ?二宮先輩とのこと、もっと聞きたいし」
「私、しーちゃんのお家に電話して、お泊りの許可、もらってくるっ!」
これ以上ここに二人でいると、涙がこぼれてきちゃいそうだったので、サッと席を立って、私は階下に駆け出していました。


しーちゃんのこと 19

2011年7月3日

しーちゃんのこと 17

お約束通り、5時から講堂で演劇とバンド演奏を観て、この日は6時半に文化祭が終わりました。
クラスのお教室で後片付けをしてから、美術部の人たちと打ち上げがあるというしーちゃんと別れ、私も文芸部の部室でささやかな打ち上げをして、お家に帰ったのは夜の8時過ぎでした。

寝る前に、どうしてもニノミヤさんの裸の絵とレオタード姿が思い出されて、オナニーをしたい気持ちもあったのですが、それ以上にからだが疲れきっていたみたいで、あっさり眠りに就いていました。

翌日は振り替え休日。
文化祭の後片付けが残っている人は登校しなければいけませんが、それ以外の人はお休み。
私は昨夜、ヤキソバに使った重たいホットプレートも持って帰っていましたし、図書室もすっかり普段通りに戻しておいたので登校する必要は無く、朝の10時過ぎまで、ゆっくり惰眠を貪りました。
お昼は、母と一緒に食べながら文化祭でのしーちゃんのゴスロリ姿や描いてくれた絵のことをコーフン気味におしゃべりして、午後からは、読みかけのコミックスを自分のお部屋でベッドに寝転んで読んだりしてダラダラ過ごしました。

午後の3時前に携帯電話が鳴って、出てみるとしーちゃんからでした。
これから私の家に遊びに行っていいか?という内容で、もちろん私にノーと言う理由は今も昔もまったく無いので、しーちゃんが来ることになりました。
3時少し過ぎくらいに現われたしーちゃんと、最初はリビングで母と3人でお茶を飲みながら、また文化祭の話題をしばらくしていました。
3時半頃、母がお夕食のお買い物へ行くと席を立ったので、しーちゃんと二人で私のお部屋に移動しました。

お部屋でもしばらくは、昨日の友田さんのステージはカッコ良かったね、とか、演劇部のお芝居はなんだかよくわからなかったね、とか他愛もないおしゃべりをしていました。
しーちゃんは、なぜだかいつもより言葉少なでした。
会話が途切れて、何気なくしーちゃんのお顔を見たとき、なんだか思いつめたような表情になっているのに気がつきました。

「しーちゃん、どうかしたの?何かあったの?」
「うんとネ、今日はネ、どうしてもなおちゃんにお話しておかなければならないことがあって、来たの・・・」
「・・・たぶんなおちゃん、びっくりすると思うけど・・・なるべくびっくりしないで、聞いて・・・」
「なおちゃんには、ちゃんと言っておかないといけない、って思ったから・・・」
しーちゃんのお顔は、今までみたことないくらい真剣でした。

「ワタシネ、今、二宮先輩とおつきあい、してるの・・・」
しーちゃんが思い切るみたいに言って、私の顔を見つめてきます。
「おつきあいって言っても、百合ごっこ、みたいのじゃなくてネ、キスもしたし、もっと先までももう・・・」
しーちゃんの突然の告白に、私は文字通り、口をポカンと開けて絶句していました。

「気持ちワルイよネ?女同士でなんて・・・」
ポツンとつぶやいたしーちゃんの言葉に、私は激しく反応しました。
「ううん。ぜんぜん気持ち悪くなんてないっ!女同士だって私、ぜんぜんいいと思う!」
「ほんと?なおちゃん・・・」
しーちゃんがうつむいていたお顔を上げて、再び私を見つめてきました。

私の頭の中は、激しく混乱していました。
しーちゃんが二宮先輩とおつきあいしている・・・
もうキスも、その先までもヤっちゃった・・・
女同士は気持ちワルイ?・・・

その三つしか言われていないのに、それらが何を意味するのか、まったく理解できませんでした。
混乱している頭をごまかすみたいに、思いついたことを口にしていました。
「いつから、そんな感じになってたの?詳しく聞かせて」
しーちゃんが宙に目を泳がせ、思い出すような表情でお話し始めました。

私にも教えてくれた6月のヌードクロッキー会の後、もう一度その機会が訪れたのは、明日から夏休みという終業式の放課後、場所は、三年生の鳥越先輩のマンション。
鳥越先輩は、ご両親のお仕事の関係で、学校の近くのマンションに一人暮らししていました。
て言うか、社会人のお姉さんと一緒に暮らしているのですが、お姉さんがカレシさんのお部屋に入り浸って帰ってこないので、結果的に一人暮らしになっていたのだそうです。
前々から、その日はみんなで集まる、って先輩がたに言われていて、しーちゃんも、きっとあの日のつづきをするんだな、って薄々思っていたので、ちょっとワクワクしていたそうです。

いったんお家に帰って、私服に着替えて再び集まったのは、あの日と同じメンバー、三年生の鳥越先輩と落合先輩、二年生の小川先輩と村上先輩、二宮先輩、そしてしーちゃん。
午後の三時過ぎに集まった6人は、そのままお泊り会をする予定でした。
鳥越先輩のマンションは結構広くて豪華で、
「一部屋改造して、アトリエみたいになってるんだヨー」
と、なぜだか自分のことのように自慢そうなしーちゃん。

広いリビングで一息ついて、アトリエでクロッキーを始めたのが午後の4時頃。
今回は、短時間ではなく、しーちゃんのが仕上がるまでっていうことだったので、クロッキーではなくてデッサンでした。
当然のように、二宮先輩がお洋服をすべてスルスルっと脱ぎ、アトリエのソファーに寝そべって、みんな真面目にデッサンを始めました。
アトリエは、美術室より断然明るかったので、二宮先輩のからだの細かいところ、筋肉のつき方や毛の生え際とかまでクッキリとわかり、二宮先輩は、やっぱり薄っすら頬を染め、恥じらいと高揚感が交錯しているように見えたそうです。

休憩を何度か挟んで2時間弱、なんとかしーちゃんも納得出来る作品に仕上がったので、そこでデッサン会は終わりになりました。
二宮先輩以外の先輩がた4人が、お夕食のお買い物に行ってくる、と言って外出してしまい、お部屋にはしーちゃんと二宮先輩だけが残されました。
「たぶん、先輩たちがあらかじめ打ち合わせてて、ワタシたちを二人きりにしたんだヨ」

デッサンが終わっても二宮先輩はお洋服を着ようとせず、しーちゃんは目のやり場に困ったそうです。
ソファーに並んで座って、しばらくお話タイム。

「しのぶさんには、カレシさんとかいるの?」
「いいえ、ワタシはまだそんなの・・・」
「興味ないの?」
「はい・・・」
「わたしのからだ見たの久しぶりだったよね、どうだった?」
「あ、はい。やっぱりすんごくキレイだと思います。憧れちゃう」
「わー、ありがとう。わたし、しのぶさんのこと部室で初めて見たとき、なんてカワイイ子なんだろう、って思ったの」
「はあ・・・ありがとうございます」
二宮先輩が少し黙ってから、内緒話をするみたいなヒソヒソ声で聞いてきました。
「しのぶさん、女同士でおつきあいするのって、ヘンだと思う?」
「あ、いえ、ワタシは別に・・・」

しーちゃんは実際、女の子同士の恋愛もアリだと思っていたし、これから百合マンガを描いていくためにも、自分の身で経験してみたいなーとも思っていたのだそうです。

「それなら藤原さん、わたしとおつきあいしてみない?」
二宮先輩に小さな声でそう言われたとき、たぶん先輩がからかっているんだろうと思ってお顔を見たら、頬をピンクに染めて思いっきり恥らっていて、その姿がすっごく可愛らしくって、たまらなかったそうです。
「それとも、誰か他に好きな人がいるの?」
そう聞かれたとき、パッと浮かんだのが私の顔・・・でも、何も言えず・・・
「こんなふうに人前で裸になっちゃう、はしたない女じゃ、イヤ?」
「そんなことありませんっ!」
この問いにだけは、しーちゃんはすぐに反発しました。

「二宮先輩は、やさしいし、絵もお上手だし、教え方もうまいし、お顔もからだもキレイだし、お話していて楽しいし、ワタシ憧れてます」
「うわー。今まで生きてきて、一番嬉しい褒め言葉よ、それ。ねえ、お願い、藤原さん?わたしとおつきあいしてください」
二宮先輩は、先輩なのに哀願するような言葉遣いになりました。
「わたしはもっとしのぶさんのことが知りたいし、しのぶさんにももっともっと、わたしのことを知って欲しいの。わたしたち絶対うまくいくと思う」
二宮先輩は、そのつぶらな瞳でしーちゃんのことをすがるようにじーっと見つめ、今にも泣き出しそうな感じだったそうです。
しーちゃんは真剣なそのまなざしにあがらえきれなくなって、首をコクンと縦に振りました。

その途端に、泣き出しそうだったお顔が、雲の切れ間からお日様がパーッとお顔を出したように、満面の笑みに変わって、その笑顔が本当に綺麗で、背中に電流が走ったみたいにゾクゾクッてしちゃうほど。
「嬉しいーっ!」
横向きのしーちゃんに抱きついてきた二宮先輩の裸の胸やお腹がしーちゃんに押し付けられ、そのふうわり柔らかい感触といい匂いは、うまく言葉にできないほど心地良いものだったそうです。

やがて先輩がたが帰ってきて、お夕食の支度。
二宮先輩は、裸にピンクのフリルのエプロンだけかけて、せっせとご馳走を作って、みんなでワイワイ食べました。
「クリスがあんなに上機嫌ていうことは、しのぶちゃん、オッケーしたんだね?」
小川先輩が二宮先輩の目を盗んで、しーちゃんに小声で言いながらウインクしてきます。
やっぱりこの会合は、先輩がたに仕組まれたもののようでした。

お夕食の後、しばらく経ってお風呂タイム。
最初に落合先輩と村上先輩、次に鳥越先輩と小川先輩が入り、必然的にしーちゃんと二宮先輩が一緒に入ることになりました。
二宮先輩の前で裸になるのは、しーちゃんにとってかなり恥ずかしいことでしたが、お風呂上りの先輩がたがみんな、下着だけとか、ノーブラにキャミソールとかでお部屋をウロウロしているので、恥ずかしさの感覚が麻痺しちゃって、ま、いいか、になっちゃったらしいです。

「しのぶさんのからだ、スベスベでお人形さんみたいね」
二宮先輩は、そんなことを言いながらしーちゃんのからだをすみずみまで、やさしく丁寧に洗ってくれました。
フワフワのスポンジをたっぷり泡だてて。
「胸とかをやさしく撫ぜられて、ワタシすんごく感じちゃった・・・」
しーちゃんが照れ臭そうに言いました。

その後、二人でゆったりとバスタブに浸かって、見つめ合っているうちになんとなく、キスしてしまいました。
「なぜだか、そうしないとお風呂から出れないような気がしたんだヨ」
しーちゃんが盛大に照れました。

お風呂から上がると、みんな相変わらず下着姿で、三年の先輩は缶ビールなんかも開けて、ワイワイおしゃべりしていました。
二宮先輩が素肌にタオルを巻いたままの格好でその輪に加わったので、しーちゃんもパジャマを着るのがためらわれ、空気を読んで下着だけの姿でおしゃべりに参加しました。
「でもね、えっちい話なんかぜんぜんしなくて、絵の具の混ぜ方のこととかポスト印象派がどーたらとか、えらく真面目な話ばっかりなんだヨ」
「みんな裸に近いセクシーな格好なクセに、すんごく真剣にマジメな話しているから、何て言うか、シュールでネ。少し笑っちゃった」
「好きなマンガの話もしたから、ワタシもすんごく盛り上がっちゃったヨ」

夏休みに入って、しーちゃんと二宮先輩は何度もデートしました。
「ショッピングしたり、映画観たり、遊園地も行ったしプールも行ったヨ」
そういう場では、二宮先輩はごく普通なやさしい先輩で、しーちゃんのことをすごく気使ってくれて、別れ際にはいつもやさしいキスをして。
二宮先輩は、デートのときにセクシーな服装をしてくるとか、ノーブラで来るとかもぜんぜん無くて、本当にこの人が美術室で裸になりたがる彼女と同じ人なのかな、ってしーちゃんが思うくらいいい人で、しーちゃんもどんどんますます二宮先輩のことが好きになっていったそうです。

そしてこの頃、しーちゃんはひとりエッチがちゃんと出来るようになっていました。


しーちゃんのこと 18

2011年7月2日

しーちゃんのこと 16

「それじゃあなおちゃん、ちょこっとこっち来て?」
お話が一段落して訪れた束の間の沈黙を待っていたように、しーちゃんがスッと席を立ち、私の肩に背後から手を置きました。
私も立ち上がります。
しーちゃんは、展示物が飾ってあるお部屋の壁際奥のほうに私を連れていきました。
「ほら、これ」
そこには、正面を向いた人物の油彩の肖像画が飾られていました。
A3を縦にしたくらいの大きさで、濃いエンジ色をバックにこちらを見て薄っすらとやさしく微笑んでいる、写実的タッチな女性の顔。
それは、紛れもなく日頃鏡で見慣れている私の顔でした。

「どう?」
「えっと・・・これ、しーちゃんが描いてくれたの?スゴイッ!綺麗!上手っ!天才っ!」
食い入るようにその絵を見ながら私は、どんどん高揚してきていました。
絵の中の私は、鮮やかな深碧の瞳を緩やかにたわませて、何とも言えない慈悲深い笑みをたたえています。
濃いエンジ色をバックに、首筋から肩の少し下までの透き通るような肌色と、鎖骨の陰影がすっごくセクシー。
どう見ても、実際の私より数段綺麗でオトナっぽい、私が、そうありたいな、って思い描いている理想に限りなく近い笑顔でした。
絵画のタイトルは、ガールフレンド、と名づけられていました。

「文化祭の展示、何にしよっかなー、って迷ってたときに、ふと思いついたのネ。文化祭終わったら、もうすぐなおちゃんのお誕生日だナー、って」
「なおちゃんを描いて、それをプレゼントにしちゃうのも手かナー、って思って」
「8号ていう大きさは、風景画では慣れてたけど、人物描いたのは初めてでちょっと戸惑ったけど、写真見ながらがんばったヨ」
「それじゃあ、これ・・・?」
「うん。お誕生日にこの額ごとなおちゃんにプレゼント!」
「ありがとうっ!すっごく嬉しい!一生の宝物にするっ!」
私は、心の底から感動して、しーちゃんの両手を私の両手で包み込むように取り、ギューッと私の胸に押し付けました。

「いやいや、こうして実物のかたとご一緒すると、しのぶさんの技術の巧みさがよくわかりますなあ」
「いえいえ、実際のモリシタさまのほうが、もっともっとお美しくあらせられましてよ?」
いつの間にかトリゴエさんやオガワさんたちに囲まれていて、みんながワイワイ囃したててきました。

その後、美術部のみなさんと一緒に展示物を一通り見て回りました。
トリゴエさんが描かれた淡い色彩が上品な水彩の大きな風景画、オガワさん作のカラフルでキッチュなポップアート、ニノミヤさんの大胆な色彩で鮮烈に描かれたアクリル画らしい静物画。
その他の方々の作品も、私なんかから見るとみんな、すっごく上手い、って驚嘆するしかないものばかりでした。
でも、私にとってのナンバーワンは、言うまでもなくしーちゃんの作品なんですけど。

美術室にずいぶん長居してしまい、そろそろ図書室に戻らなければいけない時刻になっていました。
「それじゃあ私、そろそろ・・・」
言いかけたとき、オガワさんが私の顔を見てニッと笑って、
「ねえ、お姉さまがた?モリシタさんとお近づきのシルシに、最後にあの作品、ご覧いただくっていうのはどうかしら?」
貴族ごっこがつづいているのかいないのか、中途ハンパな口調にイタズラっ子なお顔で言いました。
「どう?クリス」
トリゴエさんがニノミヤさんに聞くと、ニノミヤさんのお顔が薄っすらと紅潮してうつむきます。
「モリシタさまに、見ていただくかい?」
ニノミヤさんは、うつむいていた顎を少し上げ、上目遣いに私の顔をじっと見つめてから小さく微笑み、完全にお顔を上げてトリゴエさんを見つめました。
「よくってよ。お姉さま」

私たちは、ゾロゾロとさっき見たニノミヤさんの絵のところまで戻りました。
ニノミヤさんの絵は、お部屋の入口から一番奥まった壁際に飾ってありました。
美術室は現在、少しだけお客様の来訪が途絶えて、テーブルに2組、5名のお客様がお茶を楽しんでいらっしゃるだけでした。
モーツァルトのオーボエ協奏曲が軽やかに流れています。

私としーちゃん、トリゴエさん、オガワさん、ニノミヤさんの他に、ベルバラ衣装の三年生、オチアイさんと、フレンチメイドな二年生のムラカミさんもついてきました。
7人でニノミヤさんの絵を取り囲むように立つと、背の高いトリゴエさんが自身の背後に垂れ下がっていたエンジ色の布を、カーテンを引くようにスルスルっと横に滑らせました。
エンジ色の布が私たちの背後を覆うように広がって、その絵の周辺の空間だけが美術室から一層薄暗く遮断されました。
ムラカミさんが、絵の下に置いてある照明のスイッチをひねると、絵の周辺だけがまばゆい白色ライトで一段と浮かび上がりました。

ニノミヤさんの絵は、乱暴に二つに割られて乱雑な断面を見せている真っ赤なスイカの横に、これまたパックリ割れてツヤツヤした赤いルビーのような中身を見せているザクロの実が二つ、漆黒をバックに写実的かつ大胆な色遣いで描かれた静物画でした。
新聞紙を半分にしたくらいの大きさの横向きの構図で、スイカとザクロの中身の鮮烈な赤と、スイカの皮やザクロの葉の緑とのコントラストが印象的な作品。
タイトルは、夏の円熟。
見方によっては、なんだかエロチックな感じもしてきます。

この絵は確かにスゴイと思うけれど・・・
真意が掴めず私が戸惑っていると、ニノミヤさん自らその絵を額ごと壁からはずし、クルッとひっくり返して再び壁にかけました。
「どうぞ・・・見て・・・ください・・・」
消え入るような、恥ずかしげなニノミヤさんのお声がしました。
誘われるように視線を壁に戻すと、そこには・・・

裸のマヤ・・・
一糸纏わぬ裸で横向きにソファーに寝そべる美しい女性の姿が、写真と見紛うような精巧な筆致で描かれていました。
ふんわりとした髪、瑞々しい肌の艶、まろやかな曲線を描く乳房、両内腿の間の翳り、少しだけ膝を立て気味のしなやかな右脚のライン・・・
すべてが生々しく息づいていて、溢れるばかりの迫力です。
それに、このソファーが置かれている場所は、どう見てもこの美術室。
特徴のある壁の木目まで鮮やかに再現されていました。
これは、コンピューターグラフィック?

「その絵のモデルが誰か、モリシタさん、おわかりになるわよね?」
オガワさんに聞かれて、私は黙って、ニノミヤさんのお顔を見ます。
ニノミヤさんは、薄闇の中でもお顔が真っ赤に火照ってらっしゃるのがわかります。
それでも私は不躾に、絵を見てはニノミヤさんを見て、絵を見てはニノミヤさんを見てをくりかえしてしまいます。
絵のタイトルは、紅百合の后、でした。

「クリスの裸は、本当にキレイなんだ。だからワタクシたちの創作意欲が抑えきれなくなってしまってね。頼み込んでモデルをしてもらったの」
オチアイさんが説明してくれます。
「この絵は、ワタクシたち6人の合作なの。下絵はしのぶさんが描いたのを採用して、それをパソコンに取り込んで彩色はクリスも含む全員」
「いろんなCGの技法が盛り込まれているのよ」
「このおっぱいの感じが難しかったのよねー。クリスから、私の乳首、こんなに黒ずんでいない、とかNG出されて」
「下の毛も揉めたわねー。もうちょっと濃く、いいえもっと薄く、なんて」
オガワさんとムラカミさんが楽しそうに言い合ってます。
「だからおヘソの下周辺は、ワタシが責任を持って担当したんだヨ」
しーちゃんがこれまた嬉しそうに教えてくれました。

「クリスはね、普通絶対裸にならないようなところでこっそり恥ずかしい格好をしたり、誰かに自分の裸を見てもらったりすることが好きな、ちょっと変わった子なのね。今だってこの子、モリシタさんにこの絵を見てもらって、嬉しくってしょうがないんだから」
トリゴエさんが、ニノミヤさんの肩に手を置いて、からかうみたいにモミモミしています。
「クリスったら、この文化祭中もはりきって、ずっとレースクイーン的なハイレグのえっちぽいレオタード着ているのだけれど、過度に肌を露出するような衣装は学校から厳重に禁じられてるから、仕方なくワイシャツを羽織っているの」
オガワさんがヒソヒソ声でつづけます。
「昨日はそれでも、ワイシャツ脱いで記念撮影とかできたんだけどね。今日は、風紀の先生が見回りにくるっていうウワサもあるから、とりあえず一人ワイシャツ祭りの人になってるクリスちゃん。これもこれで相当色っぽいけどね」

「そうだ。今ここでならワイシャツ脱げるじゃん?カーテンで仕切ったから向こう側からは見えないし。モリシタさんにも見せてあげなよー。セクシーなレースクイーン姿」
ムラカミさんが、イイことを思いついた、って調子ではしゃぎ気味に言いました。
私はまだ、絵と実際のニノミヤさんを飽きることなく見比べていました。
ずいぶんと無遠慮な視線だったと思います。
ニノミヤさんは、チラッとしーちゃんのほうに視線を向けます。
しーちゃんがかすかにうなずくように首を動かした気がして、ニノミヤさんが上から、ボタンを一つ一つ、ゆっくりはずし始めました。

こんなふうに、精緻に描かれた自分の裸の絵を前にして、実際の自分と見比べられるのって、どんな気持ちなんだろう?
おっぱいも、乳首も、アソコの毛も、精密なタッチで再現された自分の裸が描かれた絵の前で、シャツのボタンを一つづつはずしていくニノミヤさん・・・
その姿を見ていたら、ニノミヤさんをうらやましいと感じている自分の気持ちが隠せなくなってしまい、ニノミヤさんが感じているであろう、その恥ずかしさに私も共鳴して、そのあまりの恥ずかしさにいたたまれなくなってきてしまいました。
心臓がドキドキドキドキ高鳴って、甘美な性的高揚感をからだの奥に感じていました。

シャツを両袖から抜いたニノミヤさんは、バストの谷間も露な深い襟ぐりの濃いグリーンのレオタード姿になりました。
プロポーションは絵のまんま。
ほどよく豊かなバスト、キュッとくびれたウエスト、ゆるやかに張ったヒップ、深いハイレグの切れ込み、スラっと伸びた生脚。
背筋をピンと伸ばして私の目の前に立ったその姿から、もっと見て、よーく見て、という声と、いやっ、恥ずかしい、見ないで、っていう声が、同時に聞こえてくるようです。
私は、まじまじとニノミヤさんのしなやかな肢体を上から下まで、舐めるように見つめていました。
そして、気づいてしまいました。

「あーっ!先生。見回りご苦労様でっすー!」
ドアが開いた音と同時に、なんだかわざとらしいような誰かの大声がカーテンの向こうから聞こえてきて、カーテンの内側はちょっとしたパニックになりました。
オガワさんがニノミヤさんの絵をクルッとひっくり返して元通りの静物画に戻し、ニノミヤさんはあわててワイシャツに袖を通してボタンを嵌め始めています。
オチアイさんとムラカミさんが、スススッとカーテンの陰から出て行き、
「先生、おかげさまで大盛況ですよー。ポストカードもたっくさん売れました。さ、こっちでお茶でもどうです?」
なんて、愛想のいい声を出しています。
その調子のいい声を聞いて、私としーちゃんは顔を見合わせ、プッと吹き出してしまいました。

ニノミヤさんの身繕いも素早く終わり、オガワさんがさりげなくカーテン代わりの布を元に戻し、私としーちゃんはニノミヤさんの絵に見入っていたフリを少しした後、さりげなく振り向きました。
いつの間にか来訪のお客様がまた増えていて、テーブルはほぼ満卓、入口の近くのテーブルでは、オチアイさんとムラカミさんが見回りの先生らしい初老の女性のかたをもてなしています。
「おおっ、カゲヤマうじ。お見えになっていたのか。水くさいでござるよ」
トリゴエさんもお知り合いをみつけたのか、男装の麗人貴族に戻って、お芝居口調の大声を出しながらそちらに駆け寄っていきました。
でも、その口調、貴族じゃなくて武士・・・

「すっごく楽しかったです」
しーちゃんとワイシャツ姿に戻ったニノミヤさんが廊下まで見送ってくれました。
「しーちゃんの絵、すっごく嬉しかった。ありがとう」
「ニノミヤさんの絵も本当にステキでした。とくに裏側は、なんて言うか、本当に美しかったです。うらやましいです」
「わあ。ありがとう」
ニノミヤさんが蕩けそうな笑顔で私に握手してくれます。
「それじゃあしーちゃん、また後でね。5時くらいに講堂行って、演劇と友田さんのバンド、一緒に観よう」
「うん。また後でネー」

しーちゃんが明るく手を振ってくれて、私は図書室に急ぎました。
廊下を早足で歩いている間中、ずっと同じことばかりを考えていました。

ニノミヤさん、レオタの下、ノーブラだった・・・
ニノミヤさん、乳首、勃っていた・・・
ニノミヤさん、ハイレグの股布、濡れて色が変わってた・・・
ニノミヤさん、私に見られて、感じてた・・・


しーちゃんのこと 17