2014年10月19日

就職祝いは柘榴石 06

 私の下腹部でハァハァ荒い息をされていたお姉さまは、やがて、ゆっくりと上半身を起こし、私のからだを跨いで立ち上がりました。
 それから、よろよろとベッドまで行って、ストンと腰を下ろしました。
「もっと早く、直子と出会えていたらよかったかな」
 気怠そうなお声で独り言ぽく、おっしゃいました。

 私は顔をそちらへ向け、仰向け大股開きのまま、お姉さまの次のお言葉を待ちます。
「鞭だけでイっちゃう人、見たの初めてだし、クンニだけでイっちゃったのも初めてよ」
 乱れた髪をかきあげて、物憂げに私を見ています。

「でも、今の直子が凄いのは、百合草女史やシーナさまの教育のおかげでもあるわけだから、このタイミングがベストなのかもしれないわね」
 ふっと笑うお姉さま。
「それにこれからは、直子はあたしひとりだけのものになるのだし」

 お姉さま、確か先週も同じようなことをおっしゃっていました。
 やっぱり私の過去のこと、気にかかるのかな。
 私は今は、お姉さまだけが一番大好きなのに。
 ちょっぴりモヤモヤ、フクザツな気持ちになりました。

 困惑顔になってしまった私に気を遣われたのか、お姉さまは私を見つめてニッと笑い、明るいお声でおっしゃいました。
「さあ、あたしもイってスッキリしたし、はりきって直子のマゾ度チェックのつづきをやりましょう!」
 スクッと立ち上がるお姉さま。
 黒のブラだけ身に着けて下半身は剥き出しのフェティッシュなお姿で、ツカツカと私に近づいてきました。

「とりあえず手錠をはずしてあげるわ。からだ起こせる?」
「あ、はい」
 仰向け状態から、腹筋運動の要領で上半身を起こしました。
 お姉さまが私の背中にまわり、後ろ手になっている両手首に巻かれた手枷同士を繋ぐ鎖ジョイントを、はずしてくださいました。

「ブラのホック、はずしてくれる?」
 お姉さまがシートに膝立ちになって、背中を向けてきました。
 私は、久しぶりに自由になった両手で、お姉さまのブラのホックをはずしました。
「ありがとう」
 お姉さまが立ち上がり、はずしたブラジャーをベッドに置いて、また戻ってきます。
 これでお姉さまも全裸。
「裸になるのって、やっぱり気持ちいいわよね?とくにこの部屋では、オールヌードが似合う気がするわ」
 お姉さまは、鏡にご自分の全身を映して、しげしげとご覧になられています。

「お姉さまのおからだ、とってもお綺麗です。素敵ですっ」
 私が心の底から思っていることです。
「ありがと。直子のからだは、とってもいやらしいわ」
 お姉さまが小さく笑いながら、私の勃ちっぱなしの右乳首を、指でピンと弾きました。
「あんっ!」
「鎮まる、っていうことを知らないみたいね?そこも相変わらずビショビショだし」
 大きく開いた私の股間を、人差し指で指さします。

「お姉さまも、今日は先週よりもたくさん、濡れていらっしゃいましたよ?嬉しかったです」
 さっきのことを思い出し、思わず告げてしまったら、お姉さまの驚き顔。
「あ、そうだったの?あたし、鈍感なのか、自分が濡れているかどうかって、実際にさわってみるまでわからないのよね」
「えっ?そうなのですか?私は、すぐわかっちゃいます。奥がチリチリムズムズして・・・」
「へー。あたしは、性的に興奮したら、たぶん今濡れているのだろうな、とは考えるけれど、それがどのくらいなのかまでは、ぜんぜんわからないわ」
 鏡に映ったご自分の股間に目を遣って、苦笑いされるお姉さま。

「だけど今日、先週よりもあたしが濡れていたとしたら、それは間違い無く、直子に鞭をふるったせいだわ」
 銀色シートに転がっている乗馬鞭とバラ鞭に、チラッと視線を遣ってつづけます。
「直子のお尻に鞭していたとき、すっごく興奮しちゃったもの。直子が呻くたびにゾクゾク感じちゃった」
「自分の手で直接、誰かに物理的な苦痛を与えることなんて、そうそう出来ることではないものね?」
「しかも直子は、それを望んでいるし、悦んでくれるのだもの」
「どんどん興奮して、とうとうがまん出来なくなっちゃって、直子に舐めてもらったの」
「そっちも気持ち良くって、病みつきになっちゃいそう。征服感って言うのかな?やっぱりあたしって、苛めっ子体質だったのね」
 お姉さまが私の顔を覗き込み、イジワルそうにニッと笑いました。

 それは重々承知しております、お姉さま。
 だから私はお姉さまに惹かれたのです。
 私をいたぶるときのお姉さまの美しい瞳には、シーナさまにも負けないくらいの激しいエスの炎が、煌々と灯っておりました。

「ローターもたくさん持っているのねえ?それもリモコンのばっかり」
 全裸のお姉さまが銀色シートにしゃがみ込んで、オモチャ箱を覗き込んでいます。
 細長い翳りの下にチラチラと、濡れそぼったピンク色が見え隠れして卑猥です。
 思わずじっと、そこばかり追いかけてしまいます。

「どれがどれのコントローラーだか、わかるの?コントローラーもたくさんあるけれど」
「だいたいは、わかります。でも、そのブルーの、昔の携帯電話みたいな形のやつを使えば、全部が動きます。シーナさまが改造してくださいました」
「へー。器用な人ね。このクリットローターも、この貝みたいなやつも?」
「はい。リモコンのバイブも動きます。シーナさまがしたわけではなくて、誰かに頼んでやっていただいたらしいですけれど」
「ふーん。こういうのは、外で遊ぶときに愉しそうね」

 お姉さまがブルーのコントローラーをパチパチ試して、小首をかしげています。
「あ、今は全部電池を抜いてありますから、動かないです。電池類はまとめて、そっちの小さな箱に・・・」
「なるほどね。これが全部一斉に動き出したら凄いだろうな、って思ってやってみたけれど、電池抜いてあるのね、残念」
 さほど残念そうでもないお姉さまが、ローター類も銀色シートに並べていきます。

「そう言えば直子は、モロな形のバイブはNGだったわね?男性器型の」
「あ、はい・・・」
「あたしも賛成よ。生々しいのは好きじゃないわ。なんだか笑っちゃうのよ、あの形で」
「あっ、シーナさまも同じこと、おっしゃっていました」
「直子んちのバイブはみんなオシャレな形よね、ディルドも」

「ディルド?って?」
「あら、ディルド、知らないの?たとえばこれのことよ」
 お姉さまの右手に、直径の違うガラス球を何層も重ねたような形状の、私お気に入りの一品が握られています。

「バイブっていうのは、正式にはバイブレーターだから、バイブレーションするもののこと。つまり電池で震えたり、クネクネ動いたりするもの」
「ディルドっていうのは、動かない、ただの張り型ね。ほら、よく電動コケシなんて言うじゃない?」
「電動コケシはバイブレーター、ただのコケシはディルドなのよ」
「そうだったのですか。私、深く考えずに、そういったものは全部、バイブって呼んでいました」
「ふふ。直子らしいわね。あたしもこのガラスディルドは好きよ。うちにもひとつあるわ」
 お姉さまの手が愛おしそうにガラスディルドの凸凹を撫ぜています。

「直子は、この中ではどれが一番お気に入りなの?」
 銀色シートにズラリと並べられた、色も形もさまざまな8本のバイブとディルド。
「えーっと、一番良く使うのは、そのピンクのディルド、じゃなくてバイブです。電池を入れると動くから」
 さっきのガラスディルドと似た形状なのですが、スイッチを入れると球と球のつなぎ目の所を軸にディルド全体が震えながら、クネクネとランダムにうねり始める仕掛けのものでした。

「ふーん。それもシーナさんから?」
「あ、はい」
「だったらあたしが、それよりもっと直子が夢中になっちゃうようなやつを、探してこなくちゃいけないわ、ね?」
 お姉さまがピンクのバイブを手に取り、パチンと私にウインクしました。

「さすがの直子のオモチャ箱も、もうあと残り少なくなってきたわね」
 お姉さまは、そろそろ空になりつつあるスーツケースの、ポケットや仕切りの中を調べ始めました。
「これは、掃除機の先に取り付けるアダプターね。これで吸い込んじゃうんだ」
「玩具の手錠に縄手錠、こっちのはマジックテープ式か。南京錠、ローション類、馬油、ベビーオイル、ローソク」
「こっちの小さな袋には・・・あらあら、スースーする塗り薬が一杯。よく集めたわね?この虎のやつとか、凄そう」
「ナワトビトと、鎖もけっこうあるのね。これは使わせてもらおうっと。あら、手枷と足枷もあったのね」

 お姉さまが引っ張り出した赤いエナメルの手枷を見て、思い出しました。
 東京に来て初めての夏のある日、シーナさまにアイスタイマーの遊びを教わったとき、ベッドに磔にされる際に使ったものでした。
「でも、これエナメルだし、あたしのやつのほうがずっといいから、今後はあたしのだけ使いなさい!」
 お姉さまの真面目なお顔に気圧されて、思わず、はいっ!と大きく頷く私。

「うわー!これは強烈ね!」
 一際大きい、お姉さまの呆れたようなお声とともに引っ張り出されたのは、例の悪魔のオモチャでした。
「これって、洗濯物干しを改造したのよね?この洗濯バサミでラビアを挟んで、広げたまんま丸見えにしちゃうのでしょう?」
 さすが、お姉さま!
 その形状をご覧になっただけで、用途まで当ててしまわれました。

「これもシーナさん?」
「いえ。これはもともとミイコさま、あ、えっと水野さまのお手製で、私のために作っていただいたものです」
「へー。水野先輩も器用なのね。最初はきっと、ご自分のために作ったのでしょうね」
 お姉さま、ミイコさまもマゾなことまでご存知なんだ。
 おつきあいお古そうだから、当然といえば当然なのでしょうけれど・・・
 あ、そっか。
 ミイコさま、服飾部の先輩だったのかな?

 ミイコさま作の悪魔のオモチャは、やよい先生のお宅におじゃまするたびに持参するように言われ、ヴァージョンアップを施されました。
 最初にいただいたときは、リングが直径20センチくらいの赤いプラスティック。
 そこにゴムの滑り止めが付いた金属製の洗濯バサミ4つがゴムで繋がれた、簡単なものでした。
 それが何度かのヴァージョンアップの末、現在は、すごく使いやすく、その上情け容赦の無い仕様になっていました。

 リングは直径約25センチほどの合成樹脂製で、鮮やかなオレンジ色。
 そこに等間隔で6つの金属クリップが繋がれています。
 金属クリップの挟む部分は滑り止めラバー、挟む力はイヤリングと同じ方式で調節出来ます。
 クリップとリングを繋ぐのはゴムではなく細い鎖。
 そして、その鎖の長さも、リングに施されたストッパー機能で自由に調節出来ます。
 なので、一度ラビアを噛んだクリップは、どんなにヌルヌルしてもはずれることなく、また、鎖を目一杯引かれて留められると、ゴムと違って決して緩むことなく、恥ずかしい部分を思い切り広げられたまま固定されてしまうのです。

 最近は使っていなかったこの悪魔のオモチャを、お姉さまに取り付けていただく場面を妄想してゾクゾクしていたら、お姉さまの唐突なお声に遮られました。

「あらら、もうこんな時間なの!?いけないいけない。あたしいったん、シャワーを借りて汗を流してくるから、ね?」
 なんだか慌てたふうのお姉さまが、念を押すように私の顔を覗き込んでから、すぐにお顔をそむけました。
 何かをごまかすようなご様子。
 頭にクエスチョンマークを浮かべながら録画装置に付いているデジタル時計を見ると、21時35分でした。

「あたしがシャワーしているあいだ、直子は独りで愉しんでいていいからね」
 銀色シートに並べたお道具を眺めながらの、お姉さまのお言葉。
「直子って、からだ柔らかいのよね?少しくらい窮屈な格好でも平気よね?」
「あ、はい・・・」
「それと、コントローラーやローターの電池を教えて。これとこれとこれと・・・」
 お姉さまが選んだのは、楕円ローター3つとクリットローター、お気に入りのピンクのバイブとあともう一本でした。 
 仰せの通り、合う電池を指定すると、お姉さまがそれぞれに入れて試運転。
 ひとつのコントローラーで、全部がそれぞれヴーンと震え始めました。
「おっけーね。それじゃあ、愉しむためのセッティングをしてあげる」

 まず、私の右手首の手枷が右足首の足枷に繋がれました。
 腕は脚の外側を通り、もはや上半身をまっすぐ伸ばすことは出来ません。
「あっ!お姉さま?」
 同様に左の手首と足首も。
 背中を丸めて無理矢理な体育座りのような格好の私は、その窮屈さに、たまらず背中を床に着けて寝転んでしまいます。
 棒枷で大きく広げられた両足が宙に浮き、盛大な大股開きで寝転がる格好。
 棒枷の銀色パイプが、土手の上辺りをひんやり通り、膝を折った両脚がアソコを基点とした見事なMの字を描いています。

「ああんっ、いやんっ」
 アソコを大きく広げたまま宙に放り出すようなこの格好は、恥ずかし過ぎます。
「いい格好よ。とても直子らしいわ。両脚が綺麗なMの字だし」
 全裸のお姉さまが嬉しそうに見下ろしています。

「それから、これもやっぱり試したいわよね」
 悪魔のオモチャを手にしたお姉さま。
 ニッと笑って私の股間に腕を伸ばしてきました。

「あうっ!お姉さまぁっ」
 しなやかな指でラビアをつままれ、クリップの先がぎゅうぎゅうとラビアのお肉に食い込んできます。
「ヌルヌルしていてもクリップが滑らないのね。さすが水野先輩」
 お姉さまの指が手際良く動き、クリップが私のラビアを次々に挟んでいきます。
「あっ、いたぁぃぃ、お姉さままぁぁっ」
 あれよという間にアソコの円周を6つのクリップで囲まれてしまいました。
 だけどまだ、鎖は弛んだままなので、噛まれている痛みだけです。

「指先ビショビショになってふやけちゃった、直子のそこ、とても熱いんだもの」
 愉しそうなお声。
「次は鎖を引っ張って、このピンで留めればいいのね。こういうのは、対角線ごとがセオリーよね」

 私から見て、アソコの楕円の右上を噛んでいるクリップが、まず引っ張られました。
「ああんっ、だめですぅぅぅ」
 ラビアの皮膚がビローンと引っ張られ、粘膜がひきつります。
「うわー、ここって意外と伸びるものなのね」
 好奇心一杯なお声と共に、今度は左下。
「いゃぁぁっ!」
「直子自慢の柏餅の中身は、熟した柘榴だったのでしたー」
 右下、左上、左横、右横と、こじ開けられて固定されました。

 噛まれているラビアの疼痛、引っ張られてひきつる粘膜のむず痒さ、滲み出て滴るおツユのこそばゆさ、その部分をどうにも出来ない恥辱感・・・
 そういうのがないまぜとなり、アソコ全体がズキズキ疼いて、中もヒクヒク蠢いてしまいます。

「うわー、凄いことになっちゃった。ポッカリ空いちゃって、これは恥ずかしいわね。全部丸見えよ?」
「あたし、誰かのここをこんなに押し広げて、まじまじ見るの生まれて初めてだわ。皮膚が引っ張られて、肛門までちょっと広がっちゃってるわよ」
 お姉さまがカメラのリモコンを操作し、その部分から私の顔までが綺麗に収まるアングルに調整されました。

 お姉さまったら、なぜ急に、こんなたたみかけるように私を虐め始めたのだろう?
 なんだか時間も気にされているようだし、何かこの後、予定でもあるのかしら?
 頭の片隅に、そんな疑問もふと湧いたのですが、手際良く次々と責めてくるお姉さまに翻弄されて、深く考えることは出来ませんでした。
 
「さあ、これで準備完了。思う存分愉しむがいいわ」
 右手にピンクのバイブを握ったお姉さまの愉快そうなお声は、完全にエスの人のそれでした。

「あ、でもこのバイブ挿れても、これだけポッカリ空いていると、震え始めたら、バイブが暴れてすぐに抜けちゃいそうね」
「残念だけれどローターにしておきましょう。その代わり大きいの、2個挿れてあげる」
 お姉さまが、楕円形のローターを一度ご自分でしゃぶってから、私のソコに挿入しました。

「はあうっ!」
「ツルンと入っちゃった。はい、もうひとつね」
 ローターのリモコン受信アンテナが昆虫の触覚みたく、こじ開けられた穴から2本、飛び出しています。

「それから、これね」
「うっ!んふーんっ!」
 不意に肉芽をつままれ、カバーがかぶせられ、スポイトで吸いつけられました。
 クリットローター!
「これさえあれば、もうイキっぱなしでしょう?」
 お姉さまがコントローラーを私に見せ、スイッチを入れるフリをして、からかいました。

「これはオマケね」
「はうっ!だめぇっ!」
 両乳首にスースーするお薬、たぶん虎さん印のやつ、が塗り込められ、間髪を入れず、木製の洗濯バサミでギュッと挟まれました。
「はあうぅぅーっ!」
 独特なメンソールの強い匂いが目と鼻を刺激し、両乳首がポカポカズキズキ疼いてきました。

「さてと、シャワーしてくるわね。あたしが戻るまで何度だってイっていいのよ、嬉しいでしょ?」
 お姉さまがご自分の指に残ったスースーするお薬を、私のおへそのあたりになすりつけています。
「ただし、イクときは、シャワーを浴びているあたしにも聞こえるくらいの声で、イキまーす、って宣言するのよ?それがあたしたちスールのルールなのだから、わかった?」
「は、はい」
 お姉さまが身を屈め、私の唇にチュッとキスをくださいました。

「それじゃあ行ってくるわね、ボン・ボヤージ、マシェリ、ナオーコー」
 お姉さまは、私から離れるときにサササッと、私の両目をアイマスクで覆いました。
「あっ!お、お姉さま!?・・・」
 
 突然視界が真っ暗になって、びっくりして、咄嗟に呼びかける声が終わらないうちに、ローター類が一斉に震え出しました。


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