2014年12月28日

就職祝いは柘榴石 13

 そんなお姉さまとのロマンティックなひとときを、台無しにするのはシーナさま。

「ねえ、そう言えば、この鏡、て言うか窓の向こうって、ベランダだったよね?」
 誰ともなしなシーナさまの、イジワルさ全開かつお芝居っぽいお声。
「庇が無いからバルコニーか。でもまあ、どっちにしても窓を開けたら外っていうことよね?」
 シーナさまが私とお姉さまのお顔を交互に見て、イタズラっぽくニッて笑いました。

「それで今、直子さんはその外に向けて、オマンコと肛門剥き出しにしているわけよね?みんな視てーって感じで、まったく無防備に」
「マジックミラーって、中が明るいと外からは素通しになるから、今バルコニーに誰かいたら、その姿、丸見えよね?」
「わたし、ちょっとそれ、見てみたいな。バルコニーの窓越しに、真夜中に外に向けて二穴全開にしているヘンタイ女の姿。写真も撮りたい」
 
 そこまで聞いて、怖くなってきました。
 つまり今、窓を開けちゃう、っていうこと!?
 お外から覗けちゃう状態にしちゃうっていうこと?
 私がこんな姿で、身動きも出来ないっていうのに?
 階下には管理人のおばさまもいらっしゃるのに?
 シーナさまなら、本当にやりかねない。

「お願いですシーナさま、許してください。それはお許しください。もう真夜中でみなさま寝静まっていますし、窓をガタガタさせたらご近所のご迷惑にもなっちゃうかもしれませんし・・・」
 絶望的な恥辱拘束姿で精一杯お願いしました。

「静かにしていれば大丈夫よ。このマンション、ワンフロア一世帯だし、四階だし、周りに高い建物ないし」
「直子さんは露出大好きマゾでもあるのだから、もし誰かに視られたら、一石二鳥じゃない?」
「それに、この部屋の中、だいぶ澱んじゃっているから、空気入れ替えましょう。春の夜風はきっと気持ちいいわよ?」

「でも、でも・・・」
「さっきわたし、こう言ったはずよ。つづけるなら覚悟を決めておきなさい、って。そんなふうに拘束されちゃったら、直子さんはもう、どんなことだって、わたしたちの言うことを聞くしかないの!」
 シーナさまが最後は少し怒ったみたいに、決めつけるようにお言葉を投げつけてきました。

「ふふん。直子さんが今、わたしに逆らったから、また面白いこと思いついちゃったじゃない。本当にちょっと外の空気を吸いたかっただけだったのに」
 悪い笑顔になったシーナさま。
 私のオモチャ箱をガサゴソし始めました。
 探し物はすぐにみつかったようで、私に近づいてきます。

「ほら。これしゃぶって」
 唇に押し付けられたのは、薄紫色卵形のリモコンローターの本体のほうでした。
「うぐっ!」
 口の中に押し込まれたローターをジュルジュル啜りました。
「自分の唾液でよーく消毒しなさい」
 すぐにローターのアンテナ部分の紐を引っ張られ、口から取り出されます。
「あぁんっ!」
 間髪を入れず、上の口に負けず劣らずヨダレを垂らして開いている私のアソコ奥へと、ヌプッと埋め込まれました。

「これだけ大股開きの上に潤滑油もたっぷりだから、難なくツルって入っちゃったわね」
 シーナさまが指に付いたのであろう私のおツユをペロッと舐めました。
 もちろん、もう片方の手にはローターのリモコンが握られています。

「いい?憶えておいてね、直子さん。わたしは今からそこの窓を開けるけれど、女性のヨガリ声って、意外と通るものなのよ」
「以前、真夜中に少し古めの4階建てくらいの団地の前を通ったとき、どこからともなく、なんとも艶かしい声が聞こえてきたことがあったわ」
「あたりがシンとしている中で、かなりハッキリ聞こえたの。荒い息遣いが。団地の窓灯りはほとんど消えていて、窓もみんなしっかり閉じていたのにね」
「まあ、ここは防音がしっかりしているほうだけれど、窓を開けちゃったら、話は別よね?」
「何が言いたいかわかる?聡明な直子さんならわかるわよね?」

 同時にローターが動き始めました。
「んふーっ!」
 これはたぶん、まだ弱。

「今の、んふーっ!っていうの、ずいぶん色っぽかったわね。もしも窓が開いていて、外に耳聡くてスケベなオトコがちょうど歩いていたら、気づかれちゃったかもよ?」
 ローターが止まりました。
「ご近所にヘンなウワサを立てたくないなら、それ相応の努力はしなくちゃダメよ?今日は猿轡も無しだから。わかった?それじゃ開けるからね」
 ガラガラガラー。

 私の目の前の大きな鏡が左のほうへとスライドし、眼前が闇の空間に変わりました。
 室内よりも少し冷たい空気がいっせいに流れ込んできて、私の剥き出しのからだを撫ぜ始めます。
 真夜中過ぎなので、お外はしんと静まりかえり、確かにちょっとした声でもよく通りそう。
「あら、思っていたよりは寒くないのね。気持ちいい。もう春だものね」
 シーナさまののんきなご感想。
 私は、いつローターのスイッチが入るかと、ビクビクしています。

「ねえ?バルコニーに出て、外から直子さんを眺めてみない?」
 幾分ヒソヒソ気味になったお声で、お姉さまにご提案されるシーナさま。
「えっ?でもあたしたちだって、この格好ですよ?」
 おふたりは今、黒のツヤツヤしたビスチェとTバックというボンデージファッションのお姿でした。
「だいじょぶだいじょぶ。真夜中だし、ここのバルコニー、目隠しの壁も高めで近くに高い建物も無いから」
 背を向けた、と思ったら身軽に身を躍らせ、ささっと私の眼前の闇に紛れたシーナさま。

 お姉さまは、少し躊躇っているご様子でした。
「あ、でも、ここに着いた早々、直子も真っ裸で、平気な感じでベランダに出ていたっけ」
 そんな独り言ぽいつぶやきと共に、手招きするシーナさまに引き寄せられるように、結局バルコニーの掃き出しを越えられました。

 灯りが煌々と照るお仕置き部屋の窓際で、恥辱の大開脚まんぐり返し拘束姿にされ、性器と肛門と顔を外に向けている私。
 目の前には真夜中の闇と外気。
 お部屋の光が漏れ出した薄闇の中で、愉しげに寄り添うふたりの女王様。
 おふたりとも黒いボンデージ衣装は闇に紛れ、お顔の輪郭とスラッとした腕と脚だけが闇に白く浮かび上がっていました。
 なんだか幻想的で綺麗だな、と思った瞬間、アソコの中でローターが暴れだしました。

「んぐぅっ!」
 零れそうな声を必死で喉の奥に押し込めます。
 この振動は強!最強!
 目をギュッと瞑り、歯を食いしばり、快感に必死に抗います。
 眼前で二度三度、フラッシュが閃いたのが、瞑った目にもわかりました。
 こんな夜中にフラッシュなんか使ったら、私のお部屋が、このバルコニーが誰かに注目されちゃうかも。
 そんな不安を抱きながらも、振動の快感がどんどん高まってきて、もう、もう声をがまん出来ない・・・

 ガラガラーッバタンッ!
 不意に、全身をくすぐっていた外気の愛撫が止みました。
 目を開けると、窓がピッタリ閉じています。
「んんんんーーっ!」
 状況を理解すると同時に、喉の奥から淫靡な喘ぎが洩れ出していました。

「んふぅー、んぁふぅーんっぅぅぅ・・・」
 一度堰を切ると、もう喘ぎ声の洪水は止められません。
 止めなきゃ、いつまた窓が開くかわからないのだから、止めなくちゃ・・・
 頭ではわかっているのですが、喉が勝手に啼いてしまいます。

「んんっふぅぅぅ、はぁぁぁんっ」
 腰がフワフワ浮いて、どんどん気持ち良くなってきています。
 不自由なからだをよじりながら身悶えます。
 お外でまた、フラッシュが光ったみたい・・・
 ああんっ、もうだめぇぇぇ・・・

「んんっ、んんっんっ、んっ、んっ、んっ、ぅぅぅぅ・・・」
 もはや昂ぶりに身を任せ、高まりの頂点から身を投げる準備をし始めたとき、突然、再び窓がガラガラっと開きました。
「んんふぅぅーっ・・・」
 シーナさま、お姉さまと相次いでお部屋に入られたときも、私は普通に喘いでいました。
 すぐにバタンと窓が閉じられ、つづいてローターの振動がピタリと止まりました。

「知らないからね、直子さん?部屋に戻ろうと思って窓を開けた途端に、いやらしい喘ぎ声がわたしの横をすり抜けて、夜空を駆け抜けていったわよ?」
 シーナさまの愉快そうなお声。
「ほんの数秒だけだったけれど、わかる人にはわかるはずよ、何しているときの声なのか。誰の耳にも届いていなければいいけれどね」

 シーナさまのイジワル声も、今の私には馬耳東風。
 最後までイケなかったがっかり感だけが、全身に渦巻いていました。
「もっとも、さっきのは低めの唸り声ぽかったから、季節柄、どっかの野良猫のサカリ声と勘違いしてくれたかもしれないわね。そうだ!もう一度窓開けて、念のためにニャーッとか、叫んでおく?」
 イジワル顔で覗き込んでくるシーナさまのお顔を、私はなじるように睨みます。

「あらぁ?また拗ねちゃった。イケそうだったのね?それは残念でした」
「でもね、イカなくて正解よ。この後すぐに直子さんは、こんな電動オモチャより何百倍も気持ちのいい経験をするのだもの。快感を溜め込んでおいたほうが、いっそう気持ち良くなれるでしょう?」
 おっしゃりつつ、私に埋め込まれたローターをズボッと無造作に抜き、軽くピシャッとお尻をはたかれました。
「はうっ!」
 昂ぶりが名残惜しそうに減衰していく虚しさとクロスフェードして、シーナさまの今のお言葉への期待感が高まります。

「それにしても、バルコニーでマジックミラー越しに覗く直子さんの痴態は、本当にいやらしかったわよー。エロすぎ」
 シーナさまが、お姉さまに同意を求めるように何度も顎を上下させて、おっしゃいました。
「夜空の下で、ここの窓だけ闇の中に煌々と一際明るく、まるでライヴのステージみたいに浮かび上がっているの。それで、そのステージには、すっ裸でダルマのように拘束された女がひとり」
「そうそう。部屋の灯りがバルコニーに洩れて周辺が浮かび上がって、夜の野外劇場で何かのショーを観ているみたいだった」
 お姉さまも興奮気味に同意されています。

「直子が徐々に高揚していく様子が、ガラス越しにクッキリ浮かび上がって、映画を観ているみたいな感覚にもなったわ」
「えげつないくらい何もかも丸出しなのに、見せびらかすみたいにこっち向きで、どう見たってわたしたちに視てもらいたくてしている、っていう構図だったわよね」
「そうそう。していることはヘンタイそのものなのに絵柄的には幻想的で、直子の顔が切なげに歪むたびに、ゾクゾク感じちゃった。音が聞こえない分、些細なことでエロティックさって増すのね。ある意味、芸術的でさえあったわ」

「そうなのよ。わたしもそう思って、芸術っぽく撮れるかもって、窓越しにカメラ構えたのよ」
 シーナさまが、なぜだか自嘲的なお顔になってつづけました。
「だけどフラッシュ点けたら、こちら側のほうが明るくなるから鏡になっちゃうのね。カメラ構えた自分がハレーションぽく撮れてた。わたしって、ほんとバカ」
「仕方ないから絞り調節して、フラッシュ無しで撮ってみたのがこれ、どう?」
 
 デジタルカメラのモニター部分をシーナさまに突きつけられて、覗いてみました。
 暗がりの中に、今、鏡に映っているのと同じ、浅ましい姿の私が悩ましい顔をして、ソフトフォーカス気味に映っていました。
 確かにパッと見た感じ幻想的で、古いヨーロッパ映画の一場面にありそう、という意味で芸術的とも言えそうですが、私にとってはただの恥ずかし過ぎるえっち写真でした。

「あたし、決めました。夏になったら、夜そこにテーブル出して、冷えたワインでも飲みながら直子にオナニーショーをやらせてゆっくり見物しようと思います。そのときはシーナさんも必ずお呼びしますからね」
「いいわね。呼んで呼んで。知り合いたくさん呼んで、お金取っちゃおうか?」
「それに今度、うちのオフィスからここを望遠鏡で狙ってみて、覗けるようだったら、直子にベランダでオナニーさせる、っていう計画もあるんです」
「それも面白いわね。そのときもぜひ呼んでね」
「もちろん!」
 おふたりともひどくはしゃいで、しばらくおふたりで盛り上がっていました。

「さてと、そろそろ直子さんに、天国へ行ってもらいましょうか?」
 おしゃべりがひと段落した後、シーナさまがグラスのワインを飲み干し、舌なめずりみたいに舌を覗かせました。
「さっきイケなかったぶんまで、思いっきり乱れまくるといいわ。わたしの見たところ、直子さんには充分そっちの素質もありそうだし」

 鏡を遮るように、シーナさまが私の前にしゃがみ込みました。
 その目前には、さらけ出された私のふたつの穴。
「エミリーも新しい手袋を着けたほうがいいわ。それと、あのガーネットビーズを持ってきてくれる?そう、二本とも」
 ご自身も新しい極薄ゴム手袋を装着しながら、お医者さまみたく熱心に、私の穴ふたつを交互に覗き込んでいます。
 そんなにまじまじと視られると、今更ながらでも、やっぱりすっごく恥ずかしい。

「相変わらずグシュグシュなのね、直子さんのオマンコ。ローション要らずで助かるわ、って言いたいところだけれど、次のプレイは長くなりそうだし、痔とか、やっぱりなりたくないでしょ?」
 おっしゃりながら、傍らに置いていた何かを手に取りました。
「これ。アナル専用のローション。デリケートなここ専用に作られたものなの。気持ちいいのよ、このローション」
「滑りが良くて乾きにくいやつ。もちろんからだに無害な成分しか使ってないから安心して」
 なんとなくえっちな形のボトルを見せてくれて、愉しそうに笑うシーナさま。

「あ、エミリー、ありがと。手袋着けた?なら右手出して。ローション垂らしてあげる。あなたのドレイだもの、実技はあなたに任せるわ」
「エミリーがドクター、わたしはナース、クランケ直ちゃんのアナル開発ぅー」
 歌うようにおっしゃりながら、シーナさまの横にしゃがまれたお姉さまの右手のひらに、トロッとした透明のローションがたっぷり垂らされました。
「直子さんは、これをしゃぶって消毒してて。はい、口開けて」
「んぐぅっ」
 恐々開いた口の中に、珠が徐々に大きくなるように連らなったほうのガーネットビーズが押し込まれました。


就職祝いは柘榴石 14

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