2016年8月14日

オートクチュールのはずなのに 54

 楽屋口で迎えてくださったのは、ほのかさま。
 剥き出しになった私のおっぱいを一刻も早く隠さなくては、とでも言うような困惑された表情で、バスタオルを広げて待ち構えていてくださいました。

「お疲れさま」
 労るようなおやさしいお声とともに、背中から包み込むように、大きなバスタオルで私の裸身をくるんでくださいます。

 ほのかさまと抱き合うような形で、されるがままになっていたとき、ほのかさまの右肘が私の尖った左乳首にチョンと触れました。
「あうぅ」
 途端にビリリってそこから全身に電気が走り、思わずはしたない声が洩れました。
 ほのかさまが小さくビクンと震えて一歩退きました。

 私、すごく感じやすくなっちゃっている・・・
 全身の皮膚すべてが性感帯のよう。
 背中に触れているタオル地のザラザラした感触にさえ、ムラムラ昂ぶってしまいます。

「あらら。夕張さん、だいぶ出来上がっちゃったみたいね、顔がトロンて蕩けてる」
 少し離れたところで私たちを見守っていたしほりさまが、愉快そうにおっしゃいました。

「ああ、びっくりしたぁ」
 楽屋口のドアを開けて、リンコさまが戻っていらっしゃいました。

「まさか小夜ちんが、あんなに盛大に濡らしちゃっているとは、思わなかったよー」
「本当はステージでショーツまで脱がせちゃう段取りだったんだけどさ、あんなビチョビチョじゃ、お客様に引かれちゃうと思って、急遽中止した」
 
 呆れたようなニヤニヤ笑いを浮かべたリンコさまに手を引かれ、鏡の前に連れて行かれました。
 せっかくほのかさまが巻いてくださったバスタオルは当然のように剥がされ、おっぱい丸出し女の姿が鏡に映ります。

「ほら、ぐずぐずしないで、ショーツも脱いで!」
 リンコさまの口調、エス度が増しているみたい。
「は、はい・・・」
 みなさまが見守る中で身を屈め、自らショーツをずり下げました。

 私のマゾマンコとソコが密着していたショーツの裏側とのあいだに、か細くて粘り気のある、喩えて言うと納豆の糸のような線が何本も引いては途切れました。
 ショーツを足元まで降ろしても、まだがんばって引きつづける糸も何本かありました。

 そんな光景をじっと見つめている楽屋のみなさまの目。
 そして辺りに漂い始める私にとっては嗅ぎ慣れた、薄っすら磯臭いような淫靡な発情の臭い。
 ショーツの裏側にたっぷりねっとり染みついた、この夥しい粘液こそが、私の淫らなヘンタイ性癖を可視化する動かぬ証拠となっていました。

「チーフが前貼りを却下した理由がわかったよ」
 私の股間をタオルでぞんざいに拭いながらリンコさまがおっしゃいました。
「こんなにベチョベチョにしちゃったら、すぐ剥がれちゃうし、ベージュの前貼りは濡れ染みになると茶色く目立ってみっともないもんね」

 タオルを私のマゾマンコに押し付けて、ギュウギュウと膣の中にまで押し込むように、おツユを拭ってくださるリンコさま。
 私はもちろん服従ポーズで、その刺激の快感に耐えていました。
 リンコさまの傍らではほのかさまが、私が汚してしまった透明ショーツの裏側を真剣なお顔で、丁寧に濡れタオルで拭ってくださっていました。

「このショーツも会場のマネキンに穿かせなくてはいけないのでしたよね?」
 私の淫汁を拭い去り、なんとか透明度95パーセントくらいに戻ったショーツをつまみ上げ、ほのかさまがリンコさまに尋ねました。

「マネキンは仕方ないから諦める。本当は水洗いしたいところだけれど、しちゃうと終わりまでに乾かなそうだし。その感じでいいから、あとは楽屋で干しといて」
「商談会でお客様からご希望があれば、実物を手に取ってもらうことになるからさ」

 リンコさまがタオルを私の股間に押し当てたまま私の顔をじっと見てつづけました。
「濡れタオルで拭いただけじゃ、臭っちゃうかもしれないけどね」
 私に向けて、ニマッと笑うリンコさま。

 そのお言葉を聞いた途端、からだ中の血液がカッと燃え上がり、押し付けられたタオルに恥辱の元凶である淫汁がまた、性懲りもなくトロリと溢れ出たのがわかりました。

 次に着せられたのは、同じ透明素材にうっすら赤色が入ったドレスでした。
 よく海外の映画女優さんなどが華やかなパーティでお召しになっているのを見かける、肌の露出部分の多いセクシー系のイブニングドレス。

 ホルターネックのVラインが大胆に下腹部あたりまで切れ込んでいるので、正面からはおへそ下まで、側面からも横乳がほとんど丸見え。
 少し動いただけでもすぐ、乳首がコンニチハしちゃいそう。
 背中も、お尻の割れ始めくらいまで大胆に開いています。
 スレンダーラインの裾はかかとまであるのですが、左側に入ったスリットが腰骨のあたりまで切れ込んでいるので、脚を踏み出すたびに翻り、キワドイところまで露になりそう。

 そしてもちろん、赤みがかっているとは言え透明素材ですから、ドレスの下の私の裸は丸わかり。
 幅5センチくらいの布地の下で息づく乳首の硬直具合までも、肉眼でハッキリわかりました。

 今度は、こんなのを着て、みなさまの前に出るんだ・・・
 ドキドキとワクワクが、頭と心と下半身に充満します。
 私にはすでに、理性はほとんど残ってなく、自分のヘンタイ性癖の基準で物事を判断し始めていました。
 
 恥ずかしい姿の私を、みなさまに視ていただける・・・
 その悦びだけで全身が疼きます。
 一刻も早くステージに出て、お客様がたを私の姿で驚かせたいという気持ちで一杯になっていました。

 そんなふうにしてショーは進んでいきました。

 シースルー素材の次は、ボンデージ系。
 キャットスーツというのでしょうか、ラテックス素材で首から下すべて、手の先から足の爪先までピッタリと覆われるボディスーツ。

 本当にピッタリ誂えたように、私の裸のボディラインそのまんまに素肌に吸いつく極薄ボディスーツ。
 これは本来、絵理奈さまのサイズに合わせて作られたのですから、他の人には着こなせません。
 だけど私にも見事にピッタリで、そのことを見極められた綾音さまのデザイナーとしての眼力に、今更ながら感心してしまいました。

 こういうアイテムは着たことがなかったので、鏡に映った姿を見たときは衝撃でした。
 最初に着せられたのは、真っ白な地にところどころラインの入った、超有名な人気SFアニメに出てくる、プラグスーツを思わせるデザインでした。

 その剥き出しなボディラインとラテックス素材の光沢が艶めかしくて、まさに裸よりエロティック。
 これも独自開発した新素材のラテックスだそうで、本当に極薄で、乳首の形も、股間のスジの食い込みも、まるで何も着ていないかのように見事に浮かび上がっていました。

 着心地も衝撃でした。
 水泳の水着やバレエのレオタードとも違う、肌に吸いつくような悩ましい密着感。
 初めはひんやり感じた素材が、体温で温まって一体化し、それでなくても敏感になっている全身の肌の触感がざわめきだします。
 どこもかしこも常に誰かに触られている感じ。
 これを身に着けたまま、麻縄でギュウギュウに縛られたら、すっごく気持ちいいだろうな、なんて、ふと考えちゃいました。

 2着めのキャットスーツは渋いモスグリーン。
 こちらはご丁寧にも、おっぱいのカップ部分と下半身のクロッチ部分だけ別素材で、特殊なジッパーで着脱出来るようになっていました。
 そしてもちろん、ステージ上で服従ポーズになり、リンコさまの手でその部分を外されました。

「絵理奈さんだったら当然、ニプレスと前貼り、してあげたんだけどね」
 外す寸前、リンコさまが小声で、からかうようにおっしゃいました。

 明るいステージの上。
 ボディラインも露なエロティック衣装の私に、お客様がたの視線が集中する中。
 全身モスグリーンの中で剥き出しとなった3箇所の、誰の目にもあからさまに欲情しているとわかる生身の肌色部分は、さぞかし卑猥に目立っていたことでしょう。

 つづいては、カジュアルラインコーナー。
 街中でも着て歩けるエクスポーズ服、というコンセプトなのだそうですが、どのアイテムも、とてもそうは思えませんでした。

 まずは、ロリータっぽいハイウェストジャンパースカート。
 ドイツの可愛らしい民族衣装=ディアンドル風の、おっぱいのすぐ下にハイウエストの切り替えが来て、おっぱいをドーンと強調しちゃうアレです。
 赤、緑、黒のチェック柄でメルヘンチックなジャンパースカートに白のフリルブラウスを合わせます。

 襟元にえんじのリボン、パフスリーブでふうわり王子様袖という、超可愛らしいデザインのフリルブラウスなのですが、丈だけが異様に短いんです。
 おっぱいの乳首、そのすぐ下くらいまで。
 下乳丸出し。

 ベリーダンスの人がよく着ている、両袖を通した胸が隠れるくらいのボレロ、を思い浮かべてくださるとわかると思います。
 それのボレロ部分がおっぱいの半分までしか届いてないわけです。
 ジャンパースカートの胸当て部分が、そのすぐ下に来て、半分だけ隠れたおっぱい部分をボーンと強調するみたくウェストを引き絞っています。
 ノーブラでそれを着ると、まっすぐ立っていればスレスレでやっと乳首が隠れる感じでした。

 おまけに、ジャンパースカートも超ミニで、膝上20センチ以上。
 ちょっと前屈みになればお尻丸出しになるのは確実でした。

「本当は、可愛い見せパンも穿くんだけれど、小夜ちんが穿いてもまた汚しちゃうだけだから、ノーパンでいいよね」
 リンコさまのイジワル声でステージに送り出されました。

 次に着せられたのは、一見、ストンとしたラウンドネックのシンプルなワンピース。
 色は肌色に近いベージュで七分袖の膝丈。
 なのですが、両サイド裾から腋下のところまでスリットが入っていました。

 つまり、このワンピースを素肌に着ると、一枚の細長い布地を両肩で折り返して、からだの前後に長方形の布を一枚づつぶら下げているだけ、みたいな状態。
 繁華街などでたまに見かける、からだの前と後にお店の広告看板をぶら下げて宣伝されているサンドイッチマンの人みたいな格好を、裸でしていることになるんです。

 その状態でウエスト部分を黒いベルトでキュッと絞られました。
 ウエストを起点にして、上半身は、胸側に一枚、背中側に一枚、下半身は、お腹側に一枚、お尻側に一枚の布に分割されました。
 横から見たら、前後の布のあいだから横乳、脇腹、太腿まで丸見えです。

 おまけに生地がとてもスベスベ柔らかくて軽いこともあり、からだにくっつけばラインがクッキリ、少し動いたらヒラヒラして、裾が大げさにフワリという仕様。
 腕を振ってランウェイを歩くと、上半身の布がベルトを起点にどんどんせり上がってきて、楽屋に戻る頃には、側面がら空き、横からなら乳首までおっぱい見え放題な状態となっていました。

 その次のアイテムは、パンツルック。
「今日の中ではこれが一番、完成まで試行錯誤したんだ」
 と、リンコさま一推しのアイテムでした。

 渡されたのは、一見普通のブルージーンズ。
 でも股上が異常に浅い?
 まず右脚から通すと、足周りはジャストフィットなスリムジーンズ。
 つづいて左脚を通して腰まで上げました。

「えっ!?」
 思わず絶句してリンコさまを見ました。
「凄いでしょ?」
 ご満足そうなリンコさまの笑顔。

 ほとんど股上がありませんでした。
 両腿の付け根から上には、ほんの数センチほどの布地しかありません。
 前は、性器のスジ覗き始めから、後ろはお尻の穴がギリギリ隠れるくらいだけしか覆ってくれていません。
 例えて言うなら、腿までのストッキングをそのまま右左縫い付けて、股上として幅数センチの腰周りをくっつけた、という感じ。
 ウルトラスーパー超ローライズジーンズ。

 かろうじて恥丘の上に来たボタンを留めます。
 当然ジッパー部分は無し。
 鏡には、左右の大腿骨付け根からのラインが作る三角形の下腹部すべてが露出した私の下半身が映っていました。
 後ろを向くと、お尻の割れスジも三分の一以上はみ出しています。

 このジーンズって、絶対しゃがめないよね・・・
 しゃがんだ途端に股上が腿の方にずり下がって、前の穴も後ろの穴も丸出しになっちゃうはず。
 鏡の自分を視つめながら、ステージ上でしゃがんだ自分の姿を想像していました。

「いかにギリギリまで攻めるか、苦労したんだ。弾力のいいコットンとか探してさ」
 私のほぼ剥き出しな下半身を至近距離からじーっと見つめつつ、リンコさまが感慨深げにおっしゃいました。
 確かに腰の動きに合わせて生地が伸びる感じで、穿き心地はすっごくいいんです。
 それを伝えるとリンコさまは、がんばった甲斐があった、って喜んでくださいました。

「こんなの、普通にヘアのある人は、ショーツ着けたって恥ずかしくて穿けないでしょう?まさに生涯パイパンなナオコ、じゃなくて小夜ちんのため、みたいなデザインじゃない?」
「小夜ちんの性器、絵理奈さんより上付き気味だから、ボタンがスジにギリギリだけど、きっと小夜ちんには、そのほうが嬉しいでしょう?」
 イジワルっぽくおっしゃったリンコさま。

「モデルが絵理奈さんだったら、白いTバックショーツを下に穿く段取りだったんだ。ノーパンだとあまりに生々し過ぎるし」
 独り言っぽくつぶやかれてから、まっすぐ私の顔を見て、つづけられました。

「どうせ小夜ちんが会場歩いて帰ってきたら、股上の裏、ベチョベチョに汚しちゃうんだろうから、この試作品は小夜ちんにあげる。オフィスでもよくジーンズ穿いているじゃん。普段着で使うといいよ」
 その口調にエスっぽいニュアンスを感じて、私にはそれがリンコさまからの、オフィスでもこれを穿きなさい、というご命令に聞こえました。

 上半身には、アンダーバストギリギリ丈のパツパツな白チビTシャツをノーブラで着せられ、その上に前開きのラフなデニムジャケットを羽織りました。
 ジャケットのボタンは、おへそから裾まで留めます。
 ボタンを留めている限りは、下のジーンズの股上がどうなっているのか、お客様にはわかりません。

「ランウェイの端に行ったら自分でジャケット脱いで、肩に担いで颯爽と帰って来なさい」
 リンコさまからのご指令。
 ジャケットを脱いで無毛な恥丘丸出しになったときの、驚きと戸惑いが入り混じったような会場のざわめきは、一際大きいものでした。

 そんなふうに、破廉恥な衣装を取っ換え引っ換え着替えさせられては、お客様がたの前に出るという行為を、私は愉しんでいました。
 どんなにキワドイ衣装を着せられても、早くみなさまに視ていただきたい、と思う気持ちのほうが、戸惑いや羞じらいよりも、あきらかに勝っていました。
 私のマゾ的妄想の中でも、幼い頃から一番根強く巣食っていた公然羞恥露出願望が遂に実現して、ヘンタイ性癖の塊と化してしまった私は、今のこの状況に酔い痴れていました。

 私の一挙手一投足を熱っぽく視つめてくださるお客様がたの視線。
 私が動くたびに、一斉に動くたくさんの頭。
 一枚脱ぐたびに、起きるどよめき。
 ステージを去るたびに、鳴り響く拍手。
 それらすべてが私を性的に興奮させていました。

 お客様がたの表情を見渡す余裕も出来ていました。
 私が出てくるたびに身を乗り出すように見つめてくる、最前列にお座りの艶やかに着飾ったご年配のおばさま。
 ランウェイの中ほど左側にお座りの、私と年齢がそう変わらないであろうビジネススーツの女性は、私が前を通るたびに傍目でわかるほど頬を紅潮させ、気恥ずかしそうに、それでも真剣なまなざしで私の姿を追っていました。

 目線は私に向けたまま、お隣の人と何かヒソヒソ話されている人。
 私の顔とからだを交互に見ては、ずっとニヤニヤ笑っている人。
 何度かオフィスでお見かけしたことのあるお顔もいくつかありました。
 驚嘆、好奇、侮蔑、憐憫、嗜虐・・・
 すべてのまなざしが私に何かを訴えかけていました。
 
 そんな中を私は、外見は努めて無表情を装いながら、内心では淫らなことばかりを考えていました。
 
 もう少し胸を張ったほうが、ノーブラ乳首のポッチが目立つかも。
 もっと大きく腕を振れば、生乳首がお外に飛び出したままになるかな。
 ランウェイ端の回れ右のとき、勢い良くターンしてスカートの中身まで視ていただこう。
 歩いているうちにジーンズのボタンが弾け飛んで、マゾマンコ全部見えちゃえばいいのに。

 とにかく自分のもっともっと恥ずかしい姿を、みなさまにさらけ出したくて仕方ない気持ちになっていました、
 私のどうしようもない、ふしだらなヘンタイ性癖を余すこと無く見せちゃいたい・・・

 楽屋に戻るたびに、はしたなく濡らした股間をリンコさまにからかわれながらギュウギュウ拭かれました。
 乳首が勃ちっ放しでスゴイね、ってしほりさまに感心されました。
 次々とふしだらな格好をさせられる私を見る、ほのかさまの憐れむようなまなざしに、マゾの血がキュンキュン疼きました。
 火照って火照って喉が乾くので、戻るたびにスポーツドリンクをゴクゴク飲み干しました。

 カジュアルラインコーナーの次は、プレイルーム編。
 ショーも終盤にさしかかっていました。
 ここからは、よりエロティックさを追求した、女性のためのセクシープレイアイテムばかりとなるそうです。

 最初のアイテム、文字通り乳首と股間のスジをギリギリにしか隠せない極小マイクロビキニを着せられた私は、とてもシアワセそうに見えたと思います。

 ああ、今度はこんな恥知らずな水着を着た私のからだを、お客様がたに視姦してていただけるんだ・・・
 今までに味わったことのある、どんな種類の気持ち良さとも違う、恍惚とする性的高揚感に、身も心もすっかり支配されていました。

 今さっき身に着けたばかりなのに股間をわずかに覆う小さな白い布地は、しとどに濡れそぼり、スジをクッキリ浮き上がらせてベッタリ陰唇に貼り付いていました。


オートクチュールのはずなのに 55


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