2014年4月13日

コートを脱いで昼食を 30

「はい・・・」
 お答えしてから私は、両腿をぴったりと合わせたままゆっくりと立ち上がり始めました。
 腰を上げた拍子に内腿同士が擦れ、その部分がヌルッとしているのが自分で分かりました。
 視界が上がっていくにつれ、私のアソコがみなさまに見えやすい位置まで上がってしまうことを、すごく意識してしまいます。
 意識すると、アソコの奥がチリチリ疼いてきます。
 ぬるんだ内股を、無性に激しくスリスリ擦りつけたくてたまりません。
 なんとかがまんしつつ完全に立ち上がると、自分でたくし上げているTシャツから下の裸部分、おっぱいから足首までがすべて無防備に、みなさまの視線に晒されました。

「まずは前からね。どのへんに貼ろうかしら?」
 シーナさまが桜子さまに尋ねると同時に、
「ワオ!インクレディボーボールドプッシーー!ソークール!ジャスタウェイト!アワナテイカピクチャーウイズハー!」
 突然エレナさんの興奮されたご様子なお声が響きました。

 エレナさんは跳ねるように試着室のほうへ駆け出し、すぐ戻ってきました。
 手にした携帯電話を嬉しそうにシーナさまに渡し、私の横に寄り添ってきます。
 私の右脇にピッタリと身を寄せ、
「オモイデ、オモイデ!ネッ?」
 と笑いながら私の顔を覗き込んできました。
 左脇にシルヴィアさんもやって来ました。
 両脇に彼女たちの体温を感じて私はもうドッキドキ。
「ひゃん!」
 左隣のシルヴィアさんが右手をこっそり下に伸ばし、私の裸のお尻をそっと撫ぜたようでした。
 やれやれ、という感じで、座ったままの桜子さまが小さく笑いました。

「オーケー、ユーレディ?セイ、チーーーーッズ!」
 あれよあれよと言う間に、シーナさまが何度もシャッターを押しています。
 美形の外国人さんに挟まれたおっぱい丸出しな私の写真が、何枚もあの携帯電話の中に記録されちゃっているのです。
 いやん、恥ずかしい。
 きっと、こっちでもご自分のお国に戻っても、何人もの人に私のおっぱい写真を見せちゃうのだろうな・・・
 あっ!そう言えばさっきエレナさん、プッシーがどうとかおっしゃっていたから、シーナさまのことだもの、きっと下まで入るように写しちゃっているはず・・・
 両脚ぴったり閉じているから、携帯電話のカメラの解像度なら、ただの無毛な土手にしか見えないだろうけれど。
 おかっぱウィッグで普段とはずいぶん雰囲気の違う顔なことだけが、せめてもの慰めです。

「ほら直子、もっと愉しそうな顔をなさい!」
 シーナさまがからかい口調で私に投げつけてから、つづけてエレナさんたちに何か外国語でおっしゃいました。
 それを聞いたシルヴィアさんが、すっごく嬉しそうに大笑いした後、オッケー、と大きなお声でお答えしました。
 私のお尻をずっとやんわり掴んでいたシルヴィアさんの右手が離れました。

「ラストワン!レディ?トレイ、ドイ、ウヌ!」
 シーナさまのドイというお声のあたりで、シルヴィアさんたちがからだを動かす気配がありました。
 横目で見ていると、シルヴィアさんはドレスのVラインを左右に押し広げ、エレナさんはハート型からつづくジッパーを一気に下へおろしました。
 えっ!?まさか・・・
「ナイスブーブス!ステイ!ワンモア!」
 何度かシャッターを押したシーナさまが構えていた携帯電話をたたんだのを見て、私は左右の彼女たちに素早く視線を走らせました。

 ぽってりとしてボリューミーなシルヴィアさんの巨乳。
 ツンと上向き乳首にもぎたての桃の実のようなエレナさんの美乳。
 おふたりとも自ら胸元を開き、見事なおっぱいをお外にこぼれ落としていました。

「センキュー、マゾッコナオチャン!アイラァビュー!」
 おふたりが私を左右からやんわりハグしてきて、ほっぺたにチュッチュッてキスしてくれました。
 私はボーっとして硬直、されるがまま。
 おふたりの剥き出しなバストが左右から両腕に当たり、その体温と少し汗くささの混じったローズ系パフュームの良い香りに、頭はクラクラからだはムラムラ。
 だけどなぜだかからだが動かず、Tシャツたくし上げな直立不動のままでした。

 シーナさまから携帯電話を受け取った彼女たちは、はだけた胸元はそのままに、再び試着室のほうへ楽しそうに戻っていきました。
 まだ試着したいドレスがあるのでしょう。

「陽気でいいわよね、外国の子たちって」
 純さまが半分呆れたようなお顔でおっしゃいました。
「直子、よかったじゃない?お仲間と写真が撮れて。抱きつかれてムラムラしちゃったんじゃない?」
 シーナさまがからかうようにおっしゃってから、ふと試着室のほうへ視線を向けました。
 つられてそちらを見ると、シルヴィアさんが再び着替え始めているところでした。
 って、なぜわかるかと言うと、シルヴィアさんたら、試着室のカーテン開けっ放しで青いドレスを脱いでいるのです。
 試着室の中で後ろ向きになった上半身裸の真っ白な背中とまあるいお尻がこちらを向いていました。

「やれやれ。もう好きにさせておくわ。今日のここはそういうお店、っていうことで、ね?」
 純さまが自嘲気味に笑いながら、周りの人たちを見回しました。
 つられて私も視線を上げると、あれっ?
 いつのまにかギャラリーさんが増えていました。
 私と同い年くらいの比較的地味めな服装、おひとりはベージュのブレザーに膝丈のスカート、もうおひとりは水色のフリルワンピース、の学生さんらしき女性がおふたり、シーナさまたちの背後の少し離れたところから私をじーっと見ていました。

「あら、いらっしゃいませ。驚いた?これはね、スキンアートの実演なの。これからこの子の下半身にシールを貼れば完成なのよ」
 シーナさまが気さくな調子でその子たちに呼びかけました。
「こんな格好でも同性だし気にならないでしょ?よかったらゆっくり見ていってね。この子は見られたがりのヘンタイだから」
「あ、はい・・・面白そうだから見ていきます」
 興味津々というお声が返ってきました。
 ああん、シーナさまのイジワル・・・

「でもね、ここにも夕方になると男性客が来ることもあるんですよ。ほら、シルヴィアたちみたいなお店のお客さんとか・・・」
 純さまがシーナさまに相談するみたく問いかけました。
「ああ。ドーハンってやつね。嬢がお客さんにねだって何か買ってもらおう、って」
「そうそう。だからあんまりこういう無法痴態もつづけていられないんですよね、残念ながら」
「それならさっさとすませちゃいましょう。桜子さん、お願いするわ。蝶々のシールだったわね」
「はい。シーナさんからは、何かご希望あります?」
 シルヴィアさんたちとの記念撮影をニヤニヤ顔でご覧になっていた桜子さまが、やっと出番がきた、というお顔でシーナさまに尋ねました。

「うーん・・・時間に余裕があれば、面白いアイデアがあるのだけれどねー」
 シーナさまが、周りのみなさまにご説明するかのようなワザとらしい、お芝居がかった口調でおっしゃいました。
「ほら、この子って見た通り、けっこう上付きじゃない?こうしてまっすぐ立っていてもワレメちゃんのスジが正面からクッキリ見えるほど」
 私の下半身を指さしながら周りを見渡しつつ、つづけました。
 シーナさまのご指摘で、周りのかたたちの視線が一斉に私の剥き出しな無毛の股間に注がれるのがわかりました。
 うぅっ・・・
 ピッタリと閉じた襞を抉じ開けるように肥大化している肉の芽が、奥でズキズキと疼きます。

「だから、そのスジを蝶々の胴に見立てて、左右の内腿に開いた羽をそれぞれ貼れば、直子が脚を動かすたびにパタパタ羽ばたいているように見えるかな、って」
 シーナさまのお言葉に、試着のお客様と新しいギャラリーさんたちがクスクス笑っています。
「あ、それ、ワタシも考えました。ご依頼いただいて最初に思いついたのが、それでした」
「ねー。絶対お似合いよね?ヘンタイ直子になら」
「でも、それするにはやっぱり寝そべってもらわないと・・・」
「そうよね。今は時間がないし、今度にしましょう」
 あっさりシーナさまが却下され、みなさまの前でそうされることを想像してドキドキしていた私は、安堵ほぼ100パーセントでちょっぴりだけがっかり。

「まあ無難に、そのスジの割れ始めあたりに一匹って感じかしら?」
「そうですね。今まさにバストのお花にめがけて飛んでいく、みたいな感じでやってみましょう」
 桜子さまの手にあるのは、5センチ四方くらいの綺麗な青い羽を広げた蝶々のシールでした。
 桜子さまが椅子から立ち上がりました。

「このへんでいいですか?」
「ぁあんっ!」
 私の傍らに来た桜子さまが、右手人差し指でちょこんと、私の下腹部の割れ始めギリギリのあたりを撫ぜました。
 微妙な位置を刺激されて思わず声を洩らしてしまう私。
「そうね。そこでいいわ。桜子さんにお任せするから、ご自由にやっちゃってちょうだい」
 シーナさまはそう言い残し、新しいギャラリーさんのほうへ近づいていかれました。

「ねえナオ?そんなにぴったり脚を閉じていたらちょっとやりにくいのよね。皮膚も撓んじゃうし」
 私の前に立った桜子さまが冷たい感じでおっしゃいました。
「少し自然な感じに脚を開いてくれない?気をつけ休めの休め的な感じで」
「脚を・・・開くのですか?・・・」
 ついにそのときが来ちゃった、という絶望的な気持ちで、桜子さまを上目遣いにすがる思いでお尋ねしました。
「そうよ。早くしてっ!」
 あくまでも冷酷な桜子さま。

 今、脚を開いちゃったら、タンポンの防波堤がとっくに決壊している私の股間から、ヘンタイ淫乱マゾの証明となる液体がトロトロ溢れ出してしまうことは、わかりきっています。
 それどころか、おそらく小指の先くらいにまでピンク色に膨れ上がっているはずな私の欲望の塊も、みなさまの眼前に曝け出されてしまうことになるでしょう。
 それを見れば、どんなにウブな人だって、その女が性的に興奮状態にあることは一目瞭然。
 そして、こんな街中の明るいお店の一角で、見知らぬ人たちを含む数人に囲まれた中でそんな状態になる女は、紛れも無くアブノーマルな露出狂以外の何者でもない、ということも。

 今日シーナさまに出会ってから今までのことで蓄積されてきたすべてのムラムラが一気に昇華しようとしていました。
 もうどうなってもかまわない。
 私の恥ずかしく浅ましい姿を、ここにいるすべての人たちに嘲笑って欲しい、軽蔑して欲しい、辱めて欲しい。
 そして私を恥辱のどん底に叩き落して欲しい。
 私の理性の最後の箍が弾けたようです。
 死にそうなくらい恥ずかしい気持ちなのに胸がどんどん高鳴って、心地良い陶酔感がからだ中に押し寄せました。

「・・・わかりました」
 桜子さまをまっすぐに見つめて、私は右足をジリジリと外側にずらし始めました。
 くっついていた内腿が離れ、まず白くて短い紐がぷらんと、私の両脚付け根から垂れ下がりました。
 おおお、と、どよめくみなさま。
 両脚を閉じているあいだは見えなかったから無理もありません。
「あれはタンポンよ。と言っても生理ではないのだけれどね」
 いつのまにか新しいギャラリーおふたりを前へとお連れしていたシーナさまが、桜子さまのすぐ後ろでおふたりに笑顔でご説明されています。

 そうしているあいだにも、私はジリジリと両脚を開いていきました。
 ワレメの襞が割れるのを感じると同時に、右内腿を粘質な液体がトロトロっと滑り落ちていきました。
 腿をつたい、ふくらはぎをつたって踵へ。
 両足の間隔が開くにつれ、左腿にもおツユがつたう感触。
「あらあら、やっぱり垂れ流し状態ね」
 シーナさまのイジワルなお声。
 恥ずかしさでバクハツしそう。
 それでも私はすでに観念していましたから、口を真一文字につぐんでシーナさまたちを見つめていました。
 心の中で、もっと視てください、もっと蔑んでください、とお願いしながら。

「純ちゃん、どうしよう?床にもタオル敷こうか?」
「ううん。もういいですよ。後でモップで拭けばいいだけから。こうなったら、どれくらい溢れちゃうのか、とことん見せてもらいますよ」
 純さまが苦笑いを浮かべ、私の顔とアソコを交互に見ています。
「それだったら靴が邪魔ね。靴がおツユを吸っちゃうもの。直子、そこで靴脱いで裸足になりなさい」
 シーナさまのきっぱりとしたご命令。
「みんなが驚くくらい、床に水溜りが出来るはずよ」
 嬉しそうにみなさまを振り返るシーナさま。

 お言いつけ通り、その場で軽く膝を曲げ、履いていた靴を脱ぎました。
 バレエシューズ風のフラットなパンプスだったので、脱ぐこと自体は簡単だったのですが、膝を曲げたおかけで股間が大きく割れてしまい、溜まっていたおツユが待ちかねたようにダラダラと両脚を滑り落ちていきました。

「ほら、もうあんなに水溜り」
 シーナさまが嬉しそうに私の足元を指差します。
「うわー。あの人、かなり本気なんですね。愛液、けっこう濁っていません?」
 新しいギャラリーのおひとりが口にされたお言葉に、からだがカァーッと熱くなりました。
「いいところに目をつけたわね。あんな格好してみんなに視られて、もう何時間もひっきりなしにビンビン感じちゃってるから、きっとアソコの中もずっとウネウネ蠢きっ放しなのよ」
 シーナさまが嬉しそうに引き継いで、つづけました。
「たぶん膣が無駄にキュッキュ締まって、膨らみきったタンポンをグイグイ絞っていることでしょうよ」
 蔑みきったシーナさまの口ぶりに、私のアソコが懲りもせずキュンキュン感じてしまいます。

 ひとしきり笑われたあと、不意にみなさまが静かになりました。
 シーナさまだけは、相変わらずニヤニヤ笑っています。

 私は、両足のあいだを40センチくらい開いて、いわゆる、休め、の姿勢で立っていました。
 このくらい脚を開くとラビアが少し割れ、そのちょっと奥で包皮を完全にめくり上げるほど肥大したピンクの肉の芽が、外界に姿を覗かせているはずです。
 事実、シーナさま以外のみなさまの目はすべて、その部分を凝視されていました。

「おっきい・・・」
 試着のお客様の独り言みたいなつぶやき。
「直子のオマンコって、閉じているときは柏餅みたいにプックリしてとても可愛いのに、ちょっと開くと中身は例えようもないくらい卑猥なのよねえ」
 シーナさまのお下品なご説明がお言葉責めの矢となり私の敏感な芽をつらぬいて、いやらしいよだれが足元にヒタヒタと溜まっていきました。


コートを脱いで昼食を 31

2014年3月30日

コートを脱いで昼食を 29

「ハーイ、マゾッコナオチャン。ワタシ、セクシーデスカ?」
 シーナさまったら、シルヴィアさんになんていう日本語を教えているんだか。
 桜子さまのお道具が置いてあるテーブルのすぐそばまでやって来たシルヴィアさんは、ピルエットぽく、その場でクルッと綺麗に一回転されました。
 ドレスの裾がフワッと舞い上がり、深いスリットが大きく割れて、白くて張りのある両太腿の大部分が露になりました。

 間近で見ると本当に肌が綺麗。
 大きく開いたホルターネックから零れ落ちそうに覗いている真っ白な胸元のふくらみに淡く青い血管が浮いていて、眩暈しそうなほどに艶かしい。
 光沢のあるブルーの生地はずいぶん薄いらしく、シルヴィアさんの豊満なバストの先っちょが2つ、クッキリと浮き上がっています。
 キュッとくびれたウエストに手をあててポーズをとるシルヴィアさんの全身からほとばしるセクシーフェロモンにクラクラしながら、
「と、とてもステキです・・・」
 美しいお顔を見上げて、そう答えるのが精一杯でした。

 そうしているあいだに、再び試着室前から賑やかな嬌声が聞こえてきました。
 エレナさんも着替えを終えて、シーナさまとおふたりで盛り上がっているご様子。
 試着室のカーテン前でポーズを取るエレナさんは、真っ赤なチャイナ風のミニドレス姿でした。
 おふたりでひとしきり騒いだ後、エレナさんもシルヴィアさんと同じように、気取ったモデルウォークで嬉しそうに近づいてきました。

 からだの線がバッチリ分かるボディコンシャスなドレスは、胸元のところが大胆にハート型にくり抜かれていて、バストの谷間の大部分がクッキリ丸見え。
 バストトップもこれ見よがしにポチポチ。
 ハートの形の一番下からドレスの裾へとジッパーが一直線につづいているフロントジップアップなので、もしもそのジッパーを一気に下ろされちゃったら・・・
 チャイナドレス風ですから、首周りや袖部分はしっかり覆われているまま、バストから下全部が無防備な状態になっちゃうはず。
 そんな姿を想像をしたら、ゾクッとアソコが震えちゃいました。
 
 クルッと廻ると背中もⅤ字に大きく空いています。
 膝上20センチ以上ありそうな超ミニなのに、ご丁寧に脇にスリットも入っています。
 下着が見えないからノーパン?
 スラッと伸びた細い脚がすっごく綺麗。
 シルヴィアさんほどグラマラスではないエレナさんですが、スレンダーなからだつきにドレスのシルエットが見事にフィットしていて、色っぽさではまったく負けていません。
 コケティッシュ、って、こういう人を形容する言葉なんだろうなあ、なんて考えていました。

「うわーっ!なんだかうちのお店の中、ずいぶんナマメカシクなっちゃたわねえ!」
 試着のお客様のお会計を終えて戻ってきた純さまが、苦笑いを浮かべつつ、大きな声で冗談ぽくおっしゃいました。

 試着のお客様もショッパーを肩に、純さまと一緒に戻ってきました。
 セクシードレスのシルヴィアさんとエレナさん、そして私をまっすぐに見つめてくるそのまなざしが、好奇心で爛々と輝いています。
 なぜだかこんなところでほぼ素ッ裸になっている同年代くらいのヘンタイ女と、陽気なセクシー外国人さんおふたりとのなりゆきに興味津々なご様子で、驚嘆と軽蔑が入り混じったような、マゾの私にとってはすっごくズキンと来る、絶妙な笑顔を浮かべていました。

「こういうキャバドレスって、夜のお店の中でなら気にならないけれど、昼間の明るい光の中で見ると非日常感が強過ぎて、露骨にインビな感じよね?」
 エレナさんを追って戻ってきたシーナさまが、ニヤニヤ笑いで純さまに問いかけました。
「まあ、シルヴィアたちみたいな洋風の美形が着れば、それなりにサマにはなるけれど、でもやっぱりちょっと、スケベな刺激が強すぎるって言うか、着ていないのと同じって言うか・・・」
 純さまも笑いながら同意しています。
「でも、それよりももっと破廉恥な格好をした子も、なぜだかここにいるけれどね」
 シーナさまが私を見て、それから試着のお客様に同意を求めるように微笑みかけました。

 試着のお客様は、薄い笑いを口許に浮かべつつ無遠慮に私を眺め、小さくコクコクうなずきました。
 シルヴィアさんとエレナさんは、座っている私の両脇に立ち、BGMのヒップホップに軽くからだを揺らしながら、妖艶な笑みを浮かべて私を見下ろしています。
 私はと言えば、あまりの恥ずかしさで消え入りそう。

「あら?スキンアート、終わったのね。ステキじゃない!イイ感じ。桜子さん、さすがだわ」
 シーナさまが、今気がついた、という感じで少しワザとらしくおっしゃり、愉しそうに私に近づいてきて、腰を屈めて私のおっぱいを覗き込みました。
「ずいぶんオシャレに仕上がるのね。ほんと、アートって感じだわ」
「はい。ワタシ的にも満足出来る出来栄えですね」
 桜子さまもしばし私のおっぱいをじっと見つめ、それから私の顔に視線を移しました。
 私が伏目がちに見つめ返すと、桜子さまがニッと笑い返してから、シーナさまに向き直りました。

「それで、染料が乾くのを待つ間、サービスで蝶々のシールを貼ってあげる、ってナオに言ったんです。そしたら彼女たちが出てきて騒がしくなっちゃって・・・」
 桜子さまがシルヴィアさんたちに愛想よく微笑みかけてサムアップすると、おふたりはキャーキャー喜びました。
「そうなの?それならお言葉に甘えて、やってもらいなさいよ、直子。シールは、どこに貼るのがいいかしら?」
「やっぱり下半身じゃないですか?バランス的に。下着で隠れる場所に、っていうご指定でしたし」
「そうね。お花のあるところに蝶々はつきものだし」
「それでさっきナオに、前か後ろかどっちがいい?って聞いたところです」

 桜子さまのお言葉にシーナさまと純さま、そして試着のお客様の3人が一瞬、互いにすばやく目配せと言うか、アイコンタクトをされたように見えました。
 お3人のお顔が、面白くなってきたぞ、って書いてあるみたいに、みるみる愉しそうにほころび、じっと私のからだを見つめてきます。
「そうだったの。それで直子は、どっちにしてもらいたいの?」
 シーナさまが、私に注がれている好奇の視線の意味を、その場を代表するようにお言葉にされました。

 前、と言うと、アソコの周辺、土手のあたりに貼られることになるでしょう。
 そこに貼るためには、私のアソコ周辺に桜子さまが目一杯お顔を近づけてくることになります。
 そしてソコを、指でスリスリ愛撫されることになるでしょう。
 考えただけでゾクゾクします。
 すごくやって欲しいけれど、すっごく恥ずかしい・・・
 みなさまが見ている前で、いやらしい声が出ちゃったら、身悶えしちゃったらどうしよう・・・
 それに、桜子さまのお顔が近づけば、すでにお役目を果たしていないタンポンから溢れちゃった蜜の匂いまで嗅がれてしまうかも・・・

 後ろ、と答えれば、お尻。
 それなら私は桜子さまに背を向けることになります。
 桜子さまのお顔も見えないから、さほど恥ずかしくないし、お尻への愛撫なら声もガマン出来そう・・・
 お尻のほうが気が楽みたいかな・・・

「えっと、それではお尻に・・・」
 桜子さまにそう告げると、桜子さまのお顔が一瞬ほころび、すぐに、ふーん、てイジワルそうな笑顔に変わりました。

「本当にお尻でいいの?」
「えっ?あ、はい」
「ほんとにほんとにいいのね?」
「えっと・・・はい」
「後悔しない?」
「えっと・・・」
 桜子さまったら、何をおっしゃりたいのだろう?
 何か企みがあるのかな?
 お顔がとっても嬉しそう。

「ナオのお尻にシールを貼るなら、ナオには立ち上がってもらわなきゃならないわよね?」
「あ、はい・・・」
「それで、ナオにこの場で後ろ向きになってもらうことになるわよね?」
「・・・はい」
「その椅子の背もたれの向こうがどうなっているのか、わかっていて言っているのよね?」
「えっ?」
 したり顔な桜子さまのお言葉に、シーナさまたちも私の背後を見据えて、一斉にニヤッと笑いました。

「直子、そのままの姿勢でちょっと後ろ、振り向いてごらんなさい?」
 シーナさまに言われ、首だけ後ろに捻じ曲げて、籐椅子の背もたれの陰から顔を出してみます。
「あっ!」
 そうでした。
 この背もたれの背後は、全面透明ガラスの大きなショーウインドウになっていたのでした。
 椅子から窓までは約1メートルちょっと。
 今ちょこっと顔を覗かせてみただけでも、お外の通りを行き交う人たちの姿がハッキリと見えました。
 そして、ガラス窓に薄く映った、唖然としているおかっぱウイッグの女の顔。

「何を今更気がついたようなフリしているの?知っていたクセに」
 シーナさま、めちゃくちゃ嬉しそう。
「直子が立ち上がってわたしたちにお尻を向けたら、外からは直子の正面が丸見えになるのよね?」
「それも自らシャツをたくし上げて、見せつけるようにおっぱい丸出しにしたヘンタイ女丸出しの姿で」
 シーナさまの瞳がエス色に爛々と輝きます。
「それをしたかったのでしょう?だからお尻を選んだのよね?」
「そんなに誰彼かまわず見せたかったんだ、そのいやらしいおっぱいを。直子がそこまでヘンタイだとは、さすがのわたしも思わなかったわ」
 白々しいシーナさまの科白。

 確かに私がこの場で立ち上がれば、ショーウインドウ越しに外から丸見えとなります。
 シールを貼るだけなら1分くらいで済みそうですが、そのあいだ私はずっと、自分の手でTシャツをたくし上げておっぱいを露出したまま、お外に向いて立っていなければならないのです。
 幸い、籐椅子の背もたれが高いので、椅子を前にして立てば下半身は隠せそうですが、上半身と顔はハッキリ見えちゃうはず。
 
 そのあいだ、何人くらいの人が通り過ぎるだろう?
 裸の私に気がついちゃう人もきっといるはず・・・
 下半身がビクンビクンときて、チャレンジしてみたい気持ちもありました。
 でも、もしも知っている人が通りがかったら、知らない人だとしても写真とか撮られてネットに晒されちゃったら・・・
 なんて考えると、恐怖心のほうが何倍も勝りました。

「ご、ごめんなさい・・・許してください・・・やっぱり前にしてください」
 シーナさまと桜子さまを交互に見て、すがるようにお願いしました。
「ワタシは別にどっちでもいけれど。そういうのは本当のご主人様に決めてもらえば?」
 桜子さまが冷たく言い放ちます。
「呆れた子ね。自分でお尻がいいって言ったクセに、もう心変わり?なんだかわたしたち、バカにされているみたいよね?ねえあなた、どう思う?」
 シーナさまが不意に、試着のお客様にお話をフリました。

「えっ!?あ、そうですね・・・」
 急にお話をフラれて少し面食らった気味の彼女でしたが、すぐに薄い笑みを浮かべ、睨むように私を見つめてきました。
「最初にご自分でおっしゃったのだから、やっぱりご自分の発言には責任を持つべきだと思いますね」
 試着のお客様のお声は冷たく、私をいたぶることを愉しんでいるように聞こえました。
 同年代だからわかる、女子が本気で同性を苛めようとしているときの口調でした。

「よくわかりませんが、この人は・・・」
 と、試着のお客様が右手をまっすぐに伸ばし、私を指さしました。
「この人は、変わったご趣味の持ち主みたいですし、見せたいならどんどん見せればいいのに、取り繕おうとするところが逆にイヤラシイですよね」
 侮蔑100パーセントの口調で投げつけられました。

「なるほど。わかったわ。今のあなたの意見で決まったわ」
 シーナさまが試着のお客様に微笑みかけてから私に向き直りました。
「直子は、このお客様を不愉快な気持ちにさせちゃったのだから、相応の罰が必要よね」
「だから、みなさんの見ている前で両方にシールを貼ってもらいましょう。つまり、前も後ろも」
「シール代はちゃんと払うから、お願い出来る?桜子さん」
「あ、それは別にかまいませんよ。シールの一枚や二枚。喜んで両方やりますよ」
「ありがとう。それじゃああとは桜子さんに任せるわね。絶対服従よ、いいわね?直子!」

 カランカラン
 ドアベルが鳴って、純さまがレジのほうへ駆け出しました。
 シーナさまは、何語か分からない言葉でシルヴィアさんたちとお話されています。
 きっと彼女たちに今の状況をご説明されているのでしょう。
 試着のお客様はその傍らで、薄笑いのまま私を見ています。

「それじゃあサクッとすませちゃいましょう。ナオ、立ってくれる?」
 桜子さまがアーティストのお顔に戻っておっしゃいました。


コートを脱いで昼食を 30


2014年2月2日

コートを脱いで昼食を 28

 ブラシのか細い毛先がチロチロと、上気した肌をじれったく愛撫してきます。
 視線を落とすと、真紅の薔薇が濃い緑色の葉っぱを二枚従えて、右乳首の左斜め下に鮮やかに咲いていました。
 お花の大きさは、普通よりやや広めな私の乳暈とだいたい同じくらい。
 桜子さまのブラシが繊細に踊り、棘を散らした茎が乳房の上部分へ伸びるように描き加えられていきます。
 桜子さまのお顔は私のおっぱい目前まで迫り、掌がときどき肌を擦ります。

 その感触に集中してしまうと、どんどん高まるムラムラにいてもたってもいられなくなってしまいそうなので、気を逸らすために顔を上げました。
 試着室のほうを横目で窺がうと、どうやら普通に試着が始まったようでした。
 ぴったりと閉ざされたカーテンの前で、シーナさまがうつむいてケータイを弄っていました。

 カランカラン・・・ありがとうございましたー。
 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
 新規のお客様がお店に出入りする音が、頻繁と言うほどではない間隔で聞こえていました。
 そのたびにドキッとはするけれど、そのドキッは、さっきまでのような不安なドキッではなくなっていました。
 試着のお客様に視られたときに感じた、もっと視て欲しい、という自分のマゾ性丸出しのはしたない高まり。
 それをもう一度味わいたくて仕方なくなっている私。
 また誰かこっちに来ればいいのに、というふしだらな期待のドキドキに変わっていたのでした。

 見ず知らずの人に剥き出しのおっぱいを視られてしまうのは、それはもちろんすっごく恥ずかしいことです。
 でも、さっき試着のお客様からの視線を受けたとき、その恥ずかしさ以上の、なんて表現したらいいのか、息苦しいのに甘酸っぱいような、えもいわれぬ快感を感じていたのは事実でした。
 ありえない場所でありえない姿を晒している自分に対する自虐の昂ぶり。
 信じられない・・・正気なの?・・・露出狂?・・・ヘンタイ?・・・
 そんな視線の陵辱をからだの隅々にまで浴びてみたい。
 頭の中で渦巻く願望が抑えきれなくなっていました。

 根っから臆病な私がそれほど大胆な気持ちになれたのは、紛れもなく純さまと桜子さま、そしてシーナさまのおかげでした。
 私をからかい虐めながらも、同時に、社会的にヘンなことにならないようにいろいろ気を配ってくださっているのも感じていました。
 このかたたちがそばにいてくだされば、こんな場所でこんな姿をしていても、さほど大変なことにはなったりしないだろう、という甘えた安心感が私を大胆にさせていたのだと思います。
 ひとりアソビでは絶対に出来ない、不特定多数の人たちへの露出行為。
 シーナさまたちが整えてくださったそのシチュエーションに、私はどっぷり、ハマっていました。

「うん。サイズもバッチリですね。お客様、お顔が小さくて細身だから、シルエットもクールでぐうお似合いですよ!」
 試着室のほうが騒がしくなり、シーナさまと着替え終えたお客様が試着室の中の鏡を見ながら、ニコニコ顔でお話されています。
 お客様もお洋服を気に入ったらしく、お買い上げを決めたご様子。
 お洒落なワンピースを着たそのお客様は、薄い笑みを浮かべて鏡の中の私を一瞥してから、再び試着室のカーテンを閉じました。

 カランカラン・・・いらっしゃいませー。
「ハーイ、シルヴィア。ハーイ、エレナ。おひさしぶりー!」
「ハロー!ニュードレス、サガシニキマシタ」
 入口のほうからカタコトの日本語が聞こえてきました。
 どうやら外国人のお客様がいらっしゃったみたい。
 途端に店内が賑やかになりました。
 カタコト日本語と英語っぽい外国語によるハイテンションな会話が響き渡り、入口との目隠しのために移動したハンガーラックがユサユサ揺れ始めました。
 そのハンガーラックには、純さまおっしゃるところの、セクシードレス、がたくさん吊るされています。

「ワオ!ソゥセクスゥイー!」
「イッツキュート!」
「コレモカワイイ!」
「コッチモイイネー」
 ラックの向こう側でドレスを選んでいるのでしょう、楽しそうに弾んだお声が聞こえてきます。
 これって、ひょっとしたら・・・
 私のドキドキが一段と高まりました。

「キャナアイトライディスオン?」
「シュア。バットウェイトフォアラホワイル、ビコーズアナザカスタマー・・・」
 純さまが流暢な発音で応対されているのを聞いて、私のドキドキは最高潮。
 外国人さんたちが試着でこちらにやって来るみたい。

「はい。お疲れ様でしたー。こちらとこちら、両方お買い上げでよろしいですね?ありがとうございます」
 試着室のほうからもお声が聞こえてきました。
 試着室のカーテンが開け放されて、中の鏡に再び横向きな私の裸が映し出されています。
「純ちゃーん、お客様お買い上げでーす。フィッティングルームも空いたのでどうぞーっ!」
 シーナさまが大きなお声をあげながら、お客様と一緒に私のほうへと近づいてきました。

「はーい!オッケー、プリーズフォロウーミー・・・」
 純さまの元気の良いお声に導かれ、外国人さんたちがハンガーラックの陰から現われました。

 おふたりとも西洋系の整ったお顔立ち。
 白くて小さなお顔にパッチリな瞳、スッと通った鼻筋にアヒル口、誰が見ても、あ、美人さんだ、と思わざるをえない美形さんたちでした。
 ボリューミーなブロンドヘアーの人のほうが背が高く胸も豊かそうで、絵に描いたようなゴージャス系西洋美人さん。
 もうおひとかたは、栗色がかったブルネットのセミロングで、やや小柄で機敏そうな感じの小悪魔的な美人さん。
 おふたりともシンプルなブルゾンにジーンズと言うラフなファッションでしたが、そんな格好でも、夜のお仕事で培ったのであろう色っぽいオーラが全身から滲み出ていました。

 そんな彼女たちも私の姿をみつけると、試着のお客様と同じようにまず一瞬、息を呑んでその場に立ち止まりました。
 でもやっぱり外国人のかたはオープンなのでしょう。
 唖然としたお顔が瞬く間に興味津々のお顔に切り替わり、私のほうに駆け寄ってきました。

「ワオ!ワッツゴーイノオン?・・・タトゥ?」
「ナイスブーブス!イズディスジャパニーズボディペインティン?・・・」
 おふたりが私の傍らに来て、私の剥き出しのおっぱいを指さしながら口々に何かおっしゃっています。
 
 試着を終えたシーナさまたちもちょうど通りがかったところで、試着のお客様も今度は私の目前で足を止めました。
 そのお客様の目が、驚きでみるみる見開かれます。
 私が下半身も裸だということに気づかれたみたいです。
 伏目がちにお客様の視線を追うと、私の無毛な下半身を凝視して、それから私の顔を見て、おっぱいに移動してからもう一度私の顔に戻りました。
 そのときお互いの目と目が合ってしまいました。
 試着のお客様の瞳には、ありありと侮蔑の色が浮かんでいました。

 シーナさま、純さま、外国人の彼女たち、そして試着のお客様と、今や5人の女性がほぼ全裸の私を取り囲んでいました。
 そんな中でも黙々と作業をつづける桜子さま。
 外国人の彼女たちは、いつしか英語ではない、私にはわからないお言葉で声高々にお話されていました。
 シーナさまがそんな彼女たちの会話のお相手をされ、何やらご説明されています。
 試着のお客様は純さまと、私をチラチラ視ながらコソコソクスクス密談中。
 ああん、恥ずかしい・・・でも、もっと視て・・・
 桜子さまのブラシの愛撫を右おっぱいに受けながら、みなさまの不躾な視線を全身に浴びて、私はすぐにでもイっちゃいそうなくらいの昂ぶりを感じていました。

「ハズカシイデスカ?」
 桜子さまのブラシが交換のためか私の肌を離れたとき、ブルネットのほうの外国人さんが好奇心を抑えきれないご様子で、話しかけてきました。
 その瞳は遠慮無く、私の全身を舐めまわしています。
「ほら、直子さん?答えてあげなさい」
 シーナさまがニヤニヤしながらおっしゃいます。
「あ、はい・・・恥ずかしい・・・です・・・」
 私のすぐそばで腰を屈めている美形な外国人さんにお答えした途端に、股間がウルッとぬるみました。

「彼女たちはね、東欧から来ているんだって。ブロンドのほうがミス・シルヴィア。栗毛がミス・エレナ」
「ハジメマシテ」
 おふたり揃って、ペコリとお辞儀されました。
 再びブラシをかまえかけていた桜子さまは、作業に戻るタイミングを逸したようで、テーブルにブラシを戻し、ちょっと休憩ね、とつぶやいてニヤニヤしています。

「なぜこんなところで裸なんだ?日本ではこういうことが許されるのか?彼女は恥ずかしくないのか?とかいろいろ聞かれたから、丁寧に説明しておいてあげたわよ」
 シーナさまがイジワルそうに笑います。

「直子さんのバストに描かれている単語を見て納得したみたいね。ノーティだとかキンキーだとか、やっぱりニッポンジンはクールだけれどヘンタイばかりだ、とかいろいろ言っていたけれど」
 そうおっしゃってからシーナさまが彼女たちを振り向いてニッと笑いました。
 それを受けて妖艶に微笑み返すおふたり。
 私のおっぱいに描かれた単語は、Masochist と、まだ途中だけれど Exhibitionist。
 英語がわかる人なら、それだけで私のヘンタイ性癖はバレバレです。

「アナタノハダカ、トテモキレイデス。ソゥキュート」
 ブロンドのシルヴィアさんが私の目をじっと見ながら話しかけてきました。
「ダカラ、ミセタイキモチ、ワカリマス」
「ワタシモソウデスカラ。セクシーナドレス、ダイスキネ」
 私は何も言えず、魅入られたようにシルヴィアさんのお顔に見蕩れていました。
「ダカラ、コノドレスキテ、アナタニミセマス。ワタシモセクシーデスヨ?」
 シルヴィアさんがいたずらっぽく微笑みました。
「ダケドワタシハ、マゾヒストジャナイデスケド」
 そうおっしゃってパチンとウインクしました。
 私のからだ中がカーッと熱くなりました。

 シルヴィアさんとエレナさんが試着室に向かい、シーナさまがお手伝い。
 純さまとお客様は、お会計のためにレジのほうへ消えました。
 再びふたりきりになって桜子さまがブラシを手にされ、作業が再開しました。
 横目で窺がう試着室では、まずシルヴィアさんが中に入ったよう。
 カーテンの前でシーナさまとエレナさんが私のほうを向いたまま、何かおしゃべりされています。
 自分の胸元に視線を落とすと、そろそろ完成間近。
 薔薇の茎のようなグリーンの装飾字体が右乳首の下半分を囲むように弧を描き、逆から綴られてきたスペルの最初の E の字の装飾に取り掛かっていました。

 試着室のほうが騒がしくなり、また横目で窺がうと、シルヴィアさんが着替え終えて出て来たところでした。
「ワーオゥ!」
 エレナさんもシーナさまも大はしゃぎです。

 シルヴィアさんが試着したのは、光沢のあるブルーでテラテラな生地のホルターなノースリーブロングドレス。
 胸元のV字が大胆におへそのあたりまで割れ開いていて、横乳丸見え。
クルッと一回転すると背中もお尻の割れ始めあたりまで大きく開いていて、腿のスリットも腰まで切れ込んでいました。
 それなのに上も下も下着がまるで見えないっていうことは、全部脱いでから着たのかしら?
 大胆だなー。
 他人事ながらドキドキしてしまいました。

 交代にエレナさんが試着室へ入り、シルヴィアさんとシーナさんが何語かわからない言葉でキャーキャーおしゃべりしています。

「よーしっ!完成!」
 試着室に気を取られていた私は、あわてて桜子さまに視線を戻しました。
「フゥーーッ、フゥーーッ」
 桜子さまが私の右おっぱいに目一杯お顔を近づけ、尖らせた唇で完成したての作品に息を吹きかけてきます。
 火照った肌にこそばゆい感触。
「はぅぁ・・」
 思わず小さく吐息が漏れてしまいました。

「我ながらいい出来映えだわ。Exhibitionist はスペルが長いから、乳首の円周で収めるのが大変だったけれど」
「あ、出来たと言ってもまだ染料が乾いていないから、ナオはしばらくシャツ下げちゃだめよ?」
 イジワルくおっしゃる桜子さまも、心なしかお顔が紅潮されて、なんだか高揚されているみたい。
 前屈みだった姿勢を直されて、座ったまま私のからだ全体を、今更のようにしげとしげと無遠慮に眺めてきます。

 そんな桜子さまの視線が、ふっと私から逸れて右側に動きました。
 つられて私もそちらに視線を動かします。
 セクシーなブルーのドレスに身を包んだシルヴィアさんが妖艶な笑みを浮かべつつ、ファッションモデルさんのウォーキングみたいな優雅な足取りで私たちのほうに近づいて来るところでした。
 うわー、カッコイイ!
 桜子さまのお顔は、シルヴィアさんと私を見比べるように交互に動いています。

「そうだ!」
 桜子さまが不意にお声をあげました。
「染料が乾くまでただ座って待っているのもつまらないから、ナオにサービスしちゃうわ」
「そこに」
 おっしゃりながら座っている私の下半身を指さします。
「えっ?」
 おっしゃっている意味がわからずドギマギする私。

「シールをひとつ、貼ってあげるわよ。せっかく綺麗な花が2つも咲いたのに、蝶々がいないのはバランスが悪いもの」
「特別にサービスでやってあげる。時間的に模様は描けないけれどね。シールならすぐ終わるし」
 桜子さま、なんだか嬉しそう。
 それに気のせいか、目つきもいやらしくなっているような・・・

「それでナオ?どっちにして欲しい?お尻?それとも前?」


コートを脱いで昼食を 29