2016年10月30日

非日常の王国で 04

 先頭に立って社長室のドアを出て行く、コスプレ姿のミサさま。
 リンコさまの手で促されるように背中をこずかれ、ミサさまの背中につづく全裸の私。
 背後で何かガサゴソする音の後、少し遅れてリンコさまの足音がつづきました。

 昨日、今日と梅雨の晴れ間、何枚もの大きなガラス窓から夏へと向かう眩いくらいの陽射しが射し込む明るいメインルーム。
 整然と並んだデスクの中でも一際大きい、綾音部長さまのデスクを乗馬鞭で指し示されるミサさま。
 余計なものは何ひとつ出ていない広々としたデスクの上に体育座りを命ぜられた私。
 恥辱のショーの始まりでした。

「まずはさ、ミサミサにナオコの剥き出しマゾマンコ、じっくり視てもらいなよ。アタシはイベントの日にイヤって言うくらい見せられたけど、ミサミサはずっと会場でブタカンだったからね」
 右手にハンディなビデオカメラを持たれたリンコさまが、レンズを私に向けながらおっしゃいました。

「えっ!?さ、撮影されるのですか?」
 思わず自分の膝を抱え込むように体育座りを縮こまらせて、顔だけ向けて抗議しました。

「ナオコのお姉さまとの取り決めだもん。ナオコでアソぶときは、後からチーフも愉しめるように、出来る限り記録しといて欲しいんだってさ」
 ニヤニヤ笑いながらレンズを私の顔に近づけてくるリンコさま。

「ほら、そんなに丸まってちゃ、ナオコの剥き出しマゾマンコ、見えないじゃない?脚を開きなさい」
 おっしゃりながら少し後ろへと移動されるリンコさま。
 代わってミサさまが私の正面に来られました。

 ミサさまの乗馬鞭の柄が、ピッタリ閉じた私の両膝小僧のあいだに割り込んできました。
「開け」
 ドスの効いたアルトなお声とともに、乗馬鞭の柄で両膝を左右に割られます。
「は、はい・・・ど、どうぞ、ご覧ください」
 観念して両足を左右に大きく開きました。

 私の股間の目の前に、ミサさまのお顔。
 ミュールを履いたままなのでヒールの高さの分、腰を前方へ突き出す形になってしまいます。
 両脚をMの字に広げた中心部分の裂け目がパックリ開き、粘膜が空気に触れたのがわかります。

 その部分をメガネ越しにじーっと覗き込んでくるミサさまのつぶらな瞳。
 その様子を横から撮影されているリンコさま。
 視線を少し上に上げると見慣れたオフィス、大きな窓に広がる青い空。

 私、こんな真っ昼間に、こんなところで、こんな格好・・・
 喩えようもない背徳感が甘美な快楽信号へと姿を変え、全身をつらぬきました。

「貴様、どうしてこんなに性器を濡らしているんだ?」
 ミサさまが冷たくお芝居っぽく、尋ねてきました。
 息が内腿にかかるほど、お顔を近づけて。

「は、恥ずかしいからです・・・」
「なぜ恥ずかしい?」
「そんなにお近くから、直子のマゾマンコをご覧いただいているので・・・」
「ふん。だが恥ずかしいのと、愛液を垂らすのはイコールではないだろう?愛液とは、気持ちのいいときに分泌されるものではなかったか?」
「はい・・・直子は、恥ずかしいのが、気持ちいいんです・・・そういう、へ、ヘンタイ女なんです・・・」

「だったらさ、もっと恥ずかしくなれば、もっと気持ち良くなれるんだよね?」
 リンコさまがカメラを構えたまま、会話に割り込んでこられました。
「は、はい・・・」
 レンズに顔を向けてお答えする私。

「なら自分の指で押し広げて、ミサミサにナオコのマゾマンコ、奥の奥まで視てもらったら?」
「えっ?あ、は、はい・・・」

 もはや全身が被虐の塊と化していました。
 今、リンコさまが記録されているテープを、お姉さまがご覧になるんだ。
 それならお姉さまにいっぱい愉しんでいただけるよう、心の底からみじめなマゾドレイに成り切らなくちゃ、と。

 うつむいて、両手を自分の股間にあてがいました。
「そういうときは、何かお決まりのセリフがなかったっけ?」
 リンコさまがからかうようにおっしゃいました。
「あ、はい・・・」
 
 リンコさまのお言葉で、今まで妄想の中で何度も口にしてきた定番のセリフがパッと頭に浮かび、スラッと唇からこぼれ出ました。
「ミサさま、リンコさま。どうぞ、どうしようもないヘンタイ直子の淫らな剥き出しマゾマンコを奥の奥まで、じっくり存分に、ご覧くださいませ・・・」

 両手の指先を裂け目の左右にあてがい、思い切り引っ張りました。
 濡れそぼる粘膜がより広範囲、ヒヤッと外気に晒されたのわかりました。

「意外と小じんまりしているんだな、貴様のマゾマンコ」
 ミサさまが顕微鏡を覗く化学者さんみたいなご様子で、メガネを私が自ら押し広げているマゾマンコに近づけています。

「中の襞がときどきヒクヒクうごめいている。奥はけっこう深そうだ」
「触らなくても熱を持っているのがわかる。ホカホカ湯気さえ見えそうだ」
「愛液が白濁しかかっているぞ。それになんとも牝クサイ臭気を発してる」

 今のミサさまにこそ、あの白衣を着ていただきたい、と思うほど、お医者さまのように冷静沈着なご感想。
 それでも決して、そこに触れてはきませんでした。

「この裂け目の先端でテラテラ光っている豆のようなものは何だ?」
「・・・クリトリス、です」
「ずいぶん腫れ上がっているな?興奮しているのか?」
「は、はい・・・ミサさまの手で虐めていただきたくて、仕方ありません・・・」
 おねだりするような口調になってしまいます。

「ふん。貴様のようなヘンタイ女には、この鞭一本で充分だ。私が直接、手を出すまでもないこと」
 乗馬鞭の先のベロで、クリトリスをチョンとつつかれました。
「あうっ!」
その部分から全身へと電流がほとばしり、思わず腰が浮き、後ろへのけぞりました。

「ははっ、ケツの穴までヒクヒクしてるぞ?この淫乱女がっ!」
 ミサさまの乗馬鞭が左の内腿にパシッ!
「あうぅっ!」

 もはや我慢の限界でした。
 鞭打たれてからだがビクンと跳ねた拍子に、右手の人差指と中指がズブリとマゾマンコの中に挿し込まれていました。

「はうんっ!」
 すぐに二本の指が中でくの字に折り曲がってラビアを擦り始めます。
 同時に親指を上へと伸し、腹で膨らんだ肉の芽を捏ね回し始めます。
 空いた左手はおっぱいへ。
「あーんっ、うふぅーーっぅぅ」

「あーあ。勝手にマンズリ始めちゃったよ。こうなるともう、止まらないだろうねえ」
 呆れたようなリンコさまのお声。
「本当に不治のドマゾ女だな。まさにサカッたメス豚だ。まだ真っ昼間で勤務中だって言うのに」
 冷ややかに蔑みきったミサさまのお声。

 おふたりの嘲りの中、それでも私の指は止まりませんでした。
 おふたりに裸になるようにご命令されてから今まで、溜まりに溜まった発情が、闇雲に出口を求めていました。
「あーーっ、いいっ、いいっー」
 自分の指の動きに合わせて、背中がピクピク波打ちます。

「あれー?ナオコちゃん?イクときは、どうするんだっけ?」
 リンコさまのちっちゃな子に向かって諭すようなお声に、カメラのレンズを上目で見つめました。

「ああん、リンコさまぁ、イッテも、イッテもいいですかぁ?」
「違うでしょ。今ナオコが許しを乞うのは、アタシじゃなくてミサミサでしょ?」
「あうっ、ごめんなさいぃ、ミサさまぁ、イッテ、イッテいいですかぁぁ・・・」

 私の真正面で腕組みして私を眺めているミサさまに向けて懇願したとき、私が乗っているデスクの一番端に置いてあった電話機が突然、電子音を発し始めました。
 三人の肩が同時にビクンと震え、フリーズする中、鳴り響きつづける呼び出し音。

 最初にフリーズが解けたのはリンコさま。
「ちょっとこれ、持っていて」
 私に向けたままのビデオカメラをミサさまに託すと、電話機に駆け寄りました。

「はい。お待たせしました、ダブルイーです・・・はい、あ、ワタクシは大沢です。はい、早乙女は生憎出かけておりまして・・・はい・・・」

 リンコさまが急に丁寧な業務口調でご対応されているのを聞いて、今更ながらに、普段なら今がお仕事時間中なこと、そんな時間に自分があるまじき格好であるまじき行為をしていることを思い知り、せつなさとみじめさがこみあげてきました。
 
 追い討ちをかけるように、ミサさまのカメラのレンズが私のマゾマンコから離れ、今の状況をご説明でもするかのように、オフィス内をグルっと一周舐めた後に、私の顔へと戻りました。
 お電話に応対されるリンコさまのすぐ横で、大股開きのマゾマンコに右手を突っ込んでいる私の姿が記録されたはず。
 お姉さまはこの映像をご覧になって、どういうふうに思われるだろう・・・

「はい、携帯電話なら捕まると思います・・・はい・・・よろしくお願いいたします・・・」
 リンコさまが受話器を置き、私の前に戻ってこられました。

「いいところで邪魔が入っちゃったね、って言っても勤務中なんだから仕方ないか。ナオコ、イッた?」
「あ、いえ。お電話にびっくりしてしまって・・・」
 お電話中ずっと息を殺していたのですが、指はマゾマンコに潜り込ませたままでした。
 粘膜がつづきをおねだりするように、ときどきヒクヒク痙攣するのがわかりました。

「電話がくるたびにナオコがおあずけけ食らうのも面白いけど、アタシらもそろそろ仕事に戻らなくちゃいけないし、手っ取り早くイッちゃってもらおうかな」
 リンコさまが足元に置いていたショッパーから何か取り出しました。

「ほら、これ使いな」
 デスクの上に置かれたのは、先程見せられたイボイボの付いたバイブレーターでした。
「ナオコはこれのレビューも書かなきゃいけないんだから、しっかり感触を味わいながらイキなさい」
 見るからに膣壁をいたぶりそうなその凶々しい形状に、再び首筋がゾゾッ。

「それと、これも使うといい」
 ミサさまの手でデスク上に投げ出されたのは、金属製の小ぶりな事務用目玉クリップ2つ。
「マゾって奴は、苦痛も快楽なのだろう?これで貴様のあさましく勃起した乳首を虐めてもらうがいい」
 ミサさまが今にも舌なめずりしそうなほど嗜虐的なお顔でおっしゃいました。

 目玉クリップを手に取ってみると、かなりバネが強いタイプ。
 これで乳首を挟んで、あの凶々しいバイブを突っ込んで・・・
 考えただけで、イク寸前にまで昂りが蘇るよう。

「まず乳首にクリップを噛ませて、それからバイブを挿入しろ。その後バイブを咥え込んだまま四つん這いになって、ケツを私に向けろ。私が貴様に更なる苦痛を与えてやるから」

 ミサさまのはだけた白い胸元が、うっすら汗で光っていました。
 私も汗びっしょりですが、リンコさまを見れば空調は心地よく効いているはず。
 ミサさまも、私の恥辱にまみれた姿をご覧になって、興奮されているんだ・・・
 屈辱的な状況なのに、なんだか嬉しくなってしまいます。

 目玉クリップを手に取って先端を押し広げ、まずは右の乳首に。
「あうっ!」
 思った以上の挟む強さに思わず眉根が寄ってしまいます。

 激痛の後のジーンとした疼痛がからだを駆け巡る中で左乳首にも。
「あうぅぅっ!」
 痛みの源が2箇所となり、おっぱい全体がジンジンと痺れるような鈍痛の渦に包まれます。
「うわーエロい顔」
 リンコさまのレンズが歪みきった私の顔に近づきました。

 それからイボイボのバイブを手に取り、ゆっくりとMの字の中心へ。
 ミサさまのメガネ越しのまなざしと、リンコさまのレンズ越しの視線が、微動だにせず膣穴に集中しています。
 垂れるほど濡れそぼっていますから、膣壁をザラザラいたぶりながらもズルヅルっと侵入していきました。

「あーーーっ!」
 そのおぞましい感覚に思わず大きく淫ら声をあげる私。
 それにずいぶん奥まで届いている。
 こんなの二、三回ピストンしただけで、すぐイッちゃいそう。

 今すぐに動かしたい欲望を振り切って、お言いつけ通り四つん這いになるべく、からだをひねります。
 左手でバイブを押さえたまま右手をつき、からだを右に回転させて両膝をデスクに。
 お尻をおふたりに突き出した格好でバイブを右手に持ち替え、左腕の上に頭を乗せました。
 重力で垂れ下がったおっぱいの先の目玉クリップふたつが、デスクスレスレにプラプラ揺れています。

「うん。いい格好だ。貴様のケツの穴まで丸見えだぞ。ほら、バイブを動かせ」
 ミサさまの乗馬鞭のベロが左の尻タブをぺろんと舐めました。
「あ、は、はい・・・」
 右手で持ったバイブの根本をゆっくり前後に動かし始めます。

「あっ、あっ、あ、いぃ、いぃ、いぃーっ」
 膣の中をザリザリ暴れる細かなイボイボたち。
 グチュグチュという卑猥な音とともに、右手はみるみる愛液まみれ。
「あっ、いいっ、きもちいいっ!あんっ、あっ、あーっ」
 右手のピストンの速度がどんどん上がってしまいます。

「こんな人前で、あさましい格好で自慰行為を見せつけて、貴様にはそれが、そんなに気持ちいいのか?」
 ミサさまが乗馬鞭のベロで私のお尻をスルスル撫でながら尋ねてきます。
「はいぃ。ごめんなさい・・・私は、直子は、こういうのに感じてしまうヘンタイなんですぅぅ」
 私を左横から撮影されているリンコさまに顔を向け、喘ぎ喘ぎにお答えします。

「ふん。とんだヘンタイ社員だな。こうされるともっと嬉しいんだろ?」
 パシッ!
 左の尻タブに小気味良い音の一撃。
「あうっ!!!」
 その鮮烈な刺激にお尻がクイッと跳ね上がった瞬間、頭が真っ白になってイッていました。

 それでも動きを止めない私の右手。
 おまけにイッた瞬間に右手がバイブの根本の何かのスイッチを押してしまったらしく、膣内でブインブイン暴れ始めました。
「あーーっ、いやーーっ、もっと、もっとーーーっ、ミサさまーーっ」
 頭で考える前に唇が懇願していました。

「何をもっとなんだ?」
「お尻にもっと、もっと、鞭をくださいーーっ、ぶってくださいーーーーっ」
 本能からの欲求でした。
 お尻を叩かれることで痛みと快感が重なり合って、上限だと思われたエクスタシーが、より濃密な高みへと導かれるように感じていました。

 ピシッ!バチッ!ピシャッ!
 ヒュンという身の毛もよだつ前奏を伴って奏でられる打擲音。
 その刺激がもたらす苦痛と膣内のバイブによる圧倒的な快感とのほろ苦くも甘美なハーモニー。

「もっとぉ、もっとぉ、もっとぉーっ!!!」
「ミサさま、リンコさま、イッてもいいですか?ィきます、ィきますぅ、イッちゃいますぅ・・・」
 私のからだは、乗馬鞭という指揮棒に従って奏でられる楽器のように、何度も何度もオーガズムという歓喜の旋律を歌い上げました。

「やれやれ、やっとお目覚めのようね」
 気がつくと私は、ベトベトに濡れそぽった台の上に突っ伏していました。
 ぼんやりとした視界に見えるリンコさまとミサさまのお姿。

 そうだ、ここはオフィスで、私はオフィスでオナニーショーをしていたんだ。
 ガバッと起き上がると、お尻がヒリヒリ。
 お尻の上には濡らしたタオルが掛けられていました。

「ごめんね。ちょっとやりすぎちゃったかな?」
 ミサさまがきまり悪そうなお顔で私の顔を覗き込んできました。
「そんなことないよ。ナオコが、もっともっと、っておねだりしてたんだから」
 リンコさまが相変わらずビデオカメラを構えたままおっしゃいました。

「ナオコはね、ミサミサに鞭で叩かれながら何度も何度もイッて、そのうちにパタッと動かなくなっちゃったんだ」
「ヤバイ、と思ったけれど肩やお腹はビクンビクン上下していたし、息もハアハアしていたから、しばらく様子を見ていたら、今復活したってわけ。3、4分くらいかな、ナオコの意識トンでたの」

「一部始終は全部、このビデオで撮ったから、ナオコのお姉さまに後で見せてもらうといいよ。それにしても凄かったね、ミサミサ?」
「うん。ボクの直子を見る目が180度変わった。聞いていた以上のドマゾぶりだったから、これからもいろいろ愉しめそうで、嬉しい」
 素に戻られたミサさまが、やっとカメラを降ろされたリンコさまをじっと見つめながらおっしゃいました。

 なんだかおふたり、やけにピトッと寄り添われている気がします。
 ひょっとすると私の痴態にアテられて、おふたりもムラムラされてきちゃったのかな?
 そんなことをふと思い、同時にお姉さまのお顔が頭に浮かびました。
 そう言えばお姉さまとの最初の出逢いでも、オナニーショーをご披露して、最後に気絶しちゃったんだっけ・・・

「それにしてもひどい有様だこと、床もアヤ姉のデスクも」
 リンコさまに促されてデスクを見ると、辺り一面ビチャビチャのベトベト。
 周辺の床にまで水溜りが出来ていました。

「なんで床にまで・・・」
 思わず口走った疑問にリンコさまが笑いながら応えてくださいました。
「あれ?シオ吹いたの憶えてないの?アタシら横にいたから直撃は免れたけど」

「アタシらは仕事に戻るから。ナオコが自分で汚したんだから、自分で後始末なさい」
「とくにアヤ姉のデスクは、念入りに拭いておかないと。あの人鼻もいいからね。ヘンな臭い残しておくと後から何言われても知らないよ」
「モップやバケツは給湯室ね。オフィス外に出るときは白衣のみ。オフィスに戻ったら当然脱いで全裸」
「アタシらは今日も遅くまで残るから、退社するとき内線ちょうだい。それまではずっと全裸厳守。監視カメラがあることを忘れないでね」
 リンコさまにキビキビと指図され、私はヨロヨロとデスクから降りました。

「ナオコのからだもベトベトだね。水汲んできて、よく拭いてから帰りなさい。クリップは外さなくていいの?」
 リンコさまのお言葉で自分の胸を見ると、ふたつのクリップがまだしっかり噛み付いていました。
 これを外すとき、すっごく痛いだろうな・・・
「あ、大丈夫です。後で外しますから」
 なぜだかおふたりにその姿を見せたくない気がして、そう答えてしまいました。

「ふーん。本当に痛いの、好きなんだねえ。ま、いいけどさ。あともうひとつ忠告しておく」
 リンコさまがイジワルそうに笑って私の下半身を指さしました。
「今夜のシャワーはぬるめにしたほうがいいよ。ナオコのお尻、まんべんなく真っ赤っ赤に腫れ上がってるから」
 そのお言葉を聞いた途端に、お尻全体がジンジンヒリヒリと熱く疼いてきました。
 
 おふたりでお顔を見合わせ愉快そうに笑い合い、肩寄せ合って仲良くデザインルームへと消えていくリンコさまとミサさま。
 時刻はそろそろ午後の4時半になろうとしていました。


非日常の王国で 05


2016年10月23日

非日常の王国で 03

「あ、私出ます」
 マゾの服従ポーズを解き、今度はフルヌードでデスクに駆け寄りました。
 丸出しのおっぱいがプルプル揺れました。

「お待たせいたしました。ダブルイーです、お電話ありがとうございます・・・あ、しほりさま。先日はお疲れさまでした・・・」
 受話器から聞こえてきたお声は、谷口しほりさま。
 イベントのとき、ヘアとメイクを担当してくださった女性です。

「あ、はい。少々お待ちください」
 お電話をいったん保留にして、おふたりのほうへ向き直りました。
「リンコさまにお電話です。しほりさまからです」
「あいよ。しほりん、何の用だろ?」
 リンコさまがツカツカと近づいて来られ、受話器をお渡ししました。

「ごきげんよう。先日はお疲れー・・・うん、うん・・・へー・・・」
 おしゃべりを始められたリンコさまに場所をお譲りし、ミサさまの前に戻ります。
 ミサさまが無言でじっと見つめてこられるので、間がもたない私は、対峙したまま自然と服従ポーズを取ってしまいます。

「へー、そっか、良かったじゃない。うん・・・不幸中の幸いってやつだね・・・」
 リンコさまの元気良いお声を背中に聞きながら、ミサさまの舐めるような視線を全身に浴びていました。
「そうだよ・・・うん・・・今ちょうどね、ナオコを裸にして、アソんでたとこなんだ・・・うん、ミサミサとふたりでさ・・・」

 リンコさまのお口から私の名前が聞こえギクッとした瞬間、ミサさまの乗馬鞭の先が私へと伸びてきて、おへそから下腹部までをベロでスルッと撫でられました。
「ひゃぁんっ!」
 不意を突かれて背筋をゾクゾクっと快感が駆け上がるとともに、淫らな声が洩れてしまいました。

「聞こえた?・・・あはは・・・相変わらずドマゾ全開でしょう?・・・うん、社長室で真っ裸。例のポーズでミサミサにイタズラされてる・・・」
 リンコさまが愉しそうにしほりさまにご報告されているあいだ、ミサさまの乗馬鞭の先は私のおっぱいへと移動し、柔らかいベロで固く尖った乳首を小刻みにプルプル、揺らすように愛撫されていました。

「んっ、むっ、んあっ、うっ、うっ・・・」
 くすぐるみたいに小刻みに震える乗馬鞭のベロが与えてくださる快感に、えっちな声を我慢しようと唇を噛み締めているのに、どうしても喉の奥が唸って息が洩れ、はしたない音声となってしまいます。
 ミサさまは乗馬鞭を動かしながら、薄い笑みを浮かべ、無言で私の顔を見つめています。

「大丈夫よ。チーフからもアヤ姉からもお墨付きもらったし。ナオコはここでは、そういう扱い、ってことに、社内的に決まったの・・・あはは、愉しみでしょ?・・・」
 ミサさまのベロは、私の両腿のあいだに移動していました。

 ベロでマゾマンコを覆うように押し付けられ、ベットリ濡れて滑りの良くなったベロが私の股間をいたぶり始めます。
 お尻の割れ目に、恥丘に、下腹部に、私の愛液を肌になすりつけるように乗馬鞭のベロが肌を這い回ります。
 鞭の柄をマゾマンコの裂け目に食い込ませるみたく、ギュウギュウ押し付けられます。
「あっ、あんっ、あうっ・・・」

 裂け目に食い込んだまま擦るように前後に動く乗馬鞭の柄が、腫れ上がったクリトリスをでたらめに潰してきます。
 踏ん張った両脚がプルプル震え始めました。
「あっ、いやっ、だめっ、あ、あっ、あーっ・・・」

「うん。近いうちに連絡するから。じゃあね、またねー、ごきげんようっ」
 リンコさまが受話器を置いた途端、ミサさまの乗馬鞭の動きが止まりました。
 スッと引かれた乗馬鞭を私の前に差し出すミサさま。
 グリップ以外、満遍なく濡れてテラテラ光っていました。

「だめじゃんナオコ、人が電話中に勝手にイこうとして。ミサミサも抜け駆けはずるいよ」
 リンコさまがニヤニヤ笑いながら、ソファーの前に戻って来られました。

「だいたいミサミサが、ボクもナオコのオナニー見たい、って言い出したのが今日の発端じゃん?計画通り今日はオナニーさせてイカせようよ」
「うん。ごめん。直子があまりにもエロいから、ボクも我を忘れた」
 素直に謝られたミサさまは、私のおツユで汚れた乗馬鞭を、私がさっき脱ぎ去ったピンクのショーツで丁寧に拭い始めました。

「まあ、こうやって寸止めで焦らしつづけるほど、どんどん乱れてヘンタイ度も増して面白いから、それもアリなんだけどね」
 快感の余韻が薄れていくのをもどかしく思っている今の私を、まさに見透かしたようなリンコさまのお言葉。

 私、これからおふたりの前でオナニーさせられるんだ・・・
 ソファーに転がったえっちなお道具にチラッと目を遣って、ゾクゾクっと震えがきました。

「今の電話はさ、絵理奈さんね、今週末にも退院出来そうなんだって。術後も順調で傷跡もほとんど残らなくて済むから、お仕事にも支障は無いって」
 本当に良かった、という感じで柔らかな表情のリンコさま。

「感謝している、って代役されたモデルさんに伝えてくれって言ってたってさ。それとしほりんが、約束忘れないでね、って」
 リンコさまが服従ポーズの私を真正面から眺めつつ、おっしゃいました。

「あ、はい。絵理奈さま、お元気になられてよかったです・・・」
 夥しい粘液の水溜りを足元にみつけ、羞恥に染まりながらもなんとか、そうお答えしました。

 リンコさまは、私とミサさまを交互に見て、それからふと時計に目を遣りました。
 時間は午後の3時ちょっと前。
 こんな平日の昼下がりに私ひとりだけ、なぜオフィスで全裸になっているのでしょう?
 背徳感がザワザワっと、背筋を駆け上がっていきました。

「さあ、電話で予定外に時間くっちゃたし、ナオコも疼いちゃって早くオナニーしたいだろうから、今日持ってきたプレゼントに関して、ちゃっちゃと説明しちゃうね」
 リンコさまが、とりあえず話題を切り替えよう、みたいな感じで、少し早口でおっしゃいました。
 
「半分は業務連絡みたいなもので、これからのナオコのオフィスライフにも大いに関わる大切なことばかりだから、ちゃんと聞いて」
 無理に作ったようなわざとらしく真面目なお顔のリンコさま。

「あ、はい・・・」
 でも、きっとひどく恥辱的なことばかりなのだろうなと予想してしまうドエムな私。

「まずは。これね」
 リンコさまがソファーからつまみ上げて差し出してきたのは、見覚えのあるブラジャーとショーツ。

 それらはイベント当日、私が自宅から身に着けてきて、お姉さまのご命令によりオフィスで自ら脱ぎ捨てて以来、ずっと行方不明となっていた下着類でした。
 イベント後に戻された荷物の中にも、スーツやブラウスはちゃんと入っていたのですが、パンストと下着類だけ無く、きっと私がずいぶん汚しちゃっていたから捨てられたかな、と思っていました。

「ナオコって、春先にチーフがマケリサでランジェリーショップに出てたときに、服を脱がずに外せる下着が欲しい、って相談したんでしょ?」
「アタシ、それ聞いて驚いちゃった。そういう発想がさ、思いつかないもん。シャイな露出願望マゾじゃなきゃ。目からウロコだったよ」
「そういう発想、大事だと思うから、敬意を表して改造してあげたんだ。今後うちのブランドでも作って売り出すことになったし」

 手渡された下着を広げてみました。
 ブラジャーは左右のストラップとカップをそれぞれつなぐ部分が、ショーツは左右の脇部分が、小さなホックで取り外し出来る式に改造されていました。

「それなら、ちょっと服の中に手を潜り込ませてモゾモゾするだけで、簡単に外すことが出来るでしょう?ボトムがパンツでも、わざわざ脱がないでショーツだけウエストから出せるし」
「いつでも好きなときにノーブラノーパンに早変わり。これ、意外と当たりそうな気がするんだ。世の中にシャイなヘンタイって多いから」
「あと、ナオコ用の特別サービスも付けといたんだ。ショーツのクロッチ」

 リンコさまの意味ありげな視線に促され、ショーツを裏返して見ました。
 クロッチ部分に当たるところが小さく二重になっていて、上部分だけ空いたポケット状になっていました。

「そこにローターを入れて穿くと、ローターがちょうどナオコのクリットの上に来るはず。振動直撃。嬉しいでしょ?」
 からかうように私の顔を覗き込んでくるリンコさま。

 私が今までしたことのあるローター遊びは、膣の中に入れてのお散歩とかばかりでした。
 それだってかなり辛かったのに、こんなクリトリスにピッタリ密着する形で振動を受けたら・・・
 おそらく震えだした瞬間に堪えきれず、しゃがみ込んでしまうことでしょう。

「エロい顔になってるねえ。試してみたいんでしょ?でもだめ。下着は帰るときに身に着けなさい。今日は退社までマッパのまま」
 リンコさまがイジワルクおっしゃいました。

「それで、今日脱いだナオコの下着はアタシらがまた、改造してあげる。それをくりかえして、ナオコの手持ちの下着全部、えっちに改造してあげるから」
 私の手から改造済みブラとショーツを取り上げたリンコさまは、壁にハンガーで掛けた私のリネンのジャケットのポケットにそれらを押し込みました。

「次は、ナオコにやってもらう新しい仕事のこと。うちのネットショップ、アダルティなラブトイズを本格的に扱い始めたのは知ってるよね」
「はい・・・」

 イベント前のある日のミーティングで綾音部長さまから、そんなお話がありました。
 このオフィスビルからも近い地下鉄の駅近くのお部屋を借りて、そこを通販部門のオフィス兼倉庫にすること。
 そこをネットショップの拠点として、里美さまが責任者として赴任されること。
 ゆくゆくはアンテナショップとして路面店での営業も視野に入れていること。
 などを聞かされていました。

「それでナオコにはね、ラブトイズのモニターをしてもらうことになったんだ。モニターってわかる?」
「あ、はい。なんとなく・・・」
「簡単に言うと、使い心地の感想とか、ここが良かったとかを言葉にしたレビューを書いて欲しいんだ。それをショップの商品ページに添えるから」

「ナオコなら、すでにいろんなオモチャの経験ありそうだからって、社内満場一致で決定したんだ。ナオコがいないあいだに」
「うちはレズビアン、もしくはバイ女性限定のショップだから、そういう視点で、ナオコが使った印象を書けばいいだけ。最初はこの3点」

 リンコさまに促されデスクのほうへ移動して、デスク上に並べられたえっち用オモチャ。
「こっちのふたつはバイブレーター。充電でも電池でも使えるうちのオリジナル」

 どちらも丸っこくて少し反り曲がったソーセージのような形状で、女子ウケの良さそうな可愛らしくポップな色をしています。
 でも、こういった類のオモチャを使った経験のある者なら、一見して頬が赤らんでしまうほど、外見が刺激的でもありました。

 明るいグリーンのほうのは、ゴーヤの表面のようなトゲトゲと言うかイボイボと言うかがびっしり根本まで施されていました。
 触ってみるとシリコンでぷよぷよ柔らかいのですが、これを挿れて、膣壁を擦られる感触を想像しただけで、首筋の裏がゾゾッとわなないてきちゃいます。

 もうひとつのパステルブルーのほうは、長めで先端がやや曲がっている形状で、いかにも奥まで届きそうな感じ。
 おまけに表面がゆったり波打つ感じに凹凸があって、いかにも膣内でピッタリとフィットしそうな感触。
 
「どっちも振動するだけじゃなくて、根本のスイッチでうねったり、上下にピストン運動とかもする仕様なんだ」
 こんなので奥まで突かれたら、間違いなく私はシオを吹いてしまうことでしょう。
 手でさすっているだけでも、なんだかマゾマンコが感じてきちゃう。
 思わずツバをゴクリと飲み込みました。

 あともうひとつは、リモコンローターみたい。
 見慣れた卵型のローターと、コントローラーらしき箱。

「このローターはね、電波モードが選べて、ノーマルならこのコントローラーで動かすのだけれど・・・」
 リンコさまがおっしゃりながら箱を取りスイッチを押すと、デスクに置いたタオルの上でローターがヴーンと唸り始めました。
 すぐにスイッチを切られるリンコさま。

「こっちのハプニングモードにすると、街中に溢れているあらゆる電波に反応しちゃうんだ」
「だから、これを装着して街に出たら、不意に震えだしちゃうことがままあるってわけ」
「たとえば自動ドアのセンサー電波とか、街中のワイファイ電波、近くにいる人の携帯電話の送信、着信電波にも反応するし、もちろん誰かが近くでリモコンローター遊びをしていたら、その電波にも」

「違う電波を受信するたびにオンとオフをくりかえして、震え方も変わるから、一度震えだしたら取り出して電池を外すまで、自分ではコントロール不能になっちゃう」
「街の中でそこら中の見知らぬ人からマゾマンコを陵辱されているみたいで、ナオコみたいなドエムにはたまらないでしょう?」
 リンコさまがまた、からかうようなお顔で私の顔を覗き込んできました。

「この3つのアイテムを使用してみた感想レビューを、200字以内で今週中に書き上げて、メールで里美さんに提出すること。あとの指示は里美さんに従って」
「ゆくゆくは、新アイテムの開発の仕事にも人柱として参加することになるから、今からえっちなアイデア、たくさん考えておくように、って、これはナオコのお姉さまからの伝言ね」
「もちろんこれは仕事だから、勤務中に試すのもおーけー。バイブもローターも。つまりナオコは今後、勤務中に堂々と仕事としてオナニーが出来る身分になったってわけ。嬉しいでしょ?」

 リンコさまがニッと笑って、ソファーのほうへと戻られます。
 私も後を追いました。

「それで最後に、これね」
 リンコさまのお言葉でミサさまが、ソファーの上に散らばっていた機械やコードなどを手際よく分け始めました。

「今日からこの部屋は、アタシたち開発ルームの管理下に入るの。これはウエッブカメラで、この室内の様子はナオコがいるときに限って、すべて開発室のモニターに映し出される仕組み。つまり監視カメラ」
「これはチーフも了承済み。チーフには、この部屋に取り付けたカメラをすべて無効にする操作方法を伝えてあるから、チーフのプライバシーは守られるけれど、ナオコには、この部屋でのプライバシーは、今日から無い」

 リンコさまがご説明してくださっているあいだ、ミサさまがテキパキとカメラを設置していました。
 デスク前のパソコンモニターの上に一台、お部屋の対角線上に窓際天井近くに一台、壁際天井近くに一台、そしてデスクを真横から映す形で一台。

「昨夜配線は済ましちゃったから、カメラ繋げるだけだし、すぐ終わるよ」
 リンコさまがショッパーの紙袋を丁寧にたたみながらおっしゃいました。
 ミサ様が最後にパソコンモニター上のカメラから伸びたコードをパソコンのUSBに繋いで、ニコッと嬉しそうに笑いました。

「ちょっとあっちのモニター確認してくる」
 ミサさまがタッタッタとドアを出て開発ルームに向かわられたよう。
 すぐに戻って来られました。
「おっけー。バッチリ」
 ニコニコ顔のミサさま。

「これでアタシらが開発ルームで作業しているときでも、ここでナオコが何をしているか、いつでも監視出来るようになったってわけ」
「アタシらが忙しくてこんなふうにアソんであげられないときでも、気が向いたらメールや電話で命令してあげるから、ちゃんと言いつけを守ること」
「は、はい・・・」
 
 つまり、おふたりが対面で虐められない状態のときでも、全裸になりなさい、って電話やメールで一言ご命令されたら、私はひとり、いそいそとお洋服を脱がなくちゃいけない、ってこと?
 それで、カメラで監視されているから、ご命令に背いて脱いだフリして嘘をつくことも、絶対に出来ない・・・
 
 私、なんてみじめな境遇になってしまったのだろう・・・
 まさしくオフィスの慰み者状態。
 私の被虐メーターが振り切れて、頭がクラクラするくらいの恥辱感が全身を火照らせました。
 
「それで、ナオコが好きそうな服、見繕って持ってきたから。このクロゼットに掛けておく」

 ひとつだけまだ膨らんでいたショッパーから次々とお洋服を取り出し、謎のクロゼットにせっせとしまい込むミサさまとリンコさま。
 どんなお洋服なのかはわかりませんが、きっとキワドイものばかりなのでしょう。

「アタシらに、今日はこれを着て過ごしなさい、って言われたら、必ず着替えること。ごまかそうとしても監視カメラでちゃんと見てるからね」
「それで、来客のとき、上に羽織っていいのは今のところ、その白衣だけ」
 イジワルくおっしゃるリンコさまに、黙ってうなずくしかない私。

「さあ、これで準備は整った、っと。ドマゾ女ナオコのオフィスセイドレイ生活のはじまりはじまりー」
 リンコさまが茶化すみたいなお芝居声で、高らかに宣言されました。
「記念すべき初日のフィナーレに、ミサミサリクエストのオナニーショーをじっくりと見せてもらいましょうか」

「せっかくだから、こんな狭い金庫部屋じゃなくて、広々としたメインルームでやってもらおうかな?アヤ姉のデスクの上なんかステージぽいじゃん、どう?」
 リンコさまがイタズラっぽくミサさまにお顔を向けました。

「いいアイデア。明るくてじっくり視れるし、鞭も振るいやすそうだ」
 
 ミサさまの表情からあどけなさが消え、お声が低くなり、乗馬鞭が宙空をヒュンと切り裂きました。
 リンコさまおっしゃるところの、多汗症のドSで男嫌いな裏生徒会副会長、というコスプレキャラが、ミサさまに再び憑依したようでした。


非日常の王国で 04

2016年10月16日

非日常の王国で 02

「やっと一息つけたからさ、息抜きしに来たよ」
 外国のロックバンドのロゴが大きく描かれたダボッとした黒いTシャツにジーンズ姿のリンコさまがニコッと笑いました。
「あっ、お疲れさまです」
 ご挨拶しつつお隣のミサさまのお姿を見てびっくり。

 高校の制服ぽいキャメル色のブレザーにチェック柄のミニスカート姿なのですが、Vゾーンをブラウスごと胸元を大きく開いて、その豊満なおムネの谷間を惜しげもなく大胆に露出されていました。
 ハーフカップらしき黒いブラジャーの縁まで見えています。
 足元はピンヒールのロングブーツ、赤いリボンを首に直接巻いて結び、髪はひっつめにして頭頂部でお団子にまとめ、フォックス型のメガネの奥から私を睨みつけるようにジッと見つめています。

 ミサさまのことですから、おそらく何かのマンガかアニメのコスプレなのでしょうけれど、私には元ネタが何なのかわかりませんでした。
 でも、ミサさまのダイナマイトボディ、そのたわわなおムネの真っ白な谷間を間近に見せつけられ、あまりの艶めかしさに思わず息を呑んでしまいした。

「あらためてイベント、お疲れさま。ナオコのおかげでアタシたち、休む暇無しの大繁盛で感謝してるよ」
 リンコさまがイタズラっぽく微笑まれながら、お部屋の奥へと進まれ、窓際のソファーにお荷物を置かれました。
 ミサさまも無言でリンコさまにつづかれます。

「で、今日はさ、そんなナオコへの感謝と労いの気持ちを込めて、いろいろプレゼントを持ってきたんだ。ナオコのこれからのオフィス勤務がより愉しくなるようなものばかり」
「あ、はい、それは、あ、ありがとうございます・・・あ、何かお飲み物でもお持ちしましょうか?」

 以前は、ナオっちとかナオちゃんとか、親しみを込めて呼んでくださっていたのに、ナオコ、という呼び捨てが定着してしまったリンコさま。
 そんなリンコさまの入口でのニコニコ顔が、お部屋に入った途端どんどんニヤニヤ笑いへと移行している気がして不穏な空気を感じている私。
 間がもたなくて冷蔵庫のほうへと一歩踏み出した私の肩を、リンコさまの右手ががっちり掴みました。

「飲み物なんていいから。それよりもとりあえず、裸になってくれる?」
 
 さも当然のことのように、あっけらかんとおっしゃったリンコさま。
 ハダカ、という単語が耳に届いた途端、全身がズキンと疼きました。

「えっ!?今ですか?なんで裸にならなくてはいけないのですか?」
 股間の粘膜がザワザワさざめき出したのを自覚しつつ、恐る恐るお尋ねしました。

「なんでって、ナオコ、今日もチョーカーしているじゃない?チョーカー着けて出社した日は、アタシらがどんなエロい命令をしても絶対服従、そういうルールじゃなかったっけ?」
 完全にニヤニヤ笑いで嗜虐的なまなざしとなったリンコさまが、とても愉しそうにおっしゃいました。

「プレゼント持ってきた、って言ったでしょ?ナオコが好きそうな衣装とかもあるから、着て見せて欲しいしさ」
 両腕を胸のところに組んで睥睨するように私を見つめてくるおふたりに気圧されて、私は観念しました。

「わ、わかりました・・・」

 やっぱり私はこれから、勤務中でもスタッフのみなさまの慰み者としてもてあそばれることになるんだ・・・
 自分の中に渦巻く被虐願望が勢いづき、常識的な理性の元で健全に保たれている日常的なオフィス空間がぐにゃっと歪んで、非常識な非日常的恥辱空間へと侵食されていく気がしました。

 その日の私の服装は、シンプルな白のシャツブラウスにグレイの膝丈タイトスカート、素足にチョーカーと同じえんじ色のアンクルストラップミュール。
 これからの私は、スタッフのどなたかが気が向いたとき、いつでもどこでも否応なく裸にされてしまう、そんなみじめで恥知らずな存在にならなくていけないんだ・・・
 そんなことを考えながら、少し震える指をシャツブラウスの一番上のボタンにかけたときでした。

「違うだろ?」
 お部屋にいらしてから一言もお口を開かなかったミサさまのお声でした。
 それも、普段とはまるで違う、咎めるような突き放すような、とても冷たいアルトなご発声。
 ミサさまは、いつの間にかお姉さまのピンクの乗馬鞭を片手に持たれていました。

「今日のミサミサはね、すっごく怒ってる。それで、すっごく張り切ってる」
 リンコさまが愉快そうにお口を挟んできました。

「怒ってるのはね、ほら、この子、イベント本番中はパソコンにつきっきりで司令塔状態だったじゃない?だからアタシらが部室や楽屋でナオコにオシッコさせたりオナニーさせたりしてアソんでだって聞いて、激おこなの。ボクも一緒にやりたかったー、って」
「だから今日はいっぱい虐めてやる、って張り切ってる。ミサミサってこう見えて、同人で書くSSとか、かなりのドS炸裂だから、覚悟しといたほうがいいよ?」

 嬉しそうに唇の両端を上げて忠告してくださるリンコさま。
「今日のこのコスプレだって、超レアものだよ。多汗症のドSで男嫌いな裏生徒会副会長。普段のコスプレイベじゃ、絶対ここまでしないもの」
「もしもレイヤーとしてのミサミサファンのオトコどもがこの姿見たら、大喜びでボタボタよだれ垂らしまくっちゃうはず」

 リンコさまのご説明が終わるのを待っていたかのように、ミサさまの、コスプレされているキャラの口調をおそらく真似されているのであろう、まさにSMの女王様のような冷たいお声がつづきました。

「貴様はマゾなんだろ?恥ずかしい姿を視られて悦ぶヘンタイ露出狂女なのだろう?」
 一歩前へと踏み込まれたミサさまの剥き出しの白い胸元が眼前に迫り、頭がクラクラしちゃう。

「あ、はい・・・その通りです・・・」
 履かれているブーツのヒールが高いので、小柄なミサさまでも私と同じくらいの目線となり、わざとなアルトのお声とも相俟っての凄い迫力な女王様ぷりにタジタジ。

「だったら視られて一番恥ずかしい部分を最初にさらけ出すのがマゾ女の作法ってものだろう?貴様の一番恥ずかしい部分はどこだ?」
 メガネ越しの冷たい視線に促され、私の目線はうなだれて自然とスカートの中央付近に。
「ふん。やっぱりそこなんだな。ならば下半身から脱ぎ捨てるのが貴様にはお似合いだ」
 ミサさまの乗馬鞭の先がタイトスカートの裾を揺らしています。

「は、はい・・・わかりました・・・」
 ブラウスの首元で止まっていた両手を下ろし、スカートの後ろホックを外しました。
ジッパーをジジジと下げるとウエストを締め付けていた感触が緩み、引力に引かれてストンとスカートが足元に落ちました。
 ピンク色のレースショーツが丸見えになります。

「し、下着も、ですよね?」
 更なる恥辱を味わいたくて、わざとお尋ねしてみました。
「あたりまえだろうっ!」
 間髪を入れずミサさまの怒声とともにヒュンと乗馬鞭がしなり、左太腿の側面を乗馬鞭のベロが痛打しました。

「あうっ!」
 パチーンと小気味よい音がした割にはそんなに痛くない、と思ったのも束の間、打たれた箇所が徐々にジンジンヒリヒリ疼いてきました。

 両手をショーツのゴムにかけます。
 ミサさまとリンコさまは腕組みして、じーっと私の下半身に注目されています。
 
 ショーツを膝まで一気にずり下ろしました。
 股間から短い糸がツツッと引いて、すぐ切れたのが見えた気がしました。
 膝上で引っかかったままの、だらしないピンクのショーツ。
 両膝を内股気味に閉じると、そのピンクの布片は足元までハラリと落下していきました。

「それを足元から抜いてこちらへ渡せ。靴は脱がなくていい」
 ミサさまからの、乗馬鞭の先で今脱いだショーツとスカートを指しながらのご命令。
 前屈みになってミュールのヒールにひっかからないようにショーツとスカートを足元から抜くと、リンコさまが素早く私の手からそれらを奪い去りました。

 恥丘の上10センチくらいまでにしか届かないブラウスの裾から下はスッポンポン。
 そんな中途半端な格好でオフィスのお部屋にいるという事実が、凄く淫靡に思えます。

「ああ、やっぱり濡らしてる。本当スケベなんだから」
 リンコさまが私から奪い去ったショーツを広げ、クロッチ部分をこちらに指し示されました。
 クロッチの穿いたらちょうど真下くらいに当たる部分に、濡れて濃いピンク色に変色したシミが数センチ出来ていました。

「ミサミサのドSっぷりにもう濡らしちゃってるんだ。ホント感度がいいと言うか、ドスケベって言うか」
 私が汚したショーツのシミを私の眼前に見せつけながら、呆れ声でおっしゃるリンコさま。
 喩えようもないみじめさ、恥ずかしさ・・・

 そのとき唐突に、私のデスクの上の電話が呼び出し音を奏で始めました。
 その場にいた誰もが一瞬、ビクンとたじろぎました。
 二回、三回と鳴り響く電子音。
 ふっと気づいたようにリンコさまが私を見ました。

「ナオコ、出なさい」
「は、はいっ」
 あわててデスクに駆け寄りました。
 剥き出しの両内腿のあいだをスースー風が抜けるのがわかりました。

「大変お待たせいたしました。ダブルイーです、お電話ありがとうございます」
 立ったまま受話器を取り、おふたりに裸のお尻を突き出してのご対応です。

「はい。生憎、早乙女も渡辺も出張中でして・・・はい、お電話のあったことを伝えておきますので・・・はい・・・」
 お電話はお取引先のひとつのご年配の女性からでした。
 綾音部長さまと至急にご連絡が取りたいとのことなので、お電話を終えた後、社のSNSに伝言メモの書き込みをしなければなりません。

 中腰になってパソコンを操作しながら、股間の奥がジンジンと痺れるように感じていました。
 普段何気なくこなしていた通常業務を、こんな破廉恥な姿で社の先輩かたに見守られながら行なっている、というアブノーマルな事実が私を凄く興奮させていました。

 お電話へのご対応中も、普段通り愛想の良い声を発しながらも、でも私今下半身丸出しなんです、剥き出しの女性器を空気に晒してご対応させていただいています、とお相手の女性に向かって心の中で何度も呟いていました。
 ミサさまたちに向けて突き出している裸のお尻の割れスジも、なぜだかジリジリと開いてしまう両足の足幅に比例して広がってしまうのです。

「下半身スッポンポンのクセに普通に仕事しているの見るのって、なんだかシュールでめちゃエロいね。アヌスまで丸見えだし」
 リンコさまも私と同じ気持ちになられたようです。
 そのお言葉にますます悶々と疼いてしまいます。

 パソコン操作を終え、おふたりのほうへと向き直ると、自然と両手が後頭部へと上がっていました。
「あーあ。ナオコ、完全にドマゾモードに入っちゃった」
 リンコさまがからかうようにおっしゃいました。

「よし。では脱衣をつづけろ。貴様のようなマゾ女には不要なその布っきれも、さっさと脱ぎ去れ」
 乗馬鞭が宙空をヒュンと一閃し、ミサさまのお芝居も再開です。

「はい・・・失礼します」
 後頭部に添えていた両手をゆっくり下ろし、ブラウスのボタンを外し始めます。
 ブラウスの両袖を抜いてから両手を背中へ回し、ブラジャーのホックも外しました。
 ブラのカップがハラリとずれて、見ているだけでも痛々しいほどに尖りきった両乳首が外気に晒されました。
 事実、私のふたつのバストトップはズキズキと、やるせない官能を股間と脳内に送り込んできていました。

「やっとマゾ女らしい格好になったな。いいか?貴様は今日一日退社まで、その姿で勤務しろ」
 首にえんじ色の首輪型チョーカー、足元にチョーカーと同じような色のアンクルストラップミュール以外全裸となり、後頭部に両手をあてがう私の裸身を、ミサさまが舐めるようにご覧になりながら冷たいお声をぶつけてきました。

 えっ、何か着せてくださるのではないの?
 たぶん破廉恥な衣装なのでしょうけれど、プレゼントを着せてくださるっておっしゃったのに・・・
 社長室のドアは開けっ放し。
 高層ビルとは言え、畳一枚よりも大きな何枚もの窓もカーテン全開でした。

「返事は?」
 ヒュンと一閃したミサさまの乗馬鞭のベロで、今度は右太腿の側面を痛打されました。
「あうっ!は、はいっ!」
「それから今後、貴様が服を脱ぐときは、今の順番を厳守。何があってもだ。守らなければ罰を与える」
「はいっ。わかりました」

「ところで貴様はその、一番視られたい恥ずかし場所のことを、自分で何と呼んでいる?」
 ミサさまの乗馬鞭の先が私の股間を指しました。
「えっ?えっと・・・」
 突然のあんまりなご質問に、口ごもる私。

「だからその、裂け目から牝クサイよだれを垂らしている貴様の恥知らずな女性器のことを、自分では何と呼ぶのか聞いている。二度も言わせるなっ!」
 バチンとまた右太腿を痛打されました。
「はうっ!」
 痛みとともに粘膜が痺れ、性懲りもなく恥知らずなよだれがトロリ。
 それにしてもミサさまってば、乗馬鞭の扱いがお上手。

「は、はい・・・ごめんなさい・・・マ、マゾマンコです・・・お姉さま、あ、いえ、チーフが名付けてくださいました」
「正確に言うと・・・な、直子の剥き出しマゾマンコ、とチーフが名付けてくださいました・・・わ、私も、気に入っています」

 マゾの服従ポーズのまま、ジンジンしている腿の痛打痕を意識しながらお答えしました。
 内腿をはしたないよだれがダラダラ垂れていきます。

「ふーん。剥き出しマゾマンコか。さすがチーフ。上手いこと名付けたものだ。貴様の無毛な恥知らず女性器にピッタリの名だな」
 ミサさまが乗馬鞭のベロで私の股間をさわるかさわらないかくらいにスリスリもてあそびながらおっしゃいました。
「あと、貴様はチーフのことを、私たちの前でも、お姉さま、と呼んでいいぞ。そのほうが萌える」
「あっ、ミサさま、そ、そこは・・・あんっ!」
 ベロの先が腫れて飛び出した肉芽にコソッと触れ、思わず淫ら声を洩らしてしまいました。

「神聖な職場でいやらしい声を出すな。がまんしろっ」
 すかさず左腿にバチンと乗馬鞭。
「あうっ!はいっ!申し訳ございません」
 内腿を滑るよだれが止まりません。

「今後貴様はいついかなるときでも、裸になれと言われたら真っ先に下半身から脱いで、貴様が言うところの、剥き出しマゾマンコ、をまっ先に世間様に露出するのだ」
「これは絶対服従の命令だ。わかったな?」
「は、はいっ」

 お答えしつつも、今はコスプレされているとはいえ、普段は童顔ロリ美少女のミサさまのお口から、剥き出しマゾマンコ、なんて、はしたな過ぎるお言葉が発せられるのをお聞きして、キュンキュン萌え死んでしまいそうでした。

 ミサさまとリンコさまがお互い目配せをされました。
「今日の来客の予定は?」
「あ、はい・・・今日はありません」
「そうか。もし貴様がマゾ女らしくふしだらな格好をしているときに来客がある場合のみ、この上着の着用を許す」
 ミサさまのお言葉につづいて、リンコさまがショッパーの中から白っぽい布地を取り出しました。

 広げてみるとそれは、お医者様などがよくお召しになっている、所謂白衣。
 ナース服のように柔らかなシルエットではなく、ストンとした、科学や化学関係の研究所員さんが羽織っていそうなドクターコートという感じの白衣でした。

「ニットのワンピとかも考えたんだけどさ、こういうオフィス空間で、すぐ着れてお客様にも失礼じゃない上着って、難しいんだよね」
 リンコさまが広げて見せてくださった白衣をハンガーに掛けながら、説明してくださいました。

「白衣ならなんかインテリっぽいし、高尚ぽいじゃん。ややこしそーなことしているムードも出て」
「理系の大学の教授の秘書にも、白衣着てるの多いって言うし。アカデミックって言うかさ。そんなに社内の雰囲気も崩れないかなーと思って」

「私が裸にされているときに、ご来客があったら、これを上に着てお茶を出したり、応対しなさい、ということなのですね?」
 そんなに私、オフィスで年中裸にされちゃうのだろうか、とゾクゾクしながらお尋ねしました。
「そう。室外のトイレにいくときとかもね。ナオコ、裸コートするの、好きなんでしょ?」
「は、はい、それはそうですけれど・・・」

 素肌に白衣一枚でご近所の郵便局までお使いに行く自分を想像してみます。
 背筋がゾクゾクっと震えました。

「ちゃんとナオコの好み考えて、軽めで上質のコットンで作ってあげたからさ。素肌に貼り付いたら、ちゃんと乳首も浮くはず」
 えーっ、そんな・・・
 そんなこと私、望んでいません。

「これはいつもここに掛けといて、マゾモードナオコの緊急時ユニフォームということで」
 リンコさまが、今日このお部屋に導入されたばかりの謎のスーツロッカーに、その白衣をさも当然のように掛けられました。
 私には一度も着せてくれずに。

 ふとソファーの上に目を遣ると、いつの間にかいろいろなものが散乱していました。
 おふたりがお持ちになったショッパーの中身なのでしょう。
 すなわち私へのプレゼントの数々。

 下着のような布きれ、何か機械のような器具と絡まったコードの塊、私ならどう使うか一目でわかってしまう形状をした卑猥なオモチャの数々。
 おふたりの肩越しにチラッと拝見しただけで、そういったものの存在が認められました。
 これから私、何をされちゃうんだろう?

「どう?ミサミサ。ナオコを虐めるのって、面白いでしょう?」
 リンコさまがミサさまに話しかけました。

「うん。凄く愉しい。直子がこんなにドスケベなマゾ女だとは思わなかった。虐めのアイデアがどんどん湧いてくる。いつものボクらしくなく、とても興奮している」
 素に戻られたミサさまが普段の口調でおっしゃり、メガネの奥から私の裸身をじーっと見つめてきます。

「でしょ?今日は来客もないって言うし、時間もまだあるから、もう少しアソんでいこっか?」
「うん。もちろん」

 おふたりがお顔を合わせてニヤッとうなずいたとき。
 再び電話の呼出音が唐突に鳴り響き始めました。


非日常の王国で 03