2017年2月19日

非日常の王国で 14

 椅子の背もたれに背中を押し付け、動かせないからだを小刻みに捩りつつ、果てたと思ったらまたすぐ昇りつめる、をくりかえします
 クネクネと身悶えるたびに、汗とよだれを吸った縄地が、濡れた素肌をヌルヌルと擦っています。
 
 どれだけイッても、二穴一豆責めのバイブレーターたちは動きを止めてくれません。
「あっ、あーっ!いやっ、またっ、あっ、あんっ、あーーっ!!」

「マゾ子のいやらしいヨガリ声、ちょっとうるさくないですか?」
 私のお尻をバチンバチン叩きながら、ヨーコさまが里美さまに尋ねました。

「そう?わたしはとくに気にならないけれど・・・」
 ビデオカメラのレンズを私の股間に向けたまま、里美さまのお答え。

「こういう調教プレイだと、真っ先にボールギャグとかかませて言葉を奪っちゃうじゃないですか?とくに海外のボンデージものなんか」
 ヨーコさまが幾分不服そうにお言葉をつづけました。

「そういうのも支配欲ていうか隷属感が出ていいな、とも思うんですよね。でもテーブルの上に口枷とかマスクの類が見当たらなかったから・・・」

「ああ、声がうるさくないか?って聞いたのはそういう意味だったんだ」
 里美さまが構えたレンズをスーッと私の顔のほうへと上けつつ、おっしゃいました。

「それはね、マゾ子のお姉さまのご要望でもあるの、今日の様子を記録して後で見せるように言われているから」
「彼女はね、ボールギャグとか目隠しとかドレイの顔を弄るプレイは好みじゃないのよ。前頭マスクなんてもってのほか」

「普段取り澄ましている顔が、責められることによってどのくらい浅ましいスケベ顔になるのかを視て愉しむ、根っからの顔フェチなのよ」
「それに言葉で辱めて会話しながら弄ぶタイプでもあるから、めったに口は塞がないらしいわ。このマゾ子はそういうお姉さまに躾けられているの」
 
 あなたたちのことは何でも知っているのよ、とでもおっしゃりたげな、はっきり私に向けての里美さまのお言葉。

「そうなんですか・・・アタシは、そういう、ドレイをモノ扱いする、みたいなシチュも好物なんすけどね」
 ちょっぴり未練がましくおっしゃったヨーコさまが、気を取り直すようにつづけました。

「ただ、ボールギャグ云々以前に、マゾ子の喘ぎ声が大き過ぎてご近所、お隣とか上の部屋まで聞こえちゃわないか、っていう心配もあるんですが・・」
「ああ、その点は心配いらないわ」
 里美さまが間髪を入れずにお応えされました。

「ここはね、以前喫茶店だったのよ。夜営業でカラオケ入れていた時期もあったらしくて、防音はしっかりしているの」
「でなきゃわたしも、こんなに自由にマゾ子を喘ぎっ放しにはさせとかないわ。たちまちご近所から苦情が出ちゃう・・・」

 そこまでおっしゃって何かを思いついたらしく、考えを整理するような少しの間の後に、再び里美さまのお声が聞こえてきました。

「あなた、面白いことに気づかせてくれたわね。マゾ子のいやらしい声を黙らせる遊びを思いついちゃった。ボールギャグなんか使わなくても」
 お言葉の後にニヤリと唇を歪ませたお顔までが見えるような、里美さまの嗜虐的なお声。

「わたしがマゾ子と最初に出会ったのは、とあるファッションビルに入ったランジェリーショップだったのよ」
 里美さまがビデオカメラを私から逸らしたのは、おそらく録画を中断されたのでしょう。

「マゾ子と今のお姉さまが一緒にフィッティングルームに入って、ランジェのフィッティングにかまけて何やらイカガワシイ行為を愉しんだのね、他のお客様がひっきりなしに出入りする営業中に」

「わたしはそのときお店のレジにいて、確か一時間以上もふたりで篭ってた。ふたりが出てきた後、フィッティングルームの中に何とも言えないメスクサい、いやらしい臭いが充満していたわ」
 里美さまが私の顔を覗き込み、ニッと笑いました。

「それがマゾ子とお姉さまの幕開けだったのよ。後から聞いたら、薄っぺらな板で囲まれた狭いフィッティングルームの中で、マゾ子だけ全裸になってマンコ弄られてたみたい」

「売り場との境界も薄っぺらなカーテン一枚よ?その中で真っ裸。試しにお姉さまがカーテン閉めずに売り場に出て放置してみたら、マゾ子、ガタガタ震えながらも健気に表に裸晒したままお姉さまのお帰りを待っていたんだって。その頃から露出狂のドマゾだったのね」

 ヨーコさまに私の声を咎められたときから、私はなるべく悦びの声を我慢するように努めていました。
 もちろんそのあいだも下半身の三点責めバイブレーターは容赦なく私の秘部を蹂躙しつづけていました。
 
 その上、私の恥ずかし過ぎる過去を喜々としてみなさまにご披露しちゃう里美さま。
 物理的刺激に精神的恥辱が加わってオーガズムのインターバルが短かくなり、イッちゃだめ、と思うのにイッちゃうイキっぱ状態。

 それでもなんとか唇を噛み締めて声を押し殺し
「んーーー、んぐうぅ、んっ!!!、はぁはぁはぁ・・・」
 のくりかえし。

「あのときマゾ子は必死に声を我慢していたはずよ。あのとき出来たのだから、それを今もやればいいだけでしょ?」
 イジワルくおっしゃった里美さまが再びビデオカメラを構えられました。

「あっ、今気がついたのだけれど、タイマーボックス、とっくに解除になっていたみたい。もう6時をずいぶん過ぎちゃってる」
 確かにお部屋内がけっこう翳ってきていましたし、里美さまのビデオカメラにもいつからかライトが灯っていました。

「そういうことだから、最後にヨガリ声を押し殺したまま、マゾ子に盛大にイッてもらいましょう」
「ぁぅっ!」
 里美さまが片手のカメラを私に向けたまま、もう片方の手で器用に私の右乳首にさっきの舌鉗子を挟みました。

「どなたか手の空いている人、わたしが合図したらそこの窓を開けてくれる?」
 私の左乳首にも舌鉗子を噛ませた後、私の顔の右横にある窓を指差す里美さま。
 
 お向かいのビルの窓に明かりが灯っているのが見えました。
 その向こうにはいくつかの人影もあるような。
 
 えっ、あの窓を開けちゃうの・・・
 今にもその窓が開いて、ひょっこり誰かお顔を出しそうな気になってきます。
 そこから覗かれたら私の姿は何もかも丸見え・・・
 ああん、そんな・・・
 不安な心とは裏腹に、からだがグングン昂ってビクンビクン!!!

「あの窓を開けたら、あなたのヨガリ声が表の通りに筒抜けになるのは、わかるわよね?」
 里美さまがレンズを向けたまま尋ねました。

「んんーーーっ!!!はぁ、はぁ、はいぃ・・・」
 小さく喘いででうなずく私。
 ちょうどイったタイミングなので息も絶え絶えです。

「今も必死に声を我慢しているみたいだけれど、もしもいやらしく大きな喘ぎ声出したら、通りからこのビルが注目されちゃうわよね?」
 大きく肩で息をしながらうなずく私。

「えっちな声って耳を引くから、誰かがこの部屋に踏み込んできたり、向かいのビルの窓が開いちゃうかもしれない」

「それでヘンな噂がたって、わたしのショップがこのビルから追い出されたりしたら、あなたのお姉さまはとても悲しむわよね?」
「んっ、んーーっ、は、はいぃぃ」
 性懲りもなくまたまた高まっていく私。

「だったらあなたがどうすべきか、わかるわね?」
 そうおっしゃって、タイマーボックスから手錠の鍵を取り出された里美さま。

「我慢なさい。何をされてもいやらしい声を出さず、ひたすら我慢しながら昇りつめなさい。あのランジェリーショップのときみたいに」
 水飲み鳥のお人形見たく、ひたすら頭をコクコク前後させてうなずく私。

「窓を開けたら、あなたの手にこの鍵を握らせてあげるから、自力で手錠を外しなさい。手錠が外れたら今日のお役目終了よ。外せなかったり鍵を落としてしまったら、別のお仕置きを考えるから」
 イジワルっぽくおっしゃって、私から少し離れました。

「さあ、あなたたちもラストスパートで遠慮せずに思い切り虐めちゃって。マゾ子が声を我慢出来ないくらいに」
「はーい!」
 嬉しそうなお声があがり、メグさまが早々と窓辺に駆け寄りました。

「おーけー。それじゃあ窓開けて。全開ね」
 里美さまのお声にザザーッというサッシを開ける音がつづき、街の雑踏がお部屋を満たします。
 
 6時過ぎと言えばオフィス街の退社時刻。
 このビルは地下鉄駅にほど近い通りに面していますから、聞こえてくる人々のおしゃべりや靴音、車のエンジン音やクラクションなど日常的な喧騒と、今の自分の破廉恥過ぎる状況とのギャップが、羞恥心や背徳心を大いに掻き立ててきます。

「はい、これが手錠の鍵ね」
 椅子の背もたれ越しに括られた右手に、小さな金属片が握らされました。
「マゾ子が脱出するまでに何回イカせられるかチャレンジー、はじまりー」
「んんーーーっ!」

 里美さまの号令とともに私のからだに群がる何本もの手。
 ラテックスの感触に乳房を揉みしだかれ、お尻を撫ぜられ。
 
 今までよりもずいぶん積極的に動き回るお三かたの愛撫で、みるみる昇りつめていく敏感過ぎる肉体。
 右手の鍵を握り締めたまま、しばらくは声を我慢することに必死でした。

 どなたかの手が膣のバイブを捏ね上げ、どなたかの手がアヌスのバイブを抜き挿し、どなたかの手が乳首の舌鉗子を引っ張り。
「んぐっ、ん、むぅ、ぬぅ、んんぅぅ、んっっ、んっ、ぐぅぅっ!!!」

 いくら口を真一文字につぐんでも喉の奥から歓喜のわななきが洩れてしまいます。
「んぬぅぅーーーっ!!!」
 早くも今日何度目なのかもはやわからない、ラストスパートでの最初のオーガズム。

 それから右手の鍵を闇雲に左手首の手錠の側面に擦りつけ始めました。
 どこかに鍵穴があって、そこに嵌りさえすれば手錠が外れるはず・・・
 だけど鍵の先端は虚しくスチールの上を滑るばかり。
 そうしているうちに高まりがあっさりピークに達します。

「んんーーっ、ぁ、ぅ、ぅぅぅ、んぁ、んあぁっーーーーー!!!」
 どなたかの指でクリトリスを思い切り引っ張られ、思わず大きな声が。
 その拍子に右手から鍵がポロッ!

「あっ、マゾ子、鍵落としちゃったみたいですよ?」
 どなたかのお声が聞こえて初めて、私もしてしまったことの重大さに気がつきました。

「はぁ、はぁ・・・はぁぅうーーんっ!」
 我慢しようとしても、喉の奥から嗚咽のような嘆息が漏れてしまいます。

「あーあ。これは窓開けておくとヤバそうね。この子もう、理性ゼロのケダモノぽい」
 里美さまの呆れきったお声が聞こえました。

「マゾ子はもう解放される術を自分から放棄しちゃったのだから、とことんイッて壊れてもらうしかないでしょうね」
 心底蔑んだお声とともに窓が閉じられ、街の喧騒がピタッと聞こえなくなりました。

「ほら、もう声我慢しなくていいよ。マゾ子のして欲しいこと、なんでも言ってごらん?」
 里美さまが私の顎を乱暴に掴んで真正面から見据え、頬を軽くパチンとぶたれました。

「あん、はいぃ、もっと、もっとください、もっと直子をめちゃくちゃにしてくださぃぃ・・・」
 鍵を落としてしまったのを知った途端、すっごく悲しい気持ちになっていました。
 涙がポロポロと落ちるのに、からだは疼いて疼いて仕方なく、更なる刺激と陵辱を求めていました。

「ごめんなさいぃ、もっと、もっとしてくださいぃ、やめないでぇ、いじめてくださいぃぃ・・・」
 唇が勝手に動いていました。
 して欲しいことがスラスラと口をついていました。
 ぶってください、つねってください、開いてください、噛んでください、突っ込んでください・・・
 
 それからはよく覚えていません。
 里美さまには、何度かビンタをされ、そのたびに激しいくちづけをくださった気がします。
 すべてのバイブが抜かれた後、そこからはみなさまの指であらゆるところを陵辱されたと思います。
 どなたかに鞭を振るわれ、ひどいお言葉をたくさん投げつけられ、みなさまに謝りながら何度も潮を撒き散らしたはずです。

「いい、そこそこ、もっと、奥まで、いやーっ、ああ、イッちゃう、イッちゃうぅぅぅ!!!」
 
 喉がカラカラに涸れるほど喘ぎまくり、イキまくりました。


非日常の王国で 15


2017年1月29日

非日常の王国で 13

 股下が空洞になっている卑猥な椅子に、思い切り恥ずかしい格好で戒められている私。
 これからされることへの不安と期待で胸が張り裂けそう。
 M字に広げられた両腿の向こうに、テーブルに群がったお三かたのキャピキャピはしゃぐお姿が見えています。

「うわー。何?このイボイボ」
「これってたぶん、吸いつくんだよね?」
「あ、これがお尻用じゃない?」
「こんなの入るのかしら?」

 弾んだお声とは裏腹な、妄想を徒にかきたてる不穏なお言葉がどんどん聞こえてきて、ゾクゾク震えてしまいます。
 からだは熱いのに鳥肌が立っているみたいに、全身の皮膚が戦慄いています。

 やがてお三かたが私の傍らに戻っていらっしゃいました。
 手に手にカラフルなラブトイズを嬉しそうに握って。

 里美さまがキャスターの付いた、いかにも病院に置いてありそうなステンレスのワゴンを運んできて、私の傍らに据えました。
 一番上段のトレイには真っ白なタオルが敷いてあります。

「あ、それを選んだんだ。なかなか良いセンスよ」
 里美さまが、メグさまのお持ちになった赤色のバイブレーターらしきアイテムに目を遣り、愉快そうにおっしゃいました。

「それを試すのだったら、やっぱりみんな、これを身に着けておいたほうがいいかもね」
 里美さまがワゴンの下段に積んであった箱から何か取り出されました。

「このマゾ子はね、感極まってイキまくると、だらしなく潮まで吹いちゃうらしいのよ」
「あなたたちの綺麗なお洋服が、こんな淫乱マゾ子の潮まみれでグショグショになっちゃうなんて嫌でしょう?」
「これ、使い捨てのエプロン。これも医療用なの。トイズはいったん、そのトレイの上に置いて着るといいわ」

 里美さまがみなさまに手渡したのは、半透明な水色の薄いポリエチレン製らしきエプロンでした。
「介護現場とかで使われる本格的なものよ。これなら万が一マゾ子が潮噴射しても、みんなのお洋服を汚さずに済むはずよ」
 おっしゃりながら私の足元にもシーツらしき布地を敷く里美さま。

「アタシ、誰かが潮吹くの見るなんて、初めてっ!愉しみっ」
「あ、これ、ちゃんと袖まである。それに袖口にゴムが入っているんだ。すごーい」
「こんなの着ちゃうと、ますますアブノーマルな人体実験ムードが高まってきちゃうよね」
「うん。本格的に、お医者さんごっこ、っていう感じがしてきた」

 ポリエチレン地がガサガサいう音に混じって、お三かたの愉しそうなお声が聞こえてきます。
 背中の紐をお互いに結びっこして、やがて再び私の周りに集まっていらっしゃいました。

 背もたれを挟む形で後ろ手に、手錠拘束された両腕。
 椅子の肘掛けを跨ぐ形で大きくM字に開かれたまま、鎖に繋がれた両脚。
 ソックスと首輪以外全裸のからだを、菱縄縛りで締め付ける麻縄。
 麻縄に絞られたおっぱいの先端二箇所にぶらさがる、無機質に光る舌鉗子。
 そして絶望的広げられた股間を更に恥ずかしく粘膜の奥まで白日のもとに晒し上げている、ラビアに噛み付いた2本の舌鉗子。

 そんな格好で身動きの出来ない私を、まじまじと見つめてくる好奇に満ち溢れた6つの瞳。
 そのうちのいくつかはすでに、好奇から嗜虐へと輝きが妖しく変わっている気がしました。

 私、これからこのかたたちに、自分が浅ましく喘ぎ悦ぶ痴態のすべてを視られてしまうんだ・・・
 何をされてもあがらえない、こんな無様な姿のまま、みなさまが飽きるまで弄ばれ、嬲られ、辱められるんだ・・・
 被虐が極まり過ぎて、もうその視線だけでイッてしまいそう・・・
 
 その後ろには、里美さまの心底愉しそうなふたつの瞳が見えました。

「グッズで虐める前に、みんなの手だけでマゾ子をリラックスさせてあげよっか?だってほら、マゾ子ったら、あんなに怯えた目になっちゃてる」
 里美さまが私の頭の横まで近寄ってこられ、おもむろに右手を伸ばしてきました。

「お医者さんごっこで言えば、さしずめ触診ね。ほら、こんなふうに」
「あうぅ!」
 里美さまの右手が私の右おっぱいをむんずと掴み、乱暴にワシワシ揉みしだき始めました。
「うん。乳房にシコリはないようね。シコっているのは乳首だけ」
 お芝居じみた里美さまのお声。

「あっ、あっ、あーっ」
 里美さまが指のあいだに逃した舌鉗子の柄が、おっぱいに噛み付いたまブルンブルンと揺れて右乳首がちぎれそう。
 痛みと陶酔の入り混じった甘美な快感に、たまらずからだが大きく跳ねたがります。
 だけど、両腕両脚をガッチリ拘束されたからだは、うねうね身悶えるばかりで、全身に張り巡らされた麻縄が無駄に肌へ食い込むばかり。

「ほら、あなたたちも遠慮しないでやってみて。どこでも好きなところ診察しちゃって」
 今度は左おっぱいを揉み始めた里美さまのお言葉に、お三かたが近づく気配。
 すぐに、そっとお腹や太腿を触られる感覚がつづきました。

「肌がすっごく熱くなってるー」
「ロープもけっこう張りつめているんだね。皮膚に食い込んじゃって、なんか痛々しい」
「マゾ子のお肌スベスベー。でもこの手袋で触ると、なんかヘンな感じ」
「うん。何て言うか大胆になれるよね?うちらでイチャイチャしているときとは違って、相手は実験の被験体なんだから何してもいいんだ、っていう気になってくる」
 最後に恐ろしいことをおっしゃったのはヨーコさまでしょう。

 私のからだを8つの手のひら、40本の指が這い回っていました。
 ラテックスグローブで撫ぜ回される感覚は、素手でされるよりも無機質ぽく、撫ぜている人の感情の情報量が少ない感じがしてかなり不気味。
 目を閉じると胸を、お腹を、脇腹を、内腿を、無数の爬虫類がペタペタと這い回るような錯覚にとらわれました。

「はうっ!あっ、そこはっ!」
 どなたかが下腹部の縄を引っ張ったのか、縄が腫れている肉芽を擦りました。
「うわ、いやらしい声」
 すかさずどなたかの嘲るようなつぶやき。

 撫ぜ回されているうちに全身の皮膚がどんどん敏感になり、切ない感情が湧いてきます。
 ああ早く、もっと決定的なところを触ってください・・・
 そこじゃなくて、もっと下、もっと弄られたがっている私の一番はしたない裂けめ・・・
 そう思ったとき、ヌルっと襞を撫ぜられる感触がしました。

「はうっ!」
 自分でもびっくりするくらい大きな声が出てしまい、それが合図だったかのように一斉に私の下半身への陵辱が始まりました。
 ピチャピチャと恥ずかしい音が聞こえてきます。

「うわー。中まで熱いー」
 舌鉗子で抉じ開けられた膣の中をグルグル陵辱する指。
 膨らんだ肉芽をグリグリつまみ上げる指。
 わしづかみで左右のおっぱいを揉みしだきつづける里美さまの両手とともに、みるみる昂ぶっていく私。

「あーーいいっ、いいっ、そこぉ、ああーっ・・・」
「んんーーっ、もっと、もっとぉー、んんーっ、んぐぅーー」

「うわっ、マゾ子、えげつない声」
「こんな格好でこんなことされて、恥ずかしくないのかしら?本当にヘンタイだね」
「全部の穴、おっ広げちゃって、本気汁ダラダラ垂らしちゃって」
 歳下のかたたちからのお言葉責めが耳に心地いい・・・

 快感に翻弄されながらも、一本だけ不穏な動きをしている指の存在にも気づいていました。
 私の愛液をまぶしたのであろうヌルヌルした指先をお尻の穴にスリスリ撫でつけてくる指。
「あ、そこは・・・だめっ、だめぇーっ、いやぁーーーっ!」
 菊門が抉じ開けられ指がヌルリと侵入してくるのがわかりました。

「うわー、スルッと入っちゃった。中でキュッキュと締め付けてくるー」
 愉快そうなヨーコさまのお声が聞こえ、挿入した指を中でグルグル動かし始めました。
「だめぇー、動かしちゃだめーっ、いやーっ、ゆるしてくださいぃーーっ!!」

 アヌスにズッポリ埋め込まれた指と膣内奥深く潜り込んだ二本の指で、からだの内側から掻き回されます。
 そのあいだにも腫れ上がった肉芽は執拗に捏ね繰り回され、乱暴な手のひらに乳房をもてあそばれています。

「あっ、いやっ、だめっ、もうっ、もうーーーっ」
「どう?面白いでしょう?このままイカせちゃいましょうか?」
 里美さまのお言葉にビクンとからだが震え、のけぞらせていた頭を少しだけ上げ、薄目を開けて自分のからだのほうを見ました。

 舌鉗子が噛み付いた左右乳首を思い切り引っ張る、里美さまの愉しそうなお顔。
 膣の中を掻き回しているのは童顔のメグさま。
 クリトリスを潰していらっしゃるのは、火照ったお顔の倉島さま。
 そして、アヌスに指を挿入してもてあそんでらっしゃるのが、お三かたの中で実は一番ドエスらしいヨーコさまのようです。

「ほら、マゾ子、イッちゃいなさい。虐めてくださるみなさんに感謝して、マゾらしく浅ましく、イッちゃいなさい」
 里美さまの蔑みきったお声に、みなさまの指の動きがいっそう活発化しました。

「ああーーっ、いいっ、いいっ、ィきます、イッちゃいますぅ、あ、ありがとー、ありがとーござまーぁっ!!」
「誰か片手の空いている人、マゾ子のお尻を叩いてやって、そうすればこの子、もっと気持ち良く啼くはずだから」
「あ、はーい」
 アヌス担当のヨーコさまが左手で私の尻たぶを平手打ちし始めます。

 ピシャっ!
「あーーっ!」
 ピシャっ!」
「いいーーっ!」
 ピシャっ!
「もっとぉー、もっとつよくぅ!!・・・」

 もはや頭の中は真っ白でした。
 それでもヨーコさまが私のお尻を叩くたびに、ほらっ、イけっ、イッちゃえっ、このいやらしいメス豚がっ!と小さくつぶやかれているのは、聞こえていました。
 そして、乳首への疼痛も、クリットへの摩擦も、膣壁への圧迫も、アナルへの蹂躙も、尻たぶへの痛みも、からだが全部感じ分けていました。
 それらの刺激がやがて快感という一本の太い激流となって、全身が溶け出してしまいそうなほどの恍惚感に包まれました。

「ああーっ、イキますぅ、イッちゃいますぅぅぅーっ、ううぅぅぅーーーっ!!!」
「うわーーっ、膣の粘膜がキューッと締まって蠢いたよ!?」
「アヌスもっ!すっごい締め付け・・・」
「下腹がヒクヒクしてる・・・これは完全にイッたね?すごいもん視ちゃった・・・」

 みなさまが興奮されたお口ぶりでガヤガヤおっしゃるのを遠くお聞きしながら、すさまじい快感に酔い痴れていました。
 全身の力はグッタリと抜けているのに、おっぱいと下腹部と両腿がそれぞれ別の生き物みたいに、上下したりヒクついたり。
 里美さまがいつの間にか、ビデオカメラを私に向けていました。

「さあ、これだけ深くイッたマゾ子は、ここからはケダモノよ。何やってもいイきまくるはず。今度はトイズをどんどん使ってマゾ子を壊しちゃいましょう」
 里美さまが近づいてきて、乳首の舌鉗子を外してくださいました。

 まず右から。
「あーーっ!」
 そして左。
「あーーーっ!」

 血流が戻る激痛もイッたばかりの余韻の中では、次の欲情を呼ぶ前戯でした。
 つづいてラビアを挟んでいた舌鉗子も外されました。
 大陰唇がジンジンと痺れ、濁った愛液がドロリと滴ります。

「マゾ子のマンコ、鉗子を外されても半開きのままだね?」
 メグさまが可笑しそうに指さしておっしゃいました。
「発情しちゃってるからだよ。何か咥え込みたくて仕方ないんだ、このメス豚の淫乱マンコ」
 ヨーコさまも嘲るようにおっしゃいます。

 お三かたがワゴンのトレイから、それぞれが選ばれたラブトイズをお手に取り、私に近づいてきました。
 もはやこの場にいるかた全員が、冷酷なサディストの笑みを浮かべてらっしゃいました。

 舌鉗子を外され菱縄縛りだけとなった私の裸体を、ニヤニヤ眺めるみなさま。
 おねだりするように尖る乳首と肉芽。
 敏感な箇所をどこも虐められていないことが、かえって疼きを掻き立ててきます。

「イボイボバイブとアナルバイブにクリットローターか。みんな自分で使ってみたいトイズを選んだのかな?」
 里美さまがお三かたのお持ちになったトイズを見て、からかうみたいにおっしゃいました。

「まさかー。アタシ、アナルバイブなんて挿れたくないしー。マゾ子が好きそうなやつを選んでみたんですよ」
 ヨーコさまが代表して、笑いながら否定されました。

「それじゃあいっぺんに装着して、しばらく放置して、マゾ子が壊れていくさまをじっくり見させてもらいましょうか」
 含み笑い混じりのゾクゾクしちゃう里美さまの声音。
 お三かたが私の下半身に群がりました。

 どなたかの手で私のマゾマンコにバイブレーターがズブリと突き立てられました。
 何の前触れもなく、あたかもそれが当然のことのように。
「ああーーっ!」
 胴体にイボイボを纏った、あの赤いバイブレーターのようです。
 かなり太い。
 その一撃で膣内がパンパンに満たされました。

 少し遅れて菊門に異物。
 アナルパールに似た感触が直腸内に、さっきの指先よりも奥まで潜り込んでくる・・・
「ああん、いーやぁーーーっ!」

 同時にクリトリスが何かに吸い付けられて引っ張られる感覚。
 倉島さまの背中が私の股間に覆いかぶさっています。

「まだスイッチを入れては駄目よ。バイブやコントローラー類は、落ちないようにローブに挟んじゃえばいいわ」
 里美さまのお声と同時に、あちこちで麻縄が食い込む感覚がしました。

「なるほどー。股縄していると便利ですねー」
 ヨーコさまの感心したようなお声とともに、マゾマンコとアナルのバイブが縄に押され、より奥深く侵入してきました。
「あぁ、うぅぅ・・・」

「うわー。これが有名な二穴挿入ってやつですね?おまけにクリちゃんまでこんなに腫れ上がらせちゃって」
 ヨーコさまの嬉しそうなお声。

「これでバイブ動かしたらマゾ子、本当におかしくなっちゃうんじゃない?」
 メグさまが心配してくださっています。

「あたし、マゾ子さんのこと、ちょっと羨ましいような気にもなってきちゃった・・・」
 マゾっ気を刺激されちゃったらしい倉島さま。

「いいわね?始めましょう。くれぐれも潮には注意してね?」
 イタズラっぽくおっしゃった里美さまがビデオカメラを構え直されました。
「それでは一斉に、スイッチ、オンっ!」

 里美さまの号令と共に、私の下半身が別の生き物になりました。
 膣壁を、腸壁を、陰核を震わせる強烈な振動。
 大量の虫の羽音のようなヴゥーンという低音に包まれた下半身がみるみる蕩けだしていきます。

「あーーっ、いいーっ、イクっ、イーークゥーっ、ああああーーーっ!!!」
 数秒も保たずに第一波到達。

 でも振動は止まること無くつづき、絶頂の余韻をかき消すように、第一波を凌駕する快感が襲いかかります。
「いいーーーっ、だめぇーっ、もう、もう、もう、イーーークーーーゥっ!!!」
「いやーっ、ゆるしてぇーっ、こわれちゃうぅーっ、いいっ、いいっ、イクゥゥゥっ!!!」
「あっ、またくるっ!きちゃうっ、イッちゃうっ!イッちゃうゥゥーーーっ!!!」
 得も言われぬ甘美な痺れが下腹部から太腿にかけてたてつづけに炸裂しました。

「すごいねー。気持ち良さそー」
「マンコから愛液ダラダラだー。よだれもダラダラー」
「でも下半身は凄いけど、おっぱいがブルンブルン揺れているだけで、刺激が無くて寂しそうだね?」
 最後にメグさまがポツンとおっしゃったお言葉に里美さまが応えました。

「あ、それだったらいいものがあるわ。あなた、ちょっとこれを引き継いでくれる?好きなところにレンズ向けていればいいから」
 撮影されているビデオカメラをメグさまに預け、その場を離れる里美さま。

 そのあいだも私は何度も、イキつづけています。
 イクたびに快感は大きく深くなり、休む間もなく頭の中がスパークしていました。
「いやーっ!だめーっ、もう、もう、とめてーっ、あっ、あっ、いいっ!もっと、もっとぉぉぉっ!!!」

 何度目かに達しようとしていたとき、乳首に新たな刺激を感じました。
 いつの間にか里美さまがお戻りになり、私の右乳首に木製の洗濯バサミを噛ませていました。
「はうぅっ!」
 久しぶりの刺激に乳首の感度が一段上がります。

 里美さまは無造作に、いくつもの洗濯バサミを私の肌に噛ませていきます。
 左右の乳首はもちろん、乳首を囲むようにおっぱいの皮膚をつまみ、左右の脇腹をつまみ、下腹部をつまみ。
 私の上半身は洗濯バサミだらけになっていました。
 それらの洗濯バサミはすべて一本の紐に繋がれていて、その紐の端をビデオカメラと引き換えにメグさまに握らせました。

「いい?マゾ子。次にイキそうなときは、自分でカウントダウンしなさい。そうね、5から0まででいいわ」
 里美さまのご命令口調。
「あっ、はっ、はいぃっ・・・」
 私はすでに、洗濯バサミの痛みで、イク寸前まで高まっていました。

「あなたはマゾ子がゼロって言った瞬間に、その紐を思い切り引っ張るの。マゾ子のこの上ない歓喜の悲鳴を聞けるはずよ」
 愉快そうな里美さま。
「は、はいっ!面白そうっ!」
 お声を弾ませるメグさま。

「あなたたちはマゾ子のお尻を思いっきりひっぱたくといいわ。それもマゾ子にはご褒美だから」
「はいっ!」
 愉しそうな倉島さまとヨーコさまのユニゾン。

「マゾって凄いね。本当に痛さも快感になっちゃうんだ」
「あたしも自虐趣味あるけど、マゾ子さんに較べたらまだまだだな」
「ワタシ、この紐持たされた途端にゾクゾクして、濡れてきちゃったみたい」
「メグってロリのくせに意外と エスっ気あるもんねー」
 キャッキャウフフとはしゃぐお三かた。
 
「さあ、始めましょう」
 里美さまがススッと私の右腿の傍に移動されました。
「ここでちょっと、うちのオリジナルトイズの宣伝させてもらうわね」
「このバイブは振動だけじゃなくてピストンも出来るのよ、前後に」
「この動きはね、Gスポットを刺激して潮吹きを誘発しやすくなるの」
 
 里美さまが私の右腿と縄のあいだに挟まったコントローラーに触れると、私のマゾマンコに埋まったバイブレーターが震えたまま、より奥へと侵入するようにピストン運動を始めました。
 バイブレーターのイボイボが今までとは違う動きで膣壁を擦るのがわかりました。

「あっ、あーーっ、だめですぅ、もうだめですぅ、ィきます、イッちゃいますぅぅぅ」
「えっ、もうなの?」
 ヨーコさまの慌てたようなお声が聞こえ、間髪を入れず左の尻たぶをピシャリとはたかれました。

「それなら早くカウントダウンしなさい」
 里美さまがカメラのレンズを私の顔に向けてのご命令。
 
「あーっっ!ご、ごめんなさいぃ、イキますぅ、ご、ごぉ・・・」
 ピシャン!ピシャン!
 右と左の尻たぶが交互に、手拍手で私のオーガズムを煽るような音をたてています。

「よおんっ、んっ、あ、ありがとうござぃまぁ、さーんっ、んっ、だめ、でちゃうっ!でちゃいそうっ・・・」
「潮に気をつけてっ!」
 里美さまの語気鋭いご注意が聞こえました。

「にぃーっ、あ、もうだめ、イッちゃうっ、出ちゃうっ、イッチャウぅぅ、いいいちっ!!」
 からだがフワッと宙空高く舞い上がります。
「イクぅーーーーっ!ぜーろっ!!」
「あああぁーーーーーーっ!!!」
 ビチャビチャビチャーっ!
「うわーーっ!」

 上半身に夥しい鋭い痛みを連続で感じたと思ったら、すぐにそれらが極上の快感に姿を変えて全身へと広がりました。
 筆舌に尽くせない絶頂感、開放感、爽快感。
 それでも動きを止めないバイブたち。
 いつまでもつづくかのようなイきっ放しの感覚に、喘ぎ、叫び、懇願し、黙り込んで我慢して、再び喘ぎ・・・

 私の心にも脳にも、一欠片の理性も残っていませんでした。
 たった今味わった凄まじい快感の余韻と新たに膨らみつつある快感を同時に貪る、ケダモノのように浅ましい淫らな肉塊と化していました。


非日常の王国で 14


2017年1月8日

非日常の王国で 12

「あ、勢い良く回しすぎて1時間23分になっちゃった。ま、いいか」
 里美さまがニヤニヤを私に投げかけつつ、タイマーのダイアルをポンと押しました。

「はい。これでこのあと約80分間、マゾ子ちゃんはみなさんにされるがままのモルモット。さっきどなたかがおっしゃったけど、まさに生贄状態ね」
 里美さまの右手が私の下腹部に伸び、菱形を作る縄をつまんでグイッと引っ張りました。
「あうぅっ!」
 大股開きの裂け目に食い込んだ縄が手前に動き、ラビアの中に埋もれていた結び目のコブが、テラテラに腫れ上がった肉芽をザラッと押し潰すように擦りました。

 三つ折りソックス以外一糸まとわぬ裸身を菱形模様の麻縄で飾り、ほぼ180度に広げられたM字開脚で椅子に磔られた私。
 中学生の頃、好奇心に駆られて図書館でこっそり見て後悔した生き物図鑑の、解剖される蛙さんの図版を思い出していました。

 里美さまはとても嬉しそうに、つまんだ縄を引っ張っては緩め引っ張っては緩め、そのたびにコブが敏感過ぎる肉芽の上を猛々しく行ったり来たり。
 屈辱と被虐で飽和寸前まで昂ぶっているからだに、里美さまがくりかえす股間の綱引きは、まるで拷問でした。

「あっ、あーんっ、ひっ、いやっ、だめっ、だめぇーっ・・・」
 グングン積み上がる快感に、押し殺そうとしても喉奥から淫声が零れ出てしまいます。

「ほら、いい声で啼くでしょう?みんなも遠慮しないで虐めちゃっていいのよ?」
 里美さまがお誘いになっても、お三かたはじーっと、コブに嬲られる私の股間に見入るばかり。
 ピーク寸前の兆候を見せている私のマゾマンコから、目が離せないのでしょう。

「内腿がヒクヒク痙攣してるね・・・」
「滲み出てくる愛液が白く濁ってきた。これってアレだよね?本気汁・・・」
「穴がパックリ口開けちゃって、別の生き物みたいにビラビラごとヒクついてる・・・」
「クリをこれだけ擦られて、痛くないのかな・・・」
「お腹までプルプルしてきた。もうすぐイッちゃうんじゃない?・・・」
 頼んでもいない実況中継をしてくださるお三かた。

 視られてる・・・私が一番淫らになる瞬間を待ち侘びて、みなさまが固唾を呑まれている・・・
 里美さまの綱引きがスピードアップして、私はもはや限界でした。
「あっ、あーーっ、だめっ、いいっ、いーーっ、イキますぅ、イッちゃいますぅーーーっ」
「あぁーーーーーっ!!!」

 背もたれに背中を押し付けるように頭をのけぞらせ、みなさまに喉仏を見せながら果てました。
 真っ白になった頭の中を、パチパチとまだ小さな星たちが爆ぜているような、強烈なエクスタシーでした。

「あーあ。あっさりイッちゃった。まあ今のは、今日のレクチャーへのギャラ、ご褒美みたいなものと思ってね」
 里美さまが私の顔にお顔を近づけ、笑顔でおっしゃいました。

「マゾ子って、一回イッた後からが凄いらしいじゃない?愉しみだわ」
 私の呼び方から、ちゃん、が消え呼び捨てにした里美さまが、からかうようにおっしゃって、お三かたのほうをお向きにまりました。

「あなたたちも遠慮なさらないで、何でもしたいことしちゃっていいのよ?」
「あ、はい・・・」
 と応えたものの、なんとなく及び腰ふうな倉島さまたち。
 イッたばかりのテラテラな私のマゾマンコを、不安そうに眉根を寄せて、ただじっと見つめるばかり。

「あ、そっか。そうよね。わたしにデリカシーが足りなかったかも。ちょっと待ってて、ちょうどいいものがあるから」
 何かしら思いつかれたらしい里美さまが、おひとりだけご納得のお顔で近くのキャビネットを開け、大きめなダンボール箱を取り出しました。

「考えてみれば今日会ったばかりの、どこの誰ともわからないマゾ子の汗まみれのからだを素手でいじくるのって、気持ち悪いわよね?」
 サラッとショックなことをおっしゃった里美さま。
 私って、気持ち悪いんだ・・・

「いえ、決してそんなことは・・・」
 あわてて否定される倉島さまのお言葉を遮るように、
「ましてやマンコはイッたばかりで、白濁したヨダレをあんなに垂れ流しているんだもの、生々しすぎて年頃の女の子の腰が引けちゃうのも無理ない話よね」
 私を薄笑いで眺めつつずいぶんイジワルくおっしゃって、ダンボール箱から何かを取り出されました。

「はい。これを着けるといいわ。医療用の使い捨てグローブよ。これすればマゾ子もあなたたちも、安心して触り触られ出来るでしょう?衛生的にもバッチリ」
 半透明な白色の薄いラテックス製らしき手袋が、お三かたに配られました。

「うわ。すっごく薄い。コンちゃんくらい?」
「指にピッタリ密着するんだね。なんか感触が自分の手じゃないみたい」
「こんなのしちゃうと、よく映画とかで見る、悪の組織の非道な禁断の人体実験、ぽい雰囲気が漂ってこない?ワタシそういうシチュ、すんごく萌えるんだ」
 愉しそうにはしゃがれるお三かた。

「うちのネットショップの次回の更新でね、ちょうど予定していた特集があるのよ。そのために今、アイテムをいろいろ集めているの。このグローブもそのひとつ」
 里美さまもグローブをお着けになり、両手で、結んで開いて、をしながらおっしゃいます。

「テーマはね、オトナのお医者さんごっこ。それで医療プレイ用のアイテムを、海外を含めてあちこちから取り寄せているの。まだあまり届いていないのだけれど」
 里美さまのグローブ越しの右手人差し指が、私の左内腿を膝の方へとスーッと撫ぜました。
「はうぅん・・・」
 イッたばかりで敏感になり過ぎている肌への刺激に、思わず鼻が鳴ってしまいます。

「ドクターコートとかナース服みたいなコスプレ系はもちろん、聴診器、ピンセットや脱脂綿とか拘束用の包帯とかの小物でしょ」
「あとは、いろんな浣腸器とか、導尿カテーテルや肛門鏡とかも揃えて、かなり本格的に遊べる、医療プレイマニアには堪らない特集になると思うわ」
 お三かたのご様子を窺うと、とくにヨーコさまが興味津々のワクワク顔をされています。

「たとえばこれ、わかる?ちょうど昨日届いたばかりなの」
 里美さまがダンボール箱から引っ張り出されたのは、一見して事務用のハサミのような大きさ、形状の物体でした。
 ステンレス製らしく全体が銀色で、ハサミであれば刃となっている箇所に刃は無く、代わりに重なり合う先端部分2箇所とも、あいだに何かを挟み込めるリング状になっていました。

「あっ!あたし、外国のボンデージ画像でそれ、見たことあります。それで乳首とか肌とか、挟むんですよね?」
 倉島さまが身を乗り出しながらおっしゃいました。

「へー。よくご存知ね。その通り。これでね、マゾ子の勃起乳首を痛めつけちゃうわけ。ご褒美の後はお仕置き、SMの基本の飴と鞭ね」
 
 先端のリング状に私の右乳首が挟まれ、ハサミを閉じる要領で指を絞る里美さま。
 カリカリッと小さな音をたてて冷たい金属の輪に挟まれた乳首がひしゃげ、麻縄に絞られて尖立している右おっぱいの先端に、その用具がぶら下がりました。

「あうぅっ!」
 強めの洗濯バサミほどの疼痛がジンジンと右おっぱいを苛みます。
 さっきカリカリと音がしたところが、ハサミの閉じ具合を調節するストッパーらしく、一度噛み付いたらそのまま、バネ仕掛けの洗濯バサミのように緩むことは無いみたい。
 そのもの自体にけっこう重さがあり、挟まれた乳首が下向きにうなだれて引力に引っ張られています。

「わたしずっと、それって何なんだろう?って思っていたんです。何か化学の実験用具なのかなと思って東急ハンズとかで探しても売っていないし」
 倉島さま、とても嬉しそう。

「これはね、ぜつかんし、っていうの。ぜつは舌のこと。で、かんしは、手術とかで使う鉗子。れっきとした医療用具よ」
 里美さまがもう一本お出しになりながらご説明してくださいます。

「本来は舌を挟んで引っ張り出すための鉗子。ほら、事故とかの緊急時に舌噛んじゃって喉に詰まったりするでしょ?そんなときに気道を確保するために、これで挟んで舌を引っ張り出して出しっ放しにするの」
「この先っちょがリング状のはコラン氏式とかマッチュー氏式って呼ばれるみたい。先っちょの形状がもっと面積広く挟めるように大きくUの字状になっているのがホッチ氏式。そっちは口腔手術に使うんだって」
 おっしゃりながら倉島さまを手招きされる里美さま。

「ほら、これでマゾ子のもう片方のいやらしい乳首も、お仕置きしてあげて」
 舌鉗子を渡された倉島さまがマジマジとそれを見つめています。
「なるほどー。こういう仕組みなんですね」
 何度かカチカチいわせては開き、ご満悦なご様子。

 里美さまに軽く肩を押され、倉島さまが私の上半身のほうへいらっしゃいました。
「し、失礼します・・・本当に挟んじゃっていいんですか?」
 倉島さまが幾分おどおどされながら、私に尋ねてきました。

「ほら、マゾ子?お客様がわざわざお尋ねくださっているのよ?ちゃんとマゾらしくお願いしなさいっ!」
 右乳首の舌鉗子をビューっと引っ張りながらの、里美さまのドSなお声。

「ああんっ、はい・・・どうぞ、私のからだをお好きなだけ、いたぶってやってください・・・」
 もうひとつの乳首にも早く痛みが欲しくて、被虐まみれの科白がスラスラ出てしまいます。

「これって、どのくらい強く挟んでいいものなのですかね?」
 倉島さまが里美さまに振り向きます。
「先っちょがちょこっと浮いてるぐらい締め付けちゃっていいわよ。この子はマゾだから、痛いほど悦ぶわ」
 私に向けて嘲笑うようにお答えになる里美さま。

「このくらい、ですかね・・・」
 倉島さまがお持ちになった舌鉗子の先が、背伸びしている左乳首の裾野にひんやり触れました。
「あふぅっ!」
 期待と不安にいやらしい声が、思わず洩れてしまいます。

 リングが肌にギュウっと押し付けられ、カチカチっと小さな金属音。
 乳首の側面が両側から押し潰されて、切ない痛みが広がっていきます。
「あ、ああっ、あうぅぅっ・・・」
 乳首がグンと引っ張られる感覚がしたのは、倉島さまの手が舌鉗子から離れたからで、舌鉗子は、そのまま左乳首にぶら下がりました。

「やっぱり医療用具っていいわね。洗濯バサミとかSM用のクリップとかいかにもなやつとは違って、インモラルなアート的気品があるわ」
 里美さまがビデオカメラを向けながらおっしゃいました。

「確かにその舌鉗子?がぶら下がっただけで、ますます人体実験ぽい絵面になったっすよね?アタシこういうの、すっごく好きなんです」
 ヨーコさまが、うっとりなお顔でおっしゃいました。

「あと2本あるから、下半身も飾ってあげるわね」
 おっしゃった里美さまが、ツカツカと私の動かせない下半身に歩み寄りました。

 マゾマンコに右手が伸びてきて裂け目上を走る2本の縄をつまみました。
 その縄をクリット下の結び目から大陰唇の外側へと左右に分ける里美さまのグローブの指。
 そうすることによって、だらしなく楕円形の半開きになったマゾマンコ穴とすぐ下のお尻の穴まで、みなさまの眼前で遮るものの無い、剥き出し状態となりました。
 あらためて視線がソコに集まってきます。

「舌鉗子のいいところはね、さすがに医療用だけあって、どんなにヌルヌルしていてもしっかり噛み付いてくれるの。こんなにグショグショなマゾ子のラビアでもね」
 里美さまの指が無造作に私の左側のラビアをつまみ上げ、舌鉗子のリングで挟みました。
 ラテックス越しの指の感触は、生身の指よりも無機質な感じがして、粘膜が戸惑いにわななきました。

「うわ、マゾ子のマンコ、湯気が見えそうなほど熱くなっておねだりしてる。さすが色情淫乱マゾマンコね。ステンレスのひんやりが気持ちいいでしょう?」
 どんどんお下品になっていく里美さまの口調。

「あ、いやんっ!」
 舌鉗子に挟まれたラビアがグイッと外側に引っ張られました。
 見る見る半円形に口を開ける私の粘膜。

「ダメダメ、いやっ、いやーっ」
 大陰唇を太腿側に引っ張ったまま、舌鉗子の胴体ごと白い包帯で左太腿に巻き付けられ、粘膜開きっぱなしで固定されました。
 挟まれたラビアにさほど痛みは感じませんが、グイーっと引っ張られて予想外に伸びだビラビラが恥ずかしすぎます。

「これが最後の1本ね」
 心底嬉しそうな里美さまの手が右側のラビアをつまみ、舌鉗子を噛み付かせました。
「ああん、そんな、さ、里美さまぁ、恥ずかしいですうぅ、赦してくださいぃぃ」
 私の懇願なぞどこ吹く風の里美さまが、手際良く右太腿にも包帯を巻きつけました。

 M字大股開きで精一杯に開かれた私の股間。
 それでも飽き足らず大陰唇に噛み付いた左右2本の舌鉗子に依って、中身を奥底まで覗けるように押し広げられた、粘膜丸見えな私のマゾマンコ。
 正面から見れば、股間の中央にピンク色の穴がポッカリ大きく口を空けているはずです。

「うん。一段と恥ずかしい姿になった。これこそマゾ子のあるべき姿だわ」
 ひとり悦に入る里美さまが、またもやビデオカメラを向けてきました。

「すごーい。奥まで全部見えちゃってる。オシッコの穴まで広がって・・・あたし、自分のも含めて誰かの女性器を、こんなに奥までまじまじ観察したことなかった・・・」
 倉島さまが感に堪えないという面持ちでつぶやかれました。

「こんなことされてるのに、本当にマゾ子、悦んでるよね?ほら見て、ピンクの襞の奥からトロトロ溢れ出てくる・・・」
 私より歳下のメグさまが、呼び捨てで呆れたように蔑んでくださいます。

「うん。お尻の穴までヒクヒク蠢いちゃって、クリトリスは今にも弾けそうなくらい腫れてるし・・・確かにこんなの見せられたら、どんどん虐めたくなっちゃうわー・・・」
 ヨーコさまのメガネ越しの瞳にも、嗜虐の妖しい炎が灯ってきた気がします。
 
 私は、泣き出したい気持ちになっていました。
 それは、悲しいわけでも悔しいわけでもなく、どちらかと言えば感動の部類。
 今の自分の惨め過ぎる姿を客観的に見ているもうひとりの自分が感じている、キュンと胸を締め付けるような切ない思いからくる感情でした。
 
「あの、マゾ子って、お尻の、えっと、アナルも虐めていいんですか?」
 ヨーコさまが、我慢しきれなくなったかのように、媚びるような少し照れたご様子で里美さまにお尋ねになりました。

「ええ。マゾ子はベテランマゾだから、それはもちろんオーケーなのだけれど、なあに?あなたはアナルに興味があるの?」
 里美さまが、ちょっとからかうような口調でヨーコさまにご質問返し。

「あ、はい。って言っても自分でするのはちょっとカンベンなんですけれど、ひとのを弄って、その反応を見てみたいっていうのは、すごくあって・・・でも、そんなこと、身近な人には頼めないし」
 照れが消えたヨーコさまは、好奇心いっぱいのお顔。

「うちらって、たまにBLものも書くのですけれど、BLだと使える穴はこっちだけじゃないですか?こんなとこにツッコんで本当に気持ちいのかな、なんて懐疑的になりながら書いていたりして」
「まあ、うちらは男性器が達したときの気持ち良さだってわからないですから、ひっくるめて妄想で書くのも愉しいんですけど、でも、せっかくの機会だし、手袋もしてることだし・・・」

「いい作品を書くために研究熱心なのは、とても良いことよ」
 学校の先生のような若干上から口調でおっしゃった里美さまが、私に目を向けてつづけました。

「マゾ子は、アナルでもちゃんとイケるのよね?」
 なんてストレートなご質問。
「はいぃ・・・」
 なんてはしたないお答え。

「今日はちゃんとキレイにしてきた?」
「あの、えっと一応、こちらへ伺う前にお浣腸は、してきました・・・」
 ランチもバナナだけにして、オフィスを出る前に念の為にと思い、おトイレでぬるま湯のお浣腸を自分でしてきたのでした。

「ほらね。ちゃんとそのつもりだったみたいだから、思う存分、実験してみるといいわ」
 里美さまが、なぜだか妙に誇らしげにヨーコさまにおっしゃいました。

「あ、でも浣腸の実演は勘弁してね。ここ一応お店だからさ、クサイものぶちまけられちゃうと後始末が大変だから。もちろん聖水プレイもだめよ」
 ご冗談めかして笑う里美さま。

「それとローソクプレイもNGね。どんなに注意深くやっても床に垂れちゃうものだから。床にこびりついた蝋をキレイに剥がすのって一苦労なのよ」
「そうそう、ローソクプレイと言えば、セルフボンデージでひとりきりのときに拘束したままするのも、やめておいたほうがいいわよ。火がカーテンとかに燃え移って、拘束してるからうまく消せなくて、それで火事出しちゃった人もいるらしいから」

「浣腸とかローソクプレイをしてみたかったら、事前に言っておいてくれれば場所を用意するなりしてまた、マゾ子を貸し出すからさ」
 完全に、レンタルセイドレイ=モノ扱いの私です。

「あのテーブルに、アナルビーズもバイブもディルドも、他にもいろいろ面白いオモチャを用意しておいたから、好きなだけ持ってきて、自縛の講義をしてくれたマゾ子先生の淫らなからだを存分に労ってあげて」
「はーいっ!」
 里美さまがテーブルを指さすと、お三かたが我先にという勢いでテーブルに駆け寄られました。


非日常の王国で 13