2010年7月11日

グノシエンヌなトルコ石 18

「それよりなお子、お腹空かない?ピザでもとろうか?」

私は、えっちな気持ちになっているときは、不思議にお腹が空きません。
今もそんなに食べたくはないのですが、やよい先生がそう言うなら、という感じで、
「はい」
と答えました。
「好き嫌いある?あたしが決めちゃっていい?」
「だいじょうぶです。なんでも食べられます」
「今日は金曜日よね」
そう言いながら、宅配ピザのチラシの中から一枚選んで電話をかけ始めました。

「30分で来るってさ。その間のヒマつぶし。ちょっとこっちに来て」
手を取られてひっぱって連れて行かれた先は、ダイニングでした。
食卓らしき机の上に、さっきから撮られていたポラロイドの写真がズラっと並べてありました。
どれもこれも、いやらしい写真ばっかりです。
私は、カァーっと血が上ってきてしまいます。
モデルは全部私なんです。

「すごいわよねえ。恥ずかしいでしょー?でもキレイよねえ」
「なお子のからだって、すごくいやらしいのよ。なんて言うか・・・」
「おっぱいの形とか、脂肪の付き方とか、肌のなめらかさとか・・・」
「ぴったりな言葉が出て来ないんだけど・・・無理やり言うと・・・ふしだら、なのよね」
「悪い意味じゃなくてよ、もちろん。高校二年でふしだらなからだしてるって、ある意味これも女子の理想よねえ」
「このからだ見ちゃうと、無性に弄りたくなって、弄っていると苛めたくなっちゃうの・・・」
「だから逆になお子のからだ、絶対、男にはさわらせたくないんだ・・・見せたくもない」
やよい先生は、しばらく並べた写真に見入っていました。

「約束通り、この写真は全部あなたのもの。帰るときに全部持って帰っていいわ」
思い切るように、あきらめるように、やよい先生は大きめの明るい声で言います。
そして、急に声をひそめて、
「それでね、お願いなんだけど、この中の一枚だけ、あたしにくれない?」
私はもちろん、はい、と言うつもりでしたが、それより先にやよい先生が言いました。
「もちろん、なお子に保険をかけさせてあげる。ちょっと待ってて」
やよい先生は、ダイニングを出ていってしまいました。

その間に、私は写真を手にとってじっくり見ます。
これ、全部私がさっきやったことなんだあ・・・
中でも、ピアスの一件で、なんでもやると誓わされた後、アイマスクをはずされ縛られたまま、子猫ちゃんを挿れられたまま、無理に笑えと命令されたときの写真・・・
その自分の笑顔が、自分でもゾクっとするほど色っぽくて、目が釘付けになってしまいました。
中学生の頃、この手の写真を初めて見たときの衝撃に匹敵するほどです。

それと、さっき撮られたパイパンおさげでローターの写真。
このときの笑顔は、はにかんだような気弱な、前の写真と同じ女とは思えない幼くはかなげな感じで、キレイかついやらしく撮れていました。
どの写真も見ればみるほど、恥ずかしさに気が狂いそうになりますが、その恥ずかしさに更に欲情している今の自分がいることがまた恥ずかしい・・・
恥ずかしさの上昇スパイラル・・・

「この写真をなお子に渡しておくわ」
戻ってきたやよい先生は、ポラロイドではない普通のプリント写真を私の目の前に置きました。
そこに写っているのは、やよい先生と、今人気絶頂の、たいてい誰でも知っている若い清純派女性タレントさんとのツーショットでした。
ただ、二人とも全裸で、清純派タレントさんは、さっき私がされたような格好で縛られてアソコを広げているのが衝撃的です。
「えーーーーっ?!」

「その子、知ってるでしょ?よくテレビや映画に出てる。その子もあたし、お相手したのよ。デビューしたての頃、今から2年くらい前かな」
「あたしは踊りの振り付けを教えてたのね。天真爛漫って感じの子でねえ。好奇心旺盛だった」
「この写真を撮ったのは、あたしの今のパートナー。もちろんデジカメでよ。その子は、こんな写真撮られたこと、忘れちゃってるんじゃないかなあ?」
「でも、今、その子が所属しているタレント事務所は、いろいろヤバイ噂のあるところで、たぶんその子が稼ぎ頭」
「だからもし、こんな写真が世間に出てしまったら流出ルートとか調べられて、あたしはかなりヤバイことになると思うの。あたしの顔バッチリ写っちゃってるし」
「だから、この写真は保険。なお子はこの写真を絶対に誰にも見せちゃだめ。そんな写真があることを言うのもだめ。その代わり、あたしもなお子の写真は誰にも見せない。あっ、パートナーにだけは見せていい?」
「・・・は、はい・・・」
「もし、たとえば、なお子がお金に目がくらんで、この写真売ったりしたら、あ、たぶん今ならどこの出版社もすごく高く買ってくれると思うよ・・・あたしは、あなたのご両親やお友達に、なお子の恥ずかしい写真をコピーしてばらまく。どう?お互い対等でしょ?」
「はい・・・私が不安にならないように考えてくださって・・・先生、ありがとうございますっ」
「そんなおおげさなもんでもないけどね。じゃあ商談成立ね。さあて、どれにしょうかなあ・・・」

やよい先生は、さっき私が一番気に入った、色っぽい笑みの写真を手に取りました。
たぶん私はそれを見て、それはだめ、って顔をしたんだと思います。
「あ。なお子もやっぱりこの写真が好きなんだ。なんかこの笑顔すごくエロいもんねえ。なのにすごくキレイ・・・」
「・・・じゃあ、こっちでいいやっ!」
そう言って、その隣の同じアングルで私の顔がちょっとだけ下を向いている写真を手に取りました。
「あ。あと、オマケでこれもねっ!」
おさげパイパン写真です。
「残りは全部なお子のものっ!」
そう言いながら、トランプを揃えるみたいに写真をまとめて、タレントさんとの写真と一緒に白い封筒に入れて、手渡してくれます。
「充分注意して保管しなさい。ご両親とかにみつかったら大変なことになるから」
笑いながら言ってくれます。
「はい。ありがとうございます」
私は、どこにしまえばいいかなって思いながら、明るく答えました。

「それからね・・・」
やよい先生が真剣な顔で見つめてきました。
「これはアドバイスなんだけど、さっき、なお子も経験したみたいに拘束プレイ中に写真撮られたら抵抗できないの」
「で、そんな写真を使って、お金を脅し取ったり、もっとひどいことしたりするような人たちも、悲しいけれど確かにいるのね。それも意外とたくさん」
「だからSMプレイっていうのは、SMに限らずセックスに関すること全般に言えるんだけど、すごく気をつけて相手を選ばなきゃだめ」
「とくに今はデジカメやケータイで気軽に、気づかれずにも撮れちゃうからねえ」
「どうやって気をつければいいか、って聞かれると困るんだけど、とにかく慎重になるにこしたことはないわ」
「それで、もしそういうことになっちゃったら、もうあきらめて、一時の恥をしのんで、信頼できる人、ご両親でもあたしでもいいからスグに相談しなさい」
「絶対に悪いやつの要求に一回でも応えちゃだめ。ああいう人たちは、すぐつけあがって要求を上げてくるから」
「あたしも、そういうのにハめられちゃった子、何人か知ってるんだ。自殺考えてた子もいた・・・」
「だから、最初に言ったみたいに、セックス関連のプレイって信頼関係が一番大切なのよ。だからなお子も、そこんとこ充分気をつけてねっ!」
「はいっ!気をつけます」
私も真剣にうなずきました。

「ふー。じゃあ、最後にもう一つお願いね。この写真の余白の白いところにサインしてくれない?今日の日付と」
やよい先生が、写真とサインペンを渡して来ました。
私は少し考えて、『M.NAOKO』 って、ローマ字で書いてから今日の日付を入れました。
「ありがとう」
やよい先生はその写真を見てから、いたずらっ子な目になって言いました。
「ねえ、なお子。このMの前にカタカナで、ド、って書き加えてくれない?」
「えっ?」
私は、意味がわからないながら言われた通りに書き加えました。
『ドM.NAOKO』

「もう~っ!先生は本当にイジワルなんだから~っ!」
「あはは。これとこれにもね」
そう言って、やよい先生は、もう一枚のポラロイド写真と私の毟り取られた陰毛が入ったビニール袋を差し出しながら、ローターのスイッチをオンにしたようです。
「あ~~~んっ!」
ふいをつかれた私は、大きめな声が出てしまいます。
ローターの振動に身悶えしながら、その二つにも『ドM.NAOKO』 って小さくサインしました。
字も少し震えてしまいました。

「あたしの宝物が増えたわっ!」
そう言って、やよい先生が頬にキスしてくれたとき、
「キーンコーン」
チャイムが鳴りました。

やよい先生は、インターフォンの受話器を取って二言三言話た後、私の手を掴みリビングに連れていきました。
「ピザ屋さん。今エントランスに着いたんだって。オートロックの鍵開けたから、これからエレベータで上がってくるわ。急いでっ!」


グノシエンヌなトルコ石 19

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