2010年7月25日

グノシエンヌなトルコ石 31

「雨かあ。それじゃあどっかにランチでも食べに行こうか?」
「ええー?」
お腹も空いていないし、ずっとやよい先生と二人きりでいたい私は、不満の声を上げます。
「今日は夕方に帰るって言ってあるし、まだ時間もありますから、もっとここで遊びましょうよー」

「なお子、野外露出もしてみたいんでしょ?あたしが経験させてあげる」
「本当ですか?」
私はまたワクワクしてきました。
「ちょうど雨も降ってきたし、こういう日のほうがヤリやすいのよね。だいじょうぶ。あたしに任せて」
「なお子をお家に送りがてら、いっぱい記念写真撮ってあげるわ。5時くらいにお家に着けばいい?」
「はい。もっと遅くてもだいじょうぶです。いっぱい恥ずかしい思いをさせてください」
私は深々とお辞儀しながら、また乳首が硬くなってくるのを感じていました。

「なお子が着てきた服は、お家に着く前に車内で着替えればいいから、これを着て。あたしのお古で悪いんだけど、サイズは合うと思うわ」
渡されたのは、真っ赤なコットンのかわいいワンピースでした。
「もちろん、裸の上にじかにね。胸にカップが付いてるから乳首が浮くことはないわ、安心して」

着てみると、確かにピッタリでした。
ノースリーブで膝丈。
前は浅いVネック、胸元からおへその上のあたりまで5つボタンで留めるようになっています。
後ろは開いてなくて、ウエストを絞る同じ色のリボンがキュートです。
胸のカップもちょうどいい。
でも、やわらかい素材なので、ウエストを絞るとからだの線がもろに出てしまうのが恥ずかしいです。

「じゃあ、あたしはまた用意とかしなくちゃいけないから、しばらくこの部屋でくつろいでてね」
「帰り支度しておいて。あのイヤリングとか子猫ちゃんや写真は、帰るときまとめて渡してあげるから、なお子が持ってきたものだけチェックして、忘れ物しないようにね」
私のおでこに軽くキスして、やよい先生は全裸でベッドルームに消えていきました。

私は、自分のボストンバッグの中を覗いて忘れ物がないか確かめました。
着替えの下着も持ってきていたのですが、結局使わずに終わりそうです。
て言うか、この部屋に来てからちゃんと服を着ていたのは、最初の1時間くらいだけです。
本当に濃い二日間だったなあ。

ふと思い立って昨日全裸で晒されたあのガラス窓を半分開け、お外を眺めました。
むっとした熱気とともに、シトシト降る雨の音が聞こえてきます。
風も少しあって、ときどき私にも雨粒があたります。

あと数時間でやよい先生とお別れかあ。
ぼーっとそんなことを考えていると、昨日言われた、向かいの5階建てマンションの角部屋の窓が開いて、誰かが顔を出しました。
長い髪を真ん中から分けた若い女の人でした。
その女の人もじーっとお外を眺めているようです。
たぶん水着か、下着らしい白いブラの胸元が見えます。
気がついていないのか、こちらには視線を向けません。
女の人だったのか。
あの人になら、見られても良かったかなー。

「お待たせー」
やよい先生の大きな声に、振り返りました。
やよい先生は、大きめな半袖のタンガリーシャツを裾を出して着ていました。
前開きのボタンを上から二つ目まではずして、胸の谷間が少し覗いています。
ボトムは、ジーンズをちょん切ったようなデニムのショートパンツに生脚。
メタルフレームでレンズに薄く黄色が入ったまん丸のファッショングラスをしています。
すごくカッコイイ。
手には大きめのトートバッグと、どこかのブティックのビニール袋が二つ。

「それじゃあ出かけるよ。なお子もこれかけて」
同じデザインでレンズに薄くピンクが入ったファッショングラスを私に手渡します。
「それからこれでもう一回、お家に電話入れときなさい。夕方には帰るって」
私のケータイを返してくれます。

私は母に電話して、夕方遅くとも6時には帰ると告げました。
電話し終わっても、やよい先生は窓の鍵を確認したり、クロゼットからバスタオルを取り出したりしていたので、私はこっそり自分のケータイの写真フォルダを覗いてみました。
中身は空でした。

「さっき撮った写真は全部USBメモリに移してから消しといたわ。後であなたにもあげる。これからまたたくさんえっちな写真撮るんでしょ?」
いつのまにか戻って来ていたやよい先生が、私の手からケータイを取り上げながら笑います。
リモコンでエアコンを消して玄関のドアノブに手をかけます。
「忘れ物はないわね」
「はい」
玄関のドアを開けると、むっと夏の湿気が襲い掛かってきました。

エレベーターで地下の駐車場に降り、やよい先生の真っ赤なまあるい車に乗り込みます。
「なお子はスカートのお尻をまくって、このバスタオルの上に生尻じか座りして」
助手席にバスタオルを畳んで敷きながら、言います。
「あなた濡れやすいからさ。シートや服が汚れるのはかまわないんだけど、ワンピのお尻にシミ付けて見せびらかしながら歩くのイヤでしょ?」
私が濡れること前提のアドバイスに、またワクワクしてしまいます。
もっとも、初めてのノーブラ、ノーパン薄物一枚なおでかけに、すでにしっとり濡れ始めてはいるのですが・・・

駐車場を出て、来たときと同じ道を今度は逆に走り始めます。
車内には、サティのピアノ曲が低く流れています。

「やよい先生、サティお好きなんですか?昨日からずっと流れてますけど」
「あっ、気づいてた?なお子が遊びに来るって決まってからBGM何にするか悩んだのよ。なお子のイメージはなんとなくサティかなー、って」
私は、やよい先生のお部屋で遊んでいる間、ふと気がつくといつもグノシエンヌの3番が流れていたことを話しました。
「あたしもサティの曲ではグノシエンヌが一番好きかなあ。もちろんジムノペディやジュトゥヴも好きだけど」
「でもね、昨日から流れていたサティ、同じ曲でも全部演奏者違うのよ。あたしサティだけでも30種類くらいCD集めたから」
「そう言われてみれば、すごーくゆっくりなジムノペディが聞こえてたときがありました」
「それはミシェル・ルグランの演奏のやつね。CDをオートチェンジャーに詰め込んでランダムに流してたの」
「ミーチャンといるときは、ずーっとドビュッシー。あの子、喜びの島が大好きなの」
「これからサティ聞くと、絶対なお子のこと思い出すわね」

「あと、トルコ石のイヤリングが出て来たときも驚きました。私の大好きな石なんです。母が最初に買ってくれたイヤリングがトルコ石だったんです」
「私、ターコイズって呼ぶよりもトルコ石って言ったほうが、なんとなくロマンティックな響きで、好きです」
「私、あの色合いがすっごく気に入って、おこずかい貯めていくつかアクセサリー買いました。それに、私の誕生石でもあるし」
「あら、そうなの?あたしと一緒だ。何日?」
私とやよい先生のお誕生日は5日違いでした。
「私、お家帰ったら、やよい先生にトルコ石のイヤリング、プレゼントします」
「あら、悪いわよ。大切なものなんでしょ?」
「いいんです。あんなに大きな石のやつ貰っちゃったし。それに私を女にしていただいたお礼です」
「あはは。ありがとう。じゃあ遠慮なく貰っておくわ。なお子をロストヴァージンさせた思い出のシルシね」

車は駅を通り越して、住宅街に入りました。
マンションの窓から見えた、あの森のほうに向かっているようです。
雨は強くもなく弱くもなく、ただシトシトと降りつづけています。
人通りが少なくなり、すれ違う車も少なくなってきました。

「じゃあ、そろそろ始めましょう」


グノシエンヌなトルコ石 32

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