2011年7月30日

氷の雫で濡らされて 02

夏の東京の街を歩いていてびっくりしたのは、お肌の露出度高めなセクシーな服装をしている若い女性の姿を頻繁に見かけること。
胸元が大きく割れていたり、背中が大胆に開いていたり、袖ぐりから横おっぱいが覗きそうなユルユルのタンクトップとか、からだの線がバッチリのピチピチボディコンとか。

春先にやよい先生と会ってお話したとき、私が、大学は制服じゃないから、毎日何を着て行けばいいか迷ってしまいます、みたいなことをしゃべっていたら、お話の流れで、やよい先生が笑って教えてくれました。
「もしも大胆な服装して街を歩くときは、ヘタに恥らってモジモジしたりしちゃダメよ。かえって悪目立ちして注目集めちゃうから。こんなのはファッションだから何でもない、って感じで、どう?私キレイでしょ、って堂々と胸張って歩きなさい」
「そりゃあ、チラチラと見てくる男は何人もいるでしょうけど、それだけのこと。すれ違っちゃえばみんなすぐ、忘れちゃうわ。欲情して追いかけられちゃうみたいなメには、よっぽど運が悪くない限り合わないから。ここはそういう街なの」

やよい先生に言われたことが、夏になってよくわかりました。
胸の谷間を見せびらかすのなんて、何でもないことみたい。
まだ高校生くらいの子も、OLさんも、ちっちゃな子供の手を引いた若奥様風の人だって、盛大にキワドイ部分の素肌を真夏の熱気に露出して、普通に平気で歩いていました。

私は、まだ慣れていないので、そういう人たちとすれ違うたびに、すごいなあ、って感心しちゃっていますが、よく考えてみると、今現在の私のほうが、彼女たちよりも数倍、大胆なことをしているんです。
ワンピースで隠れてはいますが、その下のアソコには、えっちな突起のホタテ貝がハマっているのですから。
キューンって、はしたない恥ずかしさが全身を駆け巡ります。
でも、やよい先生のアドバイスを思い出し、不自然な雰囲気が出ないように無理に澄ました顔して胸を張って、足早に繁華街の人ごみを歩いていきました。

目的のデパートに入ると、ひんやりと冷たい空気が気持ち良く私を迎えてくれました。
お約束の時間より20分も早く着いちゃった。
汗びっしょり。
デパート1階独特の、むせ返るようなお化粧品の香りの中で化粧室を探しましたがみつからず、案内板を見ると2階にあるようです。
エスカレーターで2階に上がり、洗面台の鏡の前で入念にお化粧を直していたら、お約束の時間まであと8分になっていました。
そろそろ行こうか・・・
私の胸がワクワクドキドキ高鳴ってきました。

3階の一番南側のフロアーで、適当にうろうろしていなさい、っていうのが、やよい先生のご指示でした。
このデパートの3階に来るのは初めてだったので、天井に吊られたフロアガイドを頼りに南側へ移動しました。
いったん南端まで行ってから、今度はそのあたりのブロックの綺麗にディスプレイされたお洋服をゆっくり眺めつつ、うろうろし始めました。
右手には、やよい先生からいつご連絡が来てもいいように、携帯電話を握っていました。

下着の売り場で、通路に出ているワゴンのショーツを眺めていたとき、突然、アソコに震動を感じました。
「んっ!」
思わず小さく声がこぼれて、うつむいていたからだがビクンとのけぞります。
来た!
やよい先生に会える嬉しさと、デパートの売場でこっそりアソコに刺激を受けている自分のヘンタイな状況とに、みるみるからだが火照ってきてしまいます。

アソコの中を震わす力は、愛用のリモコンローターで言うと弱と中の間くらいの弱いもので、強みたいな、立っていられないほど、ではありませんでした。
それに、デパートに入ったときから、たぶん突然震動のスイッチが入るだろう、って予想と言うか期待していたので、一瞬の驚きが過ぎると余裕が出来て、通路のほうを振り返ってみました。
その瞬間、今度は手のひらで携帯電話が震え始めました。
「きゃっ!」
またもや小さく声をあげてしまいました。

携帯電話を開こうと、顔をワゴンのほうに戻して視線を上げたとき、奥にいた下着売場のキレイな女性店員さんが、怪訝そうな目で私をじーっと見つめているのに気がつきました。
やだっ!いつから見られていたんだろう・・・
さっきから一人で、んっ!とかきゃっ!とか声をあげているんですから、傍から見れば、どう見たって不審者です。
私は、白い帽子のひさしをつまんで目深にかぶり直し、あわてて売場を離れ、売場と売場の間の壁のところに移動してから、通路に背を向けて携帯電話を開きました。
股間のホタテ貝は、震えっぱなしです。

着信はメールでした。
やよい先生ではない、知らないアドレスから。
「そのまま北方向へ少し歩き、右側にある女子トイレに入りなさい」
メールには、そう書いてありました。
通路を振り返り、それらしき人、ホタテ貝に電波を送っている人、の姿を探します。
平日の午後、お昼休みもとっくに終わった頃ですから、ウインドウショッピングのお客さんも少ないようで、このフロアをうろうろし始めてからも、中年のおばさまや、若い女性の一人客とチラホラすれ違う程度でした。
今も、見える範囲にいるのは、各売場の店員さん以外では、中年おばさまの二人連れだけ。

今日来てくれるのは、やよい先生じゃないのかしら?
メアドが違っていたのが気がかりで、しばらくキョロキョロあたりを見回してみたのですが、それらしき人の姿は発見できず、あきらめてメールの指示通り女子トイレへ向かうことにしました。

アソコを刺激しているホタテ貝の震動は、歩くのにまったく支障がないくらい緩やかなものでしたが、そんなことをされながら白昼のデパートを歩いている、という背徳的な感情と相俟って、誰かとすれ違うたびに緊張してしまい、何て言うか、弱火でトロトロと官能を炙られているような、甘美な後ろめたさを感じていました。

10メートルくらい歩くと、その10メートルくらい先に、矢印とともに女子化粧室の存在を示すプレートが吊ってあるのが見えました。
あそこだ。
そう思いながら一歩踏み出した途端、アソコの震動がピタッと止まりました。
あれ?
思わず立ち止まり、まわりを見回します。
相変わらず閑散とした婦人服売場。
きっと、リモコンの電波が遠すぎて途切れちゃったんだな。
少しがっかりしながらも、そのまま女子トイレを目指しました。

女子化粧室への扉を開け、中へ入ります。
誰もいません。
三台並んでいる洗面台を抜けて、もっと奥へ進むと個室が4つ。
デパートにしては、あまりキレイなおトイレではなくて、なんとなく床とか古そうな感じ。
個室のドアは4つとも閉まっています。
どうすればいいのかな?と思っていたら、右手の携帯電話がまた震え始めました。

今度は電話。
知らない番号からです。
「もしもし?」
恐る恐る、出てみました。

「おひさしぶり。直子さん。トイレの中に誰か人いる?」
知らない声でした。
やよい先生ではなく、それよりもう少し低い、落ち着いたオトナっぽい女性の声。
「あ、えっと・・・あなたは、えっと誰・・・どちらさまですか?」
困惑してなぜだかヒソヒソ声になってしまう私。
「そんなことはどうでもいいの。質問に答えなさい」
電話の女性に、冷たい口調でピシャッと言われてしまい、背中がゾクゾクッとなりました。
「あ、はい。えっと、誰もいません」
「個室は?」
「あ、はい。ちょっと待っててください」
あわてて個室のノブのところの使用中サインを、それぞれ確認してみます。
全部青色でした。
「あの、えっと、誰も入っていないみたいです」
「そう。だったら、入り口から一番遠い、一番奥の個室に入りなさい。入っても鍵は閉めないで」
そこでプツンと電話が切れました。

誰なんだろう?
やよい先生でないことは間違いありませんが、なんとなく聞いたことがあるような声な気もしてきました。
おひさしぶり、って言ってたし。
ミイコさん・・・ミーチャンさんは、もう少し声がハスキーだし、大学のお友達の声に似ていた気もするけど、そのお友達とやよい先生に接点があるわけないし・・・
指定された個室に入った後も、頭の中がモヤモヤ混乱していました。

「入った?」
個室に入って1分くらいした後に再び電話がかかってきました。
「はい。言われた通りに・・・」
「そう。これからわたしもそこに入るから、あなたは便器のふたに座ってギューッと目をつぶっていなさい」
「あ、あの、あなたは?」
「わたし?わたしは今日、百合草先生から全権を委任されて来ているの。あなたと遊ぶために。わたしの声は百合草先生の声。わたしの命令は百合草先生の命令」
その声を聞いている間に、女子化粧室の入口の扉が開いて閉じたような音がかすかに聞こえました。
その人が化粧室に入って来たみたい。
その途端にホタテ貝が震え始めました。
「んっ!」
しんと静まり返った個室の中では、ホタテ貝のンーーッていう震動音が、かすかに私の股間から聞こえてきます。

「わかった?ギューッと目をつぶっているのよ?もし逆らったら、ひどいお仕置きになるわよ・・・」
「は、はい・・・」
「よろしい」
また、プチッと電話が切れました。
ひどいお仕置になるわよ、ってささやいたその人の低い声がすっごくセクシーで、ゾクゾク感じてしまった私は、言われた通りにふたを閉じた便器に浅く腰掛け、ギュッと両目を閉じました。


氷の雫で濡らされて 03

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