2017年1月2日

非日常の王国で 11

 里美さまの、あからさまに侮蔑的な私のヘンタイ性癖についてのご説明。
 それを驚きと好奇が入り交じった表情で、真剣にお聞きになっているお三かた。
 里美さまのご説明はすべて本当のことなので、どう反応していいのかわからず、ただうつむく私。

 里美さまのお声が途切れたので上目遣いに窺うと、みなさまが黙ってジーっと私を見つめていました。
 正確に言うと、6つの瞳と里美さまが向けるビデオカメラのレンズ。
 お三かたの瞳が淫靡な期待に輝いているように見えました。
 ビデオカメラが向けられたのは、自縛のレクチャーを始めろ、という里美さまの合図なのだろうと理解して、愛用の麻縄に手を伸ばしました。

「緊縛に用いるロープは基本的に、ふたつ折りにして使用します・・・」
 ひとりだけ全裸の状態でみなさまに語りかける、という行為は、思っていたよりもずっと強い恥辱感がありました。

 一般的に、着衣の中にひとりだけ全裸の同性がいたら、周囲の人は混乱や憐憫から、極力その人を視ないようにしてあげると思います。
 それか、面白がってからかうか。
 今の私の状況は、そのどちらとも違っていました。

 遠慮会釈なしに私のからだを凝視してくるお三かたの視線がもたらす、身が焦げるような羞恥。
 そんな不躾が許されるのは、私がお三かたに向かって語りかけているから。
 言わば自分で、私を視てください、とアピールしているからなのです。

 日常生活では見せてはいけないとされる恥部をすべて剥き出しにしている私を、ここぞとばかりに凝視してくるお三かたの刺すような視線。
 まさに、視姦されている、という実感がありました。
 そして更にこれから、私はそれらの秘められるべき箇所を、より扇情的に目立つように、自らの手で縛り上げていくのです。

 体温がジワジワ上がってくるのがわかります。
 早くロープをからだに巻きつけて、もっと淫らな私を視ていただきたい、という欲求が抑えられません。
 視られている、という悦びに酔い痴れながらも極力冷静を装い、レクチャーをつづけました。

「こうしてロープの先端を合わせて、ふたつ折りにします」
 右手に持ったロープを均等に折り返します。
「8メートルのロープですから、4メートルとなりますね。それで、こちらの輪になった部分を首にかけます」
 ロープの折り返し部分を首にかけようと両手を挙げかけたとき、里美さまからお声がかかりました。

「そのチョーカー、外したほうがいいんじゃない?お姉さまからの大切なプレゼントなのでしょう?縄で押し潰されちゃったりしたら一大事じゃない?」
「あ、はい。そうですね」
 別に気にはしていなかったのですが、それもそうだな、と思い、両手を首の後ろに回しました。

 期せずして、マゾの服従ポーズ、のような姿勢。
 両腋の下がガラ空きとなり、おっぱいを突き出すようにみなさまに向けていると、被虐感がグンと高まりました。

 外したチョーカーは、里美さまが受け取ってくださいました。
「これは大事に預かっておくわね。帰るときに渡してあげる」
 イタズラっぽい笑顔の里美さま。

「それで、この垂れ下がったロープを束ねて、からだの正面に順番に結び目を作っていきます。まず胸元・・・」
「慣れないうちは、首周りは大きめな輪にしておいたほうがやりやすいと思います・・・」
「そして同じように、みぞおちのへん、おへその下、股の付け根あたりにも結び目のコブを作っていきます」

 ご説明しながら、首から垂れたロープを捌き、順番にコブを作っていきました。
 眼前のみなさまが真剣なまなざしで、お手元のノートと私を交互に見ています。

「結び目は、完成したときには今より上に動きますから、思うよりも下気味にしておきます。何度か試すうちにわかってくると思います」
「股間のところにふたつコブを作ったのは、縄が食い込んだときに性器・・・えっと、クリトリスを擦って、刺激してくれるように、です・・・」

 自分で口にした言葉のはしたなさに、ゾクゾクしちゃっています。
 私の当該器官は、すでにジンジン痺れて腫れ上がっていました。
 みなさま嬉しそうにニヤニヤ。

「結び目を作り終えたら、余ったロープを股のあいだにくぐらせて、背中へ持っていきます・・・」
 みなさまに見えるようにと、からだを反転してお尻を向けました。
「首の後ろで輪になっているところに、束ねた二本のロープをくぐらせます・・・」

 ロープを引っ張ると、コブが股の亀裂に食い込みました。
「んっ!えっと、ここからは、ロープを一本づつ左右に分けて、肌に縄を這わせていきます・・・」
 この辺から私の中の理性は米粒ほどになって心中深く引きこもり、自縛に夢中になっていました。

「首の後ろからのロープを左右に分けて、それぞれ一本づつ腋の下から前へ回し、首からの輪に通します・・・」
 みなさまに向き直り、おっぱいを突き出すように胸を張りました。

「輪に通したら折り返し、おっぱいの上の方に這わせて、また背中に回します。左右均等に力を入れるようにすると模様が綺麗に仕上がります」
「それぞれのロープを背中で交差させ、再び前に回します・・・」

 縄がおっぱいの皮膚を這うたびに、淫らな声が出そうになって困りました。
 乳首がこれ以上ないくらい猛りきって、みなさまのほうへと背伸びしています。
 当然、みなさまの視線が刺すように、そこに集中しています。

「戻ってきたロープをふたつめの結び目とのあいだの輪に通し、今度は下乳持ち上げるような角度で背後に回します・・・」
「私は、おっぱいをギュッと絞られるような縛られ方が好きなので、胸元と次の結び目との間隔を狭くして、下乳を潰すように縄が這うようにしています・・・」

 自分のヘンタイ嗜好が、正直にスラスラ口についてしまいます。
 上下の縄でギューッと絞られたおっぱいの先端は、皮膚が引っ張られて引き攣り、ますます痛々しく尖りきっています。

「同じように背後に回したロープを今度は三番目の輪に通して、背後に回します・・・」
「このように、正面の縄の模様が菱形になるところから、菱縄縛りと呼ばれます・・・」
「この模様が亀さんのように六角形になると、亀甲縛りとなります。亀甲縛りにする場合は、縄をくぐらせる回数が増えるので、ロープを二組繋げて使うことになります・・・」

 縄を肌にのめり込ませるようにギュウギュウ引っ張って、自分の裸身に菱縄模様を作っていきました。
 股の裂け目を縄がヌルヌル滑り、どんどん気持ち良くなってしまいます。

「同じように下腹部の輪にも縄を通して腰に回し、最後に余った縄尻を背中に通る縄に結んで巻き付ければ完成です」
「私は、かなりキツメに絞りましたが、慣れないうちは手順を覚えることを優先して、緩めから始めるといいと思います」
「ご覧いただいておわかりになったと思いますが、正面の各結び目が最初のときより、けっこう上に来ています。この辺の加減は何度か試すうちにわかってくると思います・・・」

 そのときの菱縄自縛は、我ながらとてもいい出来でした。
 綺麗な菱形が素肌に均等に満遍なくピタッと吸い付き、股間のコブもしっかりクリトリスのすぐ下に来ていました。
 
 裂け目を通るロープは、もうすでにグジュグジュ。
 この状態だとローブのどこを引っ張られても、ワレメに食い込むロープが滑り、確実に腫れ上がったクリトリスを潰してくることでしょう。
 事実、少し屈めていたからだを起こしただけで、コブがクリトリスを直撃しました。

「あんっ!、そ、それと、最初は、下半身は、下着を着けたままのほうが良いと思います。じ、直だと、刺激が強いので・・・汚れてもいい下着を着けで練習してください」
 ビリビリッと全身をつらぬいた電流にクラクラしつつ、なんとか喘ぎを押し殺して告げました。

「全身が火照ってるね?気持ち良さそう」
「うん。マゾ子ちゃん、縛ってるうちにどんどんエロっぽくなってった」
「縛り自体は、意外と簡単そうじゃなかった?」
 お三かたが小声で口々にご感想を言い合っています。

「それで、この菱縄縛り自体は、ご覧のように拘束というよりも、からだに縄が這っているという背徳感とかアブノーマルさを愉しむのがメインとなります」
「もちろんキツく縛れば、縄が肌に食い込む拘束感も愉しめますし、先ほどそちらのかたがおっしゃられたように、この上に何か着てお散歩するとか、そういう密やかな愉しみ方もいいと思います」
「とくに自縛の場合は、両手を最後まで拘束することが出来ないので、からだを自由に動かせない系の拘束感を愉しみたいのであれば、最後にもう一本ロープを用意して、後ろ手縛り、というのをするとよいです」

「ただし、自縛の場合、手や腕まで不自由にしてしまうと、抜け出すために前もってそれなりの準備が必要となります。ハサミとかナイフとか。ロープを切って解くことになりますから」
「自縛のときの両手の拘束は、私の場合、なるべくロープを切りたくないので、比較的ラクに外せる手錠とか手枷を使っています」
 さっき里美さまにかけられた重い手錠の感触を思い出し、キュンとマゾマンコの奥が震えました。
 
「以上が菱縄縛りの自縛の仕方です。何かご質問は、ございますか?」
「あ、えっと、ちょっと後ろを向いてもらえますか?」
 熱心にペンを滑らせていたノートからお顔を上げたヨーコさまが、ペンをこちらへ向けておっしゃいました。

「あ、はい・・・」
 みなさまに背中を向けるとき、自然と両手が頭の後ろに挙がっていました。
 肩の動きと共にからだを這う縄全体が上向きに引っ張られ、またしてもコブが肉芽を直撃。
「あふっ!」
 みなさまから見えないのをいいことに、眉根を寄せてはしたない声を小さく漏らす私。

「へー。後ろも綺麗にバッテンのシンメトリーなんだ」
「余った縄はあんなふうにグルグル巻きにしちゃうんだね」
「縄がお尻にかなり食い込んでるよね」
 お三かたが思い思いのご感想をつぶやかれる中、里美さまの愉しそうなお声が聞こえました。

「あなたたち、今、マゾ子ちゃんがしているポーズの意味、知ってる?」
「うーん。よくわからないけれど、あれってアメリカ映画とかで警察が犯人に銃を構えて、フリーズ、ってさせたときの、犯人がする格好ですよね?」
 倉島さまのお声。

「おお、よく知っているわね。マゾ子ちゃん?そのまま前向いて」
 お言葉に従って回れ右をすると、ビデオカメラを構えられた里美さま。

「両手を頭の後ろに当てて、おっぱいも腋の下もおへそも、もちろん性器もまったく隠せないポーズ。これを、マゾの服従ポーズ、って呼ぶの」
「ほら、ワンちゃんやネコちゃんが、かまって欲しいときにゴロンと仰向けになってお腹見せちゃうじゃない?あれと同じよ。マゾっ子がしたら、それは、虐めて欲しい、っていうこと」
「わたしのからだを、どうぞご自由にしてください、っていう服従のアピールね」
 
 自分でも、なぜ今このポーズをしたのかわかっていませんでした。
 マゾモードに入った私にとっては、やり慣れたポーズですから自然と出てしまったのでしょう。

「今の実演で自縛ノウハウはだいたい頭に入ったでしょう?あなたたち、かなり真剣にノート取っていたし」
 おっしゃりながら里美さまが立ち上がり、ツカツカと私に近づいてきました。

「お家に帰ってやってみて、何かわからないことがあったら、またいつでもマゾ子ちゃん呼んであげるからね」
「それにしても、わたしも初めて見たけれど、お見事なロープ捌きだったわ」
 私の横に立たれた里美さまが、私の下腹部を走るロープをつまみ、クイッと引っ張りました。

「あっふぅ!」
 コブがクリット直撃。
 すがる目つきで里美さまを仰ぎ見ます。
 もっとしてください、というお願いを込めて。

「そろそろ陽も傾いてきたし、自縛の講義はここまでということにして、このえっちに縛られたマゾ子ちゃんをみんなでちょっと虐めてみない?」
 いつの間にご用意されていたのか、おっきなリングがぶら下がった真っ赤な首輪を首に巻かれました。
 形といい太さといい、街で見かけるワンちゃんの首輪そのものでした。

「愛しのお姉さまのチョーカーの代わりに、わたしが首輪を着けてあげる。うちのショップオリジナルの、人間のマゾペット用の首輪よ」
「一般的にペットって、首輪を着けてあげた人が飼い主になるわよね?今のマゾ子ちゃんの飼い主は誰?」
 先ほどまでとは雰囲気の変わった低めの冷たい声音で尋ねてくる里美さま。
 あ、この人エスの役、やり慣れている、とすぐにわかるお声でした。

「あ、はい・・・目の前にいらっしゃる、愛川里美さまです・・・」
「飼い主の命令は、何でも聞けるわよね?」
「はい・・・」
 信じられない、という面持ちで里美さまと私の顔を交互に見やるお三かた。

「あのテーブルの上のオモチャ、どれでも好きなのをいくつでも試してみていいわよ。マゾ子ちゃんのからだに」
 里美さまのお顔には、ゾクゾクするほど嗜虐的な笑顔が浮かんでいました。
 ああん、やっぱり、そうなるんだ・・・

「そ、それは面白そうですけれど・・・でも、その、えーっと、マ、マゾ子さんは、それでいいのですか?」
 倉島さまが、戸惑いとワクワク半々みたいな困ったようなお顔でおっしゃいました。

「マゾ子ちゃんには、いいも悪いも無いの。そもそもこの子は、そういうことをされるために派遣された、今日ここでみんなに虐められるべき存在なのだから」
「ほら、こんないやらしい顔になっているのよ?火照っちゃって瞳なんかトロンとしちゃって、虐められたくて仕方ない、っていう感じでしょう?}
 冷たく言い放つ里美さま。

 確かにそうでした。
 この自縛のレクチャーを頼まれたときから私は、そのお相手のお客様に弄ばれることを予想していましたし、期待してもいました。
 自縛をご披露して、終わったらそのまま、お疲れさまー、で解放されるとは、まったく思っていませんでした。
 
 菱縄自縛し終えた瞬間から、私の全身が新たな辱めを期待して疼き始めていました。
 そんなふしだらな期待が、後ろを向いて、とおっしゃられたときに、自然と服従ポーズを取ってしまった理由なのでしょう。

「今日のことはちゃんとマゾ子ちゃんのお姉さまからの許可もらっているの。実は、わたしもマゾ子ちゃんをちゃんと虐めるのは今日が初めてなのよね」
「それに、あなたたちが来る前の打ち合わせでマゾ子ちゃんの口から、すべて従うつもりでここに来ました。何でもご命令ください、って宣言までもらったし、一切遠慮は要らないわ」

「あなたたちも耽美な小説を書いているなら、こんな責めをしてみたいとか、されてみたいとか、あるでしょう?いい機会だから、試してみるといいわよ。マゾ子ちゃんのからだで」
 私の首輪をススッと指で撫でた里美さまが、私の右手を取りました。

「そこの椅子に座って」
 私の荷物をどかして椅子を空けてくださいました。
 あのヘンな形の椅子です。

 一見すると、よくある形のゆったりめなラウンジチェア。
 オレンジ色っぽい赤色で背もたれは短かめ、左右に肘掛けがあって座高高め。

 一番ヘンなところは、お尻を乗せる座面でした。
 普通は四角形の平面ですが、この椅子のは、内側に向けてUの字に抉れていました。
 腰掛けてみると、お尻を乗せると言うよりも、左右の腿で座っている感じ。

 洋式便器の楕円形の便座を思い出していただくと、わかりやすいかもしれません。
 あれが半円形になっている感じ。
 実際に座ると、お尻の真下が空間になるのがわかりました。

「なかなか座り心地のいい椅子でしょう?」
 ご冗談ぽく笑った里美さまが、一度テーブルのほうへ行き、すぐに戻られました。

「みなさんがマゾ子ちゃんにイタズラしやすいように、しばらくのあいだ、恥ずかしい格好で拘束させてもらうわね」
 里美さまが座った私の背後に回り、椅子の背もたれの向こう側に私の両腕を束ね、先ほどの本格的な手錠をカチャンとかけました。

 両腕と背中のあいだに背もたれを挟み込み、背もたれの金属支柱に手錠のチェーンが絡むように後ろ手で施錠されたので、上半身がほとんど動かせなくなりました。
「これでマゾ子ちゃんは、この手錠を外さない限り、この椅子から離れられないわね」
 里美さまが、うふふ、とほくそ笑みました。

 それから里美さまは私の足元に屈み込み、私の左右の足首にそれぞれレザーの足枷を巻いて南京錠で施錠されました。
 足枷の色は首輪と同じ赤で、銀のリングに頑丈そうな短い鎖が繋がっています。

「ちょっと失礼」
 里美さまが私の左足首を持ち、無造作にガバッと持ち上げました。
「ああん!いやんっ」

 いきなり大股開きとなった私の左脚は、あれよという間に左側の肘掛けを左膝の裏側に挟むような形で持ち上げられ、足枷から伸びる鎖の端が、手際よく椅子の裏側に繋がれたようでした。
 肘掛けを膝裏で挟んだ形の左脚は、どんなにがんばっても最早閉じることが出来ません。

「あっ、いやーっ、そんなぁ、里美さまぁーっ」
 右足も持ち上げられる気配を感じて身を捩りましたが、上半身を背もたれに磔られている身ではどうしようもありません。
 あっさりと右側の肘掛けも跨がされて固定され、文字通り、大股開き、の格好になりました。
 間髪を入れず背もたれがゆっくりリクライニングし、上半身が沈んだ分だけ下半身が持ち上がります。
「いやーーーっ!」

 みなさまに股縄の股間を180度近くまで開いて、見せつけていました。
 濡れそぼった無毛の膣穴の中央に、2本の麻縄が吸い付いているはずです。
 椅子のUの字に開いた空間から、ポタポタと淫汁がしたたり、床を汚してしまっているはずです。
 お三かたも立ち上がり、無防備に晒されたその部分を覗き込むように凝視されています。

「エロ過ぎだよね、この格好。見事なM字」
「すごーい。ロープまでグショグショに濡れてる」
「この角度だと、ちょっとロープどけたら、お尻の穴まで丸見えじゃん。信じられなーい」
「確かに、こんな恥ずかしい姿にされたツインテの女の子を、現実に自分の目で見ているっていうことが信じられない。まさに生贄って感じ」

 容赦のないお三かたのご感想に被虐感がグングン昂ります。
 それを煽るように里美さまのビデオカメラのレンズが、動けない私に近づいたり遠のいたり、それこそ舐めるように隅々まで撮影されました。

「倉島さん、さっきのタイマーボックスをちょっとお借りするわね?」
 いったんビデオカメラから目線を外された里美さまがおっしゃり、テーブルの上のタイマーボックスを持ってこられ、椅子の脇に立たれました。

「これが、マゾ子ちゃんにかけられた手錠と南京錠を開けられる鍵」
 短いチェーンに繋がった小さな鍵を、私の鼻先でプラプラ揺らす里美さま。

「みなさんうちのお得意様だから大サービスで、最後はタイマー拘束プレイの参加型実演で締めましょう。マゾ子ちゃん、何時間くらい虐められたい?」
「えっ?あの、その、えっと・・・」
 突然のご質問に、言葉が出ない私。

「あなたたち、今日これからのご予定は?」
「あ、いえ、これといって別に。今日はこのショールームに来ることだけを楽しみにしていましたから」
 倉島さまが、里美さまと私を交互に見ながら嬉しそうにおっしゃいました。

「そっか。それなら別に帰りが遅くなってもかまわないんだ?2時間でも3時間でも」
「はいっ!」
 お三かた、綺麗に揃ったユニゾンのお返事。

「でも、あんまり虐めすぎてマゾ子ちゃんが壊れちゃってもマズイし、まあ、1時間位にしておきましょうか」
 タイマーボックスの蓋を開け、チャリンと鍵をボックスの中に落とした里美さま。

「実際、時間が来て鍵がリリースされたとしても、今のマゾ子ちゃんは、鍵を渡してもらわない限り、自分の力でこの拘束を解くことは出来ないのだけれどね」
 イジワルくおっしゃった里美さまが、蓋に付いたタイマーのダイアルをグルリと回されました。


非日常の王国で 12




2 件のコメント:

  1. 自分だけ裸で晒されるのはCMNF(Clothed male naked female)的な恥辱責めですね。
    これは奴隷にその立場を認識させるのに、とても「効果があると思います。
    タイマーボックスのアイデアも素敵ですね。
    実際には、鍵よりも、里美さんの言葉の方が拘束力、強制力がありますが、覚悟を決めさせるツールとしての効果は大きいと思います。
    SMチェアのような道具立ても素晴らしいと思います。
    少なくとも、私はそういうものが大好きです(笑)。

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  2. 鵺(ぬえ)さま

    コメントありがとうございます。
    羞じらいを感じる基準て、人によってかなり異なりますよね。
    同性だけの前ならバストくらい丸出しでも平気という人もいるし、
    水着とかよりも可愛いメイドコスプレするほうが死ぬほど恥ずかしい、という人もいて。
    鵺さまとは、羞じらいの基準の波長が合うようなので、とても嬉しいです(笑
    またおヒマなときに覗きにいらしてください。

    直子

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