2010年8月1日

グノシエンヌなトルコ石 36

「さーてと、子猫ちゃん。アタシを喜ばせて、くーださいなー」

私に向き合うようにからだをひねって、私の右おっぱいにユマさんのやわらかい左おっぱいをなすりつけてきます。
私は、ポケットの右手をグイっとより深く進入させて、指先で入口を捉えます。
ユマさんの陰毛はわりと豊富です。
それを掻き分けて一番敏感な場所を探します。
場所を確認した後、満を持して二本指を挿入しながら、ユマさんの唇を私の唇で塞ぎます。
「はうっ!」
くぐもったユマさんの声を聞きながら舌をからませつつ、左手でユマさんの右おっぱいを少し乱暴に掴みました。
ユマさんのかわいらしいお顔の眉根にシワが寄ります。

ユマさんのおっぱいは、本当にやわらかくて、モミモミしているだけで私のほうが気持ち良くなってきます。
私が唇を離すと、ユマさんは真一文字に唇を結んで、必死に声が出ないようにがまんしています。
そのお顔がすごくセクシーなんです。
私は右手の親指でユマさんの敏感な場所を擦りつつ、右乳首も右手で強くつまんで、ユマさんに声を出させようと試みます。
「んふーんふーんふーんふんーっ」
ユマさんは鼻で激しく息をしながら、私の顔をトロンとした目付きで見つめています。
すごくかわいくて、抱きしめたくなっちゃいます。
私は右手のピストンの速度を上げて、唇でユマさんの左乳首を転がしました。
「はふん、はふん」
私の背中に回した左手に力を入れて、私を抱きしめてきます。
右手はショートパンツの上から、私の右手を掴んで一緒に激しく動かしています。

ちょっとテーブルがガタガタ鳴っていて、マズイかな?と思ったとき、やよい先生がファッショングラスをはずしました。
「ちょっとユマ、やまだ、やまだっ!」
やよい先生が押し殺した声で叫んでいます。
ユマさんはそれどころじゃないようです。
私はあわててユマさんのチューブトップを左手でずり上げておっぱいを隠してから、自分も胸をかき合わせます。
ユマさんもやっと事態が飲み込めたようで、左手でチューブトップの上部分を押さえ、私のポケットの右手に自分の右手を重ねたまま、私の右肩に頭を預けて寝たフリをしました。
その寝顔が、なんとも悲しそうな、もうちょっとだったのに・・・って顔に書いてあるような表情だったので、私は思わず小さく吹き出してしまいました。

遠くからガヤガヤと、おばさまたち特有のとりとめのないおしゃべり声が聞こえてきます。
そのガヤガヤがどんどんこっちに近づいてきます。
どうやら、私たちと通路を隔てた向こう側、私たちに椅子の背もたれを向けているボックスに座るようです。
ボックスを隔てた一番向こう側の通路をゾロゾロとおばさまたちが歩いてきます。
何かのスポーツサークルの人たちみたい。
みなさん、お揃いの派手なジャージをお召しになり、手に手にスポーツバッグとタオルを持っています。
おばさまたちが座ってしまえば、私たちは見えなくなりますが、立っていると丸見えです。
あなたがこっちへ、いえあなたこそあっちへ、と、これまたおばさま特有の譲り合いをなさっています。
その中の一人のおばさまが、私に寄り添うように寝ているユマさんの姿を見つけて、あれまあ、という顔をしながら、私の視界から消えました。

ようやくおばさまたち全員が席に座りました。
これにしましょう、いえこっちが美味しそう、とメニューを選ぶ声も姦しいです。

ユマさんがそろそろと顔を上げました。
悲しそうな顔のままです。
さっきの小柄なウエイトレスさんが小走りに近づいてきて、ユマさんの隣に腰掛けました。

「百合草先生、ごめんなさい。急な団体さんがいらっしゃって。ご近所のバレーボールクラブのかたたちなんですけど、一箇所にまとまって12名座れるのって、あそこのボックスしかなくて・・・」
小柄なウエイトレスさんは、申し訳なさそうに、やよい先生に謝っています。
「ううん。土曜日なのに空いてるなあとは思ってたの。良かったじゃない、売り上げ増えるし。気にしないで」
「でも百合草先生、お引越しされるんですよね?だから今日はゆっくり遊んでいってもらいたかったんですけど・・・」
「うん。来週ね。来れたらもう一回くらい来るからさ、ミーチャンと」
「お待ちしています。私も東京、遊びに行きますから」

小柄なウエイトレスさんは、今度はユマさんに向かって、
「ユマさんも、ごめんなさいね」
そう言いながら、ユマさんのチューブトップ越しに、両手でおっぱいをムニュっと掴みました。
「あはん。アタシはこっちにいるからー、またこのお店使わせてもらうわよん。チャンスがあったらこっちの子猫ちゃんも連れてねー」

小柄なウエイトレスさんと目が合った私は、ペコリとお辞儀をしました。
小柄なウエイトレスさんはニッコリ笑い返してくれてから立ち上がり、もう一度やよい先生にお辞儀をすると、また小走りに戻っていきました。

「しょうがないわねえ。じゃあつづきはあたしの車の中でやりなさい」
「その代わり、あたしの車の後部座席は、なお子のアソコ並みに狭いからね。覚悟しといてね」
「アタシ知ってるもんー。子猫ちゃんとピッタリ密着できて楽しみー。て、子猫ちゃんのアソコってそんなに狭いんだー?」
私は赤くなってうつむきながら、ワンピースのボタンを留めています。

「やよい先生は、あの小柄なウエイトレスさんともお知り合いなんですか?」
ボタンを留め終えて、お話をそらすために聞いてみます。
「まあね。て言ってもあたしのお相手じゃないわよ。ミーチャンの。シーナも百合属性のS寄り」
「えー!?あんな可愛らしくて、Sなんですか?」
「なーに?苛めてもらいたいの?」
やよい先生がニヤニヤ笑っています。

「さ、出ましょう」
やよい先生が伝票を掴んで、ファッショングラスをかけてからバッグを肩にかけ、スタスタとレジに向かいました。
ユマさんもブラウスをはおり直して、同じようにファッショングラスをかけて後を追います。
私は、お尻に敷いていたバスタオルをたたんで小脇に抱え、ユマさんのCDを持って、同じようにファッショングラスをかけてつづきました。

お店を出るとき、小柄なウエイトレスさんが小さく手を振って、私に向かってパチンとウインクしてくれました。
外は相変わらずムっとした湿気と熱気で、シトシトとこまかい雨が降っています。

駐車場に停めてある、やよい先生の赤い車のまわりをグルッとまわってみました。
確かに後ろの窓は全体が黒っぽくなっていて、中はよほど目を凝らさないと覗けません。
私は安心して、助手席側のドアのところに戻りました。

助手席の背もたれを前に倒して、ユマさんが慣れた感じで後部座席に乗り込んでいきます。
やよい先生は、私のケータイとユマさんのケータイをなにやらいじくっています。
私が後部座席に乗り込むと、ユマさんはシートに大きなバスタオルを広げて敷いて、準備万端、早くもチューブトップを脱ぎかけていました。
確かに狭いですが、横たわってしまえば、密着感と閉塞感が心地良さそうです。

「ほらー、子猫ちゃん早くー。アタシのズボン脱がせてよー」
ユマさんが両手を広げて、その豊満なおっぱいを私のほうに突き出しています。
「たぶんだいじょうぶと思うけど、エマージェンシーのときは、このレインコートはおってね。あらかじめボタンははずしときなさい」
ケータイ弄りを終えたやよい先生が、ピンクとブルーのナイロン製らしい布を後部座席に投げました。
「合言葉は?わかってるわよね?」
「やまだーっ!」
ユマさんが大きな声で叫んでからブルーを取ったので、私はピンクのを拾ってボタンをはずすために広げてみます。
ポンチョみたいなかわいい感じのレインコートです。
ユマさんがレインコートをリアウインドウのところに置いたので、私も真似します。

「なんで緊急事態の合言葉が、やまだ、なんですか?」
と、私。
「なんでだっけっか?」
と、やよい先生。
「アタシがゆり先生たちと遊ぶようになったときは、もうそうなってましたよー。とにかくピンチのときは、やまだ、なのよー」
ユマさんが嬉しそうに言ってから、私に唇を重ねてきました。

「それじゃあ、出発するわよ。ゆっくり楽しみなさい。あたしが退屈しないように大きな声出してね」
やよい先生は、BGMのサティのボリュームを少し上げてから、すべるように車を発進させました。


グノシエンヌなトルコ石 37

グノシエンヌなトルコ石 35

ドリンクバーから帰ってきたユマさんは、チーズケーキを頬張りながら、唐突にさっきのつづきを話し始めました。
声の音量は普通に戻っていました。

「それでね先生、アタシすごくムラムラしてるから、一人で裸になって始めちゃったの、子猫ちゃんとイタスの想像しながらねー。えへへー。子猫ちゃん、あなたアタシのオナペットになっちゃたよー。かなり興奮したよー」
何て答えていいかわかりません。
やよい先生が助けてくれました。
「そうだったの。それなら今日は予定を変更して、まずユマをイかせてあげましょう。なお子、できるわよね?」
「はい。がんばります」
「わあー。嬉しいなあー。子猫ちゃんお願いねー」

「ユマ、今はエヌピーエヌビー?」
「なんですかそれ?ユマさんのバンドの名前?」
「キャハハハーっ!」
ユマさんに大受けしています。
「違うわよ、なお子。エヌピーエヌビーっていうのはノーパンノーブラの略。NPNBね」
苦笑いしながら、やよい先生。
「いいなあ、それー。アタシ次バンド組んだら、その名前にしよー。で、答えはもちろんイエスでーす」

「とりあえずその前に、少しあたしとなお子の記念写真を撮ってくれない?ユマがこっちに座って」
「いいですよー。アタシもケータイ出しておこうーっと」
そう言いながらユマさんは、はおっていたブラウスを脱ぎました。
タンクトップではなくてチューブトップでした。
すごく大きくて、たぶん形も良さそう。
見蕩れてしまいました。
「やだあー。子猫ちゃんがアタシの胸ジーーーっと見てる。えっちー」
ユマさんが無邪気に笑いながら、やよい先生と席を交換しました。

私の隣にぴったりと寄り添ったやよい先生は、まずファッショングラスをはずしました。

やよい先生がゆっくりとタンガリーシャツの胸元のボタンをさらに二つはずしました。
私も真似して前ボタンを全部はずしました。
やよい先生がシャツを大きくはだけて、おっぱいを晒してにっこり。
やっぱりやよい先生もノーブラだったんだ。
私も真似しておっぱいを晒します。
すかさずユマさんが私のケータイでカシャ、ユマさんのケータイでカシャ。
やよい先生が胸をはだけたまま、私に唇を重ねてきます。
すかさずユマさんが私のケータイでカシャ、ユマさんのケータイでカシャ。
やよい先生が私のおっぱいを両手でぎゅっと掴みます。
私は声を押し殺します。
すかさずユマさんが私のケータイでカシャ、ユマさんのケータイでカシャ。

するとユマさんがケータイをテーブルに置いて、ファッショングラスをはずしました。
やよい先生がシャツの前をかきあわせて私のほうを向きます。
私もあわててかきあわせて、手で押さえます。

ほどなく、小さな女の子の手を引いた若奥様風の人が現れて、女子トイレに消えていきました。
やよい先生は、下のほうからシャツのボタンを留めています。
私も留めようとすると、やよい先生は私の手を止めて、黙って首を振りました。
そして、胸のポケットからリモコンローターのコントローラーを出して、テーブルの上に置きました。
私はあわてて右手で口を、左手で胸元を押さえます。

やよい先生の指がスイッチをひねります。
「うぐっ!」
「あんっ!」
ユマさんまで小さく声をあげました。

「ちょっと、ユマも入れてるの?」
「だってー。きっと先生がスイッチ持ってると思ったからー」
二人でヒソヒソ声でしゃべっています。
やよい先生はスイッチを戻して、
「それじゃあ見張りになんないじゃない。後でちゃんとやってあげるから、今は出しなさい」
「えー、でもー」
「出しなさい」
ユマさんは悲しそうな顔をして、ショートパンツとお腹の隙間から右手を入れて、ローターを引っ張り出そうとしています。

そのとき、さっきトイレに入った親子が通路に現れました。
小さな女の子が私たちを見て立ち止まり、ニコニコしながら、こんにちわー、って声をかけてきます。
私たちも小さく手を振って、こんにちはー、と愛想笑いをします。
お母さんらしき人もニコニコしています。
すぐに手を引かれて、バイバイー、とまた女の子が手を振りながら遠ざかっていきました。
私たちもまた、バイバイー、って手を振ります。
ユマさんもからだをひねったまま空いている左手をニコニコしながら振っています。

3秒後くらいに3人ともテーブルに突っ伏して
「ククククククーっ」
と、笑いをかみ殺していました。

「ハアハア・・・あーおかしかったー。やっと抜けたわー」
ユマさんが目尻に涙を溜めながら、ローターをやよい先生に渡しました。
やよい先生はそれをツルっとしゃぶった後、自分の胸ポケットに入れました。
「じゃあ、あと5分くらい、なお子を苛めてからユマタイムね。見張りお願いね」
「はいはいー」

やよい先生は、ローターのスイッチを入れ直してから、私の胸をはだけさせました。
やよい先生の胸でもローターが低く唸っています。
「同じメーカーの同じ製品だとワイヤレスの周波数が同じらしくって、みんな動いちゃうのよねえ」
そんなことを言いながら、ユマさんのローターをポケットから取り出し、私の乳首に押し付けてきます。
私は声を押し殺すのに必死です。
やよい先生は、私のおっぱいをもんだり乳首を噛んだり、容赦なく責めてきます。
ユマさんは、私のケータイと自分のケータイと交互にカシャカシャと写真を撮っています。
私はたぶん小さくはイっていたと思います。
「まあ、こんなもんでいいか」
やよい先生の一言で、私への責めは終わりました。

「じゃあ次はユマの番ね。ローター入れる?」
「ううん。子猫ちゃんがやってくれるんならいらないー。子猫ちゃんの指がいいー」
「じゃあ、なお子も出しなさい」
私は自分でワンピースの裾をめくってローターを引っ張り出しました。
「あらあ。ぐっしょぐっしょ。さすがなお子ね」
そう言いながらやよい先生は、またツルっとしゃぶって胸ポケットにしまいました。

やよい先生がファッショングラスをかけて元の席に戻り、ユマさんが私の隣に戻って、ピタっとからだを寄せてきます。
「子猫ちゃーん。よろしくねー」
私の唇にブチューっとキスをくれました。

「なお子、ユマの腰を抱くような感じであなたの右腕をユマの背中からまわして、ズボンの右ポケットに右手を入れてごらんなさい」
私は、恐る恐る言われた通りにしてみます。
「あっ!?」
ポケットの袋がなくて、手にさわったのはユマさんの下半身の素肌でした。
少し奥まで手を入れると陰毛の感触があって、その少し奥まで行くと、熱くてもう濡れているアソコに届きます。
ユマさんがニっと笑ってまた唇を重ねてきます。
今度は私も舌をからめて、夢中でユマさんの唇を吸いました。
ポケットの右手は、サワサワとユマさんのアソコ周辺を撫ぜています。
「んふんんーっ」
ユマさんが押し殺したため息を吐いて、少し顔がのけぞりました。
唇が離れるのを待って、やよい先生が声をかけてきます。
「驚いたでしょう?そういうこと。エヌピーエヌビー。じゃあまず記念撮影ね」

ユマさんは躊躇無く両手でペロンとチューブトップをずり下げました。
弾力ありそうな豊か過ぎるおっぱいが、文字通りボヨヨーンという感じで現われました。
乳輪はやや大きめですが色素が薄いので、あまり目立ちません。
その先に控えめな乳首が、それでも精一杯背伸びしていて、ユマさんがもう感じていることがわかります。
大きなカップの形に、おっぱい以外が薄っすらと日焼けしていることもわかりました。
なんだか欧米のアダルト女優さんのおっぱいみたいです。
このおっぱいをきつーく縛ったらいやらしいだろうなあ・・・
なんて考えながら、ポケットの中の右手を動かすのも忘れて見蕩れてしまいました。

「ほらあ、子猫ちゃんも出してよー」
少し火照った顔をしたユマさんが、私の耳元で囁きます。
私はあわてて左手で胸をはだけました。
「あー。縄の跡がついてるー。それにこれ、キスマークでしょー。ゆり先生の首にもついてるし、昨夜はスゴかったみたいだねー。うらやましーーっ!」
ユマさんも左腕を私の肩を抱くようにまわして、指先で私の左の乳首をつまみます。
「ああんっ」

そんな二人をやよい先生がケータイでカシャカシャと写真におさめています。
「ユマがデビューしてスターになったら、この写真売りに行きましょうねー」
やよい先生が笑いながら、私に同意を求めます。
「ゆり先生のお仲間は、そんなことしないって、アタシ知ってるもーん」
ユマさんは、無邪気に笑いながらカメラに向かって右手でピースサインをしています。


グノシエンヌなトルコ石 36

グノシエンヌなトルコ石 34

車は、電車の線路沿いの国道を走っているようです。
私に自動車の道の土地勘はぜんぜんありませんが、たぶんこのへんは私の通う女子高のあたりだと思います。

車の中で、やよい先生と私は、やよい先生の個人的なお話をしていました。
やよい先生がレズビアンになった理由は、私が中二のときに詳しく聞いていました。
かんたんに言えば、もっと若いときに男の人にひどいことをされたからなのですが、これは誰にも言わないという約束で聞いたお話なのでここには書けません。
車の中で話していたのは、その頃は男の人全体をすごく憎んでいたのだけれど、ミーチャンさんと過ごすようになって、そんなことどうでもよくなってきて、男の人全体を憎むのはやめた、というお話です。
「もちろん、好きになんか絶対なれないけどね」
そう言って、やよい先生は笑いました。

もうそろそろバレエ教室のあるターミナル駅じゃないかなあ?
と思っていると、やよい先生がハンドルを切り、とあるファミリーレストランの駐車場に入りました。
時計は2時ちょっと過ぎでした。

やよい先生と私は、ファッショングラスをかけ直し、やよい先生は大きなトートバッグを肩にかけ、私は手ぶらで車を降りました。
お店に入ると、やよい先生は慣れた感じで、L字型になった店内の一番奥のほうへずんずん歩いていきます。
お客さんはまばらで、全部で4組くらい?
接客の人たちは、みんな女性のようです。

「こっちに座ってね」
やよい先生が肩にかけていたトートバッグから赤いバスタオルを出して、生尻じか座り用に渡されました。
「このファミレス、ちょっと変わっているでしょう?」
一番奥壁際の四人がけの席に座ってから、やよい先生が聞いてきます。
そう言われてあたりを見回すと、なるほど。

まず、それぞれの席が、向かい合わせの四人がけか六人がけで1セットのベンチシートになったボックスみたいになっています。
そして、ベンチの背もたれがとても高いので、隣のボックスに人がいるのかいないのか、立ち上がらないと見えません。
私たちが座った突き当たりの席は、脇が通路になっていて、その向こう側の席は背もたれをこちら側に向けたボックスになって並んでいるので、私たちの席からは誰の姿も見えません。
逆に言うと、私たちの席は他の席に座っている誰からも見えない、ということです。

「一つネックなのは、突き当たりのこの裏が女子トイレ、ってことなのよね」
「だからときどき女性がその通路を歩いて来て、この裏のトイレに消えていくの」
「男子トイレは、ずっと向こうの反対側、喫煙席の裏。ヘンなつくりよね」
やよい先生がそう笑ったとき、ショートカットで背も小さくスレンダーで、あどけない感じのウエイトレスさんが注文を聞きにきました。
ニッコリとやよい先生に会釈しています。

「あたしはクラブハウスサンドとドリンクバー。なお子は?」
何も考えていなかったので、ちょっとあわてました。
「えーと、チーズケーキとアイスティーを・・・」
「アイスティーならドリンクバーよ。じゃあドリンクバー二つとクラブハウスサンドとチーズケーキね」
「かしこまりました。ありがとうございます」
小柄なウエイトレスさんがまたニッコリ笑って、去っていきました。
「今の子ともなじみだから、安心して」
やよい先生は、ときどき謎なことを言います。
「あたしがドリンク取って来てあげる。アイスティーでいいのね?」
「はい」
やよい先生は、スタスタと入口のほうに歩いて行ってしまいました。

この状況だと・・・
私はここでもおっぱいを出すことになりそうです。
出すだけですむのでしょうか?
ワクワクどきどきが止まりません。

やよい先生がアイスティを持ってきてくれて、しばらくするとさっきのウエイトレスさんが、チーズケーキとクラブハウスサンドを持ってきてくれました。
「ごゆっくりどうぞ」
小柄なウエイトレスさんがまたニッコリ笑います。

「さてと。じゃあちょっと練習しておこっか?」
運ばれてきたサンドイッチに手をつけず、やよい先生が言います。
今は、やよい先生が女子トイレ側、私が反対側に向かい合って座っています。
「なお子はなるべく、そっちの壁際に座ってね。メガネははずしなさい」
そう言いながら、やよい先生は通路側ギリギリに座りなおしました。
私たちの位置は対角線上斜めになりました。
「ここで何やるか、もうわかってるとは思うけど、また、なお子の恥ずかしい写真を撮るのね」
「それで、おっぱいとか出しているとき、あたしがこのメガネをはずしたら、すぐにしまいなさい。なるべくさりげなく」
「つまり、誰かがこっちに来そうになったら、あたしがメガネはずすから、あなたはがんばって見られないように努力するってこと。ユーシー?」

「それじゃあ、やってみるわよ。前のボタンはずして」
私は5つ全部はずしてから、ウエストのリボンを少し緩めました。
「左のおっぱいを出しなさい」
私は、肩はずらさず、前の布だけ開いて左おっぱいを露出しました。
やよい先生がケータイを構えて、カシャっと写します。
そのまましばらく無言の時間が過ぎました。
やがておもむろに、やよい先生がファッショングラスをはずして、紙ナプキンで拭き始めました。
私はあわてて前をかきあわせて押さえながら、アイスティのストローを口に含んでそっぽを向きました。
小柄なウエイトレスさんが通路をツカツカと見回りに来て、またニッコリ笑いかけながら、引き返して行きました。

「まあ、そんなものね。どう?」
「すっごくドキドキしました。スリルあって楽しいです」
「おっけーね。じゃあ、とりあえず食べちゃいましょう」
私は、胸ボタンを下から2つだけはめてから、チーズケーキを食べ始めました。
昨日のプレイ中の他愛もないお話をしながら、やよい先生もサンドイッチを食べ終わり、さて、となったとき、
「こんにちわあー!」
と大きな声がしました。

「あらー、意外と早かったわねえ」
と、やよい先生。
え?誰?

ふわっとした長めなポニーテールに、私たちと同じデザインの薄いブルーが入ったファッショングラス。
おっぱいの裾野ギリギリな白のタンクトップの上に、ひらひらした薄物のピンクの長袖ブラウスをひっかけてウエストで軽く縛っています。
胸がすごく大きいです。
下は、ゆったりめの濃い茶色のショートパンツを細いエナメルのベルトで止めています。
私ややよい先生よりかちょっと小柄なグラマーでセクシーな感じの人です。

その女の子は、遠慮なく私の隣に座りました。
「誰?って顔してるー。ひどーい。もう忘れちゃったのー?」
その人懐っこい顔としゃべり方に覚えがありました。
「・・・ひょっとして・・・ピザ屋さんのお姉さん?」
「よかったー、覚えててくれたあー」
私のホッペにブチューっとキスをします。
いつの間にか傍らに来ていた、小柄でスレンダーなウエイトレスさんが笑いながら見ています。
「えーと、アタシもチーズケーキとドリンクバーね」

「あらためて紹介するわね。元あたしの隣人で、今はロックバンドのヴォーカリストとしてメジャーデビュー寸前のピザ屋のお姉さんこと高林真由美さん」
やよい先生がおどけて紹介してくれます。

「もりしたなお子です。やよいせ、あ、百合草先生のバレエの生徒です。ピザ屋さんの制服のときとぜんぜん印象が違ってたので・・・髪型も昨日はツインテールだったし・・・すぐに思い出せなくてごめんなさい。高林さん」
私はペコリと頭を下げました。

「アタシ、バンドでの芸名はユマなんだー。真由美だからユマ。子猫ちゃんもユマって呼んで。あとこれうちのバンドのインディーズで出したCD。メジャーからは9月末に出る予定だから、買ってねー」
ユマさんはよく通る大きな声でよくしゃべります。

「ユマは、それでなくても声でかいんだから、ちょっと抑えてね。テンション高すぎ」
やよい先生が苦笑いしています。
「だって、子猫ちゃんにこんなにすぐまた逢えるなんて思ってなかったからー。先生からメールもらって、キャッホーって叫んじゃったよー」
「それで先生聞いてよー。昨夜早めにバイトふけてお家帰ったらさー、ダーリンったらレコーディング押してて帰れないだってー。アタシ、ムラムラの絶頂だよーっ」
そう言ったとき、小柄でスレンダーなウエイトレスさんが、お待たせしましたー、と言いながら、チーズケーキを笑顔で差し出しました。
ユマさんは、さすがにまずいと思ったのか自分で口を押さえてマズイって顔になります。
それがとってもかわいいんです。

「あっ。アタシ、ドリンクバー行ってくるー。子猫ちゃんはアイスティーね。先生は?」
「冷たいグリーンティがいいわ」
「おっけー、グリーンデイねー、よろこんでー」
ユマさんが謎なことを言って、跳ねるようにドリンクバーに向かいました。

「テンション高い人ですねー。でもなんだかかわいらしい」
と私。
「うん。ちゃんと空気が読めるいい子よ。なお子なら絶対仲良くなれるわ」
やよい先生は、なんだかとても嬉しそうです。


グノシエンヌなトルコ石 35