2014年6月16日

コートを脱いで昼食を 32

「ねえシーナさん?よかったらレジ裏の部屋、使います?」
 ショーウインドウの向こう側からの視線がもたらす、羞恥の愉楽に浸りきっていた私の頭の片隅に、純さまのくぐもったお声が侵入してきました。
「だってナオコったら、さっきからずっとだらしなく口開けっぱのアヘ顔で、サカリっぱなしですよ?」
「こんなんじゃいったんイかせてあげないと、おさまりつかないんじゃないかと思って・・・」
 純さまの呆れたようなお声が、私の後方から聞こえていました。

「そうねえ。だけどこの状態の直子はもはやケモノなのよねえ。下手にどっかまさぐったら凄い声あげるわよ?」
「ドア閉じたって絶対ヨガリ声が店内に響いちゃうだろうから、今以上にお店に迷惑かけちゃうわ」
 シーナさまの、多分に軽蔑を含んだ、でもなんだか愉しそうなお声が応えました。
「シール貼っているあいだ中、お尻の穴がヒクヒク蠢いているのだもの、なんだかこっちのほうが恥ずかしくなっちゃいましたよ」
 桜子さまも呆れ果てているご様子。
 私の意識が徐々に現実に引き戻されました。

「だからまあ、直子の後始末はわたしが責任もってどうにかするわ」
 シーナさまのお声が聞こえたと同時に、私のお尻がパチンと勢いの良い音をたてました。
「ああーんっ!」
「ほら直子、いつまでわたしたちにいやらしいお尻突き出している気なの?まだ視られ足りない?」
「シールはもうとっくに終わっているわよ?さっさとこっち向きなさい」
「あ、はいぃ」
 前屈み気味だった上体を起こしつつ、シーナさま、そしてギャラリーのみなさまのほうへ恐る恐る向き直りました。
 途端に、私の顔面めがけて、みなさまの好奇と侮蔑に満ち溢れた視線の束が襲いかかってきました。

「ほんとに、見事にどヘンタイ淫乱マゾ丸出しの顔になっているわねえ。ねえ直子、あなた今、一触即発でしょ?」
 薄ら笑いを浮かべたシーナさまの瞳がキラキラ輝いています。
「はい・・・」
「イきたくてイきたくて仕方ないでしょう?」
「はい・・・」
「たとえば今、どこを弄って欲しい?」
「あ、えっと、どこでもいいですけれど・・・おっぱいとか、ち、乳首・・・」
 シーナさまの誘導ではしたない言葉をスラスラ口走ってしまう私。
 シーナさまの背後で見守るギャラリーのみなさまが気にはなるのですが、それでも、いやらしい言葉を自ら口にしたくてたまりません。

「おっぱいだけでいいの?」
「あ、あとはえっと、こ、ここ・・・」
 両手は頭の後ろなので、顎を引いて自分の下半身を覗き込む私。
「ここじゃわからないわね。ちゃんと呼び名で教えてくれなくちゃ」
「あの、アソコ・・・せ、性器・・・です」
「あら?今日はずいぶんとお上品なのね。いつもと違う呼び方じゃない?」
「あの、えっと、ク、クリトリス・・・」
「そこだけ?」
「いえ、あの、お、オマン・・・」
 口に出しかけて、ギャラリーのみなさまを上目遣いで見た途端、下半身が電流に貫かれました。

「え?聞こえなかったわ、何?」
「だからあの・・・オマンコ、オマンコ全体を弄って欲しいんです!」
 ハッキリクッキリ言葉にした私。
 うわっ!てギャラリーのどなたかが呆れたお声をあげました。
 フフン、と満足気に笑われたシーナさまがつづけます。

「だけどね、純ちゃんのお店もいつまでも直子のヘンタイアソビにつきあっているワケにはいかないのよ?これから夕方はかきいれどきだし」
「だからそろそろわたしたちはおいとましましょう」
「でもその前に、直子は自分のしたことの後始末をしなければいけないわ」
 そこでシーナさまは一呼吸置き、ニッて笑いました。

「シャツを脱ぎなさい」
「え?」
「シャツ脱いで素っ裸になって、床にひざまずいて自分のいやらしいおツユで汚したお店の床を綺麗に拭き取りなさい。さあ早く!」
「は、はいっ!」
 語気の荒くなったシーナさまのご命令口調に、あわててシャツの裾を捲り上げ、Tシャツを脱ぎました。
 とうとうお店で全裸です。
 すぐに床にひざまずき、這いつくばってお尻を突き上げ、自分が立っていた足元の恥ずかしい水溜りを、たたんだシャツで丁寧に拭き始めました。
 
 小さなTシャツ全体がぐっしょりになるほどの量でした。
 そして、自分では嗅ぎ慣れている臭い。
 それがギャラリーのみなさまにまで届いていることを思うと、今更ながらの強烈な恥ずかしさ、みじめさ。
 純さまがコンビニ袋をくれたので、それにぐっしょりTシャツを入れると、横からシーナさまの手が伸びて奪われました。
「これは直子のバッグに入れておくわ。後で自分で洗って、もちろんまた着ること。ものは大切に、ね?」

「立ち上がったら、こちらを向きなさい」
 お言いつけ通り立ち上がり、みなさまと対面します。
 両足は休め、両手は自然と頭の後ろへ。
 さっきと今で違うのは、私が正真正銘の全裸なところ。

「これからわたしは純ちゃんとお会計してくるから、戻ってくるまでのあいだ、お客様に桜子さんのスキンアート作品の出来栄えを、近くでじっくり見ていただきなさい」
「あ、その前にまず、今まで見守っていただいたお礼をみなさんに言わなくてはね。そのおかげで直子がこんなに気持ち良くなれたのだから」
 シーナさまが細目で私を睨みつつ、顎でうながします。
「ほら、今日は、見てくださってありがとうございました、でしょ?」
「あ、はい、み、みなさま、今日は、見てくださいまして、本当にありがとうございました」
 マゾの服従ポーズのまま上体を前傾させ、ペコリと頭を下げました。
 剥き出しのおっぱいがプルンと揺れます。

「何を見てもらったのよ?」
「・・・わ、私の裸です・・・」
「ただの裸じゃないでしょう?」
「あ、えっと、いやらしいマゾ女の直子のからだです・・・」
「からだって、具体的にどことどこよ?直子のどこを見てもらったから嬉しかったのよ?」
「あ、っと・・・」
「ほら、よく考えて、わたしが満足できるように、正直なご挨拶をなさい!もう一度最初からやり直し!」
 シーナさまの苛立ったようなお声が、私のマゾ性をグングン煽ってくれます。

「み、みなさま、今日は、私・・・な、直子の、ヘンタイマゾ女の直子のいやらしい裸を・・・あの、つ、つまり、おっぱいやち、乳首・・・尖った乳首や、お、オマンコ、いやらしく濡らしたオマンコ、の穴と充血したクリトリスと、あとえっと、汚いお尻の穴も、見てくださって、本当に、あ、ありがとうございました・・・」
 
 理性のストッパーがはずれ、恥辱の洪水に溺れている私の唇からは、はしたなくえげつない言葉が次から次へとスラスラ湧き出ていました。
「私は、直子は、みなさまに恥ずかしい姿を視られて、虐められて辱められてえっちに興奮してしまう、いやらしいヘンタイのどマゾ女なんです・・・今日は、みなさまのおかげで、とても気持ち良くさせていただいて、本当にありがとうございました」
「ま、また機会がございましたら、そのときも存分に虐めてやってください・・・お願いいたします。ありがとうございました・・・」
 そこまで言ったとき、懲りもせず左内腿を愛液がドロリと滑り落ちていきました。

「あーあ、まーた床汚して!もう際限ないわね!」
 シーナさまが呆れたお声でコンビニ袋を投げつけてきました。
「拭いたらまたその姿勢に戻って、スキンアート作品の見本になること!」
「みなさんも遠慮せずに、近くでご覧になってくださいね。このお店の桜子さんの腕前は一流アーティスト並みだから」
「でも、あんまり近づくといやらしい臭いでクラクラしちゃうかもね。直子への質問もご自由に。直子はちゃんと正直に答えること」
「それに、ちょっとなら作品にさわってもいいわよ。ペイントは完全に定着しているらしいから。直子のいやらしい汗でも滲んでいないしね」
「でも直子は絶対ヘンな声をあげないこと。がまんするのよ。この後すぐ、わたしがいい所に連れて行って、存分に喘がせてあげるから」
 笑い混じりなシーナさまが言い捨てて、純さまと一緒にレジのほうへ消えました。
「ワタシもトイレ行ってくる」
 桜子さまが後を追いました。

 全裸で無防備に立ち尽くす私の前に残ったのは、今日初めて出会ったかたたちだけになっていました。
 試着のお客様、そのあといらっしゃったおふたかた、そのまたあと更に4名のお客様が見物に加われたようでした。
 シルヴィアさまとエレナさまは、残念ながらいつの間にか帰られてしまったようですが、それでも合計7名の初対面なかたたちの視線が私の裸身に注がれていました。
 全員、私とあまり年齢に開きの無さそうな学生さん風な女性ばかり。
 お名前も素性も知らない同年代の女の子たちの遠慮無い視線が、私の素肌を嘗め回していました。
 みなさまは先ほどより近い位置、桜子さまの作業デスクの脇、まで近づいてきて、裸の私を半円形に取り囲んでいました。

「本当にこういう趣味の人いるんだねー」
「露出狂、って言うんでしょ?」
「さっき、通行人もけっこうこっち、見てたよね?わたしのほうがドキドキしちゃった」
「乳首が飛び出てたの、気づいたのかしら?」
「ひとり、立ち止まって覗き込むようにガン見してたおにーちゃんがいたね」
「あれ?女の子じゃなかった?」
「ガイジンさんが笑いながらウインドウに近づいてったら、ササって逃げちゃったけど」
 みなさま、私に直接は話しかけずにヒソヒソ、好奇心丸出しのおしゃべりです。

「スキンアートって、意外とオシャレなもんなんだね」
「うん。けっこういい感じだよね」
「でもアタシ、こんなとこにしてもらう勇気ないわー」
「それって別に勇気じゃなくね?」
「やだ!よく見たらおっぱいにマゾヒストって描いてある!」
 私は曖昧な微笑を浮かべつつ、みなさまのおしゃべりを黙って聞いています。
 それなりに着飾っている同年代女子の中に、たったひとり全裸でいる屈辱を全身で感じながら。

「ねえあなた、あなた学生?ニート?OLさん?」
 不意に、それまで好奇心おしゃべりに加わっていなかった、あの試着のお客様が私に直接話しかけてきました。
 この中では一番最初から、私がくりひろげる痴態を目の当たりにしてきた彼女。
 私の真正面に立って、私をまっすぐ見つめて聞いてきました。

「あ、はい。一応大学生です」
「へー。それならわたしと年変わらないんだ。まさかこの近くのガッコ?」
「いえ、違います・・・」
「こんなことすると気持ちいいんだ?人前で裸になるのが」
「は、はい・・・あの・・・ごめんなさい・・・」
 彼女のお言葉には、明確な侮蔑が感じられました。
 私のような女に対する嘲笑と嫌悪みたいなものを、まったく隠そうともしない冷たい口調。
 今の私には、ゾクゾクしちゃう、心地よい罵倒。

「ふーん。さっきいろいろ命令していたお姉さんがあなたのご主人様なんだ?」
「はい・・・」
「でもさ、こういうのって普通、男とやるものでしょ?」
 桜子さまと同じ疑問をお持ちのよう。
「私は男性はダメなんです。同性じゃないと・・・」
「レズってこと?・・・」
「・・・はい」
「そうなんだ。じゃあ、あのご主人様は恋人でもあるの?」
「まさか・・・恋人だなんて・・・」
 自分が答えた言葉に、なぜだか胸がキュンと疼きました。

「同性に裸見られて興奮するんだ?」
「はい・・・あと、虐めらたり辱められたり・・・」
「ふーん。それなら今、こうして同性のわたしたちに見られているこの状況って、あなたにとっては天国みたいなものなんだ?」
「・・・はい、そうですね・・・」
 試着のお客様が代表インタビュアーみたいになって、その一問一答を他のみなさまが見守る形になっていました。

「そんな性癖だとあなた、クアハウスとかサウナの女湯、興奮して入れないんじゃない?」
 みなさまがドットと沸きます。
「そ、それは、あらかじめの心構えが違いますし、みなさんも裸ですから・・・」
「ああ、なるほど。こういうありえない場所で自分だけ裸になるのがいいのね?」
「・・・はい」
「はい、だってー!」
 再び沸くギャラリーのみなさま。

「あなたみたいな人を本当の、マゾ、っていうのね。わたし今まで、ドMだとかマゾいよねー、なんて言葉をなんとなく超テキトーに使っていたけれど、今日初めてわかった気がするわ」
 試着のお客様が、独り言みたいに、心底感心したご様子でつぶやきました。
 それから再び、私の顔をキッと睨みつけ、興奮気味につづけました。

「わたし、今日あなたのしていること見て、すっごく、心の底から、虐めてみたいーって思ったのよ。あなた見て、わたしの中のSッ気が目覚めちゃった感じ」
「あなたの顔、しっかり憶えたから、今度どこかで会えたら、そのときはわたしにつきあってよ?ご主人様には内緒で」
 彼女の冷たい瞳が、まっすぐに私を射抜いていました。
「は、はい・・・喜んで・・・」
 彼女の迫力に気圧された私は、従順にうなずきました。
「そう。ありがとう。嬉しいわ。あと、最後にひとつお願いしていいかしら?・・・」
「はい?」

 そのとき、シーナさまと純さま、桜子さまがお揃いで戻っていらっしゃいました。
「あら、盛り上がっているみたいね。直子、ちゃんとみなさんに見てもらった?」
「あ、はい・・・」
 シーナさまは私のコートとバッグを手にされていました。
「それじゃあわたしたちは失礼させていただくわ。直子、そのままコートだけ羽織りなさい」
「あ、はい」
 シーナさまが手渡してくれたコートに、全裸のまま、まず片手を通しました。
 コート着ちゃうの、ちょっと名残惜しい・・・

「みなさんも、お騒がせしちゃったわね。また、このお店でこの子のショーをするかもしれないから、ご縁があったら、そのときはまたよろしくね」
「純ちゃんも桜子さんもありがとね。また近いうち寄らせていただくわ」
「いえいえ、シーナさん、今日はたくさんのお買い上げ、ありがとうございました」
 純さまがおどけた感じでお辞儀をして、私にもニコッと笑いかけてくださいました。

「ほら、コート着たらとっとと行くわよ。ボタンなんて適当でいいから、どうせすぐ脱ぐんだし」
 シーナさまが私の右手を取り、お店のドアのほうへと引っ張っていきます。
 そのお顔は完全なドエス。
 つぶらな瞳が妖しく輝き、小さなからだ全体の温度が数度、上がっているような感じ。
 やる気マンマン、テンションマックス。

 ちょうどあのとき、アンジェラさまのワックス脱毛エステを受けての帰り道、のシーナさまも、こんな感じでした。
 自宅マンションに近づいていたシーナさま運転の車は、スーッとその脇を通り越し、そのまま少し走りつづけて池袋のラブホテルの地下駐車場に、当然のように滑り込んでいました。

「直子はさんざんアンジーたちにイカせてもらったからいいでしょうけれど、わたしは直子のイキっぷり見てて、羨まし過ぎて、蘭子さんの超絶マッサの気持ち良さまで吹っ飛んじゃったわよ」
「これはみんな直子のせいなのだから、直子はわたしに奉仕する義務があるの。わたしがもういいって言うまで、わたしを気持ち良くさせる義務がね」
 その日、ふたりとも疲れ果て、裸で抱き合ったまま寝入ってしまうまであれこれしたので、結局マンションのお部屋に戻ったのは明け方でした。

 あのときと同じ、いいえ、それ以上のドエスオーラを発しているシーナさまは、お店の入口まで見送ってくれたみなさまが呆気に取られるほどの勢いで、私の手を引いてお外に飛び出しました。

「まったくあなたって子は、淫乱にもほどがあるわ」
「きっと今頃、お店ではあなたの話題でもちきりよ。本物のどヘンタイだって」
「ウイッグ着けて大正解だったわね。予想外にいろんな人に見られちゃった。直子は嬉しかったでしょうけれど」
「シルヴィアたちは今日撮った写真、絶対お店でお客に見せちゃうわね。直子の裸」
「まあ当分この界隈には近づかないほうがいいわね。ほとぼり冷めるまで」
「だから今日はSMホテルに行くからね。あなたを虐め倒したくてたまらないわ。覚悟なさい」
「もちろんわたしにもきちんと奉仕するのよ。わたしが満足するまでね」
 
 そんなことをブツブツおっしゃりながら、人波を切り開くように、夕暮れ近い雑踏をズンズン進むシーナさま。
 右手を引かれた私は、一番下を留め忘れたコートの裾がヒラヒラ大きく翻り、無毛の下半身にお外の風を直に感じていました。

 交差点の向こう側にお城のような外観の派手な建物が見えました。
 あそこかな?
 シーナさまがその入口を睨むように見つめています。
 発情されているシーナさま、大好きです。

 ああ、やっとイかせてもらえそう。
 そしてもちろん、今日も長い夜になるはずです。





2014年5月25日

コートを脱いで昼食を 31

 座っている桜子さまのお顔と私の股間との距離は50センチくらい。
 桜子さまは、さらに前のめりになって私の土手にお顔を近づけてきました。
「場所が場所なのに肌ツルツルなのねえ。毛穴のブツブツ、ほとんど無いじゃない?」
 桜子さまの鼻先に私のスジの割れ始めがあります。
 その状態で桜子さまがお話しされると、吐息が直に敏感な部分にかかります。
 シャツまくり上げのほぼ全裸な姿で桜子さまの後頭部を見下ろしながら、私のムラムラが下半身にグングン集まってきました。

「このへんに貼るからね」
「ぁぁんっ!」
 不意に土手麓のキワドイ場所を指でツツーッと撫ぜられ、そのはがゆい感触に私の両膝がガクンと崩れました。
「動かないでっ!」
 お顔を離した桜子さまがピシャリ。

「すぐに終わるから、ガマンしててよねっ!動かれたら失敗しちゃうじゃない?」
 デスクに向いてなにやら準備しながらの不機嫌そうなお声。
 でも、こちらに振り向いた桜子さまは、ニンマリ笑っていました。
「さっきナオがガクンとなったときにさ、スジがぱくって割れて中のピンクの具が丸見えだっわよ?濡れてヌメヌメ光ってて、ほんとにいやらしかった」
 ギャラリーのみなさまに呆れたようなクスクス笑いが広がりました。

「始めるからね」
 アーティストのそれに戻った桜子さまのお顔が再び、私の股間に近づいてきます。
「んぅぅ」
 濡れティッシュのようなもので下腹部右側の内腿近くを撫ぜられました。
 私は唇を真一文字に結び、こそばゆい愛撫で折れそうになる両膝を踏ん張って必死に耐えます。
「そんなに力入れてたら皮膚まで突っ張って、シールが歪んじゃうわよ?リラックスリラックス」
 生真面目な桜子さまのお声。
「は、はいっ・・」
 でも、濡れティッシュの水気にはアルコールのような成分が含まれているらしく、撫ぜられたところがスースーし始めて、もどかしい快感に拍車を掛けてくるんです。
 どんどんどんどんヘンな気分になってきて、もっと内側、もっと内側までさわってください、って、頭の中で叫んでいました。

 濡れティッシュで拭かれた部分に台紙ごとシールがあてがわれ、台紙の上からスースーする液体がさらに塗られました。
 液体を伸ばすために私の皮膚を撫ぜる桜子さまの指は、おっぱいのときとは違ってスムースではなく、なんて言うか、無駄に指先に力が入っている感じでした。
 その部分がへこむほどの力で、皮膚が外へ外へと引っ張られます。
 
 ワザとだと思いました。
 内腿すぐそばの皮膚を外向きに引っ張られれば、中央の亀裂部分の唇までつられて引っ張られ、お口が開いてしまいます。
 上からでは桜子さまの頭に遮られて見えませんが、私のアソコの唇が小さくパクパクしているのを感じていました。
 あぁんっ、桜子さまが私の中までじっくり視ているうぅ・・・
 恥ずかしさと嬉しさがごちゃまぜの、すっごく甘酸っぱい気分。

 だけどそれもすぐに終わり、ガーゼみたいなものでその上をポンポンと叩いてから、桜子さまのお顔が離れました。
 台紙がスルッと剥がされると、4センチ四方くらいの鮮やかな青色模様の綺麗な蝶々が現われました。
「はい!一丁上がり!」
 桜子さまの大きなお声が響いて、今まで桜子さまの頭で隠れていた私のソコに、ギャラリーのみなさまの視線が一斉に注がれるのを感じました。

「ワタシ、なんだか無性にチーズケーキ、食べたくなっちゃった。それもすっごくコッテリしたやつ」
 クルッと後ろを振り向いて、冗談っぽい口調でおっしゃった桜子さまのお言葉に、ギャラリーのみなさまがドッと湧きました。
「そんなに間近ならそれはそうでしょうねー。ここまでだってけっこう匂っているもの・・・」
 お気の毒に、とでもつづきそうな同情まじりのシーナさまの合の手に、私の全身がカッと火照りました。
 私の発情した性器の臭いが、このお店中に漂っているんだ・・・
 奥がキュンキュン、性懲りも無く蠢きます。

「でもやっぱりこれだけだとなんか物足りないなあ・・・」
 再び私の股間に向き直った桜子さまが、ソコを凝視してきます。
「やっぱり少し手を加えたいな・・・そうだ、鱗粉を散らしてみよっか。そうすれば蝶々にもっと躍動感が出るはず」
「ナオ、まだ動かないでね、もう少しだけ。それとちょっと反り気味になって、蝶々の部分をもっとこっちに近づけてくれる?」
 細いブラシを手にした桜子さまが、真剣なまなざしに戻っておっしゃいました。

「あ、は、はぃ・・・」
 私は、クラクラしちゃう甘美な疼きを感じながら、ご指示通り素直に、と言うよりむしろ悦んで、胸を張るように背中を反らしました。
 まるでギャラリーのみなさまに、自ら露出させているおっぱいを、さらにのけぞって見せつけるかのように。
 背中の弓なりに比例して腰がグイッと前に出て、桜子さまの眼前すぐにまでアソコを突き出す格好です。
 私の股間にお顔を埋めるようにして、桜子さまのブラシによるチロチロ愛撫が始まりました。

 この時点で、もはや私の中に理性や常識は、まったく残っていませんでした。
 この至福の時間がずーっとつづいて欲しい・・・
 そんなふうに思っていました。
 
 恥丘を思い切り前に突き出して桜子さまのブラシの愛撫を感じながら、私を取り囲んでいるみなさまのお顔を順番に盗み見ました。
 シーナさまのニヤニヤ笑い、純さまの呆れたような苦笑い、試着のお客様の軽蔑しきったまなざし、新しいギャラリーさまたちの好奇に爛々と輝くお顔・・・
 いつの間にかシルヴィアさまとエレナさまも輪に加わっていました。
 おふたかたともさっきよりももっと肌も露でキワドイ原色のドレス姿で、私に笑いかけていました。
 レジ側のハンガーラックのほうには、さらに新しいお客様が数人増えて、こちらを視ているみたいでした。

 みなさまからの視線のシャワーを浴びて、私のからだ全体いたるところが、ビクンビクンと淫らに反応していました。
 普通の女の子なら、絶対人前で外気に曝け出すようなことの無いはずな部分を、見せびらかすようにみなさまに晒している私。
 肌に突き刺さってくるすべての視線が、私のからだを容赦なく値踏みして嘲弄と共に陵辱してきます。
 そんな陵辱を例えようも無いほど心地よく感じている私は、もっともっと、さらなる恥辱をも望んでいました。

 今の私は、ここにいらっしゃるどなたの、どんなご命令にも、従順に従うことでしょう。
 脚をもっと開けと言われれば、思い切り大きく開きます。
 四つん這いになれと言われれば、即座に額突きます。
 そのままお店の外に出ろと言われたとしても、素直に歩き出すことでしょう。
 鞭でも洗濯バサミでもローソクでも、お浣腸だって喜んでいただきます。
 
 だから、その代わりに、私のこの、どうしようもないくらいに疼いているムラムラを解消して欲しい。
 昂ぶりきって今にも爆ぜそうな欲情を開放させてください。
 もっと虐めて、もっと辱めて、もっといたぶって。
 そのためなら何だってしますから。
 身も心も、私のすべてがマゾヒズム一色に染まっていました。

「うん、だいぶ良くなったわ!」
 爆発寸前の昂ぶりは、桜子さまの一言で現実に戻されました。
「ほら、こんな感じよ」
 桜子さまがまあるい手鏡をかざして、私のアソコ周辺を映してくださいました。
 
 青い蝶々は、私の割れ始め3センチくらい右側で、やや左斜め上に向いて綺麗な羽を広げていました。
 私の左おっぱいに描かれた山百合へと、キラキラした鱗粉を撒き散らして飛び立ったところ、といった感じの構図でした。
 
 下からかざされた手鏡には、私の内腿奥のほうまでもが映っていて、アソコ周辺が粘性の液体でヌメヌメ濡れそぼっているのが丸分かりでした。
 両内腿には下へ向かって、カタツムリさんが這ったような跡が幾筋も。
 私に向けて鏡をかざす桜子さまの嬉しそうなお顔が、ほら、ナオはこんなにオマンコ周辺をビチャビチャに濡らしたはしたないヘンタイ女なんだよ、っておっしゃっているように見えて、たちまち昂ぶりが戻ってきました。

「じゃあ最後にお尻ね。今度は背中向けてお尻を突き出しなさい」
 桜子さまのご命令。
 私は、もうすっかりその気でした。
 そのご命令をワクワク待っていました。
 もっとたくさんの人に視てもらいたい、見せたい。
 今の私のこんな恥ずかしい姿、こんな昼間にこんなお店でひとり裸になっているヘンタイな私の姿を、通りすがりの見知らぬ人たちにも気づいて欲しい、驚いて欲しい、笑って欲しい、蔑んで欲しい。
 もうどうなったってかまわない・・・

「ごめんナオコ!ちょっと待ってくれる?」
 桜子さまのご命令に頷いて回れ右をしようとしたとき、純さまからあわてたようなお声がかかりました。

「盛り上がっているところに水を差すみたいで申し訳ないのだけれど・・・」
 純さまが桜子さまの隣に歩み出て、主にシーナさまに向けて語りかけました。
「こんなオッパイ丸出しの子を、オッパイ丸出しのまんま外からバッチリ見えるように放置するのは、やっぱちょっとマズイかなーって、お店的に・・・」
「いえ、個人的には面白いと思うんですけど、ほぼマッパでしょ?外を誰が通るかわからないし・・・」
 今までに無く歯切れの悪い純さま。

「そうね。確かにちょっと、リスキーかもしれないわね」
 真面目なお顔でシーナさまが引き継ぎました。
「万が一ケーサツやら商店街の自治会みたいな人に見られたら、純ちゃんのお店に迷惑かかっちゃうものね」
「それに、こんな直子のしょうもないヘンタイ性癖のために、純ちゃんのお店にヘンな噂がたったり、営業停止とかなっちゃったら理不尽だし、割に合わないわよね」
 シーナさまが私を睨みつけるように見ながら、冷ややかにおっしゃいました。

「でもほら、直子はわかっていないようよ。視てもらう気マンマンのマゾ顔全開だもの」
 薄ら笑いを浮かべて私を見ながらシーナさまがつづけます。
「まったく、本当にはしたない子。わたしのほうが恥ずかしいわよ」
 ギャラリーのみなさまのクスクス笑いがさざ波みたいに広がりました。
 確かに私は、純さまのご提案を聞いて、がっかりした顔になっていたと思います。
 シーナさまには、全部お見通し。

「それならこうしましょう」
 シーナさまがギャラリーのみなさまに説明するみたく、少し大きなお声でおっしゃいました。
「桜子さん、直子の胸のペイントはもう乾いているわよね?」
「ええ。普通、描いて5分もすれば完全に乾いていますよ。だからナオは、ずっとそうやってシャツをたくし上げている必要なんて、ぜんぜん無かったんです、本当は」
 嘲るような桜子さまの口調。
「でもきっと、ナオはそうしていたいんだろうな、って思って何も言わなかったんです」
 再びギャラリーのみなさまの嘲笑のさざ波。

「おっけー。それじゃあ直子、そのシャツ下ろしていいわよ、残念でしょうけれど」
 シーナさまも冷ややかな嘲り口調。
「とりあえずそのはしたないおっぱいはしまいましょう。あ、でも直子が自分で空けたっていうシャツの穴から、そのいやらーしく尖りきっている乳首は露出させていいわよ」
「乳首だけなら、ショーウインドウ越しならたいして目立たないでしょう?その格好ならお店のリスクも減るし、直子の見せたがり願望も少しは満たされるんじゃない?どう?純ちゃん」
「そうですね。そのくらいなら大丈夫そう。それでいきましょう」
 純さまも同意されました。

 ここにいらっしゃるギャラリーのみなさまのうち、お店にお買い物にいらした見ず知らずのお客様のかたたち全員は、すでにおっぱい全体をはだけてほぼ全裸姿の私しか見ていません。
 このお店に来たときの、自ら破廉恥な細工を施した恥ずかしすぎる着衣、を、ここでみなさまに暴露されることになってしまいました。

「ほら、そうと決まったら早くシャツを下ろしなさい」
「は、はい・・・」
 私は、自らたくし上げていたTシャツの裾をズルズルと下ろし始めました。

「この子はね、東池袋の自宅からこんな格好して、その姿を誰かに見せたくってここまで来たのよ?」
「ピチピチTシャツの上にコート一枚だけ羽織って、下半身は裸。お股にはタンポン突っ込んでね。どうしようもないヘンタイでしょう?」
「全部自分で考えた、ヘンタイアッピールのためのコーディネートなのよ」
 ギャラリーのみなさまにシーナさまがわざわざご説明されるお言葉を聞きながら、ピチピチTシャツをゆっくりウエストまで下ろしました。
 とくに調節するまでも無く、大きな乳首は布地に擦れながらも自分で穴を探り当て、Tシャツ姿に戻ったときにも、2つの乳首だけは相変わらず外気に晒されていました。

「ね?いやらしい女でしょ?自分からすすんでシャツに穴空けたのよ?乳首穴」
 シーナさまはご丁寧にも、シルヴィアさまとエレナさまにも同じ内容を外国語で説明されているようです。
 チビT姿に戻った私も、今更ながらにそのいやらしさを実感していました。
 自分で考えたことながら、やっぱりこれってある意味、全裸より恥ずかしい・・・

「なにボーッとしてるの?桜子先生にお尻向けるのよ、お尻!」
 傍らに来たシーナさまが私の左の尻たぶを右手のひらでピシャリとはたきました。
 シーナさまもかなりコーフンされているみたい。
 完全にエスの目になっています。

「あうっ!はい!」
 あわてて回れ右すると、眼前に広がるお外の景色。
 数メートル先に素通しの大きなガラス。
 街路樹、標識、向かいの雑居ビルの入口。
 その向こうを自動車がゆっくり横切って行きました。
 ああん、見られる、見られちゃう!

「もうちょっとこっちにお尻突き出してよ」
 桜子さまのお声に上体を少し屈めて下腹部を引きます。
 両足は、休め、で40センチくらいに開いていますから、お尻を突き出すと間違いなく肛門まで見えちゃうことでしょう。
 両手は、誰にご命令されたのでもなく自然に、頭の後ろで組んでいました。

 お尻にシールを貼られているあいだ、私は異空間に旅立っていました。
 目の前に広がる街の日常の風景、通り過ぎる車と人々。
 私の背後でざわめくギャラリーのみなさま、時折鳴る来店を告げるチャイム。
 それらを皮膚で感じながら、頭の中には、ずっと同じ言葉が渦巻いていました。

 見て、見て、見て、見て、見て・・・
 直子のいやらしく歪んだ顔を、尖った乳首を、濡れた性器を、広げたアヌスを、膨れたクリトリスを・・・
 見て、見て、見て、見てください・・・
 どうしようもないヘンタイ女の恥ずかしい姿を・・・

 ショーウインドウの向こうでは、けっこうたくさんの人が通り過ぎて行きました。
 こちらを見る人もいれば素通りの人も。
そのすべての人たちに心の中でお願いしていました。
 見て、見て、見て、見てください・・・


コートを脱いで昼食を 32


2014年4月13日

コートを脱いで昼食を 30

「はい・・・」
 お答えしてから私は、両腿をぴったりと合わせたままゆっくりと立ち上がり始めました。
 腰を上げた拍子に内腿同士が擦れ、その部分がヌルッとしているのが自分で分かりました。
 視界が上がっていくにつれ、私のアソコがみなさまに見えやすい位置まで上がってしまうことを、すごく意識してしまいます。
 意識すると、アソコの奥がチリチリ疼いてきます。
 ぬるんだ内股を、無性に激しくスリスリ擦りつけたくてたまりません。
 なんとかがまんしつつ完全に立ち上がると、自分でたくし上げているTシャツから下の裸部分、おっぱいから足首までがすべて無防備に、みなさまの視線に晒されました。

「まずは前からね。どのへんに貼ろうかしら?」
 シーナさまが桜子さまに尋ねると同時に、
「ワオ!インクレディボーボールドプッシーー!ソークール!ジャスタウェイト!アワナテイカピクチャーウイズハー!」
 突然エレナさんの興奮されたご様子なお声が響きました。

 エレナさんは跳ねるように試着室のほうへ駆け出し、すぐ戻ってきました。
 手にした携帯電話を嬉しそうにシーナさまに渡し、私の横に寄り添ってきます。
 私の右脇にピッタリと身を寄せ、
「オモイデ、オモイデ!ネッ?」
 と笑いながら私の顔を覗き込んできました。
 左脇にシルヴィアさんもやって来ました。
 両脇に彼女たちの体温を感じて私はもうドッキドキ。
「ひゃん!」
 左隣のシルヴィアさんが右手をこっそり下に伸ばし、私の裸のお尻をそっと撫ぜたようでした。
 やれやれ、という感じで、座ったままの桜子さまが小さく笑いました。

「オーケー、ユーレディ?セイ、チーーーーッズ!」
 あれよあれよと言う間に、シーナさまが何度もシャッターを押しています。
 美形の外国人さんに挟まれたおっぱい丸出しな私の写真が、何枚もあの携帯電話の中に記録されちゃっているのです。
 いやん、恥ずかしい。
 きっと、こっちでもご自分のお国に戻っても、何人もの人に私のおっぱい写真を見せちゃうのだろうな・・・
 あっ!そう言えばさっきエレナさん、プッシーがどうとかおっしゃっていたから、シーナさまのことだもの、きっと下まで入るように写しちゃっているはず・・・
 両脚ぴったり閉じているから、携帯電話のカメラの解像度なら、ただの無毛な土手にしか見えないだろうけれど。
 おかっぱウィッグで普段とはずいぶん雰囲気の違う顔なことだけが、せめてもの慰めです。

「ほら直子、もっと愉しそうな顔をなさい!」
 シーナさまがからかい口調で私に投げつけてから、つづけてエレナさんたちに何か外国語でおっしゃいました。
 それを聞いたシルヴィアさんが、すっごく嬉しそうに大笑いした後、オッケー、と大きなお声でお答えしました。
 私のお尻をずっとやんわり掴んでいたシルヴィアさんの右手が離れました。

「ラストワン!レディ?トレイ、ドイ、ウヌ!」
 シーナさまのドイというお声のあたりで、シルヴィアさんたちがからだを動かす気配がありました。
 横目で見ていると、シルヴィアさんはドレスのVラインを左右に押し広げ、エレナさんはハート型からつづくジッパーを一気に下へおろしました。
 えっ!?まさか・・・
「ナイスブーブス!ステイ!ワンモア!」
 何度かシャッターを押したシーナさまが構えていた携帯電話をたたんだのを見て、私は左右の彼女たちに素早く視線を走らせました。

 ぽってりとしてボリューミーなシルヴィアさんの巨乳。
 ツンと上向き乳首にもぎたての桃の実のようなエレナさんの美乳。
 おふたりとも自ら胸元を開き、見事なおっぱいをお外にこぼれ落としていました。

「センキュー、マゾッコナオチャン!アイラァビュー!」
 おふたりが私を左右からやんわりハグしてきて、ほっぺたにチュッチュッてキスしてくれました。
 私はボーっとして硬直、されるがまま。
 おふたりの剥き出しなバストが左右から両腕に当たり、その体温と少し汗くささの混じったローズ系パフュームの良い香りに、頭はクラクラからだはムラムラ。
 だけどなぜだかからだが動かず、Tシャツたくし上げな直立不動のままでした。

 シーナさまから携帯電話を受け取った彼女たちは、はだけた胸元はそのままに、再び試着室のほうへ楽しそうに戻っていきました。
 まだ試着したいドレスがあるのでしょう。

「陽気でいいわよね、外国の子たちって」
 純さまが半分呆れたようなお顔でおっしゃいました。
「直子、よかったじゃない?お仲間と写真が撮れて。抱きつかれてムラムラしちゃったんじゃない?」
 シーナさまがからかうようにおっしゃってから、ふと試着室のほうへ視線を向けました。
 つられてそちらを見ると、シルヴィアさんが再び着替え始めているところでした。
 って、なぜわかるかと言うと、シルヴィアさんたら、試着室のカーテン開けっ放しで青いドレスを脱いでいるのです。
 試着室の中で後ろ向きになった上半身裸の真っ白な背中とまあるいお尻がこちらを向いていました。

「やれやれ。もう好きにさせておくわ。今日のここはそういうお店、っていうことで、ね?」
 純さまが自嘲気味に笑いながら、周りの人たちを見回しました。
 つられて私も視線を上げると、あれっ?
 いつのまにかギャラリーさんが増えていました。
 私と同い年くらいの比較的地味めな服装、おひとりはベージュのブレザーに膝丈のスカート、もうおひとりは水色のフリルワンピース、の学生さんらしき女性がおふたり、シーナさまたちの背後の少し離れたところから私をじーっと見ていました。

「あら、いらっしゃいませ。驚いた?これはね、スキンアートの実演なの。これからこの子の下半身にシールを貼れば完成なのよ」
 シーナさまが気さくな調子でその子たちに呼びかけました。
「こんな格好でも同性だし気にならないでしょ?よかったらゆっくり見ていってね。この子は見られたがりのヘンタイだから」
「あ、はい・・・面白そうだから見ていきます」
 興味津々というお声が返ってきました。
 ああん、シーナさまのイジワル・・・

「でもね、ここにも夕方になると男性客が来ることもあるんですよ。ほら、シルヴィアたちみたいなお店のお客さんとか・・・」
 純さまがシーナさまに相談するみたく問いかけました。
「ああ。ドーハンってやつね。嬢がお客さんにねだって何か買ってもらおう、って」
「そうそう。だからあんまりこういう無法痴態もつづけていられないんですよね、残念ながら」
「それならさっさとすませちゃいましょう。桜子さん、お願いするわ。蝶々のシールだったわね」
「はい。シーナさんからは、何かご希望あります?」
 シルヴィアさんたちとの記念撮影をニヤニヤ顔でご覧になっていた桜子さまが、やっと出番がきた、というお顔でシーナさまに尋ねました。

「うーん・・・時間に余裕があれば、面白いアイデアがあるのだけれどねー」
 シーナさまが、周りのみなさまにご説明するかのようなワザとらしい、お芝居がかった口調でおっしゃいました。
「ほら、この子って見た通り、けっこう上付きじゃない?こうしてまっすぐ立っていてもワレメちゃんのスジが正面からクッキリ見えるほど」
 私の下半身を指さしながら周りを見渡しつつ、つづけました。
 シーナさまのご指摘で、周りのかたたちの視線が一斉に私の剥き出しな無毛の股間に注がれるのがわかりました。
 うぅっ・・・
 ピッタリと閉じた襞を抉じ開けるように肥大化している肉の芽が、奥でズキズキと疼きます。

「だから、そのスジを蝶々の胴に見立てて、左右の内腿に開いた羽をそれぞれ貼れば、直子が脚を動かすたびにパタパタ羽ばたいているように見えるかな、って」
 シーナさまのお言葉に、試着のお客様と新しいギャラリーさんたちがクスクス笑っています。
「あ、それ、ワタシも考えました。ご依頼いただいて最初に思いついたのが、それでした」
「ねー。絶対お似合いよね?ヘンタイ直子になら」
「でも、それするにはやっぱり寝そべってもらわないと・・・」
「そうよね。今は時間がないし、今度にしましょう」
 あっさりシーナさまが却下され、みなさまの前でそうされることを想像してドキドキしていた私は、安堵ほぼ100パーセントでちょっぴりだけがっかり。

「まあ無難に、そのスジの割れ始めあたりに一匹って感じかしら?」
「そうですね。今まさにバストのお花にめがけて飛んでいく、みたいな感じでやってみましょう」
 桜子さまの手にあるのは、5センチ四方くらいの綺麗な青い羽を広げた蝶々のシールでした。
 桜子さまが椅子から立ち上がりました。

「このへんでいいですか?」
「ぁあんっ!」
 私の傍らに来た桜子さまが、右手人差し指でちょこんと、私の下腹部の割れ始めギリギリのあたりを撫ぜました。
 微妙な位置を刺激されて思わず声を洩らしてしまう私。
「そうね。そこでいいわ。桜子さんにお任せするから、ご自由にやっちゃってちょうだい」
 シーナさまはそう言い残し、新しいギャラリーさんのほうへ近づいていかれました。

「ねえナオ?そんなにぴったり脚を閉じていたらちょっとやりにくいのよね。皮膚も撓んじゃうし」
 私の前に立った桜子さまが冷たい感じでおっしゃいました。
「少し自然な感じに脚を開いてくれない?気をつけ休めの休め的な感じで」
「脚を・・・開くのですか?・・・」
 ついにそのときが来ちゃった、という絶望的な気持ちで、桜子さまを上目遣いにすがる思いでお尋ねしました。
「そうよ。早くしてっ!」
 あくまでも冷酷な桜子さま。

 今、脚を開いちゃったら、タンポンの防波堤がとっくに決壊している私の股間から、ヘンタイ淫乱マゾの証明となる液体がトロトロ溢れ出してしまうことは、わかりきっています。
 それどころか、おそらく小指の先くらいにまでピンク色に膨れ上がっているはずな私の欲望の塊も、みなさまの眼前に曝け出されてしまうことになるでしょう。
 それを見れば、どんなにウブな人だって、その女が性的に興奮状態にあることは一目瞭然。
 そして、こんな街中の明るいお店の一角で、見知らぬ人たちを含む数人に囲まれた中でそんな状態になる女は、紛れも無くアブノーマルな露出狂以外の何者でもない、ということも。

 今日シーナさまに出会ってから今までのことで蓄積されてきたすべてのムラムラが一気に昇華しようとしていました。
 もうどうなってもかまわない。
 私の恥ずかしく浅ましい姿を、ここにいるすべての人たちに嘲笑って欲しい、軽蔑して欲しい、辱めて欲しい。
 そして私を恥辱のどん底に叩き落して欲しい。
 私の理性の最後の箍が弾けたようです。
 死にそうなくらい恥ずかしい気持ちなのに胸がどんどん高鳴って、心地良い陶酔感がからだ中に押し寄せました。

「・・・わかりました」
 桜子さまをまっすぐに見つめて、私は右足をジリジリと外側にずらし始めました。
 くっついていた内腿が離れ、まず白くて短い紐がぷらんと、私の両脚付け根から垂れ下がりました。
 おおお、と、どよめくみなさま。
 両脚を閉じているあいだは見えなかったから無理もありません。
「あれはタンポンよ。と言っても生理ではないのだけれどね」
 いつのまにか新しいギャラリーおふたりを前へとお連れしていたシーナさまが、桜子さまのすぐ後ろでおふたりに笑顔でご説明されています。

 そうしているあいだにも、私はジリジリと両脚を開いていきました。
 ワレメの襞が割れるのを感じると同時に、右内腿を粘質な液体がトロトロっと滑り落ちていきました。
 腿をつたい、ふくらはぎをつたって踵へ。
 両足の間隔が開くにつれ、左腿にもおツユがつたう感触。
「あらあら、やっぱり垂れ流し状態ね」
 シーナさまのイジワルなお声。
 恥ずかしさでバクハツしそう。
 それでも私はすでに観念していましたから、口を真一文字につぐんでシーナさまたちを見つめていました。
 心の中で、もっと視てください、もっと蔑んでください、とお願いしながら。

「純ちゃん、どうしよう?床にもタオル敷こうか?」
「ううん。もういいですよ。後でモップで拭けばいいだけから。こうなったら、どれくらい溢れちゃうのか、とことん見せてもらいますよ」
 純さまが苦笑いを浮かべ、私の顔とアソコを交互に見ています。
「それだったら靴が邪魔ね。靴がおツユを吸っちゃうもの。直子、そこで靴脱いで裸足になりなさい」
 シーナさまのきっぱりとしたご命令。
「みんなが驚くくらい、床に水溜りが出来るはずよ」
 嬉しそうにみなさまを振り返るシーナさま。

 お言いつけ通り、その場で軽く膝を曲げ、履いていた靴を脱ぎました。
 バレエシューズ風のフラットなパンプスだったので、脱ぐこと自体は簡単だったのですが、膝を曲げたおかけで股間が大きく割れてしまい、溜まっていたおツユが待ちかねたようにダラダラと両脚を滑り落ちていきました。

「ほら、もうあんなに水溜り」
 シーナさまが嬉しそうに私の足元を指差します。
「うわー。あの人、かなり本気なんですね。愛液、けっこう濁っていません?」
 新しいギャラリーのおひとりが口にされたお言葉に、からだがカァーッと熱くなりました。
「いいところに目をつけたわね。あんな格好してみんなに視られて、もう何時間もひっきりなしにビンビン感じちゃってるから、きっとアソコの中もずっとウネウネ蠢きっ放しなのよ」
 シーナさまが嬉しそうに引き継いで、つづけました。
「たぶん膣が無駄にキュッキュ締まって、膨らみきったタンポンをグイグイ絞っていることでしょうよ」
 蔑みきったシーナさまの口ぶりに、私のアソコが懲りもせずキュンキュン感じてしまいます。

 ひとしきり笑われたあと、不意にみなさまが静かになりました。
 シーナさまだけは、相変わらずニヤニヤ笑っています。

 私は、両足のあいだを40センチくらい開いて、いわゆる、休め、の姿勢で立っていました。
 このくらい脚を開くとラビアが少し割れ、そのちょっと奥で包皮を完全にめくり上げるほど肥大したピンクの肉の芽が、外界に姿を覗かせているはずです。
 事実、シーナさま以外のみなさまの目はすべて、その部分を凝視されていました。

「おっきい・・・」
 試着のお客様の独り言みたいなつぶやき。
「直子のオマンコって、閉じているときは柏餅みたいにプックリしてとても可愛いのに、ちょっと開くと中身は例えようもないくらい卑猥なのよねえ」
 シーナさまのお下品なご説明がお言葉責めの矢となり私の敏感な芽をつらぬいて、いやらしいよだれが足元にヒタヒタと溜まっていきました。


コートを脱いで昼食を 31