ドアの向こう側からミイコさまにリードを引かれジャクリーンさまと私も、そのお部屋に素足を踏み入れました。
長方形の狭めな空間は、広いお部屋の端っこを無理やり壁で仕切った、みたいな感じ。
床はタイル貼りで、長方形スペースの短いほうの辺の突き当りに細長いロッカーと棚がいくつか設えてあるだけ。
私たちが入ってきたドアの2メートルくらい先にもう一枚扉があり、雰囲気としては、手狭な更衣室、という趣でした。
つづいて里美さまとしほりさまがお入りになると、お部屋内はもはやちょっと息苦しい感じです。
「狭いからジャクリーンとナオちゃんは、そっちのドアの前で待機していて」
もっと奥のお部屋へつづくのであろう扉を指さされるミイコさま。
そのあいだにもロッカーから脱衣カゴみたいなものやお風呂桶みたいなものを次々にテキパキとお出しになっています。
「里美さんとしほりさんは、とりあえずふたりをシンプルな裸にしちゃって。首輪と手足のベルトだけ残して、あとは全部外すの。リードも手錠もいったん外しちゃっていいわ」
「了解でーす」
ミイコさまのリクエストに里美さまが弾んだお声でお応えになりました。
「じゃあしほりんは直子をお願いね。わたしはこちらのマダムを担当するわ」
里美さまがジャクリーンさまの背後に立たれ、しほりさまは私の目の前へ。
「あ、いえ、あの、お嬢様、えーと里美さまでしたね?恐れ入ります、どうか奴隷のことをマダムなどと、分不相応な呼称でお呼びにならないでくださいませ。ドミナに叱られてしまいます」
ジャクリーンさまが媚びるように、里美さまに懇願されています。
「奴隷のことはご自由に、牝ブタとでも、淫乱エロババアでも公衆肉便器でも、お好きなように、どうか蔑んでくださいませ」
後ろ手錠を外されると同時に、自然に両手が頭の後ろへと上がるのは、シーナさまのジャクリーンさまへの、厳しい躾の賜物なのでしょう。
「わかったわ、牝ブタおばさん。本当によく躾けられていること」
私と同じご感想をお持ちになったらしい里美さまが、すごく嬉しそうにニヤリと、嗜虐感たっぷりの笑顔になりました。
里美さまは、手際よくジャクリーンさまのリードと後ろ手錠を外してあげた他には何もされず、そのままマゾの服従ポーズで立ち尽くすジャクリーンさまの肢体を上から下まで、ニヤニヤしげしげと見つめられています。
しほりさまは、私のボディハーネスのベルトを丁寧に外してくださっています。
あらかたのベルトが緩められ、あとはもうからだから取り去るだけとなったときやっと、後ろ手錠とリードが外されました。
もちろんジャクリーンさまを見習って、すかさず私もマゾの服従ポーズになりました。
「それと、エプロン使うなら、このロッカーに入っているから、ご自由にどうぞ。これからたくさん水使うことになるから、あなたたちのお洋服も濡れちゃうかもしれないわよ」
ロッカー傍のミイコさまからお声がかかりました。
お声につられてそちらを視た途端にギョッ!
同じくそちらに視線を走らせた里美さまとしほりさまも瞬間、肩をヒクっと震わせていらっしゃいました。
ミイコさまは、いつの間にかメイド衣装をすべてお脱ぎになり、私やジャクリーンさまと同じように裸になっていらっしゃいました。
いいえ、正確にはまるっきりの全裸ではなく、お出迎えくださったときに私が気づいた通り、ミイコさまの裸体には麻縄が這っていました。
後ろ向きの背骨のラインやウェストを、生成りの麻縄が素肌に吸い付くみたいにピッタリと、ミイコさまの色白な素肌を飾っていました。
「これからスレイブたちにはシャワーを浴びせるからね。そのドアの向こうは浴室スペースになっているの。ジャッキーは知っているでしょうけれど」
ジャッキーと呼ばれたのはジャクリーンさまのことでしょう。
私たちの戸惑いなど意に介さないご様子で、朗らかにおっしゃったミイコさま。
形の良いお尻をこちらに突き出してロッカー内をゴソゴソされながらつづけます。
「ボンデージっぽいので良ければ着替えの衣装もあるけれど、なんだったらあなたたちも、いっそ裸になっちゃう?」
「あ、でもあなたたち、うちの店、初めてだもんね。ショーが進んだらお客さんたちも大半が下着姿かトップレス、ボトムレスになっていたりするのだけれど、初めての人が初っ端から裸は恥ずかしいか」
「このエプロン、撥水性いいから着けているだけでだいぶ違うよ。服濡らしたままエアコンあたると風邪ひくかもでしょ?」
そこまでおっしゃって、ミイコさまがこちらをお向きになられました。
生成りの麻縄による端正な亀甲柄で飾られた、ミイコさまのお美しい裸身。
首元からおっぱい、ウエスト、下半身まで、規則正しい六角形の縄模様が素肌を這っています。
もちろん、おっぱいも女性器も丸出しで。
お久しぶりに拝見したミイコさまのヌードは、相変わらずのお美しさ。
小ぶりながらもツンと天を衝く美乳の桃色乳首が、ミイコさまもまた興奮されていることを示しています。
股の裂け目に食い込むコブ付きの縄目のすぐ上に、綺麗に刈り揃えたポストイットみたいな長方形の陰毛が申し訳程度に残っています。
ミイコさまに作っていただいた自縛ビデオで何度も拝見した、恥丘の向かって右斜上にポツンとある小さなホクロを含めて、懐かしくもお美しいまま変わらない裸体が、目前数メートル先にありました。
更にミイコさまは、ご自分の裸身に艶めかしいアレンジを施していらっしゃいました。
俗に言うバニーガールさんがよく着けていらっしゃる、蝶ネクタイ付きの付け襟と手首のカフス状の付け袖。
フォーマルなYシャツの襟と袖口の部分だけの装飾アイテム。
それらをご自分の裸身に付け加えていらっしゃいました。
つまり、バニーガールさんからウサ耳とボディスーツ、網タイツを剥ぎ取り、その代わり裸体に麻縄の亀甲縛りを施したお姿。
縄で絞られた窮屈そうなおっぱい、股のワレメに食い込む麻縄、そんな被虐性とは正反対のフォーマルな雰囲気を醸し出す白いカラーの付け襟タイとカフス。
そのアンバランスなコーディネートが、絵画にして美術館にでも飾りたくなるような、妙に品のあるアートっぽさと強烈なエロティシズムを同時に放っていました。
真っ白な襟に黒くて可愛らしい蝶ネクタイと真っ白な袖口を亀甲縛りヌードに付けただけで、ミイコさまのヌードはとてもエレガントに見えました。
ワンちゃんの首輪と拘束用ベルトを手足首に巻かれた私とジャクリーンさまが並んだら、たとえ中身は同じマゾ女だとしてもミイコさまのほうが格段にチャーミングに見えることでしょう。
「何わたしのこと、そんなにジロジロ視ているの?」
両手にいろいろお荷物を持ったミイコさまが、照れ隠しみたいに少し怒っているような口調でおっしゃりながら近づいてこられます。
「わたしだって基本エム女だからね。裸を視られるのは好きなのよ。お店で裸になるのには慣れているし、わたしのからだ目当てのお客様だって少しはいるからね、サービスしなくちゃ」
言い訳っぽくおっしゃりながら目前までいらしたミイコさまを、ジャクリーンさまが羨ましそうに見つめています。
「あ、そういうことならわたし、エプロンお借りします!」
「あ、わたしも」
ミイコさまが床にお荷物を置いたガタッという音で、ハッと夢から醒められたように我に返った里美さまとしほりさまが、相次いでおっしゃいました。
「うん。じゃあこれ使って。あとスレイブたちの私物はこのカゴの中にね。あなたたちに渡したバッグとこの中が責め具類。このボトルが消毒液だから、体内に挿入する類の責め具は仕様前使用後によく消毒してね」
ミイコさまのご注意に、はい、とお返事しつつも、魅入られたようにミイコさまのヌードに釘付けな里美さまとしほりさま。
「ミイコさんて本当、お綺麗なからだなんですね?プロポーションもバツグンだし、お顔もウィッグ映えしそうだし、着せ替え人形遊びとか、したくなっちゃう」
しほりさまが珍しく、ご興奮気味なご様子でミイコさまを褒めちぎられます。
「あら、嬉しいこと言ってくれるのね。最近、やよいママともマンネリ気味だから、今度内緒でお手合わせ願っちゃおうかな」
小悪魔的な笑顔で不穏なことをおっしゃるミイコさま。
「確かにミイコさんも魅力的だけれど、わたしはこっちの牝ブタおばさんの、ビミョーにラインが崩れたようなからだのほうが萌えちゃうな。お腹の脂肪の具合とかいやらしくて、縛り甲斐ありそうじゃない?」
里美さまがジャクリーンさまの下腹部をしげしげと見つめつつ、すごくいやらしい感じでおっしゃいました。
同じく裸なのに、どちらからも話題にされない私の裸って・・・
そんな軽口を叩かれつつ、里美さまとしほりさまがそれぞれ、手渡された真っ白なエプロンを身に着けています。
しほりさまは今日も真っ黒なゆったり目のTシャツにブラックスリムジーンズ。
里美さまはカチッとしたYシャツ風ブラウスに濃茶の膝上タイトスカートというOLさん風いでたち。
その上に真っ白で清楚な膝下丈ロングエプロンを纏われたおふたり。
派手すぎないフリルがヴィクトリア朝ぽくて、この場がなんだか一段と格調高くなった感じ。
5名いる女性のうち3名が裸ですけれど。
「ストッキング類はここで脱いで、裸足になっておいたほうがいいよ。床は間違いなく水浸しになるから」
ミイコさまのアドバイスに、あわててエプロンごとスカートをたくし上げる里美さま。
「あれ?ジャッキーのブタの尻尾、まだ抜いていないの?ニップルクリップも」
服従姿のジャクリーンさまを怪訝そうにご覧になりつつおっしゃったミイコさま。
そのお言葉にご反応されたのも里美さまでした。
「あ、いっけない。ミイコさんの可憐なヌードに見惚れていて忘れちゃっていたわ」
バツの悪そうな笑みを浮かべた里美さまが、お脱ぎになったパンストを器用に丸めつつ私を見ました。
「わたし、その役は直子にやらせようと思っていたんだ。手錠とリードだけ外して、しほりさんの直子の世話が終わるのを待っているうちに忘れちゃってた」
テヘペロな笑顔で朗らかにおっしゃる里美さま。
すでに私は、しほりさまからボディハーネスをすべて外していただき、ミイコさまおっしゃるところの、シンプルな裸、になっていました。
すなわち首輪と、手枷、足枷用に巻かれた手足首用リング付きベルト以外、何も身に着けていない姿で、すべて剥き出しなマゾの服従ポーズ。
「それじゃああらためて命令するわ。直子、そちらのマゾおばさんの乳首クリップとアナルの栓、直子の手で外してやりなさい」
里美さまから、わざとらしく重々しいお芝居口調でのご命令。
「は、はい・・・」
ご命令を聞くや否や、私のほうに向き直り、その豊満なおっぱいを突き出してくるジャクリーンさま。
私は服従ポーズを解き、おずおずとジャクリーンさまのおっぱいへと両手を伸ばします。
「お願いします、直子さま・・・」
私の手がおっぱいに触れる前から、眉間にシワを寄せてギュッと目をつぶり、悩ましいお顔をお見せになられるジャクリーンさま。
そう言えばジャクリーンさまは、いったいいつ頃から、かけはりに乳首を噛まれつづけていたのでしょう?
ジャクリーンさまがテーブルの下にうずくまられていたときからチェーンはぶら下がっていたようです。
その後、銀盆をぶら下げられ空いたグラスの重さ責めに苛まれて、今まで。
長時間噛まれているほど、外すときにより大きな激痛が走ることは、私も自分のからだで知っていました。
恐る恐る、まず右手をジャクリーンさまの左おっぱいへと伸ばします。
かけはりの金具にそっと手をかけ、スプリングの効いた持ち手をやんわりと絞りました。
意外にバネは軽いんだ・・・
柔らかいものに食い込んでいた先端がそのものから離れるムニッとした微かな感触が、かけはりのスチールを伝わって私の右手に感じられました。
「あうぅぅっ・・・」
その感触と同時にジャクリーンさまの唇から悲痛な呻き声が零れ出ます。
端正なお顔が大きく歪み、左肩がビクンと上がり、おっぱいがブルンと暴れました。
かけはり自体は予想外に軽かったのですが、繋がったチェーンは見た目よりもかなり重量がありました。
多分このチェーンだけでも、乳首に中身の詰まった缶ビールを一本ぶら下げているくらいの重力がかかっていたはずです。
ジャクリーンさまは相変わらず目をつぶったまま唇を噛みしめ、次の右乳首への激痛に備えていらっしゃるご様子。
そのご様子を見て思わず、私の手の中で落下を免れているこの重い鎖を、パッと手を放して落下させたら面白そう、というサディスティックな衝動が湧き上がります。
ふと見るとジャクリーンさまの大きめな左乳首は、噛まれていた場所が同じように未だ凹んだまま。
その生々しい責め痕に、私までどうしようもなくゾクゾクしてきて、とてもそんな可哀想なことは出来なくなり、衝動を頭から振り払いました。
外したかけはりを左手に移し、ジャクリーンさまの左乳首のかけはりに右手を伸ばします。
「んぐむぅぅぅ・・・」
右のときよりももっと痛々しい、喉奥からほとばしるような呻き声。
凹んだ責め痕も右より深いみたい。
「あうぅっ・・・な、直子さま、いやらしい奴隷を苦痛から解放してくださり、ありがとうございますぅ・・・」
眉間にシワを寄せたまま、縋るような涙目で御礼をおっしゃってくるジャクリーンさま。
きっとまだ両乳首は疼痛でズキズキ疼いているはずです。
今度は、ジャクリーンさまのふくよかなおっぱいを、いたわるようにやさしく愛撫してさしあげたくて仕方ありません。
「おーけー直子。その乳首クリップはこちらにちょうだい」
里美さまがイジワルさ満点のお顔で右手を伸ばしてきました。
「あ、はい・・・」
お渡してしまうと、今度は直子に付けてあげる、とおっしゃられそうで躊躇っていたら、横からミイコさまの右手がひったくるようにかけはりチェーンを攫っていきました。
「大丈夫よ。直子のかけはり初体験をエミリーに抜け駆けしてわたしたちがこっそり奪ったりしないから。直子がこれを体験するのはお客様の前でって、さっきみんなで決めたじゃない」
里美さまを諌めるようにミイコさまが、かけはりチェーンをバッグにしまわれました。
イタズラがみつかっちゃった子供さんみたく、テヘペロでごまかされる里美さま。
「残りはブタのシッポね。ほら、直子?さっさと抜いちゃって」
ミイコさまが私と里美さまに向けておっしゃいました。
「そうですね。ほらマゾおばさん?直子にケツを突き出しなさい」
里美さまもお気を取り直し、イジワル声でご命令。
「はい、ミストレス・・・」
ジャクリーンさまが回れ右をされ、上半身を前傾してお尻を私に突き出してきました。
間近で視るジャクリーンさまのお尻は、まさしく、卑猥、の一言でした。
お尻の割れスジを横切る、細いブーメラン型に日焼けしていない白い尻肉。
ちょうどその中心にある穴に挿し込まれた、ピンク色の渦巻きアナルプラグ。
休め、の姿勢くらいに開かれた両脚のあいだからは、女性器まであられもなく見えていました。
少し開いたピンク色の肉襞はヌラヌラと濡れそぼリ、溢れ出た婬汁が内腿から足先へと何本もスジを描いています。
さっきの両乳首の激痛にマゾ性が反応した結果でしょう。
何よりも淫猥に思えたのはジャクリーンさまの年季の入った女性器の形でした。
私よりもずっと長い期間、弄られ、なぶられ、辱められてきたであろう女性器は、すっかりラビアが弛緩して、大げさにお外へはみ出していました。
おそらくピッタリ両脚を閉じてまっすぐに立っていても目視出来るはず。
熟し切った柘榴のような赤黒い肉襞が、いやらしく割れスジから垂れ下がっていました。
裂け目の突端で、はちきれんばかりに腫れ上がっている肉芽も柘榴色。
私よりもひとまわり以上大きくて、フードは切除しちゃったらしく根本まで剥き出し。
そんなある意味グロテスクな見た目なのに、ラビアの隙間から覗けるヌメヌメな中身は艶かしくも鮮明なピンク色で、そのギャップが導き出す印象はまさしく、淫乱オマンコという言葉しか思い当たりません。
突き出されたブタさんのシッポを指先で摘み、ギュッと力を込めます。
「んぬぅっ・・・」
ジャクリーンさまの切なそうな溜息。
指先にもっと力を込め、腕全体で引っ張ると、かなりの抵抗を感じます。
「むぅぅ、んむぅぅっ・・・」
ジャクリーンさまの喘ぐお声もどんどん高まります。
なお一層の力を込めて引っ張ると、目の前でジャクリーンさまの肛門がブワッと拡がりました。
菊の花弁のようだった紋様がまあるくお口を空けます。
そこからお顔を覗かせたのは、直径3センチ以上はありそうなピンク色の球体。
なおも引っ張ると、ますますアンアン呻かれるジャクリーンさま。
結局、その奥にもうひとつ、手前のよりももうひと回り大きい球体が数珠繋ぎになったアナルストッパーをジャクリーンさまはお尻に埋め込まれていたのでした。
「直子?今そのおばさんの肛門から引っ張り出したシッポの、ボール状になっているところ、鼻を近づけてみなさい」
里美さまがイジワルさ全開のニヤニヤ笑いでご命令をくださいます。
そんなの、お鼻を近づけなくたってわかりきっているのに・・・
「あぅぅ、いやんっ!恥ずかしいですぅ、それだけはご勘弁をぉぉ・・・」
ジャクリーンさまが、可愛らしく羞じらわれます。
「何マゾおばさんがブリっ子しているのよ?ほら、直子?早くっ!」
吐き捨てるような里美さまの冷たいお声。
「は、はいっ・・・」
シッポ部分を指先で摘んだまま、ピンク色の球体部分に恐る恐る鼻を近づけていきます。
見た目こそ黄ばんではいないけれど、表面を覆うヌラヌラが発散してくる、プーンという擬音まで聞こえてきそうなアレな臭い。
私が自分のを嗅ぐと、その途端に理性のタガが吹き飛んでしまう禁断の香り。
自分のとは違うけれど、明らかに排泄物を連想させる、獣じみた背徳の臭い。
「直子?嗅いだ?どんな匂い?」
嬉しそうに尋ねてくる里美さま。
「あ、はい・・・とても、く、クサイです・・・」
自分の鼻先にアナルプラグをぶら下げたまま、その野生の香りにむせ返りつつお答えする私。
「だから、どんな臭いかって聞いているのっ?」
容赦の無い里美さまのご追求。
「あ、はい・・・で、ですから、う、うんちの臭いが、し、しています・・・」
なぜだかいたたまれないほどの恥ずかしさに包まれ、耳たぶまで熱くなって、やっとお返事出来ました。
ヒャハハハハーという弾けたような笑い声の後、里美さまがまだ追い打ちを駆けてきました。
「聞いた?おばさん?おばさんのケツの穴に突っ込まれていたシッポ、直子がとってもクサイってさ。同じマゾドレイにディスられちゃったわよ?」
再び、ヒャハハと、いささか品の無い爆笑。
「あぁうぅぅ、奴隷は、奴隷は恥ずかしい限りでございますぅぅっ・・・」
ジャクリーンさまが切なげなお声で、なのにとても嬉しそうに身悶えされています。
お声とは裏腹に、柘榴色のだらしないオマンコからは白濁液がダラダラ。
私が見ても、このヘンタイもっと虐めてやりたい、と思ってしまうほどのドMっぷり。
やっぱりキャリアの差なのでしょう、マゾペットとしての立ち居振る舞いは、ジャクリーンさまのほうが一枚も二枚も上手です。
「そのシッポは直子が洗いなさい。この後自分に突っ込まれるかもしれないのだから、そのつもりで丁寧に洗っておくことね」
すっかりドS全開となられた里美さまの冷たいお声。
「あ、ミストレス、それはいけません。奴隷が汚したものは奴隷の責任で洗浄いたします。直子さまにそんな不浄なことをお願い出来ません」
私を弁護をしてくださるおやさしいジャクリーンさま。
「奴隷は奴隷らしく口答えは慎みなさい。これは直子への躾なの。同じマゾドレイなのに相方のアナルをクサイなんて言い放つのは失礼じゃない。かぐわしくい香りがします、かなんか答えれば許してあげたのに」
ニヤニヤ笑いで撥ねつける里美さま。
「へー、里美さんて見かけによらず、ずいぶんSっ気が強いのね。頼もしいわ。その調子でどんどんアイデアを出してくれると、今夜のショーも一層盛り上がると思うから、よろしくね。あ、もちろんしほりさんも負けずに、はっちゃけちゃっていいから」
ミイコさまがその場をまとめるようにおっしゃいました。
「はい。わたし、ネコもタチもいけるリバですから。それにお芝居が好きなので、なりきるの得意なんです。だから今夜は冷酷なサディストになりきるつもりで来ているんです」
先日の女子大生さまがたへの自縛レクチャーのときよりもノリノリな感じの里美さま。
私も、里美さまって、こんなにお茶目な一面もお持ちなんだ、ってびっくりしていました。
お酒のせいもあるのでしょうが、普段のお仕事のときの生真面目で頼れる知的な里美さまとは別人のよう。
その視線がずっと追っているのは私よりもジャクリーンさまな気がして、里美さまが本気で虐めたいのはジャクリーンさまのほうなのかな、とふと思いました。
「では、奥の部屋に移動します」
ミイコさまが扉を全開にされました。
明るいシャンデリアに煌々と照らし出された大理石ぽいタイル張りなお部屋。
奥に欧米映画で見かけるような真っ白な陶器で猫足の浴槽が見えました。
壁も荘厳な大理石風で、金色の枠で縁取られ、シャワー類らしき銀色の金具類もみんなお洒落なフォルム。
確かにそこは、とてもゴージャスで広々としたバスルームのようでした。
*
*三人のミストレス 22へ
*
直子のブログへお越しいただきまして、ありがとうございます。ここには、私が今までに体験してきた性的なあれこれを、私が私自身の思い出のために、つたない文章で書きとめておいたノートから載せていくつもりです。
2018年3月4日
2018年2月25日
三人のミストレス 20
「そう言えば直子はまだ、ジャクリーンのしているあの乳首クリップは、されたことがなかったんだっけ?」
お姉さまが私の尖り乳首をじっと見つめながら尋ねてきました。
気がつくとお姉さまの背後に、里美さまとしほりさまも仲良く肩を並べてお立ちになり、私をニヤニヤ見下ろしていました。
「あ、はい・・・外国のSMの動画や画像ではよく見かけて、見るからに痛そうだなー、とは思っていました。日本でも売っているのですか?」
普通の単純なクリップとは違い、冷たそうで重そうな銀色メカニカルでいかめしい外見が、いかにも西洋の拷問具という感じがしていました。
「あはは。やっぱり直子は可愛いね。そういうボケ方、あたし好きよ」
やよいママさまがご愉快そうに笑いました。
「直子はあんまりお裁縫とかしなさそうだものね。あれは元を正せば、和裁をする人ならおなじみのお裁縫道具だよ」
お姉さまも嬉しそうに笑っています。
「あのクリップはですね、かけはり、っていう、昔からある純和風なお裁縫道具なんです。和服の反物を縫ったり染色するときに布地をピンと張っておくために使うんです」
小野寺さまが解説してくださいます。
「布をピンと張ってキープするために、突起の金具が引っ張られるとより強く噛むように出来ていて、挟む部分にはギザギザの滑り止めゴムも付いています。普通のクリップみたいにバネの挟む力任せではなく、一度挟んだら外れないように工夫されているのですね」
「だから今のジャクリーンさんは、かなりの激痛に苛まれていると思いますよ。お盆の重さが増すたびに金具が引っ張られて、ニップルをより強く挟んで引っ張ってくるのですから」
「当然、昔のSMマニアな人たちも古くから責め具として活用していて、それに目を付けた欧米のボンデージグッズ業者が、かけはりを仕入れて鉄のチェーンを付けて拷問具ぽくアレンジしたSMグッズとして、ジャパニーズニップルクランプスなんて呼び名で普及しているようです」
小野寺さまったら、澄ましたお顔してえっちな雑学にもずいぶんお詳しいんだ。
「あたしも実家帰れば、いくつか年季の入ったやつがお裁縫箱にあるはずだわ。高校の頃、浴衣づくりに凝ったことあるから」
お姉さまが私をニヤリと一瞥しておっしゃいました。
シーナさまが、まるで他人事、みたいなシレッとしたお顔でつづけます。
「確かにあれ、かなり痛いみたいよ。いくら強く引っ張っても絶対外れないから。て言うより引っ張るほど強く挟まれるわけじゃない。うちの牝ブタも最初のうちは、あれを見せられると一瞬、絶望的な顔をしていたもの。今は、悦んで付けているけれどね」
「へー、いいなー、あたしも早く直子の絶望的な顔、見てみなくっちゃ」
からかうような笑顔で私の顔を覗き込んでくるお姉さま。
「あ、あのえっと、し、シーナさまのことをジャクリーンさまは、ドミナ、ってお呼びされていましたけれど、ドミナって、何なのですか?シーナさまのミドルネームか何か、とか?」
かけはり、というものがかなり痛そうなのでゾクゾクしてしまい、直子に付けてみよう、なんてならないうちに急いで話題を変えようと、ずっと気になっていたことを焦ってお尋ねしてみました。
「直子は、ミドルネーム、が好きねえ。何か思い入れでもあるの?」
やよいママさまが半笑いで、呆れたようにおっしゃいます。
「あ、いえ、別に・・・」
なんだか急に恥ずかしくなって、うつむく私。
「ドミナという言葉はですね、ミストレスと同じような意味のSM用語だと思えばいいですよ。ご主人様、女王様、みたいな意味の」
おやさしくて博識な小野寺さまが、理知的に解説してくださいます。
「英語で、支配、を意味するdominationという単語からきた、という説と、これも英語のdominatrix、女性支配者とか女主人という意味の単語からきたという説があるみたいですね。いずれにしましても、女性支配者を、ドミナ、と隷属する側が尊称するのは、昭和中期頃からの日本のSM小説では定番の表現のようです」
「わたくしとしましては、ドミナ、と称した場合、支配者の中でも女性に限定するところから、dominatrixが語源、という説を推したいところですね。ちなみにdomination、支配、の対義語は、submission、服従です」
小野寺さまは、横文字部分の単語を完璧にネイティヴな発音でお話しされていました。
「へー、小野寺さんて、そういう下ネタもやけにお詳しいのね。もっとカタブツさんかと思ってた。でもまあ、インテリにはムッツリが多い、って言うし」
シーナさまがニヤニヤ笑いで茶化しにかかります。
「あ、いえ、わたくしもアンジェラと長くおつきあいしていますから、知識だけは増えていきますもので・・・でも、先ほどのジャクリーンさんとのショーは、わたくしも、あのお綺麗なお尻に思い切り鞭を振るってみたい、なんて興奮してしまいました」
照れ笑いをお浮かべになり、目の前のオンザロックをグイッと飲み干された小野寺さま。
小野寺さまのように品があって理知的なかたのSっ気って、凄く怖そう・・・
「アレが勝手に呼び始めたのよ、ドミナって。わたしも語源までは知らないけれど、ミストレスと同じような意味だってことは知っていたから、好きにさせたの」
シーナさまがニンジンのスティックをポリポリ齧りつつおっしゃいます。
「ずっとご主人様とかシーナさま、って呼んでいたのが、数年前くらいにミストレスになって、いつだったか北欧から帰ってきたら、これからはドミナとお呼びさせていただきます、って宣言されたのよ。飛行機で読んだ本の中にそういう場面があって、わたしにピッタリだと思ったんだって」
「あの牝ブタ、スケベなことには貪欲だから、そういう小説とかビデオとか山ほど集めているの。わたしも、アレを牝ブタだの売女だのおばさんだの好きに呼んでいるからさ、勝手にすれば、ってほっといたの」
まんざらでも無さそうな、おやさしい目になられたシーナさま。
そこにジャクリーンさまが、空になった銀盆を乳首に吊り下げたまま、お戻りになられました。
ジャクリーンさまの柔らかそうなおっぱい、左右の下乳のお肉に、事務用の標準的な目玉クリップがひとつづつ、新たに噛み付いてぶら下がっていました。
「ほら、プラッター外してあげるから、こっち来なさい」
シーナさまがジャクリーンさまを手招きされます。
「ちゃんと言いつけ通り、手は使わずに回ってきたのでしょうね?」
目の前にひざまづかれたジャクリーンさまの、腰のベルトをぞんざいに外しつつ、シーナさまが詰問されます。
「はい、ドミナ。どんなに重くなっても手では支えずに、みなさまの空いたグラスをカウンターまで運ばせていただきました。トレイに乗り切ら無さそうになると、アキコさまが助けてくださいました」
アキコさま、というのは、ミイコさまから、アキちゃん、と呼ばれていた、もうひとりのメイド服姿の女性、おそらくお店のスタッフさんのことでしょう。
「お客様がたが面白がって、オマンコをさすったりお尻を叩いたりお酒をご馳走してくださったり、いろいろ虐めてくださいました、このクリップはエンドウさまがくださいました」
やっぱり乳首が痛いのでしょう、眉間にシワを寄せて少し辛そうに色っぽいお顔のジャクリーンさまがシーナさまを見つめ、神妙にご報告されています。
「ふーん。それじゃあ後でエンドウさんにご奉仕しなくちゃね」
シーナさまが無造作に目玉クリップを外し、より痛そうに歪むジャクリーンさまのお顔。
「こんなに乳首をビロンビロンに伸ばしちゃって、みっともなくお乳が垂れ下がっちゃって、本当にだらしないおっぱいよね」
銀盆が外れたチェーンを再び中央で繋ぐシーナさま。
ジャクリーンさまのふたつの乳首を起点に半円形を描く鎖が、胸元からお腹にかけて重そうにユラユラ揺れています。
「直子がおまえの乳首クリップに、ずいぶん興味津々みたいなのよ。もっと近くで見せてやりなさい」
シーナさまに促され、ジャクリーンさまが膝歩きで、私の目の前へと進み出られました。
間近で拝見するジャクリーンさまの豊満な生おっぱいは、地肌の青白さを際立たせる小麦色の日焼けとのコントラストとも相俟って妖艶の一言。
そのたわわに熟しきったふたつの果実のそれぞれの頂点に、禍々しい形の金属の嘴が大きめな乳首の根本を食いちぎらんばかりに、しっかりと噛み付いています。
その先の重そうな鎖に乳房全体が引っ張られ、房の付け根付近には数本のシワが走るほど。
思わず生ツバをゴクリと呑み込んでしまうほどの淫靡さ、いやらしさ、痛々しさ。
「どう?なんだったら今こいつから外して、直子のを挟んであげよっか?」
シーナさまがからかうみたいに聞いてきます。
「あ、いえっ!・・・」
首を左右にフルフル振りながら、とっさに自分のおっぱいを庇おうとしますが、後ろ手錠では庇うも何もありません。
首の動きに合わせて無駄にブルブルと左右に揺れる私のおっぱい。
「まあまあ、この後すぐにショーなんだからさ、そういう面白そうなことはステージの上で、みんなでゆっくり見物しようよ」
やよいママさまがイタズラっぽい笑顔で、助け舟を出してくださいました。
と言っても、せっかくならみなさまの前で晒し者にしよう、という意味にも取れますから、私にとってあまり助けにはなっていないのですが。
「それじゃあそろそろ始めましょうか?」
「そうね」
ミイコさまの呼びかけにやよいママさまが応えられました。
「シーナちゃんとエミリーはわたしの後に着いてステージに上ってね。あ、ジャクリーンとナオちゃんは裸足になって」
ミイコさまに促され、うつむいて足だけでスニーカーを脱ごうとしていると、背後から里美さまがお声をかけてくださいます。
「靴、ひとりで脱げる?」
「あ、はい、なんとか大丈夫そうです・・・」
かかとをスリ合わせて脱いだスニーカーを、里美さまが拾い上げてくださいました。
ジャクリーンさまはミュールを履かれていたので脱ぐのは楽だったみたい。
ジャクリーンさまの両足首を繋いでいたチェーンもいつの間にか外されていました。
「では、ステージに上がりましょう」
ミイコさまの号令でお姉さまとシーナさまが立ち上がられます。
それぞれの右手にはそれぞれのペットの首輪に繋がるリードチェーン。
場内が暗くなる等の演出は無く、フロア、ステージ共に昼間みたいに明るいままです。
まず、片手に乗馬鞭を持たれたミイコさまと、手ぶらのやよいママさまが並んでステージ上へ。
ここで、気づかれたお客様がたから盛大な拍手。
つづいてシーナさまにリードを引かれ、後ろ手錠にされたジャクリーンさまがしずしずとステージ上に。
少し遅れてお姉さまにリードを引かれた私も、おずおずと舞台上へ。
私、ボディハーネスだけの裸で後ろ手錠のまま、みなさまが注目されている明るいステージに上るんだ・・・
階段2段分くらいの段差を跨ぐとき、マゾマンコの奥がキュゥンと疼きました。
「それではみなさま、お待たせしました!これより百合草会夏の感謝祭、第二部のイベントショーを始めたいと思いますっ!」
マイクを通したミイコさまのお声が場内に響き、ステージ前に詰めかけたお客様がたから、やんやの拍手。
ステージの一番下手に、片手にマイク、もう片方に乗馬鞭を握られたミイコさま。
そのお隣にジャクリーンさまの首輪リードを持たれたシーナさま。
そのまたお隣、ステージのほぼ中央付近に、黒いレザーの首輪と両手足首にリング付きのベルトを巻かれ、両乳首のかけはりチェーンはまだそのまんま、他はオールヌードなジャクリーンさま。
ジャクリーンさまと並んでのステージほぼ中央は、赤い首輪と手足首ベルト、肝心な場所は何ひとつ隠せないくすんだ赤いボディハーネスで裸身を飾った私。
その横には、私の首輪のリードを持たれたお姉さま。
お姉さまのお隣、一番上手端に、これまたマイクを持たれたやよいママさま、という布陣です。
舞台下のお客様がたも含めて数十名いる女性の中で、ジャクリーンさまと私だけが異質でした。
おっぱいも女性器も剥き出しにして、後ろ手錠の為に自ら隠すことは出来ず、為す術も無く自分の秘部を衆目に晒していました。
もちろん、品定めでもするかのような容赦の無い好奇の視線が、中央のふたりに浴びせ掛けられています。
親子ほども歳の離れたふたりの女性の裸体が、同性たちの眼前でまさに見世物となっていました。
「今夜は、おなじみのジャクリーンに加えて、ニューフェイスのマゾペットを迎え、対戦形式でショーを進めたいと思っています」
ミイコさまのお言葉にヒューヒューと愉しそうにざわつくお客様がた。
「ご紹介しましょう。みなさまよくご存知のエミリーの部下にして、絶対服従なマゾペットセクレタリー、社会人一年生ながら経験豊富なオールラウンダーヘンタイ娘、森下直子ちゃんでーすっ!」
えーっ!?ミイコさまったら、モロに私の本名をバラしちゃった・・・
一瞬目の前が真っ暗になりました。
拍手と共に私の素肌、乳首やワレメに、より激しい好奇の視線が突き刺さってくるのがビンビンわかります。
「このナオちゃんはまだ若いんだけどね、高校生の頃、初めてのご主人様が、当時まだお店開く前のやよいママで、エミリーの前にはシーナちゃんのスレイブもしていたっていう、ヘンタイマゾペットのエリートコースを歩んできているのよ」
ミイコさまがご冗談ぽくおっしゃると、おおーっ、とどよめくお客様がた。
「そう。あたしが指で、この子のヴァージン、いただいちゃったの。初エネマもね」
やよいママさまがマイクを使って可笑しそうにおっしゃると、すかさずシーナさまがミイコさまのマイクに近づきます。
「それで、この子のマン毛をマゾ女らしく永久脱毛させたのが、わ・た・し」
シーナさまのお道化た仕草にイェーイと盛り上がるお客様がた。
お姉さまのお顔をそっと盗み見ると、呆れたような面白がっているような、フクザツな半笑いを浮かべていらっしゃいました。
そっか、今このステージの上には、私の人生歴代お三人の女王様が上がっていらっしゃるんだ・・・
それでこれから、やよいママさまのパートナー、ミイコさまの司会で、シーナさまのパートナー、ジャクリーンさまと、見知らぬみなさまの見守る中で、辱めを受けるんだ・・・
バレエを始めた幼気な中学生の頃には、毛ほどの想像も出来なかった破廉恥でヘンタイなシチェーション。
ずいぶん遠くまで来ちゃったな、という感慨と共に、今までにお三人からされた様々な陵辱や辱めが脈絡なく次から次へと脳裏によみがえり、ほろ苦くも甘酸っぱい懐かしさの入り混じった羞恥と被虐感が全身を駆け巡りました。
そんな感傷的な背徳感を吹き飛ばし、紛れも無く直面しているアブノーマルな現実へと引き戻したのは、ミイコさまのお声。
「では今夜のショーを始める前に、大事な儀式をしておきましょう。これをしておかないと、みなさんが愉しめませんものね?」
ミイコさまがイタズラっぽくお客様がたに問いかけると、一層ガヤガヤヒューヒューざわつくギャラリーのみなさま。
「これからショーを進めるにあたり、ミストレスおふたりがお持ちのマゾペット調教権をいったん、わたしたちに預けていただきます。つまり、ジャクリーンと直子を、わたしたちが好きにしていい、という絶対服従の権利です。わたしたち、というのは、ここにいるバー百合草スタッフと百合草会会員のお客様がた全員、という意味です」
ミイコさまのお芝居がかったお声が響き、フロアが束の間、シーンと静まり返りました。
「まずミストレスであるおふたかた、よろしいですか?」
「もちろん」
「はい」
ミイコさまの問い掛けに、さも当然のようにうなずかれたシーナさまとお姉さま。
「次にスレイブたち。ミストレスが承諾した以上拒否権は無いのだけれど、一応聞くわ。絶対服従、いいわね?」
「はい、喜んでっ!」
「・・・はい・・・」
喜々としてお答えになるジャクリーンさまと、うなだれ気味の私。
同時にフロアのほうだけ照明が薄暗くなり、ミイコさまの重々しいお芝居声とも相俟って、雰囲気が一気に禍々しくなりました。
「契約完了。これで今夜この二匹のマゾペットは、イベントお開きまで今ここにお集まりのみなさん全員の共有スレイブとなりました。とは言っても、ショーのあいだは手を出したくなっても我慢してね。これだけの人数が勝手に動いちゃうと収拾つかなくなっちゃうから」
ニッコリとお客様がたに語り掛けるミイコさま。
「これからスレイブたちに、恥ずかしいゲームをいくつかさせます。もちろん勝負ですから勝ち負けが決まります。トータルで勝ったほうにはご褒美、負けたほうにはお仕置きが待っています」
ここでちょっと間を置き、ニヤッと笑ったミイコさま。
「でもまあ筋金入りのマゾ女たちですから、お仕置きがご褒美なのかもしれないですけれど・・・」
クスクスアハハと嘲るように笑うお客様がた。
「そのお仕置きタイムには、みなさん全員、自由に参加して責めてくださって結構です。もちろんスレイブが死なない程度の常識は守ってくれないと困りますが」
ミイコさまってば、サラッと恐ろしいことを・・・
「あと、さっきもお願いしたけれど、個人的な写真とか動画の撮影や録音はNGね。そちらの彼女が撮影しているビデオは、後日お店で上映会を企画するから」
「その他はショーのあいだも、ムラムラしてきたらオナるのもよし、パートナーとコトに及ぶとか、脱ぎたくなったらどんどん脱いじゃって結構です。レッツ、オージー!」
ミイコさまの煽りにイェーイッ!とノリ良く応えられるお客様がた。
下手側のボックス席から小野寺さまのレンズが、私たちをジーッと記録しています。
「それじゃあまず、みなさんに失礼が無いようにスレイブたちのからだを清めてくるから、しばしご歓談ね。そのあいだにアキちゃん、ステージ上の準備を」
シーナさまとお姉さまから渡されたリードの持ち手を右手で一緒くたに握ったミイコさまが、ちょっとキョロキョロ思案顔。
「誰かわたしのアシスタントがふたりぐらい欲しいのだけれど・・・」
お独り言のようにつぶやかれたミイコさまに、ステージを下りようとされていたお姉さまがご反応されました。
「それだったらうちの里美としほりさんが適任よ。しほりさんは本業がヘアメイクだからこういう現場にも慣れているし、里美もエログッズの扱いには長けているから」
そのお言葉が終わらないうちにおふたりがミイコさまの傍らに駆けつけていらっしゃいました。
まるで示し合わせていたかのよう・・・
いいえ、多分事前に打ち合わせていて、最初からそういう段取りだったのでしょう。
それが証拠におふたりとも、片手に見慣れない大きめなバッグをおのおの下げていらっしゃいます。
おふたりの私物のバッグとは違う、おそらくミイコさまたちがご用意された、これからショーで使うお道具か何か。
どうやら今夜のこのイベントは、やよいママさまやお姉さまたちが事前に入念に打ち合わせされた上でのもので、これからの展開をまったく知らされていないのは、私とお客様がただけなのかもしれません。
でも、見知っているおふたりがご一緒くださるのは、私にとって心強いことでした。
ミイコさまが握るリードに引かれ、裸のマゾペットたち、ジャクリーンさまと私がステージ上手から、おトイレへの矢印サインが示す狭い通路へと誘導されます。
場内のBGMは、軽快なソウルミュージックに変わっていて、フロアでは幾人かが軽くおからだを揺すり始めていらっしゃいます。
私の目前にはジャクリーンさまの剥き出しのお背中、背後にはニヤニヤ笑いの里美さまとしほりさま。
「ドキドキしている?」
からかうようなお声で里美さま。
「何をされるかわからなくって、ドM心がジンジン疼いちゃってるんでしょう?」
愉しそうなしほりさまからのお問い掛け。
「は、はい・・・」
眼前のジャクリーンさまのお尻からまだ覗いているブタさんの尻尾型アナルストッパーを見つめて、おそらく共感性羞恥というのでしょう、いたたまれない羞じらいを感じている私。
通路の一番奥に女性トイレを示す赤いアイコンが見え、そこで何かえっちな衣装にでも着替えるのかな?なんて思っていたら行進がストップ。
ミイコさまがそのドア手前の、何も書かれていないもうひとつの真っ白なドアのノブにお手を掛け、ガチャっと手前に引かれました。
*
*三人のミストレス 21へ
*
お姉さまが私の尖り乳首をじっと見つめながら尋ねてきました。
気がつくとお姉さまの背後に、里美さまとしほりさまも仲良く肩を並べてお立ちになり、私をニヤニヤ見下ろしていました。
「あ、はい・・・外国のSMの動画や画像ではよく見かけて、見るからに痛そうだなー、とは思っていました。日本でも売っているのですか?」
普通の単純なクリップとは違い、冷たそうで重そうな銀色メカニカルでいかめしい外見が、いかにも西洋の拷問具という感じがしていました。
「あはは。やっぱり直子は可愛いね。そういうボケ方、あたし好きよ」
やよいママさまがご愉快そうに笑いました。
「直子はあんまりお裁縫とかしなさそうだものね。あれは元を正せば、和裁をする人ならおなじみのお裁縫道具だよ」
お姉さまも嬉しそうに笑っています。
「あのクリップはですね、かけはり、っていう、昔からある純和風なお裁縫道具なんです。和服の反物を縫ったり染色するときに布地をピンと張っておくために使うんです」
小野寺さまが解説してくださいます。
「布をピンと張ってキープするために、突起の金具が引っ張られるとより強く噛むように出来ていて、挟む部分にはギザギザの滑り止めゴムも付いています。普通のクリップみたいにバネの挟む力任せではなく、一度挟んだら外れないように工夫されているのですね」
「だから今のジャクリーンさんは、かなりの激痛に苛まれていると思いますよ。お盆の重さが増すたびに金具が引っ張られて、ニップルをより強く挟んで引っ張ってくるのですから」
「当然、昔のSMマニアな人たちも古くから責め具として活用していて、それに目を付けた欧米のボンデージグッズ業者が、かけはりを仕入れて鉄のチェーンを付けて拷問具ぽくアレンジしたSMグッズとして、ジャパニーズニップルクランプスなんて呼び名で普及しているようです」
小野寺さまったら、澄ましたお顔してえっちな雑学にもずいぶんお詳しいんだ。
「あたしも実家帰れば、いくつか年季の入ったやつがお裁縫箱にあるはずだわ。高校の頃、浴衣づくりに凝ったことあるから」
お姉さまが私をニヤリと一瞥しておっしゃいました。
シーナさまが、まるで他人事、みたいなシレッとしたお顔でつづけます。
「確かにあれ、かなり痛いみたいよ。いくら強く引っ張っても絶対外れないから。て言うより引っ張るほど強く挟まれるわけじゃない。うちの牝ブタも最初のうちは、あれを見せられると一瞬、絶望的な顔をしていたもの。今は、悦んで付けているけれどね」
「へー、いいなー、あたしも早く直子の絶望的な顔、見てみなくっちゃ」
からかうような笑顔で私の顔を覗き込んでくるお姉さま。
「あ、あのえっと、し、シーナさまのことをジャクリーンさまは、ドミナ、ってお呼びされていましたけれど、ドミナって、何なのですか?シーナさまのミドルネームか何か、とか?」
かけはり、というものがかなり痛そうなのでゾクゾクしてしまい、直子に付けてみよう、なんてならないうちに急いで話題を変えようと、ずっと気になっていたことを焦ってお尋ねしてみました。
「直子は、ミドルネーム、が好きねえ。何か思い入れでもあるの?」
やよいママさまが半笑いで、呆れたようにおっしゃいます。
「あ、いえ、別に・・・」
なんだか急に恥ずかしくなって、うつむく私。
「ドミナという言葉はですね、ミストレスと同じような意味のSM用語だと思えばいいですよ。ご主人様、女王様、みたいな意味の」
おやさしくて博識な小野寺さまが、理知的に解説してくださいます。
「英語で、支配、を意味するdominationという単語からきた、という説と、これも英語のdominatrix、女性支配者とか女主人という意味の単語からきたという説があるみたいですね。いずれにしましても、女性支配者を、ドミナ、と隷属する側が尊称するのは、昭和中期頃からの日本のSM小説では定番の表現のようです」
「わたくしとしましては、ドミナ、と称した場合、支配者の中でも女性に限定するところから、dominatrixが語源、という説を推したいところですね。ちなみにdomination、支配、の対義語は、submission、服従です」
小野寺さまは、横文字部分の単語を完璧にネイティヴな発音でお話しされていました。
「へー、小野寺さんて、そういう下ネタもやけにお詳しいのね。もっとカタブツさんかと思ってた。でもまあ、インテリにはムッツリが多い、って言うし」
シーナさまがニヤニヤ笑いで茶化しにかかります。
「あ、いえ、わたくしもアンジェラと長くおつきあいしていますから、知識だけは増えていきますもので・・・でも、先ほどのジャクリーンさんとのショーは、わたくしも、あのお綺麗なお尻に思い切り鞭を振るってみたい、なんて興奮してしまいました」
照れ笑いをお浮かべになり、目の前のオンザロックをグイッと飲み干された小野寺さま。
小野寺さまのように品があって理知的なかたのSっ気って、凄く怖そう・・・
「アレが勝手に呼び始めたのよ、ドミナって。わたしも語源までは知らないけれど、ミストレスと同じような意味だってことは知っていたから、好きにさせたの」
シーナさまがニンジンのスティックをポリポリ齧りつつおっしゃいます。
「ずっとご主人様とかシーナさま、って呼んでいたのが、数年前くらいにミストレスになって、いつだったか北欧から帰ってきたら、これからはドミナとお呼びさせていただきます、って宣言されたのよ。飛行機で読んだ本の中にそういう場面があって、わたしにピッタリだと思ったんだって」
「あの牝ブタ、スケベなことには貪欲だから、そういう小説とかビデオとか山ほど集めているの。わたしも、アレを牝ブタだの売女だのおばさんだの好きに呼んでいるからさ、勝手にすれば、ってほっといたの」
まんざらでも無さそうな、おやさしい目になられたシーナさま。
そこにジャクリーンさまが、空になった銀盆を乳首に吊り下げたまま、お戻りになられました。
ジャクリーンさまの柔らかそうなおっぱい、左右の下乳のお肉に、事務用の標準的な目玉クリップがひとつづつ、新たに噛み付いてぶら下がっていました。
「ほら、プラッター外してあげるから、こっち来なさい」
シーナさまがジャクリーンさまを手招きされます。
「ちゃんと言いつけ通り、手は使わずに回ってきたのでしょうね?」
目の前にひざまづかれたジャクリーンさまの、腰のベルトをぞんざいに外しつつ、シーナさまが詰問されます。
「はい、ドミナ。どんなに重くなっても手では支えずに、みなさまの空いたグラスをカウンターまで運ばせていただきました。トレイに乗り切ら無さそうになると、アキコさまが助けてくださいました」
アキコさま、というのは、ミイコさまから、アキちゃん、と呼ばれていた、もうひとりのメイド服姿の女性、おそらくお店のスタッフさんのことでしょう。
「お客様がたが面白がって、オマンコをさすったりお尻を叩いたりお酒をご馳走してくださったり、いろいろ虐めてくださいました、このクリップはエンドウさまがくださいました」
やっぱり乳首が痛いのでしょう、眉間にシワを寄せて少し辛そうに色っぽいお顔のジャクリーンさまがシーナさまを見つめ、神妙にご報告されています。
「ふーん。それじゃあ後でエンドウさんにご奉仕しなくちゃね」
シーナさまが無造作に目玉クリップを外し、より痛そうに歪むジャクリーンさまのお顔。
「こんなに乳首をビロンビロンに伸ばしちゃって、みっともなくお乳が垂れ下がっちゃって、本当にだらしないおっぱいよね」
銀盆が外れたチェーンを再び中央で繋ぐシーナさま。
ジャクリーンさまのふたつの乳首を起点に半円形を描く鎖が、胸元からお腹にかけて重そうにユラユラ揺れています。
「直子がおまえの乳首クリップに、ずいぶん興味津々みたいなのよ。もっと近くで見せてやりなさい」
シーナさまに促され、ジャクリーンさまが膝歩きで、私の目の前へと進み出られました。
間近で拝見するジャクリーンさまの豊満な生おっぱいは、地肌の青白さを際立たせる小麦色の日焼けとのコントラストとも相俟って妖艶の一言。
そのたわわに熟しきったふたつの果実のそれぞれの頂点に、禍々しい形の金属の嘴が大きめな乳首の根本を食いちぎらんばかりに、しっかりと噛み付いています。
その先の重そうな鎖に乳房全体が引っ張られ、房の付け根付近には数本のシワが走るほど。
思わず生ツバをゴクリと呑み込んでしまうほどの淫靡さ、いやらしさ、痛々しさ。
「どう?なんだったら今こいつから外して、直子のを挟んであげよっか?」
シーナさまがからかうみたいに聞いてきます。
「あ、いえっ!・・・」
首を左右にフルフル振りながら、とっさに自分のおっぱいを庇おうとしますが、後ろ手錠では庇うも何もありません。
首の動きに合わせて無駄にブルブルと左右に揺れる私のおっぱい。
「まあまあ、この後すぐにショーなんだからさ、そういう面白そうなことはステージの上で、みんなでゆっくり見物しようよ」
やよいママさまがイタズラっぽい笑顔で、助け舟を出してくださいました。
と言っても、せっかくならみなさまの前で晒し者にしよう、という意味にも取れますから、私にとってあまり助けにはなっていないのですが。
「それじゃあそろそろ始めましょうか?」
「そうね」
ミイコさまの呼びかけにやよいママさまが応えられました。
「シーナちゃんとエミリーはわたしの後に着いてステージに上ってね。あ、ジャクリーンとナオちゃんは裸足になって」
ミイコさまに促され、うつむいて足だけでスニーカーを脱ごうとしていると、背後から里美さまがお声をかけてくださいます。
「靴、ひとりで脱げる?」
「あ、はい、なんとか大丈夫そうです・・・」
かかとをスリ合わせて脱いだスニーカーを、里美さまが拾い上げてくださいました。
ジャクリーンさまはミュールを履かれていたので脱ぐのは楽だったみたい。
ジャクリーンさまの両足首を繋いでいたチェーンもいつの間にか外されていました。
「では、ステージに上がりましょう」
ミイコさまの号令でお姉さまとシーナさまが立ち上がられます。
それぞれの右手にはそれぞれのペットの首輪に繋がるリードチェーン。
場内が暗くなる等の演出は無く、フロア、ステージ共に昼間みたいに明るいままです。
まず、片手に乗馬鞭を持たれたミイコさまと、手ぶらのやよいママさまが並んでステージ上へ。
ここで、気づかれたお客様がたから盛大な拍手。
つづいてシーナさまにリードを引かれ、後ろ手錠にされたジャクリーンさまがしずしずとステージ上に。
少し遅れてお姉さまにリードを引かれた私も、おずおずと舞台上へ。
私、ボディハーネスだけの裸で後ろ手錠のまま、みなさまが注目されている明るいステージに上るんだ・・・
階段2段分くらいの段差を跨ぐとき、マゾマンコの奥がキュゥンと疼きました。
「それではみなさま、お待たせしました!これより百合草会夏の感謝祭、第二部のイベントショーを始めたいと思いますっ!」
マイクを通したミイコさまのお声が場内に響き、ステージ前に詰めかけたお客様がたから、やんやの拍手。
ステージの一番下手に、片手にマイク、もう片方に乗馬鞭を握られたミイコさま。
そのお隣にジャクリーンさまの首輪リードを持たれたシーナさま。
そのまたお隣、ステージのほぼ中央付近に、黒いレザーの首輪と両手足首にリング付きのベルトを巻かれ、両乳首のかけはりチェーンはまだそのまんま、他はオールヌードなジャクリーンさま。
ジャクリーンさまと並んでのステージほぼ中央は、赤い首輪と手足首ベルト、肝心な場所は何ひとつ隠せないくすんだ赤いボディハーネスで裸身を飾った私。
その横には、私の首輪のリードを持たれたお姉さま。
お姉さまのお隣、一番上手端に、これまたマイクを持たれたやよいママさま、という布陣です。
舞台下のお客様がたも含めて数十名いる女性の中で、ジャクリーンさまと私だけが異質でした。
おっぱいも女性器も剥き出しにして、後ろ手錠の為に自ら隠すことは出来ず、為す術も無く自分の秘部を衆目に晒していました。
もちろん、品定めでもするかのような容赦の無い好奇の視線が、中央のふたりに浴びせ掛けられています。
親子ほども歳の離れたふたりの女性の裸体が、同性たちの眼前でまさに見世物となっていました。
「今夜は、おなじみのジャクリーンに加えて、ニューフェイスのマゾペットを迎え、対戦形式でショーを進めたいと思っています」
ミイコさまのお言葉にヒューヒューと愉しそうにざわつくお客様がた。
「ご紹介しましょう。みなさまよくご存知のエミリーの部下にして、絶対服従なマゾペットセクレタリー、社会人一年生ながら経験豊富なオールラウンダーヘンタイ娘、森下直子ちゃんでーすっ!」
えーっ!?ミイコさまったら、モロに私の本名をバラしちゃった・・・
一瞬目の前が真っ暗になりました。
拍手と共に私の素肌、乳首やワレメに、より激しい好奇の視線が突き刺さってくるのがビンビンわかります。
「このナオちゃんはまだ若いんだけどね、高校生の頃、初めてのご主人様が、当時まだお店開く前のやよいママで、エミリーの前にはシーナちゃんのスレイブもしていたっていう、ヘンタイマゾペットのエリートコースを歩んできているのよ」
ミイコさまがご冗談ぽくおっしゃると、おおーっ、とどよめくお客様がた。
「そう。あたしが指で、この子のヴァージン、いただいちゃったの。初エネマもね」
やよいママさまがマイクを使って可笑しそうにおっしゃると、すかさずシーナさまがミイコさまのマイクに近づきます。
「それで、この子のマン毛をマゾ女らしく永久脱毛させたのが、わ・た・し」
シーナさまのお道化た仕草にイェーイと盛り上がるお客様がた。
お姉さまのお顔をそっと盗み見ると、呆れたような面白がっているような、フクザツな半笑いを浮かべていらっしゃいました。
そっか、今このステージの上には、私の人生歴代お三人の女王様が上がっていらっしゃるんだ・・・
それでこれから、やよいママさまのパートナー、ミイコさまの司会で、シーナさまのパートナー、ジャクリーンさまと、見知らぬみなさまの見守る中で、辱めを受けるんだ・・・
バレエを始めた幼気な中学生の頃には、毛ほどの想像も出来なかった破廉恥でヘンタイなシチェーション。
ずいぶん遠くまで来ちゃったな、という感慨と共に、今までにお三人からされた様々な陵辱や辱めが脈絡なく次から次へと脳裏によみがえり、ほろ苦くも甘酸っぱい懐かしさの入り混じった羞恥と被虐感が全身を駆け巡りました。
そんな感傷的な背徳感を吹き飛ばし、紛れも無く直面しているアブノーマルな現実へと引き戻したのは、ミイコさまのお声。
「では今夜のショーを始める前に、大事な儀式をしておきましょう。これをしておかないと、みなさんが愉しめませんものね?」
ミイコさまがイタズラっぽくお客様がたに問いかけると、一層ガヤガヤヒューヒューざわつくギャラリーのみなさま。
「これからショーを進めるにあたり、ミストレスおふたりがお持ちのマゾペット調教権をいったん、わたしたちに預けていただきます。つまり、ジャクリーンと直子を、わたしたちが好きにしていい、という絶対服従の権利です。わたしたち、というのは、ここにいるバー百合草スタッフと百合草会会員のお客様がた全員、という意味です」
ミイコさまのお芝居がかったお声が響き、フロアが束の間、シーンと静まり返りました。
「まずミストレスであるおふたかた、よろしいですか?」
「もちろん」
「はい」
ミイコさまの問い掛けに、さも当然のようにうなずかれたシーナさまとお姉さま。
「次にスレイブたち。ミストレスが承諾した以上拒否権は無いのだけれど、一応聞くわ。絶対服従、いいわね?」
「はい、喜んでっ!」
「・・・はい・・・」
喜々としてお答えになるジャクリーンさまと、うなだれ気味の私。
同時にフロアのほうだけ照明が薄暗くなり、ミイコさまの重々しいお芝居声とも相俟って、雰囲気が一気に禍々しくなりました。
「契約完了。これで今夜この二匹のマゾペットは、イベントお開きまで今ここにお集まりのみなさん全員の共有スレイブとなりました。とは言っても、ショーのあいだは手を出したくなっても我慢してね。これだけの人数が勝手に動いちゃうと収拾つかなくなっちゃうから」
ニッコリとお客様がたに語り掛けるミイコさま。
「これからスレイブたちに、恥ずかしいゲームをいくつかさせます。もちろん勝負ですから勝ち負けが決まります。トータルで勝ったほうにはご褒美、負けたほうにはお仕置きが待っています」
ここでちょっと間を置き、ニヤッと笑ったミイコさま。
「でもまあ筋金入りのマゾ女たちですから、お仕置きがご褒美なのかもしれないですけれど・・・」
クスクスアハハと嘲るように笑うお客様がた。
「そのお仕置きタイムには、みなさん全員、自由に参加して責めてくださって結構です。もちろんスレイブが死なない程度の常識は守ってくれないと困りますが」
ミイコさまってば、サラッと恐ろしいことを・・・
「あと、さっきもお願いしたけれど、個人的な写真とか動画の撮影や録音はNGね。そちらの彼女が撮影しているビデオは、後日お店で上映会を企画するから」
「その他はショーのあいだも、ムラムラしてきたらオナるのもよし、パートナーとコトに及ぶとか、脱ぎたくなったらどんどん脱いじゃって結構です。レッツ、オージー!」
ミイコさまの煽りにイェーイッ!とノリ良く応えられるお客様がた。
下手側のボックス席から小野寺さまのレンズが、私たちをジーッと記録しています。
「それじゃあまず、みなさんに失礼が無いようにスレイブたちのからだを清めてくるから、しばしご歓談ね。そのあいだにアキちゃん、ステージ上の準備を」
シーナさまとお姉さまから渡されたリードの持ち手を右手で一緒くたに握ったミイコさまが、ちょっとキョロキョロ思案顔。
「誰かわたしのアシスタントがふたりぐらい欲しいのだけれど・・・」
お独り言のようにつぶやかれたミイコさまに、ステージを下りようとされていたお姉さまがご反応されました。
「それだったらうちの里美としほりさんが適任よ。しほりさんは本業がヘアメイクだからこういう現場にも慣れているし、里美もエログッズの扱いには長けているから」
そのお言葉が終わらないうちにおふたりがミイコさまの傍らに駆けつけていらっしゃいました。
まるで示し合わせていたかのよう・・・
いいえ、多分事前に打ち合わせていて、最初からそういう段取りだったのでしょう。
それが証拠におふたりとも、片手に見慣れない大きめなバッグをおのおの下げていらっしゃいます。
おふたりの私物のバッグとは違う、おそらくミイコさまたちがご用意された、これからショーで使うお道具か何か。
どうやら今夜のこのイベントは、やよいママさまやお姉さまたちが事前に入念に打ち合わせされた上でのもので、これからの展開をまったく知らされていないのは、私とお客様がただけなのかもしれません。
でも、見知っているおふたりがご一緒くださるのは、私にとって心強いことでした。
ミイコさまが握るリードに引かれ、裸のマゾペットたち、ジャクリーンさまと私がステージ上手から、おトイレへの矢印サインが示す狭い通路へと誘導されます。
場内のBGMは、軽快なソウルミュージックに変わっていて、フロアでは幾人かが軽くおからだを揺すり始めていらっしゃいます。
私の目前にはジャクリーンさまの剥き出しのお背中、背後にはニヤニヤ笑いの里美さまとしほりさま。
「ドキドキしている?」
からかうようなお声で里美さま。
「何をされるかわからなくって、ドM心がジンジン疼いちゃってるんでしょう?」
愉しそうなしほりさまからのお問い掛け。
「は、はい・・・」
眼前のジャクリーンさまのお尻からまだ覗いているブタさんの尻尾型アナルストッパーを見つめて、おそらく共感性羞恥というのでしょう、いたたまれない羞じらいを感じている私。
通路の一番奥に女性トイレを示す赤いアイコンが見え、そこで何かえっちな衣装にでも着替えるのかな?なんて思っていたら行進がストップ。
ミイコさまがそのドア手前の、何も書かれていないもうひとつの真っ白なドアのノブにお手を掛け、ガチャっと手前に引かれました。
*
*三人のミストレス 21へ
*
2018年2月11日
三人のミストレス 19
「ごきげんよう。お久しぶりです、シーナさん」
お姉さまだってシーナさまの足下でうずくまる裸身の存在には気づかれているはずなのに、そこにはまったく触れずニコヤカにご挨拶。
「本宮から、今降ろした、って連絡入ってから30分以上も現われないからさ、てっきり直子が怖気づいて逃げ出しちゃったかな、と思っていたわよ。このまま来なかったら二度目のショーは牝ブタに何やらせようかって、考えていたところ」
ご機嫌ナナメっぽいご様子なシーナさまが、細長いグラスに入った水色のお飲み物をクイッと一口、お飲みになりました。
シーナさまたちがお座りになっているテーブルの上には、そのお飲み物の他に、チーズとクラッカーが乗ったお皿、グラスに刺さったお野菜スティックが置いてあり、小野寺さまの前には、茶褐色の液体に氷を浮かべたお飲み物。
それらに加えて、見た瞬間にドキッとしてしまう、ひときわ私の目を惹くものがふたつ、無造作に置いてありました。
ひとつめは、全体が真っ黒で少し古びた乗馬鞭。
ずいぶんと使い込まれているようで、持ち手の革が黒光りしてテラテラ光っています。
長い柄の細い部分が弾力のありそうな素材で、とてもよくしなりそう。
先端のベロ部分は弓矢の矢羽根みたいな形で大きめ。
これで尻たぶをジャストヒットされたら、クッキリ矢羽根の形の赤い打痕が残っちゃいそうです。
もうひとつは、小野寺さまの前に置いてあるハンディビデオカメラ。
新人エステティシャンの研修用教材という名目で、私のマゾマンコがワックス脱毛でツルツルにされる一部始終を録画されたときに使われたカメラと同じものよう。
ということは、これから私がしなくてはいけないバトルショーとやらも、このカメラで撮影、記録されることになるのでしょう・・・
シーナさまに促され、先ほど空けてくださったストゥールに腰掛けようとすると、すかさず脇からミイコさまが、ストゥールの腰掛け部分の上にたたんだバスタオルを敷いてくださいました。
お姉さまと小野寺さまは初対面らしく、お名刺の交換をされています。
腰掛けた私は、足下にいらっしゃる、裸の人、が気になって仕方ありません。
「そう言えばエミリー?本宮から名刺、もらった?」
シーナさまがお姉さまにお尋ねになりました。
「ええ。車を降りるとき、どうぞ今後共ご贔屓に、ってくださったわよ。あのかた、個人営業なのね」
小野寺さまのお名刺をポーチにしまうついでに、一枚の小さな紙片をヒラヒラさせるお姉さま。
「へー、ていうことは気に入られたんだ。だったらエミリー、これから直子と遊ぶとき、わたしが使わないときならいつでも本宮の車、使っていいってことよ」
少しご機嫌が直られたらしいシーナさまの、弾んだお声。
「わたしが牝ブタと移動するときは、こいつは、大抵ほとんど裸だから、本宮はそういうヘンタイの扱いに慣れているの。だから、あなたたちも大胆に愉しめるはずよ」
「もちろん料金は、どこへ行こうが、北海道だろうが沖縄だろうが牝ブタ持ちだし、本宮はああ見えて合気道とか護身術全般身につけた優秀なガードウーマンでもあるし、オマケにSっ気も旺盛だから、いろいろ頼もしいはずよ」
シーナさまが、こいつ、とおっしゃったとき、同時に足でテーブル下の人に何かしたみたいで、んぐぅ、という苦しげな呻き声がテーブル下から聞こえました。
「エミリーは小野寺さんとは初対面だったわね?アンジェラのサロンで事務方全般を一手に仕切っている、超有能なセクレタリー」
「あ、アンジェラさんとはこのお店で何度かお会いしたことあります。その節はうちの直子がずいぶんお世話になったみたいで、ありがとうございました」
シーナさまのご紹介でお姉さまが小野寺さまに深々と頭を下げ、つられて私もペコリとお辞儀。
「今日のこちらでのイベントには、うちのアンジェラがとても来たがっていたのですが、どうしても外せない先約があり、代わりにわたくしが送り込まれました」
小野寺さまが数年前と変わらない理知的かつ滑舌の良いハッキリとした口調でおっしゃいました。
「それで、観られないのであればせめて映像だけでも、ということでわがままをお許しいただき、本日はショーの一部を撮影させていただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします」
私を見つつの小野寺さまのお言葉に、やっぱり、とじんわりマゾマンコを潤ます私。
そのとき、私たちの背後で立ったまま会話を見守っていたミイコさまが、お口を挟んできました。
「安心してナオちゃん。撮影するのはこのビデオだけで、他のお客様はケータイでもスマホでも一切撮影禁止になっているから。ネットに画像流出して顔バレ身バレとかは絶対に無いって約束するわ」
イタズラっぽく微笑まれるミイコさま。
「お店で上映会とか、BGVとしてそのモニターに流すことは考えているけれどね」
「そんなことより、早くナオちゃんにジャクリーンを紹介してあげて。エミリーはここで何度か会ったことあるけれど、ナオちゃんは初対面でしょ?」
ミイコさまがシーナさまに、新しいお飲み物を手渡しながらおっしゃいました。
「ううん。直子はずっと以前に、うちの牝ブタと顔合わせしているわ。もっともそのときは生意気にこいつ、人並みの格好をしていたと思うけれど」
シーナさまがニヤニヤ笑いつつ、テーブル上の乗馬鞭を手にお取りになります。
「ほら、ヘンタイ牝ブタドマゾおばさん?オットマン役はもういいわ。立ち上がっておまえのお仲間にご挨拶なさい。ほら、早くっ!」
シーナさまがテーブル下に潜らせた乗馬鞭がご活躍されているのか、テーブル下から人の肌を打擲する拍手のようなペチペチ音が聞こえてきます。
「ん、むぐぅ・・・」
テーブルが少しガタガタ揺れ、シーナさま側のテーブル端からウェーブのかかった髪の毛が見えてきました。
やがて、肘、肩、背中と露わになり、紛れも無い全裸女性の全身が現われました。
首には太くて幾つもリングがぶら下がった黒い首輪、肩までのウェーブヘアが汗で額に貼り付き、黒色のボールギャグをかまされたお口からはだらだらとよだれを垂らされ。
目鼻立ちの大きな日本人離れした端正なお顔は紅潮し、眉根に深く苦悩のシワが刻まれていましたが、そのお美しいお顔には、確かに見覚えがありました。
シーナさまのパトロンさんにして、うんとお歳の離れた専属マゾドレイ。
シーナさまのお住まいでもある私と同じマンション最上階の持ち主であり、どなたでも知っている有名上場会社の社長夫人。
確かお名前は、ワカバヤシさま。
「直子、会ったことあるよね?うちに遊びに来たときに」
「あ、は、はい・・・」
シーナさまに問われ、そのときのことをあざやかに思い出しました。
東京に出て来て、シーナさまと恥辱満点の刺激的な再会を果たした初夏の数日後。
ペントハウス風になっているマンション屋上で遊ぼうとシーナさまに呼び出され、伺ったときのことでした。
玄関先でお出迎えしてくださった、仕立ての良いサマースーツを品良く着こなされた女優さんのようにお綺麗なお顔立ちの見るからにセレブマダム風な女性。
身長は私より少し高いくらいなのに、何て言うのか、キラキラしたオーラに満ち溢れていて、生まれて初めて、貴婦人、と呼ばれる人種を目の当たりにした、と感じました。
そのときは、その女性が外出される直前だっため、お顔を合わせただけだったのですが、ごゆっくりしていってくださいね、というおやさしいお言葉と、たおやかに香る甘ったるいコロンの香りが印象的で、なんて絵に描いたようにお上品なご婦人なのだろう、と思ったものでした。
その後にシーナさまのお口から、そのご婦人こそがシーナさまの慰み者マゾドレイだと聞かされ、もっとビックリしてしまったのですが。
その優雅なマダム、ワカバヤシさまが今、私たちの目の前に全裸で、いえ、全裸よりももっと浅ましいお姿で仁王立ちされていました。
両手は頭の後ろで手錠されているらしく、立ち上がったときからすでにマゾの服従ポーズ。
ご年齢は私の母と同じくらいか少し上とお聞きしていましたが、とてもそうとは思えない、シミやシワが少しも見えない艶やかな肌に引き締まったプロポーション。
バストは大きく、ウェストはキュッと絞られ、ヒップはドーンと豊かで美脚がスラリ。
もちろん腋と股間は完全剃毛済みのツルッツル。
一見してお歳を感じさせない若々しいセクシーボディなのですが、いくつかの理由で、見ているこちらが恥ずかしくて目を背けたくなるくらい、艶めかしい色香を全身から発散されています。
まず、目につくのは、そのおからだに残る日焼け跡。
全体にこんがり健康的な小麦色に焼けていらっしゃるのですが、バスト部分と下半身にだけ、青白いほど生々しく普通の肌色が残っていました。
おっぱい部分は、小さめなハーフカップブラビキニの形通り、乳輪を含むおっぱい周りだけ白い肌。
下半身は、恥丘の膨らみ始めくらいから腿の付け根までがブーメラン型に白く焼け残り、凄くローライズでローレグな水着を身に着けていらっしゃったのであろうことが推測できます。
その二箇所の未日焼け部分の青白さと小麦色の他部分とのコントラストで、結果的に白いおっぱいと乳輪、そして無毛の股間の割れスジを、ひときわ生々しく猥褻に目立たせる日焼け跡となっていました。
更に、そのおっぱいの先端にはステンレス製らしい禍々しい形をしたクリップが両乳首に噛みつき、ふたつのクリップを繋いだ重そうなスチールチェーンに引っ張られ、豊満なおっぱいが盛大にうなだれて垂れ下がり、熟れ過ぎて今にもポタリと落ちそうな果実のよう。
乳首も乳輪も私より大きく、色も濃い目ですごく淫猥な感じ。
そしてとどめは、二の腕や胸元、太股付近のあちこちに刻まれている、ついさっきまで縄でギリギリと絞られていたのであろう生々しい縄目痕。
太腿には矢羽根型に鞭打たれた痕も、ところどころに残っていて、私たちがここに来る前までに、このかたがいったいどんな扱いを受けられていたのか、いけない妄想が膨らんでしまいます。
そんな感じに、見るからにふしだらと言うか、いやらしくも美しい裸体を目の当たりにして、私の心臓はドキドキ早鐘のよう。
思わずお隣のお姉さまにからだを摺り寄せてしまいました。
「ほら、牝ブタ?口枷取ってやるから、今夜の対戦相手に一応挨拶しときな」
シーナさまがぞんざいにおっしゃると、すかさずワカバヤシさまが服従ポーズのままひざまずき、お顔をシーナさまの胸元に差し出します。
シーナさまがボールギャグのベルトを緩めると、その唇の端からよだれがダラダラ、首筋からおっぱいへと流れ落ちていきました。
ワカバヤシさまの額にひっついた髪の毛を丁寧に払い、乱れた髪型を整えてあげる、おやさしいシーナさま。
口枷を解かれ髪を直されたワカバヤシさまって、やっぱり凄い美人さん、今流行の言葉で言えば、まさしく、美魔女、さんという感じです。
「お久しぶりです、直子さま。直子さまのことはいつもドミナから聞かされていましたから、ぜひ一度、ちゃんとお目にかかりたいと思っていました。本日はよろしくお願いいたします」
再び立ち上がられたワカバヤシさまが、座っている私を見下ろすように、服従ポーズのまま深々とお辞儀をしてくださいました。
「え、あ、あの、いえ、こちらこそ・・・」
「うちの直子だって同じマゾドレイなんだからさ、ジャクリーンも別に、直子さま、なんてあらたまらなくたっていいのに」
しどろもどろな私に代わって、お姉さまがワカバヤシさまに、茶化すようにお応えになりました。
「いえいえ、ドミナは直子さまのことをいつも褒めていらっしゃいますから、奴隷にとっても直子さまはドミナのご友人で崇拝すべきおかたでございます。奴隷はここでは最下層の身分ですので」
ワカバヤシさまが恐縮されたようにおっしゃいました。
ドミナ、って、シーナさまのことよね?
えっ?シーナさまって私のこと、ワカバヤシさまの前で褒めてくださっているの?
それにワカバヤシさまは、ご自分のことを、奴隷、ってお呼びになるんだ・・・
そんなことを考えていたらシーナさまの右手が一閃し、乗馬鞭のベロがワカバヤシさまのお尻をピシャリと打ち据えました。
「ひっ!」
「何、あたりまえのことを得意げに言っているの?おまえが最下層のヘンタイセックススレイブだってことは、ここにいる誰もがわかりきっているわよ」
「でも今夜はエミリーのマゾペットと、どちらのドレイがより従順でヘンタイかを競う対決、勝負は勝負だからね?もしおまえが直子みたいなこんな小娘に負けたら、明け方に素っ裸で表に連れ出して、道端や近くの公園にたむろしているホームレスのを5、6本、しゃぶらせるからねっ!」
シーナさまがワカバヤシさまの乳首からぶら下がったチェーンを無造作に引っ張りながら、怖いお顔で吐き捨てるようにおっしゃいました。
ワカバヤシさまの両乳首がおっぱいもろとも痛々しいくらい伸び切っています。
「あうぅっ、そ、それだけはお赦しください。ドミナはいつもその罰の後は、わたくしをしばらく可愛がってくださらなくなるではないですか・・・」
シーナさまの手を離れた鎖でおっぱいがブランブランと揺れるのにも構わず、ワカバヤシさまが憐れそうに懇願されます。
「あたりまえでしょ?そんな男どもで穢された牝ブタのからだなんて、たとえグローブしていたって触りたくないわよ」
「皮膚の細胞は約一ヶ月で入れ替わる、っていうから、穢れたからだが生まれ替わるまで、おまえは貞操帯嵌めて、セックスもオナニーも、わたしとの謁見も禁止よ!」
今度はパシッとワカバヤシさまの右おっぱいを打ち据えるシーナさま。
やっと鎮まっていた鎖が、再び派手にブランブランと暴れ始めます。
「あぁうぅっ、わ、わかりました。奴隷もその罰だけは受けたくないので、いくら可憐な直子さまと言えども、手加減なしでお相手させていただきます」
私をまっすぐ見て、縋るような目つきで微笑まれるワカバヤシさま。
「そうね、せいぜいがんばんなさい。ほら、そろそろ始めるから、おまえは席を回って空いたグラスやお皿を集めてきなさい」
シーナさまがおっしゃると、傍らのミイコさまが四角い銀盆をシーナさまに差し出されました。
もうひとりのメイド服姿の女性がワカバヤシさまの背後に回り、両手の手錠を外されます。
「かしこまりました、ドミナ。奴隷は仰せのままに」
ワカバヤシさまが膝立ちになると、シーナさまがふたつの乳首から半円状に垂れ下がったチェーンを金具からふたつに分け、銀盆の左右の持ち手部分に装着しています。
えっ?それってもしかして・・・
やがて装着が終わったらしく、ワカバヤシさまが立ち上がられました。
ワカバヤシさまのウエスト部分から、駅弁の売り子さんのように銀色のお盆が飛び出ています。
そのお盆を支えるのは左右の乳首に噛み付いた2本のチェーン。
ウェスト部分でもベルトを巻いて銀盆を安定させてはいるようですが、あの状態では銀盆にグラスを乗せるたびに重さで両乳首が引っ張られちゃうはずです。
「ほら、時間押しているんだから、さっさと回ってきな。重くても絶対手を使って支えるんじゃないよっ?」
「は、はいーっ!」
シーナさまにお尻をピシャリと打たれ、ヨタヨタと全裸でフロアにお出になるワカバヤシさまの後姿。
そのお尻にはアナルプラグなのでしょう、クルンと円を描いた、まさしく豚さんの尻尾のようなプラスティックの尻尾が生えていました。
裸足の両足首には黒いベルトの足枷、もちろんその両足首は歩幅くらいのチェーンで繋がれています。
「はーい、みなさーん。そろそろイベント第2部を始めますから、空いたグラスやお皿は、今場内を回っているジャクリーンのお盆に乗せてあげてくださーい」
ミイコさまがフロアに向かって、ひときわ大きなお声で呼びかけられました。
気がつくとフロアのお客様の大半が、あるかたは椅子をご持参で、あるかたは立ったまま、私たちのテーブルを取り囲むように集まっておられました。
「ショーのあいだは、中央テーブルに各種お酒のボトルと氷やお水やジュースを置いておくので、各自勝手に作って飲んでね。おつまみはアキちゃんに言えば、簡単なものなら作ってくれると思うわ」
中央のテーブルにせっせとウィスキーのボトルなどを並べている、もうひとりのメイド服姿な女性を指さされるミイコさま。
「ショーのあいだは、私やママには何を言っても無駄よ。わたしはショーの進行で忙しいし、ママはかぶりつきで観ているでしょうから。それくらいママも今夜のイベントを愉しみにしていたの」
ドッとあがるみなさまの笑い声。
そんなあいだもワカバヤシさまはフロア内を全裸で練り歩き、お腹の前の銀盆のグラスの山が高くなるにつれて、乳首の痛々しさが増していました。
「まだちょっと準備に時間かかるから、ナオちゃんはまだここでリラックスしていていいわよ」
一通りフロアへの呼びかけを終えて私の傍らに戻ってこられ、おやさしくお声をかけてくださるミイコさま。
「あの、ワカバヤシさまの乳首クリップ、あんなにグラスいっぱい乗せて、大丈夫なのですか?もし外れてグラスが落ちてしまったら・・・」
他人事とは言え、痛々しくて見ていられなくて、思わずミイコさまにお尋ねしてしまいました。
「シィーッ、彼女のことはここではジャクリーンて呼んでね。ドマゾヘンタイ熟女のジャクリーンと社長令夫人のワカバヤシさんとは別人なのだから」
ミイコさまがイタズラっぽく唇に人差し指を当てておっしゃいました。
「まあ、でも今は公然の秘密みたいになっちゃったけれどね。少なくとも今夜来ている人は全員、彼女の素性の噂は聞いているだろうし」
いつの間にかいらっしゃったのか、やよいママさまがお話に加わられました。
「シーナも彼女を最初連れてきたときは、ベネチアンマスクっていうんだっけ?あの仮面舞踏会みたいな目の周りだけのマスク着けさせてミステリアスに振る舞っていたのに、何度か通ううちに結局酔っ払って、自分たちでベラベラ白状しちゃうんだもの」
「会社名までは知らないまでも、彼女がどっかの大会社の社長夫人で、おしのびで夜毎ヘンタイ行為に耽っているらしい、って噂は有名よ」
シーナさまがソファー上のお尻を少し小野寺さま側にずらされ、シーナさまのお隣に窮屈そうに腰掛けられるやよいママさま。
「でも彼女の変装っぷりは見事よ。あたしは会社名まで知っているから、たまにテレビで社長夫人として映るのも見たことあるのよ。だけどまったく別人。髪型もメイクも服装も。テレビに出ているお上品で優雅なご婦人と、今素っ裸で乳首の痛みに耐えているヘンタイマゾ女とが同一人物なんて、とても思えないものね」
やよいママさまのお言葉に、ニンマリとお応えになるシーナさま。
「表に出るときの名前だってワカバヤシじゃないからね。ワカバヤシは旧姓なの」
「ワカバヤシ・・・ああ、だからジャクリーンさんなのですね?」
それまで静かに会話を聞かれていた小野寺さまが、唐突にお声をあげられました。
「あ、あなたは気づいたのね?どう?直子はわかった?」
やよいママさまが突然私に振ってきました。
「えっ?あ、あのいえ、えっと、お綺麗だから欧米系ハーフのかたで、ミドルネーム、とか?・・・」
まったく見当がつかず、咄嗟に思ったことを口走る私。
「ブーッ!それっぽい顔立ちだけれどアレがハーフじゃないことは確かよ。あのだらしなくいやらしい体型を見ると、数代前にコーカソイド系の血が混ざっていそうではあるけれど」
シーナさまが可笑しそうにおっしゃいました。
「もっと単純でバカらしいこと。小野寺さん?答えてみて」
愉しそうに小野寺さまを促されるシーナさま。
「はい。わたくしの考えでは、ワカバヤシさんの漢字を音読みにしただけ。若いと林、すなわち、ジャクとリン」
「大正解!」
周りを囲むお客様の方々も聞き耳を立てていらしたらしく、パチパチとまばらな拍手が起こりました。
*
*三人のミストレス 20へ
*
お姉さまだってシーナさまの足下でうずくまる裸身の存在には気づかれているはずなのに、そこにはまったく触れずニコヤカにご挨拶。
「本宮から、今降ろした、って連絡入ってから30分以上も現われないからさ、てっきり直子が怖気づいて逃げ出しちゃったかな、と思っていたわよ。このまま来なかったら二度目のショーは牝ブタに何やらせようかって、考えていたところ」
ご機嫌ナナメっぽいご様子なシーナさまが、細長いグラスに入った水色のお飲み物をクイッと一口、お飲みになりました。
シーナさまたちがお座りになっているテーブルの上には、そのお飲み物の他に、チーズとクラッカーが乗ったお皿、グラスに刺さったお野菜スティックが置いてあり、小野寺さまの前には、茶褐色の液体に氷を浮かべたお飲み物。
それらに加えて、見た瞬間にドキッとしてしまう、ひときわ私の目を惹くものがふたつ、無造作に置いてありました。
ひとつめは、全体が真っ黒で少し古びた乗馬鞭。
ずいぶんと使い込まれているようで、持ち手の革が黒光りしてテラテラ光っています。
長い柄の細い部分が弾力のありそうな素材で、とてもよくしなりそう。
先端のベロ部分は弓矢の矢羽根みたいな形で大きめ。
これで尻たぶをジャストヒットされたら、クッキリ矢羽根の形の赤い打痕が残っちゃいそうです。
もうひとつは、小野寺さまの前に置いてあるハンディビデオカメラ。
新人エステティシャンの研修用教材という名目で、私のマゾマンコがワックス脱毛でツルツルにされる一部始終を録画されたときに使われたカメラと同じものよう。
ということは、これから私がしなくてはいけないバトルショーとやらも、このカメラで撮影、記録されることになるのでしょう・・・
シーナさまに促され、先ほど空けてくださったストゥールに腰掛けようとすると、すかさず脇からミイコさまが、ストゥールの腰掛け部分の上にたたんだバスタオルを敷いてくださいました。
お姉さまと小野寺さまは初対面らしく、お名刺の交換をされています。
腰掛けた私は、足下にいらっしゃる、裸の人、が気になって仕方ありません。
「そう言えばエミリー?本宮から名刺、もらった?」
シーナさまがお姉さまにお尋ねになりました。
「ええ。車を降りるとき、どうぞ今後共ご贔屓に、ってくださったわよ。あのかた、個人営業なのね」
小野寺さまのお名刺をポーチにしまうついでに、一枚の小さな紙片をヒラヒラさせるお姉さま。
「へー、ていうことは気に入られたんだ。だったらエミリー、これから直子と遊ぶとき、わたしが使わないときならいつでも本宮の車、使っていいってことよ」
少しご機嫌が直られたらしいシーナさまの、弾んだお声。
「わたしが牝ブタと移動するときは、こいつは、大抵ほとんど裸だから、本宮はそういうヘンタイの扱いに慣れているの。だから、あなたたちも大胆に愉しめるはずよ」
「もちろん料金は、どこへ行こうが、北海道だろうが沖縄だろうが牝ブタ持ちだし、本宮はああ見えて合気道とか護身術全般身につけた優秀なガードウーマンでもあるし、オマケにSっ気も旺盛だから、いろいろ頼もしいはずよ」
シーナさまが、こいつ、とおっしゃったとき、同時に足でテーブル下の人に何かしたみたいで、んぐぅ、という苦しげな呻き声がテーブル下から聞こえました。
「エミリーは小野寺さんとは初対面だったわね?アンジェラのサロンで事務方全般を一手に仕切っている、超有能なセクレタリー」
「あ、アンジェラさんとはこのお店で何度かお会いしたことあります。その節はうちの直子がずいぶんお世話になったみたいで、ありがとうございました」
シーナさまのご紹介でお姉さまが小野寺さまに深々と頭を下げ、つられて私もペコリとお辞儀。
「今日のこちらでのイベントには、うちのアンジェラがとても来たがっていたのですが、どうしても外せない先約があり、代わりにわたくしが送り込まれました」
小野寺さまが数年前と変わらない理知的かつ滑舌の良いハッキリとした口調でおっしゃいました。
「それで、観られないのであればせめて映像だけでも、ということでわがままをお許しいただき、本日はショーの一部を撮影させていただくことになりますので、どうぞよろしくお願いいたします」
私を見つつの小野寺さまのお言葉に、やっぱり、とじんわりマゾマンコを潤ます私。
そのとき、私たちの背後で立ったまま会話を見守っていたミイコさまが、お口を挟んできました。
「安心してナオちゃん。撮影するのはこのビデオだけで、他のお客様はケータイでもスマホでも一切撮影禁止になっているから。ネットに画像流出して顔バレ身バレとかは絶対に無いって約束するわ」
イタズラっぽく微笑まれるミイコさま。
「お店で上映会とか、BGVとしてそのモニターに流すことは考えているけれどね」
「そんなことより、早くナオちゃんにジャクリーンを紹介してあげて。エミリーはここで何度か会ったことあるけれど、ナオちゃんは初対面でしょ?」
ミイコさまがシーナさまに、新しいお飲み物を手渡しながらおっしゃいました。
「ううん。直子はずっと以前に、うちの牝ブタと顔合わせしているわ。もっともそのときは生意気にこいつ、人並みの格好をしていたと思うけれど」
シーナさまがニヤニヤ笑いつつ、テーブル上の乗馬鞭を手にお取りになります。
「ほら、ヘンタイ牝ブタドマゾおばさん?オットマン役はもういいわ。立ち上がっておまえのお仲間にご挨拶なさい。ほら、早くっ!」
シーナさまがテーブル下に潜らせた乗馬鞭がご活躍されているのか、テーブル下から人の肌を打擲する拍手のようなペチペチ音が聞こえてきます。
「ん、むぐぅ・・・」
テーブルが少しガタガタ揺れ、シーナさま側のテーブル端からウェーブのかかった髪の毛が見えてきました。
やがて、肘、肩、背中と露わになり、紛れも無い全裸女性の全身が現われました。
首には太くて幾つもリングがぶら下がった黒い首輪、肩までのウェーブヘアが汗で額に貼り付き、黒色のボールギャグをかまされたお口からはだらだらとよだれを垂らされ。
目鼻立ちの大きな日本人離れした端正なお顔は紅潮し、眉根に深く苦悩のシワが刻まれていましたが、そのお美しいお顔には、確かに見覚えがありました。
シーナさまのパトロンさんにして、うんとお歳の離れた専属マゾドレイ。
シーナさまのお住まいでもある私と同じマンション最上階の持ち主であり、どなたでも知っている有名上場会社の社長夫人。
確かお名前は、ワカバヤシさま。
「直子、会ったことあるよね?うちに遊びに来たときに」
「あ、は、はい・・・」
シーナさまに問われ、そのときのことをあざやかに思い出しました。
東京に出て来て、シーナさまと恥辱満点の刺激的な再会を果たした初夏の数日後。
ペントハウス風になっているマンション屋上で遊ぼうとシーナさまに呼び出され、伺ったときのことでした。
玄関先でお出迎えしてくださった、仕立ての良いサマースーツを品良く着こなされた女優さんのようにお綺麗なお顔立ちの見るからにセレブマダム風な女性。
身長は私より少し高いくらいなのに、何て言うのか、キラキラしたオーラに満ち溢れていて、生まれて初めて、貴婦人、と呼ばれる人種を目の当たりにした、と感じました。
そのときは、その女性が外出される直前だっため、お顔を合わせただけだったのですが、ごゆっくりしていってくださいね、というおやさしいお言葉と、たおやかに香る甘ったるいコロンの香りが印象的で、なんて絵に描いたようにお上品なご婦人なのだろう、と思ったものでした。
その後にシーナさまのお口から、そのご婦人こそがシーナさまの慰み者マゾドレイだと聞かされ、もっとビックリしてしまったのですが。
その優雅なマダム、ワカバヤシさまが今、私たちの目の前に全裸で、いえ、全裸よりももっと浅ましいお姿で仁王立ちされていました。
両手は頭の後ろで手錠されているらしく、立ち上がったときからすでにマゾの服従ポーズ。
ご年齢は私の母と同じくらいか少し上とお聞きしていましたが、とてもそうとは思えない、シミやシワが少しも見えない艶やかな肌に引き締まったプロポーション。
バストは大きく、ウェストはキュッと絞られ、ヒップはドーンと豊かで美脚がスラリ。
もちろん腋と股間は完全剃毛済みのツルッツル。
一見してお歳を感じさせない若々しいセクシーボディなのですが、いくつかの理由で、見ているこちらが恥ずかしくて目を背けたくなるくらい、艶めかしい色香を全身から発散されています。
まず、目につくのは、そのおからだに残る日焼け跡。
全体にこんがり健康的な小麦色に焼けていらっしゃるのですが、バスト部分と下半身にだけ、青白いほど生々しく普通の肌色が残っていました。
おっぱい部分は、小さめなハーフカップブラビキニの形通り、乳輪を含むおっぱい周りだけ白い肌。
下半身は、恥丘の膨らみ始めくらいから腿の付け根までがブーメラン型に白く焼け残り、凄くローライズでローレグな水着を身に着けていらっしゃったのであろうことが推測できます。
その二箇所の未日焼け部分の青白さと小麦色の他部分とのコントラストで、結果的に白いおっぱいと乳輪、そして無毛の股間の割れスジを、ひときわ生々しく猥褻に目立たせる日焼け跡となっていました。
更に、そのおっぱいの先端にはステンレス製らしい禍々しい形をしたクリップが両乳首に噛みつき、ふたつのクリップを繋いだ重そうなスチールチェーンに引っ張られ、豊満なおっぱいが盛大にうなだれて垂れ下がり、熟れ過ぎて今にもポタリと落ちそうな果実のよう。
乳首も乳輪も私より大きく、色も濃い目ですごく淫猥な感じ。
そしてとどめは、二の腕や胸元、太股付近のあちこちに刻まれている、ついさっきまで縄でギリギリと絞られていたのであろう生々しい縄目痕。
太腿には矢羽根型に鞭打たれた痕も、ところどころに残っていて、私たちがここに来る前までに、このかたがいったいどんな扱いを受けられていたのか、いけない妄想が膨らんでしまいます。
そんな感じに、見るからにふしだらと言うか、いやらしくも美しい裸体を目の当たりにして、私の心臓はドキドキ早鐘のよう。
思わずお隣のお姉さまにからだを摺り寄せてしまいました。
「ほら、牝ブタ?口枷取ってやるから、今夜の対戦相手に一応挨拶しときな」
シーナさまがぞんざいにおっしゃると、すかさずワカバヤシさまが服従ポーズのままひざまずき、お顔をシーナさまの胸元に差し出します。
シーナさまがボールギャグのベルトを緩めると、その唇の端からよだれがダラダラ、首筋からおっぱいへと流れ落ちていきました。
ワカバヤシさまの額にひっついた髪の毛を丁寧に払い、乱れた髪型を整えてあげる、おやさしいシーナさま。
口枷を解かれ髪を直されたワカバヤシさまって、やっぱり凄い美人さん、今流行の言葉で言えば、まさしく、美魔女、さんという感じです。
「お久しぶりです、直子さま。直子さまのことはいつもドミナから聞かされていましたから、ぜひ一度、ちゃんとお目にかかりたいと思っていました。本日はよろしくお願いいたします」
再び立ち上がられたワカバヤシさまが、座っている私を見下ろすように、服従ポーズのまま深々とお辞儀をしてくださいました。
「え、あ、あの、いえ、こちらこそ・・・」
「うちの直子だって同じマゾドレイなんだからさ、ジャクリーンも別に、直子さま、なんてあらたまらなくたっていいのに」
しどろもどろな私に代わって、お姉さまがワカバヤシさまに、茶化すようにお応えになりました。
「いえいえ、ドミナは直子さまのことをいつも褒めていらっしゃいますから、奴隷にとっても直子さまはドミナのご友人で崇拝すべきおかたでございます。奴隷はここでは最下層の身分ですので」
ワカバヤシさまが恐縮されたようにおっしゃいました。
ドミナ、って、シーナさまのことよね?
えっ?シーナさまって私のこと、ワカバヤシさまの前で褒めてくださっているの?
それにワカバヤシさまは、ご自分のことを、奴隷、ってお呼びになるんだ・・・
そんなことを考えていたらシーナさまの右手が一閃し、乗馬鞭のベロがワカバヤシさまのお尻をピシャリと打ち据えました。
「ひっ!」
「何、あたりまえのことを得意げに言っているの?おまえが最下層のヘンタイセックススレイブだってことは、ここにいる誰もがわかりきっているわよ」
「でも今夜はエミリーのマゾペットと、どちらのドレイがより従順でヘンタイかを競う対決、勝負は勝負だからね?もしおまえが直子みたいなこんな小娘に負けたら、明け方に素っ裸で表に連れ出して、道端や近くの公園にたむろしているホームレスのを5、6本、しゃぶらせるからねっ!」
シーナさまがワカバヤシさまの乳首からぶら下がったチェーンを無造作に引っ張りながら、怖いお顔で吐き捨てるようにおっしゃいました。
ワカバヤシさまの両乳首がおっぱいもろとも痛々しいくらい伸び切っています。
「あうぅっ、そ、それだけはお赦しください。ドミナはいつもその罰の後は、わたくしをしばらく可愛がってくださらなくなるではないですか・・・」
シーナさまの手を離れた鎖でおっぱいがブランブランと揺れるのにも構わず、ワカバヤシさまが憐れそうに懇願されます。
「あたりまえでしょ?そんな男どもで穢された牝ブタのからだなんて、たとえグローブしていたって触りたくないわよ」
「皮膚の細胞は約一ヶ月で入れ替わる、っていうから、穢れたからだが生まれ替わるまで、おまえは貞操帯嵌めて、セックスもオナニーも、わたしとの謁見も禁止よ!」
今度はパシッとワカバヤシさまの右おっぱいを打ち据えるシーナさま。
やっと鎮まっていた鎖が、再び派手にブランブランと暴れ始めます。
「あぁうぅっ、わ、わかりました。奴隷もその罰だけは受けたくないので、いくら可憐な直子さまと言えども、手加減なしでお相手させていただきます」
私をまっすぐ見て、縋るような目つきで微笑まれるワカバヤシさま。
「そうね、せいぜいがんばんなさい。ほら、そろそろ始めるから、おまえは席を回って空いたグラスやお皿を集めてきなさい」
シーナさまがおっしゃると、傍らのミイコさまが四角い銀盆をシーナさまに差し出されました。
もうひとりのメイド服姿の女性がワカバヤシさまの背後に回り、両手の手錠を外されます。
「かしこまりました、ドミナ。奴隷は仰せのままに」
ワカバヤシさまが膝立ちになると、シーナさまがふたつの乳首から半円状に垂れ下がったチェーンを金具からふたつに分け、銀盆の左右の持ち手部分に装着しています。
えっ?それってもしかして・・・
やがて装着が終わったらしく、ワカバヤシさまが立ち上がられました。
ワカバヤシさまのウエスト部分から、駅弁の売り子さんのように銀色のお盆が飛び出ています。
そのお盆を支えるのは左右の乳首に噛み付いた2本のチェーン。
ウェスト部分でもベルトを巻いて銀盆を安定させてはいるようですが、あの状態では銀盆にグラスを乗せるたびに重さで両乳首が引っ張られちゃうはずです。
「ほら、時間押しているんだから、さっさと回ってきな。重くても絶対手を使って支えるんじゃないよっ?」
「は、はいーっ!」
シーナさまにお尻をピシャリと打たれ、ヨタヨタと全裸でフロアにお出になるワカバヤシさまの後姿。
そのお尻にはアナルプラグなのでしょう、クルンと円を描いた、まさしく豚さんの尻尾のようなプラスティックの尻尾が生えていました。
裸足の両足首には黒いベルトの足枷、もちろんその両足首は歩幅くらいのチェーンで繋がれています。
「はーい、みなさーん。そろそろイベント第2部を始めますから、空いたグラスやお皿は、今場内を回っているジャクリーンのお盆に乗せてあげてくださーい」
ミイコさまがフロアに向かって、ひときわ大きなお声で呼びかけられました。
気がつくとフロアのお客様の大半が、あるかたは椅子をご持参で、あるかたは立ったまま、私たちのテーブルを取り囲むように集まっておられました。
「ショーのあいだは、中央テーブルに各種お酒のボトルと氷やお水やジュースを置いておくので、各自勝手に作って飲んでね。おつまみはアキちゃんに言えば、簡単なものなら作ってくれると思うわ」
中央のテーブルにせっせとウィスキーのボトルなどを並べている、もうひとりのメイド服姿な女性を指さされるミイコさま。
「ショーのあいだは、私やママには何を言っても無駄よ。わたしはショーの進行で忙しいし、ママはかぶりつきで観ているでしょうから。それくらいママも今夜のイベントを愉しみにしていたの」
ドッとあがるみなさまの笑い声。
そんなあいだもワカバヤシさまはフロア内を全裸で練り歩き、お腹の前の銀盆のグラスの山が高くなるにつれて、乳首の痛々しさが増していました。
「まだちょっと準備に時間かかるから、ナオちゃんはまだここでリラックスしていていいわよ」
一通りフロアへの呼びかけを終えて私の傍らに戻ってこられ、おやさしくお声をかけてくださるミイコさま。
「あの、ワカバヤシさまの乳首クリップ、あんなにグラスいっぱい乗せて、大丈夫なのですか?もし外れてグラスが落ちてしまったら・・・」
他人事とは言え、痛々しくて見ていられなくて、思わずミイコさまにお尋ねしてしまいました。
「シィーッ、彼女のことはここではジャクリーンて呼んでね。ドマゾヘンタイ熟女のジャクリーンと社長令夫人のワカバヤシさんとは別人なのだから」
ミイコさまがイタズラっぽく唇に人差し指を当てておっしゃいました。
「まあ、でも今は公然の秘密みたいになっちゃったけれどね。少なくとも今夜来ている人は全員、彼女の素性の噂は聞いているだろうし」
いつの間にかいらっしゃったのか、やよいママさまがお話に加わられました。
「シーナも彼女を最初連れてきたときは、ベネチアンマスクっていうんだっけ?あの仮面舞踏会みたいな目の周りだけのマスク着けさせてミステリアスに振る舞っていたのに、何度か通ううちに結局酔っ払って、自分たちでベラベラ白状しちゃうんだもの」
「会社名までは知らないまでも、彼女がどっかの大会社の社長夫人で、おしのびで夜毎ヘンタイ行為に耽っているらしい、って噂は有名よ」
シーナさまがソファー上のお尻を少し小野寺さま側にずらされ、シーナさまのお隣に窮屈そうに腰掛けられるやよいママさま。
「でも彼女の変装っぷりは見事よ。あたしは会社名まで知っているから、たまにテレビで社長夫人として映るのも見たことあるのよ。だけどまったく別人。髪型もメイクも服装も。テレビに出ているお上品で優雅なご婦人と、今素っ裸で乳首の痛みに耐えているヘンタイマゾ女とが同一人物なんて、とても思えないものね」
やよいママさまのお言葉に、ニンマリとお応えになるシーナさま。
「表に出るときの名前だってワカバヤシじゃないからね。ワカバヤシは旧姓なの」
「ワカバヤシ・・・ああ、だからジャクリーンさんなのですね?」
それまで静かに会話を聞かれていた小野寺さまが、唐突にお声をあげられました。
「あ、あなたは気づいたのね?どう?直子はわかった?」
やよいママさまが突然私に振ってきました。
「えっ?あ、あのいえ、えっと、お綺麗だから欧米系ハーフのかたで、ミドルネーム、とか?・・・」
まったく見当がつかず、咄嗟に思ったことを口走る私。
「ブーッ!それっぽい顔立ちだけれどアレがハーフじゃないことは確かよ。あのだらしなくいやらしい体型を見ると、数代前にコーカソイド系の血が混ざっていそうではあるけれど」
シーナさまが可笑しそうにおっしゃいました。
「もっと単純でバカらしいこと。小野寺さん?答えてみて」
愉しそうに小野寺さまを促されるシーナさま。
「はい。わたくしの考えでは、ワカバヤシさんの漢字を音読みにしただけ。若いと林、すなわち、ジャクとリン」
「大正解!」
周りを囲むお客様の方々も聞き耳を立てていらしたらしく、パチパチとまばらな拍手が起こりました。
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